更新日:2025年05月26日
「生理前や生理中になると身体がだるく、何もできない」と、悩んでいる方もいるかもしれません。生理前・生理中の不調はホルモンバランスや血糖値の変化などによって起こり、対策をとることで改善する可能性があります。
本記事では、生理前・生理中に何もできない・やる気が出ないのはよくあることなのか解説します。また、生理前・生理中にだるくなる理由や、やる気を出すための対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
東京都産業労働局「はたらく女性のウェルネス向上委員会」の「女性の健康課題別体験談」によると、生理中に不調を感じ、何もできないことに悩んでいる女性は少なくありません。ここでは、働く女性の生理関連の悩みの声を紹介します。
仕事をしなくてはいけないと思っても、生理に伴う腹痛や情緒不安定などの症状により、思うように働けない方がいるようです。
参考:東京都産業労働局「“生理関連の不調がない日”は月の約半分、中には10日程度という女性も!」
生理のつらさや不調の期間には個人差がありますが、東京都産業労働局「女性の健康課題別体験談」によると、月の大半が「しんどい」と感じる人もいます。
生理前や生理中のつらさが長引くと、ひと月の間で不調を感じずに過ごせる日のほうが少ない方もいるようです。
生理前や生理中は、やる気が起きず無気力になったり、身体がだるく何もできない状態になることもあります。
いずれも社会生活を送るうえで支障となる症状です。まずは生理前・生理中の無気力やだるさの原因について見ていきましょう。
月経周期に合わせて、女性ホルモンの分泌量は変化します。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、気分の調整に関わるセロトニンやγ-アミノ酪酸に影響を及ぼしているという説があります。
たとえば、セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの分泌を抑制し、精神を安定させる神経伝達物質です。女性ホルモンの分泌量が減少するとセロトニンの分泌量も低下し、イライラしやすくなったり、不安が強くなったりすることがあります。
人と関わるのが面倒になったり、外出を避けたくなったりするときも、女性ホルモンの変化による影響が考えられます。
個人差はありますが、生理前にあたる黄体期に血糖値が急激に変化することがあります。血糖値が急激に変化するとイライラしたり落ち込んだりすることがあるため、「だるい」「何もできない」と感じるかもしれません。
血糖値の変化は、心と身体にさまざまな影響を及ぼします。たとえば、血糖値が低下するとアドレナリンやノルアドレナリンなどの興奮状態を高めるホルモンが分泌され、不安感や恐怖心が強くなることがあります。
また、血糖値が急激に上がることも不調の原因になります。血糖値をコントロールするためにインスリンなどのホルモンの分泌量が増え、脳のブドウ糖が不足し、集中力の低下や眠気の症状が表れやすくなります。
カルシウムが不足すると、やる気が起きず、「何もできない」と感じる場合があります。
女性ホルモンのエストロゲンには、骨にカルシウムを蓄積する働きがあります。月経周期によってエストロゲンの分泌量が減少すると、カルシウムが蓄積されにくくなり、カルシウム不足になることがあるようです。
カルシウムが不足すると神経が興奮しやすくなり、気持ちが不安定になる傾向があります。生理前・生理中を穏やかな気持ちで過ごすためにも、普段から栄養バランスのとれた食事をとり、意識的にカルシウムを摂取しましょう。
生理前や生理中は女性ホルモンや血糖値などの影響により、やる気が起こらなかったり、気分が不安定になったりすることがあります。個人差はありますが、「何もできない」と感じる状態が月の半分ほど続くこともあり、日常生活に支障をきたすでしょう。
ここでは、生理前・生理中に「何もできない」状態になるのを防ぎ、やる気を出すための対策を紹介します。
大豆や雑穀にはトリプトファンが含まれており、精神を安定させるホルモンのセロトニンの原料になります。
また、大豆や雑穀には食物繊維が豊富に含まれているため、血糖上昇を緩やかにする効果も期待できます。血糖値の急激な変化による気分の変調を回避するためにも、大豆や雑穀を普段の食生活に取り入れましょう。
お菓子やジュースの糖質は吸収されやすく、飲食すると血糖値が急激に上昇する恐れがあります。血糖値の急上昇により何もできない状態になるのを防ぐためにも、気分が不安定になりやすい生理前・生理中は、お菓子やジュースなどはできる限り控えましょう。
十分な睡眠がとれないと、判断力や集中力、意欲が低下しやすくなります。また、イライラしやすくなり、仕事の作業効率が低下するともいわれています。
生理前・生理中を穏やかに過ごすためにも、良質な睡眠をとるための工夫をしましょう。たとえば、寝室を暗くする、部屋の温度・湿度を調整する、就寝前にアロマを焚いてリラックスするなどが挙げられます。
身体を温めることにより、血行が促進されます。子宮の血流がよくなると過度な子宮収縮を抑えられるため、生理痛が深刻な方は、身体を温めることを意識してみましょう。
ゆっくりとお風呂に入ったり、ストレッチなどの軽い運動をしたりするのがおすすめです。身体を温めることは良質な睡眠にもつながるため、眠る前にお風呂やストレッチなどの時間を設けるとよいでしょう。
生理前や生理中の不調により「何もできない」と感じるのは、珍しいことではありません。「甘えと思われるかも…」と一人で抱え込むのではなく、周囲に症状を伝えるのも一つの方法です。生理に伴う症状を理解してもらうことで、追い詰められた気持ちになるのを回避しやすくなります。
生理前・生理中の不快な症状は、低用量ピルの服用により改善できる可能性があります。低用量ピルは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが配合された薬です。低用量ピルの服用によりホルモンバランスの急激な変化を抑えられ、生理前のイライラといったPMSの症状や生理痛などの不快症状を軽減できると考えられます。
低用量ピルは市販されておらず、医師の処方が必要な医療用医薬品です。生理前・生理中に「何もできない」と悩んでいる方は、婦人科での受診を検討してみてください、
生理前・生理中は、女性ホルモンや血糖値の変化などにより、無気力になったり気持ちが不安定になったりし、「何もできない」と感じる人がいます。また、身体のだるさを感じる方も多いようです。
生理前・生理中の不快症状により「何もできない」「やる気が出ない」という場合、ピルの服用によりホルモンバランスを整えることで、改善できる可能性があります。
レバクリでは、婦人科のオンライン診療を行っています。スマートフォンやパソコンを使って自宅で診察を受けられ、処方された薬は自宅に届きます。診察料は無料のため、生理の不調について医師に相談したい方やピルを服用したい方は、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました