更新日:2025年05月26日
「排卵痛はどんな痛み?」「排卵期に下腹部の片方だけ痛いのは排卵痛?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。排卵痛は、排卵に伴って起こる下腹部や腰の痛みです。チクチクとした痛みを感じたり、下腹部の片方だけに痛みを感じたりすることがあります。排卵痛は体を温めたりストレスを解消したりして症状緩和を図れますが、痛みが強いときは低用量ピルの服用がおすすめです。
本記事では、排卵痛の症状や原因、対処法のほか、排卵痛が強い場合に考えられる病気について解説します。
排卵痛とは、排卵に伴って起こる痛みのことです。生理周期が28日の場合、排卵は生理開始日からおよそ14日後に起こります。排卵痛は、排卵日当日もしくは排卵日の前後1〜2日ほどの間に起こるとされています。
ここでは、排卵痛の症状や起こる原因、タイミングについて解説します。
排卵痛の症状として、主に次のようなものがあげられます。
排卵痛の症状の多くは腹痛で、下腹部にチクチクとした痛みを感じることがあります。
腹痛は、その月によって痛いと感じる場所が異なる場合もあります。卵巣は2つあり、左右のどちらか一方から排卵するためです。そのため、人によっては下腹部の右側だけ、あるいは左側だけなど、排卵が起きたほうの腹部周辺に痛みを感じる場合があるでしょう。
排卵痛は、卵子が卵巣の壁を破って外に排出される「排卵」によって引き起こされます。
排卵の過程で起こる次の2つが、痛みの主な原因と考えられています。
卵巣内には、卵子のもとになる複数の卵胞があり、およそ月に1度の頻度で1個だけが排卵します。排卵とは、成長した卵胞内の卵子が卵巣の外へ飛び出すことです。
排卵では、脳にある脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモンが卵巣に指令を出します。卵巣の中で成長した卵胞内の卵子は、この指令によって排卵する仕組みです。排卵の際は卵巣の膜を破って卵子が放出されるため、これが痛みの原因になると考えられています。
卵胞が破れたときは、卵子とともに卵胞液や血液が流れ出します。卵胞液や血液が腹膜を刺激することも、排卵痛が起こる原因とされています。
排卵痛が起こるタイミングは、排卵が起こる時期と重なります。生理周期が28日の場合は前の生理開始日から大体14〜15日目に、35日周期であれば大体21〜22日目に排卵が起こるのが一般的です。この時期に下腹部の痛みがある場合、排卵痛である可能性が高いでしょう。
生理周期は、卵巣の中で卵胞が育つ「卵胞期」や、排卵が行われる「排卵期」、排卵されたあとに子宮内膜が厚くなる「黄体期」、生理が起こる「月経期」の4つの期間に分けられます。
排卵日前後には、腹痛や腰痛といった排卵痛だけでなく、出血やおりものの増加といった症状も起こることがあります。
ここでは、排卵日前後に起こりやすい排卵痛以外の症状を解説します。
排卵日の前後は、出血することがあります。前の生理と次の生理の間に起こるため、中間期出血とも呼ばれます。
排卵期出血は、卵胞が破れて卵子が放出される際のわずかな出血が排出されたものと考えられています。また、卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が排卵期に急激に変動し、一部の子宮内膜が剥がれ落ちて出血が起こるという説もあります。
排卵期出血は、毎月必ず起こるものではないほか、排卵に伴う一時的な出血です。出血期間は短く、長くても3日程度で終わります。期間が長引かず量が少なければ、特に心配はありません。
個人差はありますが、排卵日が近くなると卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が多くなり、おりものの量が増えることがあります。透明で粘り気のあるおりものが3日ほど続くと、排卵日が近い可能性があるでしょう。排卵日を過ぎるとおりものの量は減少し、粘り気も少なくなります。
そのため、おりものの量や粘り気が少なくなったタイミングを排卵日と推測することも可能です。
排卵期のおりものの変化は正常なもので、特に問題はありません。しかし、おりものが濃い黄色・緑色だったり臭いが強かったりする場合、感染症や病気の可能性もあるため、病院の受診を検討しましょう。
排卵痛が強いときは、和らげるために次の方法を試してみてください。
排卵痛が起きたときの対処法について、それぞれ解説します。
体が冷えていると血行が悪くなり、排卵痛が強くなる恐れがあるため、体を温めることが症状を緩和するポイントです。
入浴はシャワーだけで済ませず、湯船につかって体を温めましょう。暑い日であっても、冷たい食べ物・飲み物はなるべく避け、服用は体を締め付けないものを選ぶことが大切です。
運動も血流改善につながり、体を温めるのに効果的です。
ストレスをためないことも、排卵痛を緩和するために大切です。ストレスがたまると交感神経が優位になって血行が悪くなり、排卵痛が強くなる恐れがあります。また、ストレスによってホルモンバランスが乱れると、排卵痛が起こりやすくなる可能性があるでしょう。
好きな音楽を聴く・読書する・運動するといった方法でストレス解消を図ることが大切です。
排卵痛が強く日常生活に支障が出る場合は、無理をせず痛み止めを飲んで痛みを和らげましょう。市販薬を購入する場合、どの薬を選べばよいかわからないときは、店頭の薬剤師や登録販売者に相談してみてください。
なお、痛み止め以外の薬も服用している場合は、飲み合わせに注意が必要です。たとえば痛み止めと風邪薬は成分が重複していることもあり、併用すると副作用が強く出る可能性があります。持病や風邪などで薬を服用している場合は、服用前に必ず医師や薬剤師などに相談しましょう。
痛み止めはあくまでも一時的に痛みを緩和するものなので、毎月つらい排卵痛がある場合は、婦人科を受診することをおすすめします。
排卵痛の緩和には、低用量ピルを服用する方法もあります。低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を配合した薬です。低用量ピルを正しく服用すると排卵が抑制されるため、排卵痛が起こらなくなります。
低用量ピルは、生理痛やPMSなど、生理に伴うつらい症状の緩和にも使用されています。低用量ピルの服用により、生理に関連する不快症状を緩和できるため、服用を検討してみるとよいでしょう。
低用量ピルは市販されておらず、医師の処方が必要です。忙しくて病院に行く時間がない場合は、オンライン診療を利用するとよいでしょう。オンライン診療であれば、自宅にいながら都合のよい時間に医師の診察を受けられ、低用量ピルの処方を受けられます。
排卵痛の有無や程度には個人差がありますが、腹痛が強い場合や排卵期の出血が多い場合は病気の可能性もあるでしょう。通常の排卵痛は排卵日前後の2〜3日で終わることが多いため、それ以上痛みが続く場合は、ほかの原因が考えられます。
腹痛が長引いたり、出血が止まらなかったりするときは、病院の受診を検討しましょう。
ここでは、排卵痛が強い場合に考えられる病気について解説します。
子宮内膜症とは、本来は子宮の内側にあるはずの子宮内膜が、ほかの場所で発生・発育する病気です。20〜30代で発症することが多く、ピークは30〜34歳ごろとされています。
子宮内膜症を発症している場合、強い生理痛の症状が現れます。生理時だけでなく、排卵時にも強い痛みが起こる場合があります。強い生理痛・排卵痛だけでなく、不妊症の原因にもなる病気のため注意が必要です。
子宮内膜症の治療には、主に鎮痛薬や低用量ピルを使用します。再発する可能性があり、長期にわたって治療が行うことが多いでしょう。
卵巣出血とは、排卵や外的刺激などによって卵巣が傷つき、出血する症状です。卵巣からの出血が腹腔内にたまり、出血だけでなく、突然の激しい腹痛を引き起こすこともあります。20〜30代に多い傾向がありますが、排卵がある限りは誰にでも起こる可能性があります。
卵巣出血は性交渉がきっかけとなる場合がありますが、自然に起こることもあります。
卵巣出血の治療は出血量によって異なり、出血量が少ない場合は経過観察となります。出血量が多い場合は輸血や緊急手術を行う場合もあります。
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)とは、卵巣内に脂肪や液体がたまって生じる腫瘍です。大半は良性で、小さいうちはほとんど症状が出ません。腫瘍が大きくなると、圧迫感や腹痛を感じます。排卵日前後に痛みを感じた場合、排卵痛と間違えることもあるでしょう。
卵巣嚢腫の治療は腫瘍の大きさや症状によって異なりますが、主に手術による摘出が行われます。
排卵痛は、前の生理と次の生理の間にある排卵日前後に起こる腹痛で、出血を伴う場合があります。排卵痛がつらいときは、体を温めたり鎮痛薬を服用したりして対処するとよいでしょう。
排卵痛を抑制するには、低用量ピルの服用が効果的です。低用量ピルを服用すると排卵が抑制されるため、排卵痛が起こらなくなります。低用量ピルの服用によりホルモンバランスが整い、女性ホルモンの急激な変動による不快症状が軽減するため、生理痛やPMSといった症状に悩まされている方にもおすすめです。
「低用量ピルを服用したいけれど、婦人科には行きづらい」「病院が遠く、行くのが大変」といった方は、オンライン診療を利用してみてはいかがでしょうか。
レバクリのオンライン診療であれば、自宅にいながらビデオチャットや電話で診察を受けられます。処方されたピルは、自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料のため、排卵痛に悩んでいる方はぜひ利用してみてください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました