更新日:2025年05月26日
「女性ホルモンを増やす方法が知りたい」「女性ホルモンを増やす食べ物・飲み物はある?」と考えている方もいるかもしれません。セルフケアで直接的に女性ホルモンを増やす方法はありませんが、バランスのよい食事や適度な運動といった生活習慣の改善により、正常な分泌を促せると考えられます。
本記事では、女性ホルモンが少なくなる原因やホルモンバランスを整える方法、女性ホルモンが多い・少ない場合の心身への影響などについて解説します。
女性ホルモンとは、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のことです。生理や妊娠・出産などに関わり、美容や健康の維持にも影響を与えます。
ここでは、女性ホルモンの種類や役割、減少した場合の影響などを解説します。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。
ここではエストロゲンとプロゲステロンについて、それぞれの特徴と役割を解説します。
エストロゲンは、生殖機能や女性らしい体の形成に関与するホルモンです。
生理が終わってから排卵日にかけて徐々に分泌量が増え、子宮内膜を厚くして妊娠に備える働きがあります。
エストロゲンは肌や血管の健康を維持する役割もあり、肌のハリや潤いを保つことが特徴です。自律神経の調整にも関わり、精神を安定させる働きがあります。
エストロゲンの分泌は思春期から体の成長とともに増え、20~30代でピークを迎えます。その後は徐々に分泌量が低下し、更年期になるとさらに低下して閉経を迎えます。
プロゲステロンは、妊娠を準備・維持する役割があるホルモンです。排卵後から生理開始までの黄体期に分泌量が増え、受精卵が着床しやすくなるよう子宮内膜を整えます。
プロゲステロンには基礎体温(安静時に測定した体温)を上昇させる働きがあり、基礎体温の変化によって排卵の有無やタイミングを把握しやすくなります。そのほか、乳腺を発達させたり、体内の水分を保ったりする働きもあります。
プロゲステロンの分泌量は、妊娠すると大幅に増加するのが特徴です。
女性ホルモンのうち、エストロゲンの分泌量が少ないと、妊娠や出産に関わる機能が低下し、無月経や排卵障害などが起こる可能性があります。肌荒れや抜け毛など、美容面での影響も表れるでしょう。
また、イライラ・不安などの症状が出て精神的に不安定になりやすいほか、骨が弱くなる・血管の病気のリスクが高くなるといったことも考えられます。
プロゲステロンの分泌量が不十分な場合、黄体機能不全になり、生理不順や不正出血が起こりやすくなります。黄体機能不全は、不妊の原因にもなるでしょう。
女性ホルモンの分泌は脳の視床下部でコントロールされており、生理周期によって変動します。また、加齢によって分泌量が低下し、45〜50歳頃に急激に減少するのが特徴です。
ここでは、生理周期や年齢による女性ホルモンの変化について、それぞれ解説します。
生理周期は生理の開始日から次の生理が始まる前日までの期間です。正常な生理周期は25〜38日程度とされています。
生理周期は、次の4つに分けられます。
卵胞期は、卵巣内で卵胞が成長する期間です。卵巣内の卵子のもととなる原始卵胞が成熟し、エストロゲンの分泌量は排卵の前にピークを迎えます。
卵胞期は、血行が良くなって肌の状態も良くなります。副交感神経の働きが活発になり、精神的にも安定する時期です。生理周期の中では、調子が良い時期といえるでしょう。
その後、卵胞から卵子が排出される排卵期に入ります。排卵が起こると、エストロゲンの分泌量は急激に減少します。
黄体期は、エストロゲンが減少し、プロゲステロンの分泌量が増えはじめる時期です。プロゲステロンの作用で子宮内膜は厚くなり、基礎体温も上昇します。ホルモンバランスの変化により、イライラしたり憂鬱になったりと、心が不安定になりやすい時期です。
受精しなかった場合や受精卵が着床しなかった場合は厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、体外に排出されて生理が始まります。
月経期は生理が起こる期間のことで、正常な生理期間は3~7日間とされています。生理の間は女性ホルモンの分泌が少ない状態が続きますが、生理が終わり、排卵が近くなるにつれて少しずつ増加します。
女性ホルモンは、初潮を迎えて分泌量が急増します。思春期はエストロゲンの働きによって、体つきが丸みを帯びるなどさまざまな変化が表れる時期です。思春期の後半である18~20歳ごろには分泌量が落ち着き、45歳ごろまで安定して分泌されます。
45歳〜55歳頃は閉経前後の更年期で、卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に少なくなる時期です。生理が定期的に始まっていた人も不定期になりやすく、体調にも変化が起こりやすいでしょう。
女性ホルモンは加齢とともに減少しますが、年齢とは関係なく減少する場合もあります。
ここでは、女性ホルモンが少ない原因について解説します。
ストレスが溜まったり不規則な生活が続いたりすると、女性ホルモンの分泌が低下する恐れがあります。特に20〜30代で女性ホルモンが少ない場合、ストレスや生活習慣の乱れが原因の可能性があるでしょう。
ストレスは、精神的なものに限らず、身体的なものも含まれます。たとえば無理なダイエットによる急激な体重減少や激しい運動は、身体的なストレスがかかり、女性ホルモンが減少する原因になります。
女性ホルモンは、45〜55歳頃にかけて急激に減少します。女性は50歳前後で閉経を迎え、この閉経の時期をはさんだ前後5年間(計10年間)が更年期です。更年期には女性ホルモンの分泌が急激に減少してホルモンバランスが乱れ、更年期障害の症状が出やすくなります。
更年期障害の症状には、肩こり・疲労感といった体の不調や、イライラ・不安感などの精神的な症状があり、症状の程度は人によって異なります。
セルフケアで直接的に女性ホルモンを増やす方法はありませんが、食事や睡眠、運動といった生活習慣の改善により、ホルモンバランスを整えられると考えられます。
ホルモンバランスを整えるための方法として、次の4つが挙げられます。
それぞれみていきましょう。
ホルモンバランスを整える方法の一つは、栄養バランスの良い食事をとることです。バランスのとれた食事は身体の調子を整え、女性ホルモンのスムーズな分泌を促します。
女性ホルモンそのものを増やす食べ物はありませんが、ホルモンバランスを整えたり、分泌をサポートしたりする食べ物はあります。栄養素・食材の例は以下のとおりです。
大豆製品には、大豆イソフラボンというエストロゲンに似た働きをする成分が含まれるため、積極的に摂取するとよいでしょう。女性ホルモンを増やすわけではありませんが、体内で似た働きをすることが期待できます。
タンパク質は女性ホルモンの原料になります。女性ホルモンの生成にはタンパク質とともにビタミン・ミネラルなども必要になるため、さまざまな栄養素をバランス良く取り入れることが大切です。
オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸の1つで、更年期障害の症状であるホットフラッシュの緩和に効果があるとされています。
また、亜鉛は女性ホルモンの生成をサポートします。
以下の食べ物・飲み物は、女性ホルモンの正常な分泌を妨げる可能性があります。
インスタント食品に含まれる添加物には、ミネラルの吸収を妨げて女性ホルモンの分泌に悪影響を与えるものがあるとされているため、できる限り控えたほうがよいでしょう。
また、アルコール摂取は睡眠の質低下を招き、女性ホルモンの分泌に悪影響を与える恐れがあります。
さらに、カフェインには神経を興奮させる作用があり、過剰摂取すると自律神経が乱れて女性ホルモンの分泌に悪影響を与える可能性があるでしょう。自律神経が乱れることで、不眠・不安といった不調を助長する恐れもあります。
女性ホルモンの正常な分泌を促すために、睡眠の質を高めることも大切です。女性ホルモンは脳の視床下部からの指令で卵巣から分泌されるため、睡眠不足で脳の働きが低下すると、女性ホルモンの分泌に悪影響を与えます。
質の良い睡眠をとるために、次のような工夫をしてみましょう。
朝はできる限り毎日同じ時間に起き、朝日を浴びましょう。起床後に日光を浴びることで、体内時計が整い、質の良い睡眠をとりやすくなります。
参考: 厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」 厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」
適度な運動も、ホルモンバランスを整えるための方法として有効です。運動習慣をつけると全身の血行が良くなり、自律神経が整って女性ホルモンのバランスも整いやすくなります。また、血行が良くなることで卵巣に十分な酸素や栄養が行き渡り、女性ホルモンの分泌促進が期待できます。
ストレッチやヨガなど、始めやすい運動を取り入れてみましょう。
女性ホルモンの正常な分泌を促すために、ストレス解消も大切です。過度なストレスは自律神経が乱れる原因になり、女性ホルモンの分泌を妨げます。ストレスが溜まっていると、睡眠の質も下がるでしょう。
仕事や家事でストレスが溜まっていると感じたら、できる限りストレスの要因を取り除くとともに、ストレスを解消することが大切です。趣味を楽しむ・友人と話すといった自分なりのストレス解消法を見つけ、気分転換することを心がけてください。
女性ホルモンは、多すぎる場合も心身に悪影響を与えます。エストロゲンの分泌量が多い場合、子宮内膜が厚くなりすぎてしまい、生理痛が重くなる場合があります。子宮筋腫や子宮内膜症などのリスクも高まるでしょう。
また、プロゲステロンが多すぎる場合、強い疲労感や倦怠感、情緒不安定などの症状が表れやすくなるでしょう。また、プロゲステロンは体内に水分を溜め込む働きがあるため、むくみや体重増加につながることもあります。
女性ホルモンのバランスを整えるには、低用量ピルの服用がおすすめです。低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロンを配合した薬で、服用することにより体内の女性ホルモン量を一定に保てます。
低用量ピルを服用するためには、医師の診察を受け、処方してもらう必要があります。「婦人科のクリニックに行くのは抵抗がある」「病院に行く時間がとれない」という方は、オンライン診療がおすすめです。
オンライン診療であればスマートフォンやパソコンを使って自宅で診察を受けられ、薬を処方してもらえるのがメリットです。
女性ホルモンの分泌が低下すると、心身に不調が起こります。40代までは安定して分泌されるものの、生活習慣の乱れやストレスなどが原因で分泌量が低下することがあり、注意が必要です。
セルフケアによって直接的に女性ホルモンを増やす方法はありませんが、バランスのとれた食事や質の高い睡眠といった生活習慣の改善により、ホルモンバランスを整えられるでしょう。
ホルモンバランスを整えたい方は、低用量ピルの服用もおすすめです。低用量ピルの服用によりホルモンバランスを一定に保てるため、女性ホルモンの急激な変動による生理前の心身の不調を軽減できます。
「忙しくて病院に行く時間がとれない」という方は、オンライン診療を利用してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました