更新日:2025年05月26日
排卵日が近づくとおりものが増える理由について、気になっている方もいるでしょう。排卵日直前になると卵胞ホルモンの分泌が盛んになり、おりものの量が増え、粘度も増します。排卵自体に自覚症状はほとんどありませんが、おりものの変化に着目することで、排卵日をある程度予測することが可能です。
この記事では、排卵日前におりものが増える理由や、生理周期・年齢に伴うおりものの変化などについて解説します。
排卵日とは、卵巣の中で育った卵胞から、卵子が排出される日のことです。排卵日前後は、妊娠しやすいとされています。
排卵前の卵子は卵巣内にあり、多くの細胞が卵子を取り囲んで守っている状態です。この構造を「卵胞」といい、卵巣の中には複数の卵胞が存在します。
脳の視床下部から卵胞の1つを成熟させるよう指令が出ると、卵胞刺激ホルモンが分泌されます。卵胞は刺激を受けて成熟し、卵胞ホルモンを分泌します。卵胞ホルモンとは、妊娠に備えて子宮内膜を厚くする働きがある女性ホルモンのことです。
十分に成熟した卵胞は、黄体形成ホルモンによって排卵を促され、卵胞の膜が破れて卵子が外に飛び出します。これが「排卵」です。
排卵後に卵子が精子と出会って受精すると、受精卵となって子宮に移動します。受精卵が子宮内膜に着床して成立するのが「妊娠」です。精子と卵子が受精しなかった場合、厚くなった子宮内膜は不要となり、剥がれ落ちて月経として体外に排出されます。
排卵日が近づくと、おりものが増えます。排卵自体の自覚症状はほとんどありませんが、おりものの量が増え、粘り気が増すといった変化によって、排卵日が近いことに気づく方もいるでしょう。排卵日を過ぎると黄体ホルモンの分泌量が増え、おりものの量や粘り気は減ります。
そもそもおりものとは、女性の子宮や膣(ちつ)などから出る分泌物のことです。おりものは、生理周期や体調などによって、色や量、形状などが変化します。おりものの状態には個人差があるものの、生理がある女性であれば誰にでもあるものです。
普段のおりものの状態を把握しておけば、体調の変化や生理周期などを判断する際に役立ちます。
おりものの役割は、主に以下の2つです。
おりものは膣内のうるおいを保ち、粘膜を守ることで、細菌の侵入や繁殖を防ぎます。古くなった細胞などの老廃物を排出して、膣内を綺麗に保つ役割も果たしています。
また、性行為の際に精子をスムーズに受け入れられるようにすることも、おりものの役割です。このように、おりものは膣や子宮を清潔に保ちつつ、妊娠をサポートする重要な役割を担っています。
正常なおりものの色や量、においなどは以下のとおりです。
おりものの色や形状などには個人差があるため、参考程度にとどめておきましょう。自分のおりものの普段の状態を把握しておくことで、身体の変化に早く気づけるようになります。
おりものは、生理周期によって量や形状が変化することも特徴です。ここでは、生理周期を「排卵日直前」「排卵日当日~生理前」「生理直後」の3つに分け、おりものの変化について解説します。
排卵日直前になると卵胞ホルモンの分泌が多くなり、精子を受け入れて受精をサポートするため、おりものの量も増えます。おりものが糸を引くように伸びるようになるのは、排卵日の2〜3日前です。指に取って広げると、10cm程度伸びる場合があります。
排卵日直前のおりものは、とろみのあるゼリーや卵白のような形状で、透明であることが多いでしょう。においは強くないことがほとんどです。
排卵日を過ぎると、卵胞ホルモンの分泌は減り、代わりに黄体ホルモンが増えていきます。
おりものの粘り気は、排卵日前に比べるとやや弱くなりますが、指で伸ばすと4~5cm程度伸びる場合があります。おりものの量は減り、見た目は透明から白っぽく変化するでしょう。
生理が終わった直後は、おりものはほとんどなくなります。粘性も低下しており、水っぽくさらりとしていることが特徴です。指につけて広げても、ほとんど伸びないでしょう。
妊娠したときは、水っぽいおりものが増える傾向があります。
通常の月経周期では、排卵日以降はおりものの量が減少します。しかし、妊娠すると黄体ホルモンの影響により、おりものの量が増えることが特徴です。妊娠を維持する役割を持つ黄体ホルモンは、妊娠すると分泌量が増え、妊娠しなかったときは分泌量が減って生理が始まります。
また、妊娠によるおりものの変化としては、量が増えるだけでなく、サラサラした水っぽい状態になることも特徴です。においに関しては、酸っぱいにおいを感じやすくなるといわれています。
そのほか、ピンク色や茶色のおりものが出ることもあります。原因の1つとして考えられるのが、着床出血です。
着床出血とは、受精卵が子宮へと移動し子宮内膜に着床する際に、子宮内膜が傷つき出血することです。着床出血は妊娠した際に必ず起こるわけではありません。
妊娠したときのおりものには個人差があり、妊娠しても普段のおりものと量やにおいが変わらないこともあります。
一般的に、とくに妊娠しやすいタイミングは、排卵日の2日前とされています。
妊娠しやすいタイミングには、精子と卵子のそれぞれの寿命が関係しています。精子の寿命は約3日、卵子の寿命は約1日です。卵子の寿命は約24時間と短いため、排卵後に性交しても、受精のタイミングまでに卵子が寿命を迎える可能性があるでしょう。
排卵日の少し前に性交し、卵子よりも寿命の長い精子が先に子宮に入り、排卵日に卵子が排卵されるのを待つほうが、妊娠する可能性が高まります。
妊娠の確率を上げるために、事前に排卵日を予測し、それに合わせて性行為のタイミングを計るとよいでしょう。
生理周期だけでなく、年齢によってもおりものの量や形状は変化します。ここでは、「初潮~10代」「20代~閉経」「閉経後」のそれぞれの年代ごとにみられる、おりものの特徴を確認しましょう。
おりものが増え始めるのは、初潮のころからです。初潮から10代のうちは、女性ホルモンの量が安定しないため、おりものの量も不安定な傾向があります。
20代から30代にかけては、女性ホルモンの分泌量がピークを迎えるため、おりものの量も多くなります。40代以降、女性ホルモンの分泌量が減り始めると、次第におりものの量も減っていくでしょう。
閉経後2〜3年以降は、卵胞ホルモンがほとんど分泌されなくなるため、おりものもなくなっていきます。膣内にうるおいを与える役割があるおりものがなくなることで、膣内が乾いて自浄作用が低下し、膣炎になりやすくなることに注意しましょう。
おりものは、生理周期や年齢、妊娠などによって変化します。そのほか、病気によって普段とは違う状態になることもあります。注意が必要なおりものの状態は、以下のとおりです。
注意が必要なおりものの状態と、原因として考えられる病気について解説します。
白くてポロポロしているおりものが出るときは、カンジダ膣炎に感染している可能性があります。カンジダ膣炎は、カンジダと呼ばれる真菌の一種が原因の真菌感染症です。おりものの状態が変化するほか、陰部にかゆみが出るケースもあります。
カンジダ菌は膣内にいる常在菌で、それ自体は珍しくなく、普段は悪さをしません。しかし、体調不良などによって身体の抵抗力が低下すると増殖し、カンジダ膣炎を発症しやすくなります。妊娠している方は免疫力が低下しているため、カンジダ膣炎になりやすいことに注意しましょう。
おりものが黄緑色で生臭い場合、クラミジア感染症やトリコモナス腟炎などに感染している可能性があります。いずれも性感染症であり、おりものの変化以外に、陰部のかゆみや性交痛、排尿・排便痛が出やすいことが特徴です。
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌による性感染症です。クラミジア感染症に感染する回数が多いと、不妊につながる恐れもあります。
トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が腟内に定着することで起こります。他の性感染症とは異なり中高年にもしばしばみられ、感染者の年齢層は幅広いことが特徴です。浴槽や便器、タオルなどを通じて感染することでも知られています。
感染症の場合はパートナーも感染している可能性があるため、2人で受診し、検査や治療を受けることがおすすめです。
生理や排卵以外の時期に血が混じったおりものが出るときは、子宮筋腫や子宮内膜ポリープのほか、子宮頸がん、子宮体がんの可能性があります。血が混じったおりものが続くときは、早めにクリニックを受診しましょう。
一般的に、排卵日が近づくとおりものの量は増え、粘度が高くなります。排卵自体の自覚症状はほとんどありませんが、おりものの変化に着目することで、排卵日をある程度予測できます。
排卵日以降のおりものは、粘り気はやや弱く量も減ることが特徴です。色は透明だったものが白っぽく変化し、生理が終わるとおりものは水っぽくサラっとした状態になります。
おりものは、生理周期のほか年齢や妊娠によっても状態が変化します。おりものの量や形状には個人差があるため、自分の普段の状態を知っておくことが大切です。そのうえで、著しく増えたり、色や粘度に違和感を覚えたりするときは、早めにクリニックに相談することをおすすめします。
忙しくて通院が難しい方におすすめなのは、オンライン診療です。病院に足を運ばずに済むほか、基本的に予約時間になると診察が始まり、待ち時間がほとんどないといった点がメリットです。
排卵日が近づくと卵胞ホルモンの分泌量が増え、おりものの量は増えて、粘度が高くなります。排卵日直前のおりものは、性行為の際に精子をスムーズに受け入れられるよう、ゼリー状に変化することが特徴です。
おりものの量や形状には個人差があるものの、正常なおりものの色は透明・乳白色で、量は下着に少し付着する程度です。また、においは気にならない程度か、やや酸っぱいにおいであることが多いでしょう。
妊娠した場合、おりものの量は増える傾向があります。ただし、排卵日直前のおりものは粘り気があるのに対し、妊娠した場合はサラサラした水っぽい状態である点が、両者の違いといえるでしょう。
おりものの量や形状は生理周期や年齢などによって変化しますが、普段より著しく増えたり、色やにおいが変化したりしたときは、早めに医療機関やオンラインクリニックに相談することをおすすめします。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました