更新日:2025年08月04日
妊娠を希望していて、「排卵日を予測したいけれど方法がよくわからない」という方もいるでしょう。排卵日の計算は、オギノ式や基礎体温の計測、排卵日予測検査薬などによって行えます。より正確に排卵日の計算をしたい場合は、クリニックの経腟超音波(経腟エコー)検査で調べてもらうとよいでしょう。
この記事では、排卵日の計算方法や排卵日が遅れる原因について解説します。そもそも排卵日が妊娠しやすいのかについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
排卵日とは、成長した卵子が卵巣から排出される日のことです。排卵は、前の生理から次の生理までのほぼ中間の時期に起こります。エストロゲン(卵胞ホルモン)によって卵胞が成長し、成熟したタイミングで卵巣から排出された後、卵管内に取り込まれます。
一般的に排卵日の前後は妊娠しやすいといわれていますが、最も妊娠しやすいのは排卵日の2日前とされています。
卵子の寿命は短く、排卵後の約24時間です。一方、精子は女性の体内で約3~5日と、卵子よりも長く生きることができます。
卵子よりも精子の寿命が長いことを踏まえ、排卵される2日前に性交を行い、子宮内で精子が卵子を待つ状態にすると妊娠の可能性が高まるでしょう。
生理周期は、「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の4つの時期に分けられます。それぞれの時期について、妊娠のしやすさを確認しましょう。
排卵後に、受精あるいは着床しなかった場合、不要となった子宮内膜ははがれ落ち、血液と一緒に体外に排出されます。この状態が「生理」です。
生理中と生理直後は、子宮内膜の厚さが失われ、妊娠に必要なプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲンの分泌量も低下します。そのため、生理周期における4つの時期のなかでは、比較的妊娠しにくい期間でしょう。
卵胞期は、生理が終わり、卵子の元になる原始卵胞が成長し始める時期です。エストロゲンの分泌量が増え、子宮内膜が徐々に厚くなります。
卵胞期は約14日間で、排卵期に比べると妊娠の可能性は低いとされています。しかし、排卵が早まることもあり、自身では卵胞期だと思っていても排卵が起きた場合は、妊娠する可能性があるでしょう。
エストロゲンの分泌がピークに達して子宮内膜が厚くなると、脳からの指令を受けて、卵子が卵胞から卵管へ飛び出します。排卵後は、プロゲステロンの分泌量が増え始めます。
排卵日の2日前から排卵日にかけてが特に妊娠しやすく、月経周期において排卵期は妊娠しやすい時期といえるでしょう。
黄体期は、卵子が排出された後の卵胞が空になって黄体に変わり、プロゲステロンが多く分泌される時期です。子宮内膜が厚くなってベッドのような状態になり、着床しやすい環境が整います。黄体期は約14日間続き、妊娠が成立しなかった場合は月経期に移って生理が始まります。
黄体期は、排卵された卵子が寿命を迎えている可能性が高く、一般的に妊娠しにくい時期とされています。しかし、自身では黄体期だと思っていても排卵が遅れて起こった場合は、妊娠する可能性があるでしょう。
排卵は自覚症状がほとんどないため、いつ排卵したかわかりにくく、次の排卵日の予測もしづらいと考える人もいるでしょう。その場合、以下のような排卵日の計算・予測方法を活用すると、自身の排卵日を予測しやすくなります。
それぞれの排卵日の計算・予測方法について解説します。
排卵日の計算は、「オギノ式」と呼ばれる下記の方法で行うことができます。
たとえば、生理周期が27日の場合、「27-14=13」で、生理開始から13日目に排卵すると予測できます。この場合、生理開始から13日目の前後数日間に性交を行うと、妊娠する可能性が高まるでしょう。ただし、オギノ式による排卵日の計算は、あくまでも予測であることを念頭に置きましょう。
排卵日の計算をする際、基礎体温から排卵日を予測することもできます。
基礎体温とは、生命を維持するために必要な、最低限のエネルギーのみを使っている安静状態時の体温のことです。毎日基礎体温を測ると、低温期から高温期に切り替わるタイミングがわかるようになるでしょう。
排卵は、低温期の期間のうちでもっとも基礎体温が下がった後、高温期に切り替わる3日程度の間に起こります。
基礎体温は生活の影響を受けていない状態で測定する必要があり、朝目覚めた後すぐに、寝たままの状態で舌の裏側に基礎体温計を入れて5分間計測します。
基礎体温は起床後にトイレに行くだけでも変動してしまうことから、身体を動かさずにすぐに測定できるよう、基礎体温計を枕元に置いておきましょう。
排卵日は、おりものの形状からも予測できます。
おりものは、子宮・膣などから分泌される、老廃物や細菌、タンパク質、水分などが混じった液体のことです。膣のうるおいを保って乾燥や摩擦から守り、精子の侵入をサポートしたり、膣のなかの細菌や異物を排出したりする役割があります。
おりものの量や色には個人差があるものの、排卵日が近づくにつれてエストロゲンの分泌量が増え、おりものは粘り気のある白く濁った状態に変化します。指で広げると、10cm以上伸びることもあるでしょう。
オギノ式のような排卵日の計算とは異なり、自分の身体の変化を見て排卵日を予測する方法です。妊娠を希望する場合は、おりものの変化にも意識を向けるとよいでしょう。
薬局やドラッグストアで購入できる、排卵日予測検査薬で排卵日を予測することもできます。排卵日予測検査薬とは、尿の「黄体形成ホルモン(LH)」の濃度を調べることで、排卵日を予測する検査薬のことです。
黄体形成ホルモンは、排卵の約36~48時間前に脳から分泌されます。次回の生理予定日の17日前から、排卵日予測検査薬で1日1回黄体形成ホルモンの量を確認し、「排卵日の1日前がいつか」を導き出します。
排卵日の計算・予測を行う場合、基礎体温の計測と並行して排卵日予測検査薬を活用すると、より予測の精度を高められるでしょう。
月経管理アプリに生理開始・終了日を入力し、排卵日の計算を行う方法もあります。アプリでは基礎体温も記録でき、アプリに搭載された予測機能で次の生理開始日や排卵日の目安を把握できます。
婦人科・産婦人科のクリニックでは、経腟超音波(経腟エコー)検査によって、卵胞がどの程度成長しているかを確認することが可能です。卵胞は、生理の10日目以降あたりから毎日約2mm成長し、20mm程度になると排卵します。卵胞のサイズを測定することで、排卵日を予測します。
オギノ式により排卵日の計算や基礎体温の計測などを続けるなかで、予測よりも排卵日が遅れることもあるでしょう。排卵日が遅れる原因として、以下の3つが考えられます。
それぞれの原因についてみていきましょう。
精神的ストレスや過度な運動によって、排卵日が遅れることがあります。たとえば、人間関係や仕事などで精神的なストレスを受けると、排卵が遅れて生理周期が乱れることは少なくありません。また、激しい運動を続けることも身体的なストレスにつながり、排卵日が遅れる原因となる場合があります。
生理や排卵は、卵巣や視床下部、脳下垂体などから分泌されるホルモンがバランスよく働くことで起こります。視床下部はストレスの影響を受けやすいため、強いストレスがかかると排卵が遅れることがあります。
多嚢胞性卵巣症候群や高プロラクチン血症などの病気も、排卵日が遅れる原因の1つです。
多嚢胞性卵巣症候群は、成長が止まった小さい卵胞が卵巣内にいくつもとどまってしまう病気です。多嚢胞性卵巣症候群を発症すると、排卵を起こすためのホルモンのバランスが乱れ、排卵が起こりにくくなります。
高プロラクチン血症は、プロラクチンというホルモンが過剰分泌される病気です。排卵が遅れるだけでなく、排卵自体がなくなることもあり、その場合は無月経になる可能性があります。
18歳ごろまでの思春期のうちは、女性ホルモンの分泌が安定しないため排卵日が遅れることは珍しくありません。
また、更年期以降は女性ホルモンが低下することで、生理周期の乱れや排卵日の遅れが起こりやすくなります。更年期とは、閉経の5年前から5年後までの計10年間です。
閉経を迎える年齢は人によって異なるものの、50歳前後が多いでしょう。そのため、40歳を過ぎてからは生理周期や排卵が不規則になる可能性が高くなります。
排卵日以降、黄体期と呼ばれる時期に入ると、むくみや胸の張りなどの症状が出やすくなります。これらの症状は、黄体期に分泌量が増加するプロゲステロンの作用が原因と考えられます。
生理前のむくみや胸の張りなどの不快症状により日常生活に支障をきたしている場合は、PMS(月経前症候群)の可能性があるでしょう。PMS(月経前症候群)とは、月経開始の3~10日ほど前から起こる身体的・精神的な症状を指します。
PMSの症状には、むくみや胸の張り以外にも、頭痛や眠気、倦怠感、イライラ、不安感などがあります。
自身で排卵日の計算を行う方法もありますが、排卵日をより正確に把握したい場合は、クリニックに相談するとよいでしょう。婦人科・産婦人科のクリニックでは、経腟超音波(経腟エコー)検査によって卵胞の成長度合いを確認でき、排卵日を予測できます。
生理や排卵日に関して医師に相談したいものの、忙しくて通院が難しい方には、オンライン診療がおすすめです。病院に足を運ばずに自宅で医師に相談でき、基本的に予約時間になるとすぐに診察が始まるため、時間がない方も負担を減らして受診できます。
排卵日の計算は、オギノ式での計算や基礎体温の計測、排卵日予測検査薬の使用などによって行えます。
排卵自体には、自覚症状がほとんどありません。次回の排卵日を予測したいときは、当記事でご紹介した方法で計算・予測してみましょう。基礎体温の計測と排卵日予測検査薬を組み合わせるなど、複数の方法を並行して試すのがおすすめです。
自身での排卵日の計算に不安がある場合は、医療機関やオンラインクリニックに相談することも検討してみましょう。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました