更新日:2025年08月04日
「生理前になると眠いことが多い」という方もいるかもしれません。生理前に強い眠気におそわれる場合、PMS(月経前症候群)の可能性があります。PMS(月経前症候群)とは、生理前に心と体に起こるさまざまな不調のことです。
この記事では、生理前に眠いと感じる原因やPMS(月経前症候群)の症状について解説します。生理前に眠いときの対処法や眠気を防ぐための対策なども紹介するため、ぜひ参考にしてください。
生理前に眠い場合、PMS(月経前症候群)の症状の可能性があります。PMS(月経前症候群)とは、生理前の3〜10日間ほど続く、身体的・精神的な不調のことを指します。英語では「premenstrual syndrome」で、PMSは略語です。
PMS(月経前症候群)では、眠気のほか頭痛、腹痛、むくみ、イライラなど、さまざまな症状が現れます。
PMS(月経前症候群)の主な原因は、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の急激な変動と考えられています。また、ストレスや生活習慣などもPMSに影響を与えているとされています。
PMS(月経前症候群)の身体的な症状と精神的な症状の例は、以下のとおりです。
身体的な症状 | 精神的な症状 |
---|---|
・頭痛 ・腹痛 ・腹部の張り ・腰痛 ・動悸 ・乳房の張り・痛み ・便秘 ・めまい ・疲労感 ・ほてり ・不眠 ・眠気 ・吐き気 ・手足のしびれ ・ニキビ・じんま疹などの皮膚症状 ・手足のむくみ | ・イライラ ・無気力 ・混乱 ・抑うつ ・集中力の低下 ・記憶力の低下 ・涙もろくなる ・刺激に過敏になる ・神経質になる |
「生理前はいつも眠いので仕事に集中できずつらい」「生理前のイライラで人間関係に支障をきたしている」といった方は、早めに医療機関を受診して医師に相談しましょう。
生理前に眠いと感じる原因は、次の4つです。
それぞれの原因を見ていきましょう。
生理前に眠いと感じる原因として、女性ホルモンのバランスの変化が挙げられます。排卵後から生理前にかけて分泌量が増えるプロゲステロンは、眠気を催すホルモンです。プロゲステロンが盛んに分泌されることで、眠気を感じやすくなります。
自律神経の乱れも、生理前に眠いと感じる原因のひとつです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、普段はバランスが保たれています。しかし、生理前に女性ホルモンが急激に変動すると、自律神経が乱れて眠りが浅くなってしまい、結果的に日中の眠気につながります。
セロトニンは、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの原料となる成分です。生理前にセロトニンの分泌量が減ることで、睡眠の質が悪くなり、日中に眠いと感じる可能性があります。
生理前に基礎体温(安静時の体温)が上がることも、眠気の原因のひとつです。本来であれば夜になると体温が徐々に下がって眠くなりますが、生理前は高温の状態が続き、寝つきが悪くなって睡眠のリズムが乱れやすくなります。夜に熟睡できないことで、日中に眠いと感じることがあります。
ここでは、生理前に眠いときの対処法について解説します。主な対処法は次の4つです。
生理前に眠くなった場合、自分に合う方法で対処しましょう。
生理前に眠い場合は、仮眠をとるとよいでしょう。少しの時間眠るだけでも、頭がスッキリして眠気が軽減されます。
ただし、30分以上寝ると夜の寝つきが悪くなる恐れがあるため注意しましょう。仮眠はあくまで短時間で済ませることが大切です。
生理前に眠い場合は、カフェインを摂ることもひとつの手です。カフェインには、神経を興奮させて体を活発化させる作用があります。
コーヒーや緑茶などを飲むことで、頭がスッキリしたり、眠気を覚ましたりできるでしょう。ただし、カフェインの摂りすぎには注意が必要です。
カフェインには鉄分やカルシウム、マグネシウムなど、女性の健康維持に重要なミネラルの吸収を阻害する作用があります。ミネラルは筋肉を収縮させたり緩めたりして、生理痛を和らげる働きがあるといわれているため、吸収を妨げると生理痛が強くなる恐れもあるでしょう。
また、カフェインの覚醒作用は数時間続くため、夜寝る前に摂ることは控えましょう。
ストレッチで体を軽く動かすことも、生理前に眠いときの眠気覚ましにおすすめです。体を動かすことで脳が覚醒し、眠気が軽減されるでしょう。
生理前に眠いとき、眠気を覚ますために深呼吸することもが有効です。
眠気は、脳に送られる酸素量が少なくなると起こりやすくなるといわれています。
深呼吸して体内に新しい酸素を取り込み、脳まで酸素が行き渡ることで、頭がスッキリして眠気が覚めるでしょう。また、部屋を換気して酸素量を増やすことも、眠気覚ましに有効です。
ここでは、生理前の眠気を防ぐための対策を紹介します。主な対策法は、次の7つです。
生理前に眠いと感じるのを防ぐために、手軽に始められることから取り入れてみましょう。
生理前に眠いと感じるのを防ぐために、朝起きたら日光を浴びることが大切です。朝日を浴びることによって、セロトニンの分泌が促進され、体内時計がリセットされます。
できる限り毎朝同じ時刻に起きて朝日を浴び、体内時計をリセットすることで、睡眠と覚醒のリズムが整うでしょう。
生理前に眠い場合、適度な運動は眠気覚ましになるほか、夜の睡眠の質を上げるのにも効果的です。ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳など自分にあった運動を生活に取り入れましょう。
なお、運動する際は時間帯に注意が必要です。就寝前に激しい運動をすると、交感神経が優位になって寝つきが悪くなります。運動は就寝の3時間ほど前までに終わらせるとよいでしょう。
生理前・生理中に眠いと感じるのを防ぐには、睡眠時間を十分にとることも大切です。睡眠不足は日中の眠気の原因になります。
「翌日は仕事が休みだから夜更かしする」といったことも避け、生活リズムを乱さないよう心がけましょう。
生理前に眠い状態になるのを防ぐため、質の高い睡眠がとれるよう睡眠環境を整えることも大切です。睡眠環境を整えるには、次のような対策方法があります。
快適に眠れるよう、上記の内容を実践しましょう。
生理前・生理中のホルモンバランスを安定させ、眠い状態を防ぐには、大豆食品(イソフラボン)を意識的に摂ることが大切です。イソフラボンはエストロゲンと似た働きをするため、女性ホルモンのバランスを整えるために役立つ可能性があります。イソフラボンは、睡眠の質向上の効果も期待できるとされています。
主な大豆食品は、豆腐や納豆、味噌などです。
生理前に眠い場合、漢方薬を服用することも一つの選択肢です。
漢方薬を用いる場合、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが例として挙げられます。漢方薬は種類によって効果・効能が異なり、眠気や肩こり、イライラといった症状に合わせて選ぶことで、症状緩和を図れるでしょう。
漢方薬は市販されていますが、どれを選べば良いかわからない方は医師に処方してもらうのも一つの方法です。
生理前に眠いと感じるのを防ぐためには、低用量ピルの服用も有効です。低用量ピルには、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが配合されています。
低用量ピルを飲むことで、生理前のホルモンバランスの急激な変動を抑えることが可能です。女性ホルモンの変動が少なくなれば、生理前の眠気やイライラなどの緩和につながります。
低用量ピルは市販されておらず、産婦人科や婦人科で処方してもらう必要があります。
「生理前はいつも眠いので仕事に支障が出ている」といった場合は、病院で受診しましょう。生理前の眠気がひどい場合は、PMS(月経前症候群)の可能性があります。産婦人科・婦人科で受診することで、低用量ピルの処方を受けることも可能です。
忙しくて病院に行く時間がとれない場合、オンライン診療もあります。オンライン診療のメリットは、次のような点です。
通院に負担を感じる人やほかの患者と顔を合わせることにためらいがある場合は、オンライン診療も検討してみましょう。
生理前に眠い場合、PMS(月経前症候群)の可能性があります。PMS(月経前症候群)では、眠気のほかに頭痛や腹痛、めまい、イライラ、抑うつなどさまざまな症状が現れます。眠気やイライラなどの症状で生活に支障をきたしているときは、早めに医療機関を受診しましょう。
生理前に眠いときの対処法として、仮眠やストレッチなどが挙げられます。また、生理前の眠気を防ぐためには、起床後に朝日を浴びることや適度な運動、大豆食品の摂取、低用量ピルの服用などが有効です。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました