更新日:2025年08月04日
「生理中は身体が重い」「生理中はだるいので何もしたくないと感じる」という方もいるでしょう。生理中に身体が重いと感じるのは、ホルモンバランスの変化や鉄分不足などが原因と考えられます。生理痛が原因で倦怠感を覚えることもあるかもしれません。
本記事では、生理中に身体が重いと感じる原因や対処法について解説するほか、生理中の倦怠感や生理痛の緩和に有効な低用量ピルについても紹介します。生理中の倦怠感に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
生理中に「身体が重い」「だるい」と感じる主な理由には、以下の3つが挙げられます。
それぞれについて解説します。
生理中に身体が重いと感じる原因として、ホルモンバランスの変化が挙げられます。
生理前から生理開始にかけて、女性ホルモンの分泌量が大きく変動します。排卵直後からは、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えます。
プロゲステロンの分泌量が増えると基礎体温(安静時の体温)が上がり、夜になっても体温が下がらず睡眠リズムが乱れやすくなるでしょう。睡眠リズムの乱れにより日中に眠気が起こり、生理前から生理開始にかけてだるさや疲労感を覚えやすくなると考えられます。
生理中は血液が体外に排出されます。血液中には鉄分が多く含まれており、生理によって血液が排出されて貧血になると、「身体が重い」と感じやすくなるでしょう。貧血の中でも生理中の女性は「鉄欠乏性貧血」になりやすいとされており、経血の量が多い女性ほど失われる鉄分が増えて鉄欠乏性貧血になる恐れがあります。
鉄欠乏性貧血の主な症状は、身体の重さやだるさのほか、動悸、めまい、立ちくらみ、頭痛などです。鉄欠乏性貧血が進行すると、自覚症状を感じにくくなります。気づかぬうちに重度の貧血となる危険性があるため、生理の度に身体が重いと感じ、動悸やめまいなどの症状も出ているときは病院を受診して医師に相談することをおすすめします。
貧血ではないものの血液中の鉄分が不足する「かくれ貧血」にも要注意です。かくれ貧血の場合も、倦怠感やめまいなどの症状が出ます。潜在性鉄欠乏症と呼ばれるもので、生理によって排出される鉄分を補えていないことが、原因のひとつです。
生理中の出血によって、鉄分だけでなく、水分も体内から排出されます。生理期間中は水分不足になりやすいため、意識的に水分補給することが大切です。
水分が不足すると血行不良につながり、生理痛の症状が悪化する可能性もあります。そのほか、体温の上昇やむくみ、便秘などを引き起こしかねません。
生理に伴う水分不足により身体が重いと感じるのを防ぐために、水のほか、カフェインの入っていない温かい飲み物を飲むこともおすすめです。
生理中は、生理痛が原因で身体が重いと感じる場合もあります。下腹部や腰の痛みによって身体が疲れたり、痛みによるストレスで自律神経のバランスが乱れたりして、だるさを感じやすくなるでしょう。
生理痛は、主に下腹部に痛みを感じる症状で、吐き気や頭痛などをともなうこともあります。経血を子宮外に排出しようとする際に働く、プロスタグランジンという物質が痛みの主な原因です。
プロスタグランジンは、多く分泌されると子宮の収縮が過剰になり、強い痛みを招きます。日常生活が困難になるほどの痛みを感じるケースは、月経困難症と呼ばれます。
月経困難症には、原因となる病気がないのに生じる「機能性月経困難症」と、病気が原因となる「器質性月経困難症」の2つがあります。
機能性月経困難症は、プロスタグランジンの分泌が多く、過度に子宮が収縮することで起こると考えられています。生理や痛みに対する不安、ストレスなども、機能性月経困難症の原因となる可能性があります。
器質性月経困難症の原因となる病気として、主に以下の3つが挙げられます。
子宮内膜症は、本来は子宮の内側にできる子宮内膜が、子宮の内側以外の場所に生じる病気です。子宮筋腫は子宮内にできる良性の筋腫で、子宮腺筋症は子宮内膜に類似した組織が子宮の筋肉内にできてしまう病気です。
その他にも、卵巣の病気や骨盤の炎症などが器質性月経困難症の原因になります。
ここでは、生理中に身体が重いと感じるときや月経困難症の症状がある場合の対処法を解説します。効果的な対処法は、以下の4つです。
それぞれについて解説します。
生理中に身体が重く、憂鬱な気分になったりイライラしたりする場合は、できるだけリラックスして過ごすことが大切です。好きな音楽をかけたり、アロマテラピーをとり入れたりして、自分がリラックスできる環境を整えましょう。
生理中に身体が重いと感じるときは、睡眠をしっかりとることも重要です。睡眠不足が続くと疲労感が増幅してしまい、生理中のだるさや身体の重さが悪化する可能性があります。必要な睡眠時間は人によって異なりますが、6~8時間程度を目安に、すっきり起床できる長さにしましょう。
入浴の際は、ゆっくり湯船につかると、血行がよくなりリラックス効果も期待できます。好きな香りの入浴剤を使うのも一案です。
生理中に身体が重いと感じるのを防ぐには、栄養バランスのとれた食事をとることが大切です。特定の料理・食材だけを食べるのは避け、肉や魚、野菜、果物、乳製品などをまんべんなく食事に取り入れましょう。
なお、糖分の多いお菓子やジュースは血糖値の急激な変化を招き、倦怠感につながる恐れがあるため、できる限り避けましょう。
そのほか、生理中は貧血になりやすいため、鉄分を多く含むレバーや煮干しなどを食事に取り入れるのがおすすめです。鉄分はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まるため、ピーマンやブロッコリー、じゃがいもなども積極的に取り入れるとよいでしょう。
カフェインやアルコールは、過剰摂取すると吐き気や倦怠感を招く恐れがあるため、控えることをおすすめします。
適度な運動も、生理中に身体が重いと感じるときの対処法として有効です。筋肉を動かすと交感神経が優位になり、だるさや眠気の解消につながります。運動によって血流がよくなることで、むくみの改善にもつながり身体が重い状態が和らぐでしょう。
ただし、無理は禁物です。ストレッチやジョギング、ヨガなど、無理なくできる範囲での運動をおすすめします。天気がよい日に短時間散歩をすることも、倦怠感の軽減や気分転換の方法としておすすめです。
「生理中はいつも身体が重いのでつらい」「生理中は倦怠感がひどいので仕事に支障をきたしている」といった場合は、婦人科を受診するのも一つの方法です。生理中に強い腹痛や腰痛、吐き気、倦怠感などの症状がある場合は、月経困難症の可能性があります。症状に合わせて漢方薬やピルを処方してもらい、治療を行うことで、症状改善を図れるでしょう。
低用量ピルは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを配合した薬です。
低用量ピルは避妊効果のほか、生理痛の緩和や生理周期の改善、月経困難症の症状緩和効果もあります。ホルモンバランスの変化や生理痛により生理中に身体が重いと感じている場合は、低用量ピルの服用により女性ホルモンの変動を抑えることで、症状緩和を図れるでしょう。
生理中に身体が重いと感じているものの病院に行くのをためらっている場合は、オンライン診療で低用量ピルを処方してもらうことも検討してみましょう。オンライン診療であれば、パソコンやスマートフォンを使い、自分の都合のよい時間に自宅で受診できます。処方された低用量ピルは、自宅や薬局に配送されるため便利です。
生理中に身体が重い・だるいと感じるのは、ホルモンバランスの乱れや鉄分の不足などが原因となっている可能性があります。生理中の心身の不調を改善するには、リラックスして過ごすことや、適度な運動が有効です。
「生理中はいつも身体が重い」「生理中の倦怠感がひどく仕事に支障をきたしている」といった場合は、我慢せずに婦人科を受診しましょう。病院に行く時間がとれない人や、婦人科の病院が自宅の近くにない人などは、オンライン診療を利用すると便利です。スマートフォンやパソコンを使って自宅で診察を受けられるため、受診する際の心理的なハードルも下がります。
レバクリでは、低用量ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました