更新日:2025年08月04日
「初めて排卵期出血があり、原因が気になっている」「排卵期出血の量が多いような気がして心配」という方もいるかもしれません。排卵期出血は排卵前後に起こりうる症状の1つで、病気ではないため過度に心配する必要はないでしょう。しかし、出血量があまりにも多かったり、出血が長期間続いたりしている場合は病気が原因の可能性があるため、注意が必要です。
本記事では、排卵期出血の量・期間の目安や排卵期出血以外の不正出血の原因、月経関連のトラブル改善を図れるピルについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
排卵期出血とは、生理が終わってからおよそ2週間後に起こる出血のことです。生理周期は月経期・卵胞期・排卵期・黄体期に分けられ、月経期が終わって卵胞期に入ると、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増加します。エストロゲンが増えることで卵胞の成長が促進され、排卵の準備が整います。
排卵の準備が整うと分泌されるのが、黄体形成ホルモンです。この黄体形成ホルモンの働きによって成熟した卵胞が破れ、排卵が起こります。
排卵が終わると黄体期に入り、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増加します。このように、排卵期の前後は女性ホルモンの分泌量が大きく変化します。
排卵期出血のメカニズムは解明されていませんが、エストロゲンの影響によって子宮内膜の一部がはがれることや、卵胞が破れる際に生じる出血が原因ではないかといわれています。
排卵期出血は起こったとしてもごく少量で、生理ほどの出血量ではなく、おりものシートで十分に対応できる程度です。また、排卵期出血の期間は1~3日間程度でしょう。
排卵期出血の色は、ピンク色や茶色など、その時々によって異なります。生理痛のような強い痛みは出ないものの、人によっては下腹部に痛みや違和感があったり、体がだるく感じたりする場合があります。
排卵期出血は病気ではないため、症状が軽い場合、ただちに受診する必要はありません。しかし、出血量が多かったり、期間が長引いたりする場合は、早めに医療機関を受診して相談しましょう。
排卵期出血があるとき、必ずしも妊娠しやすいとは限りません。なぜ排卵期出血が起こるのかは解明されていないほか、排卵期出血と排卵が必ず同時に起こるわけではないためです。
排卵期のなかでも妊娠しやすい時期は排卵の2日前といわれていますが、卵子の寿命は短く、24時間程度とされています。妊娠するためには、この時間内に受精しなければなりません。
しかし、排卵期出血の有無やタイミングには個人差があり、同じ人であっても量や期間は変化します。そのため、排卵期出血が起こった日に性行為をしても、妊娠確率が高まるかはわからないでしょう。排卵日を自身で予測したい場合は、基礎体温を記録して体温の変化をもとに考えるのが無難です。
不正出血とは、生理以外で起こる膣からの出血のことです。排卵期出血は不正出血の一つで病気ではありませんが、なかには病気が原因で不正出血が起こる場合もあります。不正出血の量が多かったり頻繁に不正出血が起こったりする場合は、医療機関を受診しましょう。
排卵期出血以外の不正出血の主な原因は、以下の4つです。
それぞれについて解説します。
頻発月経とは、生理周期が24日以内の状態のことを指し、生理不順の一種です。正常な生理周期である25〜38日よりも短い場合を頻発月経といい、39日以上の場合を稀発月経と呼びます。頻発月経は初潮から間もないころや、閉経前の更年期によくみられる症状です。
頻発月経には、「無排卵性」と「排卵性」の2種類があります。無排卵性とは、排卵がないにもかかわらず生理が起きている状態のことで、少量の出血が長期間続くことが特徴です。
これに対して排卵性は、排卵がある頻発月経のことを指し、卵胞期または黄体期が短いことが原因となって起こります。
膣炎とは、膣内に起こる炎症のことです。もともと膣内に存在する常在菌の増殖や、ウイルス・細菌の感染が原因となって起こります。子どもから高齢者まで、幅広い年代の女性がかかる可能性のある病気です。
膣炎にはカンジダ腟炎や細菌性膣炎、トリコモナス腟炎、萎縮性腟炎(老人性膣炎)など、複数の種類があります。症状は膣炎の種類によって異なりますが、おりものの量や色、臭いなどに変化があらわれ、陰部に痛みやかゆみが起こることもあります。
子宮筋腫とは、子宮の壁の中に発生する良性の腫瘍のことです。子宮筋腫は悪性化・がん化することはないとされていますが、筋腫が大きくなると、生理のとき以外も下腹部に違和感や痛みがあったり、不正出血したりする場合があります。
子宮筋腫は、30歳以上の女性の約30%にみられる、決して珍しくない病気です。閉経後、女性ホルモンの分泌が減ると小さくなるとされていますが、筋腫が大きくなり症状が強く出る場合は、薬物療法や手術が必要になることもあります。
子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頚部に発生するがんのことです。子宮がんのうち約6~7割を子宮頸がんが占めます。子宮頸がんの発症は20代後半から増え始め、30~40代がピークです。
子宮頸がんは、早い段階であれば、子宮頚部の一部を切除する手術によって、妊娠・出産のチャンスを残す方法があります。しかし、発見が遅れると子宮や卵巣の摘出が必要になる恐れがあります。
子宮体がんとは、子宮体部に発生するがんのことです。子宮内膜から発生するため、子宮内膜がんとも呼ばれます。
子宮体がんの多くは、卵胞ホルモンと深い関わりがあり、卵胞ホルモンの分泌が多い人は子宮内膜増殖症を経て子宮体がんになるとされています。
一方で、卵胞ホルモンの作用とは関係なくがんが生じるケースもあります。この場合は閉経後に発症することが多く、不正出血はよくみられる症状の1つです。
排卵期には、排卵期出血以外にも、冷えやむくみ、身体のだるさ、腰痛などさまざまな症状があらわれることがあります。
むくみや冷えは、プロゲステロンの作用によって、体内に水分が溜まりやすい状態になることで起こります。むくみによって溜まった水分が身体を冷やし、冷えによってさらに身体がむくむという悪循環に陥りやすいでしょう。
身体のだるさも、プロゲステロンの働きによって起こると考えられます。プロゲステロンが分解されると、眠気を誘発する物質が発生するためです。また、排卵期のうち排卵日までは基礎体温が下がり血流が悪くなりやすいため、倦怠感が生じやすくなります。
排卵期における腰痛や腹痛は、排卵時に卵巣の表面がはがれたり卵胞が破れたりすることで起こると考えられます。痛みの有無や程度には個人差があり、なかには強く感じる人もいます。
月経トラブルを改善するには、ピルの服用がおすすめです。ピルとは、女性ホルモンのプロゲステロンとエストロゲンを配合した薬のことです。エストロゲンの配合量によって、超低用量ピル・低用量ピル・中用量ピルと名称が変わります。
ここでは、月経関連のトラブル改善を図れるピルの作用や効果、副作用について解説します。
ピルを服用するとホルモンバランスが整い、脳が「妊娠状態である」と錯覚することで、排卵を抑制できます。通常、脳下垂体から黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモンなどが分泌され、卵子の成長が促進されて排卵が起こります。しかし、ピルを服用すると脳下垂体からの卵巣への命令がストップします。
ピルの服用による排卵抑制によって、さまざまな効果が期待できます。主な効果は、以下のとおりです。
上記のような効果が期待できるため、生理痛がつらいと感じている方や生理前のイライラ・気分の落ち込みなどに悩んでいる方は、ピルの服用により生活の質を高められると考えられます。
ピルを服用すると生理痛の緩和や避妊などの効果を得られますが、副作用が出る場合があります。主な副作用は、以下のとおりです。
上記の副作用は「マイナートラブル」と呼ばれ、ピルの服用を開始して間もないころに起こりやすいでしょう。1~3ヶ月ほど服用を継続すると自然に消失しますが、副作用が長引いたり症状がひどかったりする場合は、早めに医師へ相談しましょう。ピルは同じ用量でも複数の種類があり、服用するピルの種類を変えることで、副作用がおさまる場合があります。
ピルを服用したい場合は、オンラインクリニックへの相談がおすすめです。婦人科のクリニックに足を運ぶ必要がなく、スマートフォンやパソコンを使って自宅で医師の診察を受けられます。オンライン診療であれば基本的に予約時間になると診察が始まり、通院時間もかからないため、空いた時間を有効活用できるでしょう。
生理にまつわる悩みがあり、医師に相談したいものの病院に行くことにためらいがある方は、ぜひオンライン診療の活用を検討してみてください。
排卵期出血のメカニズムはわかっていませんが、女性ホルモンのエストロゲンの影響によって子宮内膜の一部がはがれることや、卵胞が破れる際に生じる出血が原因ではないかといわれています。
排卵期は、女性ホルモンのバランスの変化により、排卵期出血以外に冷えやむくみ、身体のだるさ、腰痛などさまざまな症状があらわれることがあります。排卵期や月経前、生理中に生じる不快症状に悩んでいる方は、ピルの服用を検討してみてください。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察を受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご検討ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました