更新日:2025年08月04日
排卵日の一週間前の妊娠率の高さについて、知りたい方もいるでしょう。排卵日の一週間前は妊娠しやすい時期で、とくに排卵日の2日前は妊娠確率が高いとされています。
この記事では、排卵日一週間前の妊娠のしやすさや、排卵日前後に起こりやすい症状などを解説します。排卵日を予測する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
排卵日とは、成熟した1つの卵子が卵巣から放出される日のことです。前の月経と次の月経のちょうど中間の時期にあたり、排卵された卵子は卵管を通ってゆっくり子宮に向かいます。
放出された卵子が卵管内で精子と出会い受精すると「受精卵」となり、受精卵になって約12日後に子宮内膜に着床すると、妊娠が成立します。
排卵日の一週間前は妊娠しやすい時期のため、妊娠を希望している方はこの期間を意識しておくことが大切です。一週間前のうち、特に排卵日の2日前は妊娠確率が高いとされています。
排卵後の卵子の寿命は約24時間で、精子の寿命は約72時間です。排卵前に性交渉し、精子が卵管内で待つ状態にすることで、排卵後の卵子と出会える可能性が高まります。
精子と卵子が受精し子宮内膜に着床すると、妊娠が成立します。着床しなかった場合は子宮内膜がはがれ落ち、血液と一緒に体外に排出されて月経が起こる仕組みです。
月経がスタートしてから次の月経が始まるまでの期間を生理周期(月経周期)と呼び、個人差はありますが1ヵ月程度のサイクルで繰り返されます。
生理周期は次のように4つに分けられ、時期によって身体に起こる変化が異なります。
それぞれの時期について解説します。
月経期とは、生理が始まってから終わるまでの期間のことです。生理期間中や生理が終わった直後は、受精卵の着床に欠かせない子宮内膜は排出されており、妊娠に欠かせない黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌も少ないため、月経周期の中では妊娠しにくいタイミングでしょう。
卵胞期とは、卵巣内で卵子の元となる原始卵胞が成長を始める時期のことです。卵胞ホルモンの分泌量が増え、子宮内膜が少しずつ厚くなります。卵胞期は、月経周期の中で心身の調子が良い期間でしょう。排卵日の一週間前は、卵胞期に該当します。
排卵期は、卵胞期の間に育った卵子が卵管に飛び出していく時期です。卵胞ホルモンの分泌量がピークとなり、排卵が終わると黄体ホルモンの分泌が増えます。
排卵期は、女性ホルモンの分泌量が大きく変わることにより、心身の不調を感じやすいことが特徴です。人によっては、排卵時に下腹部の痛みを感じることもあるでしょう。
黄体期は、排卵後の卵胞が黄体という組織に変わり、黄体ホルモンが多く分泌される時期です。妊娠に向けて子宮内膜が厚みを増してふかふかのベッドのような状態となり、着床しやすい環境を作ります。
受精卵を守るために栄養素や水分が体内に溜め込まれるため、身体がむくみやすい傾向があります。女性ホルモンの変動によって頭痛や眠気、気分の落ち込みなどの心身の不調を感じやすい時期です。
排卵日前後に起きやすい主な症状は、以下のとおりです。
それぞれの症状を見ていきましょう。
排卵期出血は、卵胞ホルモンの分泌量の低下によって起こるとされています。前の月経と次の月経の中間のタイミングで起こるため、中間期出血とも呼ばれます。排卵期出血があるのは短期間で、出血量は少ないことがほとんどです。排卵期出血は病気ではないため、大量の出血がある場合以外は治療する必要はありません。
過度な出血がある場合は、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどに起因している可能性があります。出血量が多いときや出血が長期間続くときは、早めに受診したほうがよいでしょう。
排卵前後は、下腹部や腰に針の先でチクチクと突かれているような、月経痛に似た排卵痛を感じる場合もあります。排卵時に卵子が卵巣を突き破って外に出る際に、卵巣が少し傷つくことが原因です。
排卵日前後は、おりものが変化しやすい時期です。排卵期に入ると、精子を迎え入れて受精しやすくなるように、月経周期の中で最もおりものの量が多くなります。透明でとろみのあるゼリー状に変化するのも、排卵期のおりものの特徴です。排卵期出血の血と交じり、おりものがピンク色や茶褐色になることもあります。
ただし、おりものの量には個人差があるため、量が多い場合に必ずしも排卵期であるとは限りません。
排卵日前後で、だるさや眠気を感じる場合もあります。排卵日を過ぎると分泌量が増加する黄体ホルモンは、分解されると眠気を誘発する物質が発生するためです。また、排卵は基礎体温が低温から高温に変化する際に起こり、排卵後は基礎体温が上昇することから、倦怠感や眠気を感じるケースもあります。
日常生活に支障をきたすほどの眠気が生じる場合は、クリニックに相談すると良いでしょう。低用量ピルを服用すると女性ホルモンの変動が少なくなり、眠気が改善する可能性があります。
排卵日前後になると、イライラしたり気分が落ち込んだりすることもあります。排卵日前後は、ホルモンバランスが乱れやすくなるためです。
ホルモンバランスを整えるには、質の良い睡眠やバランスのとれた食事、適度な運動を心掛けることが大切です。イライラや落ち込みを感じたときは、ゆっくり入浴したりハーブティーを飲んだりしてリラックスすることがおすすめです。
めまいや頭痛などの症状も、排卵日前後に起こりやすいでしょう。排卵日を過ぎると卵胞ホルモンが急激に低下するため、血流障害が起こりやすくなってめまいが生じると考えられています。
また、卵胞ホルモンの低下に伴い脳内物質のセロトニンも減少し、脳内の血管が拡張して頭痛が引き起こされると考えられています。頭痛に悩まされている場合は、鎮痛剤を服用して痛みを緩和するのも一つの方法です。
排卵期にめまいや頭痛の症状が見られる場合、悪化させる恐れがあるアルコールの摂取は避けたほうが良いでしょう。
排卵日前後は、身体が妊娠に適した状態に変化する時期です。その際に黄体ホルモンの影響を受け、乳腺の血管が拡張して胸が張ることがあります。
排卵後に分泌量が増える黄体ホルモンは、乳腺の発達を促進するほか、体内に水分を蓄える働きもあるため、それにより胸の張りや痛みを感じやすくなります。
便秘や肌あれの症状も、排卵日前後に見られる症状の1つです。排卵後は黄体ホルモンが活発に分泌され、受精卵が着床しやすくなるように子宮内膜を柔らかくします。黄体ホルモンには、腸内の水分を吸収したり子宮や腸内のぜん動運動を抑制したりする作用があるため、便意を感じにくくなります。
また、排卵後から月経直前までは、黄体ホルモンの作用により皮脂の分泌が増えることから、毛穴の詰まりや肌あれが起きやすくなるでしょう。
排卵日を予測する方法には、以下の4つが挙げられます。
それぞれの方法について確認しましょう。
基礎体温を測定し、排卵日を予測する方法です。基礎体温とは、生活における行動の影響をまったく受けていない、生きるうえで最低限必要なエネルギーを使っている状態の体温のことです。
通常、女性には低温期と高温期があります。排卵は低温期においてもっとも基礎体温が落ちた後、高温期に移行する3日程度の間に起こるため、基礎体温の記録をもとに排卵のタイミングを予測することが可能です。
基礎体温は、起床後にカーテンを開けたりトイレに行ったりするなど、些細な行動でも変動します。そのため、身体を動かさずにすぐ測定できるよう、枕元に基礎体温計を置いておくのがおすすめです。目覚めたらすぐ、寝たままの状態で基礎体温計を舌の裏側に入れて計測します。
基礎体温の記録を数ヵ月程度続け、低温期から高温期に移るタイミングを正しく把握できるようにしましょう。
オギノ式は、月経予定日から14日後に排卵が起こるという考えにもとづき、妊娠しやすい日を計算する方法です。月経周期の日数から14を引いた数を、月経が始まってから排卵するまでの期間と考えます。
オギノ式を用いた計算は、次のように行いましょう。
たとえば、月経周期が27日の場合は「27-14=13」で、月経開始日から13日後に排卵が起こると推測できます。13日目の前後数日を含めた期間に性交渉を行うと、妊娠の可能性が高いという考え方です。
排卵日を予測する方法として、おりものの形状の確認も挙げられます。おりものの分泌量や形状は、月経周期によって変化するためです。
個人差はありますが、普段のおりものはサラッとしています。しかし、排卵日が近づくと卵胞ホルモンの働きによって量が増え、透明で卵の白身のように粘り気のある形状へ変化するのが特徴です。普段よりも明らかに粘り気があるときは、排卵日が近いと予測できます。
排卵日予測検査薬を使い、尿内の黄体形成ホルモン(LH)の濃度を調べることで、排卵日を予測できます。黄体形成ホルモンは、排卵の36~48時間前に脳から分泌されます。次の月経開始予定日の17日ほど前から毎日検査することで、排卵日を推測することが可能です。
排卵日予測検査薬はドラッグストアや薬局などで購入でき、スティックに尿をかけるだけで検査できることから、手軽に実践できる点がメリットです。
排卵日を予測する方法として、基礎体温法やオギノ式での計算、排卵日予測検査薬の使用などが挙げられます。ただし、これらはあくまで予測する方法であり、生活習慣の変化やストレスなどにより排卵日がずれることもあるため、妊娠しやすい日を確認したい場合は、クリニックに相談することをおすすめします。
生理周期や排卵日について医師に相談したいものの、忙しくて病院に行く時間がとれない場合は、オンライン診療サービスの利用を検討しましょう。病院に出かける手間や時間がかからないほか、予約時間になると診察が始まるため、基本的に待ち時間がない点が魅力です。
排卵日とは、成熟した1つの卵子が卵巣から放出される日を指します。排卵日の一週間前は比較的妊娠しやすい時期で、とくに排卵日の2日前は妊娠しやすいタイミングです。
一方、生理期間中と生理が終わった直後は、受精卵が着床するのに必要な子宮内膜が排出されており、妊娠に欠かせない黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量も低下しているため、妊娠する確率は低いでしょう。
妊娠を希望する場合、排卵日を意識することが大切です。排卵日を予測する方法としては、基礎体温法やオギノ式での計算、おりものの形状の確認、排卵日予測検査薬の使用などが挙げられます。
ただし、これらの方法はあくまで予測する方法のため、自分の予測に自信を持てない場合は、クリニックで相談するとよいでしょう。また、眠気やだるさなどの排卵期の症状がひどく、日常生活に支障をきたすような場合も、医療機関に足を運んだりオンライン診療を活用したりして医師に相談することをおすすめします。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました