更新日:2025年08月04日
「生理前になるとおならがよく出て困る」「排卵期になるとおならが増え、我慢するのがつらい」という方もいるかもしれません。黄体ホルモンの影響によって、排卵期から生理前にかけてはおならが出やすくなります。
本記事では、排卵期から生理前にかけておならが出やすくなる・臭くなる理由を解説します。おならの増加を防ぐための方法も紹介するため、ぜひ生活に取り入れてみてください。おならの増加と病気・妊娠との関連性も理解し、不安を解消しましょう。
排卵期・生理前におならが増える・臭くなるのは、女性ホルモンの1つである黄体ホルモンの影響です。黄体ホルモンの働きによって便秘になりやすく、腸内にガスが溜まっておならが出やすくなります。
生理が始まると、黄体ホルモンの分泌量は減少します。生理が始まると便が出やすくなるのも、黄体ホルモンの影響です。
以下では、排卵期から生理前にかけて、黄体ホルモンが身体にどのような影響を及ぼしているのかをみていきましょう。
黄体ホルモンが分泌されると、妊娠に備えて身体が水分を蓄えます。通常は便に含まれる水分も、この時期には小腸や大腸での吸収が強まるため、水分の少ない硬い便になります。
便が硬くなると排便されにくくなり、便とともに排出されるガスも腸内に溜まりやすくなるため、おならとして体外に排出されます。
便秘になりやすくなって腸内環境が悪化することも、おならがよく出る原因の1つです。便秘になって便が腸内に長くとどまると、悪玉菌が増殖してアンモニアやスカトールなどが発生し、においの強いガスを出します。その結果、おならのにおいが通常よりも強くなる場合があるでしょう。
黄体ホルモンの働きによって大腸のぜん動運動が抑制されることも、おならがよく出る原因です。大腸のぜん動運動が抑制されると、便を送り出す働きが弱まるため、水分の少ない硬い便は余計に排出されにくくなります。排卵から生理前にかけておならが出やすくなるのは、このことも影響しています。
病気の症状の1つとして、おならが出やすくなったりお腹が張ったりする場合があります。しかし、それが必ずしも病気によるものとは限りません。
おならは、食事とともに空気を体内に取り込むことで発生します。食生活の乱れや睡眠不足などによって腸内環境が悪化すると、おならが増えたりにおいが強くなったりします。こうしたことから、病気にかかっていなくてもおならが増えることはあるでしょう。
なお、おならの増加やお腹の張りがみられる婦人科系の主な病気には、子宮筋腫があります。症状が進むと子宮や筋腫が大きくなり腸を圧迫するため、おならが出やすくなったりお腹の張りを感じたりします。このほか、子宮内膜症や子宮腺筋症などもお腹の張りが表れる病気です。
子宮筋腫や子宮内膜症などの病気では、過多月経や強い腹痛など他の症状も表れます。おならの増加のほかに気になる症状がある場合は、受診しておくと安心です。
妊娠するとおならが増えたり、においが強まったりすることがあります。妊娠すると、黄体ホルモンが分泌され続けるためです。ただし、おならがよく出たりにおいが強くなったりしても、必ずしも妊娠しているとは限りません。
妊娠初期には、眠気や吐き気、乳房の張りなど、おなら以外の変化も表れます。これらの症状があり妊娠の可能性がある場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。
排卵期・生理前のおならに悩む場合は、マッサージや腹式呼吸を試してみましょう。バランスのよい食事やこまめな水分補給を心掛けることで、おならそのものを減らす方法もあります。適度に身体を動かしたり、便秘薬を服用したりすることも有効です。以下では、排卵期のおなら対策についてみていきましょう。
マッサージによって大腸を刺激することで、腸内にたまっている便やガスの排出を促せます。
お腹に両手を当てて少し圧をかけ、おへそからスタートして時計回りにさすります。正面から見て「の」の字を書くようにマッサージしましょう。
強く押しすぎず、気持ちいいと感じる程度の強さでゆっくり行うことがポイントです。
腹式呼吸によって腸を刺激することで、ガスの排出を促せます。
腸の働きは副交感神経が優位のときに促進されます。リラックス効果のある腹式呼吸によって、副交感神経の活性化を促せるでしょう。
腹式呼吸では、鼻から息を吸い込み、口からゆっくりと吐き出します。腹式呼吸の際は胸が膨らんだり肩が上がったりしないよう気を付け、おへその下あたりが膨らむようなイメージで行うことがポイントです。
おならの増加を防止するためには、バランスのよい食事を心がけましょう。そのうえで、以下の食品を意識してとると、腸内環境を整える効果が期待できます。
生理前のむくみが気になる方は、カリウムを含む海藻や芋類、ドライフルーツなどもおすすめです。
排卵期のおならのにおいが気になる場合は、おならのにおいを強くするニンニク・ニラなどの香味野菜は控えましょう。また、ステーキやから揚げなど、高たんぱく・高カロリーな料理は消化しにくいため、腸内環境が悪化しやすくなります。排卵期から生理前にかけては食欲が増す方もいるかもしれませんが、おならの増加や強いにおいを防ぐには食べ過ぎないよう注意が必要です。
なお、早食いは飲み込む空気の量が増えるほか、消化不良を招いておならの増加につながります。早食いは避けて、よく噛んで食べることも大切です。
排卵期のおならを減らすためには、こまめな水分補給も大切です。おならの原因になる便秘は、黄体ホルモンの影響により腸の水分吸収が強くなり、便が固くなることで起こります。十分に水分補給することで、便が固くなることを防げるでしょう。
水分は一度に多くの量をとっても身体が吸収しきれないため、少しずつこまめに摂ることが大切です。1日2リットルを目安に補給しましょう。
運動することで血行がよくなり、腸の動きも活発になるため、排便を促しておならの増加を防止できます。
排卵期のおなら対策のために運動する際、激しい運動をする必要はありません。歩く距離を増やす、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うなど、少しの運動でも効果が期待できます。
適度な運動はストレス解消にもつながるため、生理前のイライラを緩和する方法としても有効です。
便秘がつらいときは、薬を服用することも方法の1つです。便秘薬には、主に以下の3種類があります。
さまざまな便秘薬が市販されているため、薬の効き方や副作用などを比較して自分に合ったものを選びましょう。
おならを含む排卵期から生理前にかけての不快な症状を和らげるためには、低用量ピルの服用も一つの方法です。
低用量ピルとは、女性ホルモンの黄体ホルモンと卵胞ホルモンを含む薬です。低用量ピルには、主に避妊目的のものと、過多月経や生理痛の治療を目的としたものがあります。
通常、女性ホルモンは脳下垂体が卵巣に指示を出すことによって分泌されます。低用量ピルを服用することで、脳下垂体は「女性ホルモンが十分に分泌されている」と判断するため、女性ホルモンを分泌する指示を出しません。その結果、排卵が抑制され、女性ホルモンの分泌も減少します。
低用量ピルによって女性ホルモンが一定に保たれれば、黄体ホルモンの変動によるおならや便秘などの不快な症状を和らげられるでしょう。
排卵期や生理前におならが増えたり臭くなったりするのは、女性ホルモンの1つである黄体ホルモンの影響です。黄体ホルモンによって身体に水分が蓄えられ、大腸のぜん動運動が抑制されることで、便秘になりやすくなります。便秘になると、排便とともに排出されるはずのガスが行き場を失い、おならとして出てくるのです。
排卵期のおならや便秘に悩んでいるときは、マッサージや腹式呼吸、軽い運動をすることで便やガスの排出を促せます。おならの増加や強いにおいを防ぐには、食生活の改善やこまめな水分補給も大切です。便秘がつらい場合は、便秘薬を服用するのもよいでしょう。
排卵期から生理前にかけてのつらい症状を軽減するためには、低用量ピルの服用も有効です。女性ホルモンが一定に保たれるため、排卵期や生理前の女性ホルモンの変動によるおならや便秘の症状軽減に役立ちます。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました