更新日:2025年08月04日
生理中は、下腹部痛や腰痛、眠気、吐き気などさまざまな不快症状に悩まされる方も多いでしょう。症状によっては、日常生活に支障が出る方もいるかもしれません。
この記事では、生理中に見られる代表的な9つの症状と原因、症状を抑える対処法を解説します。あわせて、生理中の症状が酷いときに考えられる3つの病気と、病院を受診する目安を紹介します。生理中の不快な症状に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
生理中に見られる代表的な症状には、以下の9種類が挙げられます。
ここでは、それぞれの症状と原因を見ていきましょう。
生理中の症状の一つである下腹部痛(生理痛)は、プロスタグランジンが原因となって引き起こされます。プロスタグランジンは、不要になった子宮内膜を体外に排出するために不可欠な物質です。
しかし、過剰に分泌されると子宮の収縮が強まり、強い下腹部痛を引き起こします。特に、冷えによる血行不良でプロスタグランジンが骨盤内で滞ると、下腹部痛の悪化につながるおそれがあるでしょう。
腰痛も生理中の不快症状の1つで、下腹部痛と同様にプロスタグランジンの過剰分泌によって引き起こされます。「生理痛」と聞くと下腹部痛を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、腰痛も生理痛に含まれます。
また、生理中は経血をスムーズに体外に排出するため、骨盤が開きます。骨盤が開くと骨盤まわりが不安定になり、骨盤を支える筋肉に負担がかかるため腰痛を引き起こすのです。
また、生理中はホルモンバランスが乱れることで、血流が悪化しやすくなります。骨盤周辺の血流悪化は、腰の痛みやだるさを引き起こす原因の1つです。
頭痛も、生理中に見られる不快症状です。頭痛は主に、女性ホルモンのエストロゲンの減少によって引き起こされます。
エストロゲンの減少により、血管収縮作用を持つセロトニンの分泌量が減少することで、脳の血管が拡張して頭痛が起こるとされています。
そのほか、プロスタグランジンには痛みを増強する作用や血管を収縮させる作用があり、過剰に分泌されると、頭痛が起こるケースもあります。
強い眠気も、生理中に起こりやすい症状です。
生理前は、体温を上昇させる作用があるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んになります。プロゲステロンが増えると夜間も体温の高い状態が続き、眠りの質が落ちたり睡眠のリズムが乱れたりするでしょう。
夜間に質の高い睡眠をとれないと日中の強い眠気につながり、生理開始直後まで眠気が生じやすくなります。
吐き気や下痢も生理中の症状として挙げられ、生理中に分泌されるプロスタグランジンが原因です。
プロスタグランジンは、子宮だけでなく胃や腸も収縮させる作用があります。プロスタグランジンの過剰産生により胃や腸が刺激されると、吐き気や下痢を引き起こすことがあるでしょう。
体が冷えて血行が悪化するとプロスタグランジンの分泌量が増加するため、吐き気や下痢の症状が悪化するおそれがあります。
貧血も、生理中に起こりやすい症状です。生理中に貧血が起こる理由には、本来であれば脳や全身をめぐるはずの血液が、子宮に集中することが挙げられます。
また、生理により体内の血液量が減ることも、貧血の原因です。貧血により体内のヘモグロビンの量が減ると、身体全体の酸素が不足してめまいや動悸、耳鳴りの症状を引き起こすことがあります。
むくみも、生理中によく見られる症状として挙げられます。生理中のむくみを引き起こす主な原因は、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れです。排卵後から数日間はプロゲステロンとエストロゲンの分泌量が増加しますが、その後は生理開始に向けて急激に減少するため、自律神経が乱れてむくみが起こりやすくなります。
また、生理中の血流悪化や睡眠不足、運動不足もむくみの原因となります。身体がむくむことで生理中に体重が増える方もいますが、生理が終わりむくみが取れると元に戻ることが一般的です。
生理中は肌荒れの症状が出る場合もあります。その原因の一つは、エストロゲンの分泌量の減少です。エストロゲンには肌の状態を整える作用がありますが、生理中は分泌量が少ないため、肌荒れが起こりやすくなります。
生理中は身体の不調だけでなく、イライラや気分の落ち込みといった精神面の症状が出ることもあります。生理中に感情のコントロールが難しくなる原因は、エストロゲンの分泌量の減少です。
エストロゲンの分泌が減ると、セロトニンの分泌の減少につながります。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、気持ちを安定させる働きがある物質です。セロトニンが減ることで、イライラしやすくなったり、ネガティブ思考になったりします。
生理中に見られるさまざまな症状は、生活の質の低下につながるおそれがあります。生理中もできる限り快適に過ごすために、症状の改善が期待できる対処法を知っておきましょう。
ここでは、生理中の症状を和らげる以下の6つの対処法について解説します。
内容をしっかりと確認し、取り入れやすいものから実践しましょう。
偏った食事は、ホルモンバランスの乱れを招いて生理中の不快症状を悪化させるおそれがあります。生理中の症状を軽くするために、主食・主菜・副菜がそろったバランスの良い食事を心掛けましょう。
なお、生理中にイライラの症状がある場合、血糖値の急激な上昇を招く甘い飲み物やお菓子などを控えることが大切です。
生理中の症状を緩和させるには、無理のない範囲で身体を動かすことも大切です。軽い運動には、以下のような効果が期待できます。
身体を動かすときのポイントは、簡単な運動で体を温め、代謝をアップさせることです。運動習慣がない方は、まずはストレッチやウォーキングなどからスタートしましょう。
アルコールやカフェインを控えることも、生理中の症状の軽減に有効です。
生理中は、眠気やストレスが増加することから、アルコールやカフェインの摂取量が増える方もいるかもしれません。しかし、アルコールやカフェインの過剰摂取は、症状の悪化につながるといわれています。
生理中にストレスや眠気を感じている場合は、リフレッシュできる時間を作ったり軽い運動をしたりするなど、他の対処法をとりましょう。
強いストレスを感じていると、自律神経の乱れを招いて生理中の症状が悪化するといわれています。そのため、生理中は無理をせず安静にし、ストレスの軽減に努めることが大切です。
ストレスを軽減する方法の具体例を、以下で確認しましょう。
ストレスを軽減する方法は、人によって異なります。生理中の症状を和らげるために、自分に合う方法を考えてみてください。
セルフケアを行っても生理中の症状が改善しない場合は、薬の服用も選択肢です。
たとえば、頭痛がつらいときは、鎮痛剤を服用しましょう。そのほか、胃腸の調子が悪いときは胃腸薬の服用が選択肢となります。
なお、薬による生理中の症状改善は市販薬でも可能ですが、症状が酷いときは医師の診察を受けましょう。医師に相談し、症状に合う薬の処方を受けることで、より効果的に治療できると考えられます。
しかし、中には忙しくて病院に行くのが難しい、体調が悪く病院に行くのがつらいという方もいるでしょう。そのようなときは、場所や時間にとらわれず電話やビデオチャットで医師の診察を受けられるオンライン診療が便利です。
生理中のつらい症状に悩んでいる方は、ぜひオンライン診療の利用を検討しましょう。
生理中の症状を軽減したい場合は、低用量ピルの服用も有効です。エストロゲンとプロゲステロンを主成分とする低用量ピルを服用することで、ホルモンバランスを整えられ、女性ホルモンの変動による生理痛や頭痛、肌荒れなどの生理中の症状軽減を図れます。
生理中の症状がつらいときは、子宮の病気が隠れている可能性もあります。ここでは、生理痛などの症状が酷いときに考えられる3つの病気を解説します。生理中の症状に不安がある方は、受診を考える際の参考にしてみてください。
子宮内膜症は、子宮以外の場所に子宮内膜によく似た組織ができる病気のことです。20~40代の女性に発症しやすいとされています。
主な症状は、強い生理痛です。そのほか、性交痛や排便痛、生理中以外の下腹部痛や腰痛といった症状が出ることがあります。不妊の原因になることもあるため、子宮内膜症の症状がある方は速やかに病院を受診しましょう。
子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のことです。一般的に、30代以上に多い病気とされています。
主な症状は、過多月経や強い生理痛です。貧血や性交痛のほか、筋腫ができた場所や大きさによっては排尿障害や便秘を引き起こすこともあります。
子宮筋腫は不妊や早産、流産の原因になることもあります。子宮筋腫の症状がある場合も、早めに医師に相談しましょう。
子宮腺筋症は、子宮筋層に子宮内膜に似た組織ができる病気です。一般的に、40代以上の女性が発症しやすいとされています。
子宮腺筋症では、月経時に排出される子宮内膜の量が増えます。これにより、強い生理痛や過多月経が起こるのが特徴です。また、貧血や腰痛、性交痛などの症状が出るケースもあります。
病気の進行とともに生理痛が酷くなる特徴があるため、生理痛が年々酷くなっている方は、病院を受診しましょう。
生理中の症状で病院を受診する目安は、以下のとおりです。
生理中の症状によって普段の生活を送ることが難しいときや不安を感じたときは、病院で受診したほうがよいでしょう。下腹部痛が強い場合や生理の度に貧血の症状が出ている場合は病気の可能性もあるため、不安を感じたら速やかに医師に相談することが大切です。
仕事が忙しい、子どもが小さいなどの理由で病院に行くことが難しい方は、場所や時間にとらわれず、電話やビデオチャットで医師の診察を受けられるオンライン診療が便利です。生理中の症状に悩んでいる方は、ぜひオンライン診療での相談を検討しましょう。
生理中の症状には、下腹部痛のほかにも腰痛や頭痛、眠気などさまざまなものがあります。また、イライラや気分の落ち込みといったメンタルの不調を感じる方もいるでしょう。
生理中の不調がつらいと感じるときは、バランスの良い食事や軽い運動といったセルフケアで症状の改善を目指しましょう。セルフケアで改善が見られないときは、症状に合わせた薬の服用や低用量ピルの服用も有効です。
オンライン診療サービスを提供するレバクリでは、低用量ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれず、ビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。生理中の不快な症状に悩んでいる方や、低用量ピルを服用したい方は、ぜひ利用をご検討ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました