更新日:2025年08月04日
生理中の症状に吐き気や眠気はある?原因や対処法、受診の目安を解説
この記事のまとめ
- 生理中は生理痛のほか眠気や吐き気、イライラなどさまざまな症状が現れる
- 生理中の不快症状の対処法には、生活習慣の見直しやストレスの軽減、薬の服用が挙げられる
- 生理中の症状が酷いときは病気が原因の場合もある
- 生理中の症状がつらく日常生活に支障が出ているときは、速やかに病院を受診する
生理中は、下腹部痛や腰痛、眠気、吐き気などさまざまな不快症状に悩まされる方も多いでしょう。症状によっては、日常生活に支障が出る方もいるかもしれません。
この記事では、生理中に見られる代表的な9つの症状と原因、症状を抑える対処法を解説します。あわせて、生理中の症状が酷いときに考えられる3つの病気と、病院を受診する目安を紹介します。生理中の不快な症状に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
生理中に見られる9つの症状と原因
生理中に見られる代表的な症状には、以下の9種類が挙げられます。
- 下腹部痛
- 腰痛
- 頭痛
- 眠気
- 吐き気や下痢
- 貧血
- むくみ
- 肌荒れ
- イライラや気分の落ち込み
ここでは、それぞれの症状と原因を見ていきましょう。
1.下腹部痛
生理中の症状の一つである下腹部痛(生理痛)は、プロスタグランジンが原因となって引き起こされます。プロスタグランジンは、不要になった子宮内膜を体外に排出するために不可欠な物質です。
しかし、過剰に分泌されると子宮の収縮が強まり、強い下腹部痛を引き起こします。特に、冷えによる血行不良でプロスタグランジンが骨盤内で滞ると、下腹部痛の悪化につながるおそれがあるでしょう。
2.腰痛
腰痛も生理中の不快症状の1つで、下腹部痛と同様にプロスタグランジンの過剰分泌によって引き起こされます。「生理痛」と聞くと下腹部痛を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、腰痛も生理痛に含まれます。
また、生理中は経血をスムーズに体外に排出するため、骨盤が開きます。骨盤が開くと骨盤まわりが不安定になり、骨盤を支える筋肉に負担がかかるため腰痛を引き起こすのです。
また、生理中はホルモンバランスが乱れることで、血流が悪化しやすくなります。骨盤周辺の血流悪化は、腰の痛みやだるさを引き起こす原因の1つです。
3.頭痛
頭痛も、生理中に見られる不快症状です。頭痛は主に、女性ホルモンのエストロゲンの減少によって引き起こされます。
エストロゲンの減少により、血管収縮作用を持つセロトニンの分泌量が減少することで、脳の血管が拡張して頭痛が起こるとされています。
そのほか、プロスタグランジンには痛みを増強する作用や血管を収縮させる作用があり、過剰に分泌されると、頭痛が起こるケースもあります。
4.眠気
強い眠気も、生理中に起こりやすい症状です。
生理前は、体温を上昇させる作用があるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んになります。プロゲステロンが増えると夜間も体温の高い状態が続き、眠りの質が落ちたり睡眠のリズムが乱れたりするでしょう。
夜間に質の高い睡眠をとれないと日中の強い眠気につながり、生理開始直後まで眠気が生じやすくなります。
5.吐き気や下痢
吐き気や下痢も生理中の症状として挙げられ、生理中に分泌されるプロスタグランジンが原因です。
プロスタグランジンは、子宮だけでなく胃や腸も収縮させる作用があります。プロスタグランジンの過剰産生により胃や腸が刺激されると、吐き気や下痢を引き起こすことがあるでしょう。
体が冷えて血行が悪化するとプロスタグランジンの分泌量が増加するため、吐き気や下痢の症状が悪化するおそれがあります。
6.貧血
貧血も、生理中に起こりやすい症状です。生理中に貧血が起こる理由には、本来であれば脳や全身をめぐるはずの血液が、子宮に集中することが挙げられます。
また、生理により体内の血液量が減ることも、貧血の原因です。貧血により体内のヘモグロビンの量が減ると、身体全体の酸素が不足してめまいや動悸、耳鳴りの症状を引き起こすことがあります。
7.むくみ
むくみも、生理中によく見られる症状として挙げられます。生理中のむくみを引き起こす主な原因は、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れです。排卵後から数日間はプロゲステロンとエストロゲンの分泌量が増加しますが、その後は生理開始に向けて急激に減少するため、自律神経が乱れてむくみが起こりやすくなります。
また、生理中の血流悪化や睡眠不足、運動不足もむくみの原因となります。身体がむくむことで生理中に体重が増える方もいますが、生理が終わりむくみが取れると元に戻ることが一般的です。
8.肌荒れ
生理中は肌荒れの症状が出る場合もあります。その原因の一つは、エストロゲンの分泌量の減少です。エストロゲンには肌の状態を整える作用がありますが、生理中は分泌量が少ないため、肌荒れが起こりやすくなります。
9.イライラや気分の落ち込み
生理中は身体の不調だけでなく、イライラや気分の落ち込みといった精神面の症状が出ることもあります。生理中に感情のコントロールが難しくなる原因は、エストロゲンの分泌量の減少です。
エストロゲンの分泌が減ると、セロトニンの分泌の減少につながります。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、気持ちを安定させる働きがある物質です。セロトニンが減ることで、イライラしやすくなったり、ネガティブ思考になったりします。
生理中の症状を和らげる対処法
生理中に見られるさまざまな症状は、生活の質の低下につながるおそれがあります。生理中もできる限り快適に過ごすために、症状の改善が期待できる対処法を知っておきましょう。
ここでは、生理中の症状を和らげる以下の6つの対処法について解説します。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました










