更新日:2025年08月04日
生理中に「体が重い」「ふらふらする」と感じ、「貧血なのでは?」と思うことがあるかもしれません。生理中にだるさやふらつきを感じる場合、原因として鉄欠乏性貧血や隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)、脳貧血(起立性低血圧症)が考えられます。
本記事では、生理と貧血の関連性を紹介するほか、鉄欠乏性貧血や隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)、脳貧血(起立性低血圧症)について解説します。生理中の貧血予防・解消のために積極的に摂りたい栄養素も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
生理中にだるさやふらつき、めまいなどの症状が表れる人は少なくありません。だるさやふらつきなどの症状は、鉄欠乏性貧血によって起こっている可能性があります。
生理中に鉄欠乏性貧血となる原因は、体内で酸素を運ぶヘモグロビンが不足して身体が酸欠状態となるためです。ヘモグロビンは血液のうち赤血球に含まれるもので、鉄やたんぱく質を主な材料としています。
生理中に経血が排出されることで体内の血液が減少すると、ヘモグロビンも減少します。そうすると、酸素が体全体に行き渡りません。
なお、起立性低血圧(脳貧血)によって、立ちくらみやふらつきが起こることもあります。生理中は体内の血液の量が減少し、血液は下腹部に集中しやすい状態です。そのため、脳に十分な血液が送られず、立ちくらみやふらつきにつながることがあります。
生理中のだるさやふらつきを引き起こすものには、以下の種類があります。
それぞれどのようなものか、以下でみていきましょう。
鉄欠乏性貧血は、体の中で鉄分が不足することで起こります。生理のある女性に多い貧血の種類です。
だるさやふらつきのほか、以下の症状が表れることもあります。
鉄欠乏性貧血の治療は、主に鉄剤の服用により行います。
隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)とは、体内の貯蔵鉄(フェリチン)が不足している状態のことです。鉄欠乏症貧血の前段階ともいわれています。主な症状には、だるさや疲労感、めまいなどが挙げられます。
貯蔵鉄とは、肝臓や脾臓、骨髄などに蓄えられている鉄で、血液中の鉄が不足したときのために蓄えられています。
貯蔵鉄の数値は、健康診断などで行う一般的な血液検査ではわかりません。隠れ貧血であるか知りたいときは、血液内科や内科などの医療機関を受診し、血液検査を受けましょう。
脳貧血(起立性低血圧)は、急に立ち上がったり長時間立ったりすることで、脳への血流が不足して起こります。
脳貧血の原因は低血圧や自律神経の乱れであり、必ずしも鉄分が不足しているとは限りません。とはいえ、生理中には血液量の減少や自律神経の乱れが起こりやすいため、脳貧血が起こることがあります。
主な症状は、立ちくらみやふらつき、目の前が暗くなることなどが挙げられます。場合によっては、一時的に意識を失い倒れてしまうこともあります。
女性が貧血になる大きな原因の1つが、月経過多です。生理によって経血が排出されることを考えると、想像しやすい原因でしょう。
しかし、病気によって貧血が引き起こされている場合もあります。以下では、女性の貧血の原因についてみていきましょう。
女性の貧血の原因として、経血の量が正常よりも多い「月経過多」が考えられます。
以下の項目に当てはまる場合は、月経過多の可能性があるでしょう。
経血量が多いと体内の鉄分が多く失われるため、鉄欠乏性貧血を引き起こしやすくなります。
貧血の原因となる月経過多には、以下のような婦人科系の病気が隠れている場合もあります。
上記の病気の代表的な症状には、月経過多のほかに激しい生理痛があります。鎮痛薬が効かない、痛みがひどく寝込んでしまう、生理痛が年々強くなっているという場合は、医療機関での受診をおすすめします。
消化器系の病気によって出血が起こり、貧血につながることもあります。貧血を引き起こす消化器系の病気として、以下の例が挙げられます。
消化器からの出血が便に混じることで、赤や黒の便が出ることがあります。こうした症状があるときは、消化器内科の医療機関を受診しましょう。がんに関しては、定期的に検診を受けることも大切です。
生理に伴う貧血を予防・解消するためには、栄養バランスのとれた食事をとりつつ、以下の栄養素を意識して摂ることが大切です。
それぞれの栄養素が体内でどのように働くのかについて、以下でみていきましょう。それぞれの栄養素を含む食材も紹介します。
鉄欠乏性貧血の原因である鉄分不足を予防・解消するために、日ごろから意識して鉄分を摂りましょう。
鉄分には、動物性の食品に含まれる「ヘム鉄」と植物性の食品に含まれる「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄の方が吸収率が高いとされています。
ヘム鉄が多く含まれる食品の例は以下の通りです。
非ヘム鉄が多く含まれる食品の例は以下の通りです。
生理による貧血を予防・解消するために、これらの食材を意識的に食事に取り入れてみましょう。
ビタミンCは、鉄分と一緒に摂ることで鉄分の吸収率を上げられます。鉄分を多く含む食材と組み合わせたメニューを食事にとり入れるほか、ビタミンCを多く含む果物をデザートとして食べることもおすすめです。
ビタミンCが多く含まれる食品の例は、以下のとおりです。
なお、食材に含まれるビタミンCは、水に溶けやすく熱に弱い性質があります。ビタミンCを含む食材を調理する場合は、電子レンジを活用する、小分けしてゆで時間を短くするなど調理方法を工夫するとよいでしょう。
生理による貧血を予防・解消するためには、ヘモグロビンの主成分となるタンパク質もしっかりと摂りましょう。タンパク質を多く含む食材として、以下の例が挙げられます。
タンパク質は、貧血の予防・解消だけでなく身体を作る材料であり、免疫機能を維持するためにも必要な栄養素です。日々を健康に過ごすためにも、タンパク質を意識して摂りましょう。
葉酸とビタミンB12は、ともに赤血球の生成をサポートします。
葉酸を多く含む食品は、以下のとおりです。
ビタミンB12を多く含む食品は、以下のとおりです。
葉酸とビタミンB12は連携して働くため、両方をバランスよく摂取しましょう。
生理の際に貧血の症状が出ており生活に支障をきたしているときは、早めに医療機関を受診しましょう。
鉄欠乏性貧血の治療法には、鉄剤の投与や食生活の改善、鉄欠乏性貧血の原因となる疾患の治療などがあります。鉄欠乏性貧血の原因が月経過多の場合、低用量ピルの服用が有効です。
低用量ピルには女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンが配合されており、服用することで子宮内膜が薄く保たれ、経血の量が減ります。低用量ピルの服用により生理痛の軽減も期待できるため、経血量や生理痛に関して悩んでいるときは、婦人科・産婦人科での相談を選択肢に入れましょう。
なお、低用量ピルを服用するには、医療機関を受診して処方を受ける必要があります。しかし、「病院に行く時間がない」「婦人科・産婦人科の病院に行くことに抵抗がある」という方もいるかもしれません。
こうした方には、オンライン診療をおすすめします。自宅にいながら医師の診察を受けられ、医療機関によっては処方された薬が自宅に届きます。生理にまつわる悩み改善し、健康を維持しながら快適に過ごすために、ぜひオンライン診療を検討してみましょう。
生理中にだるさやふらつきを感じる場合、鉄欠乏性貧血や隠れ貧血、脳貧血のいずれかである可能性があります。
鉄欠乏性貧血の原因の多くは月経過多といわれていますが、婦人科系の病気や消化器系の病気が潜んでいる場合もあるため、異変を感じたら早めに受診することが大切です。
生理中の貧血を予防・解消するには、日々の食事を見直してみましょう。鉄分やビタミンC、タンパク質などの栄養素を、食事の中でバランスよく摂ることをおすすめします。貧血を引き起こしている病気がある場合は、治療を行うことも重要です。
なお、鉄欠乏性貧血の原因となる月経過多は、低用量ピルを服用することで改善できる可能性があります。経血量を減らし、生理痛の軽減効果も期待できるため、経血量が多いことや強い生理痛に悩んでいる場合は、婦人科・産婦人科で相談してみましょう。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料のため、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました