更新日:2025年09月03日
「生理前・生理中のイライラがひどい」と悩んでいる方もいるかもしれません。生理前にイライラしやすい場合はPMS(月経前症候群)、生理中にイライラの症状が出る場合は月経困難症の可能性があります。
この記事では、生理前・生理中にイライラする原因や治療法などについて解説します。あわせて、イライラを抑えるための対処法も紹介するので、ぜひ参考に試してください。
生理前・生理中にイライラする原因として、ストレスやホルモンバランスの急激な変化が考えられます。ここではそれぞれの原因について見ていきましょう。
生理前・生理中にイライラする原因として考えられるのが、ストレスです。ストレスの原因としては、職場の人間関係や業務量の多さ、家事・育児などが挙げられます。
また、生理中の生理痛やデリケートゾーンのムレなどにストレスを感じるケースもあるでしょう。
生理に伴ってイライラする原因として、ホルモンバランスの急激な変化も挙げられます。女性ホルモンのバランスは生理周期の中で大きく変化しており、自分の意思とは無関係にイライラする場合があります。
生理前にイライラの症状が強く出る場合は、女性ホルモンの急激な変化によるPMS(月経前症候群)の可能性があるでしょう。PMS(月経前症候群)の原因や症状については、次項で紹介します。
生理前にイライラや不安などの精神的な症状が表れる場合、PMS(月経前症候群)の可能性があります。PMS(月経前症候群)とは、生理の3~10日ほど前から起こる身体的あるいは精神的症状のことです。
PMS(月経前症候群)の症状は、生理が始まると軽快するといわれています。
PMS(月経前症候群)の原因ははっきりとは分かっていませんが、女性ホルモンの急激な変化によるものだといわれています。
女性ホルモンとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のことです。生理周期に合わせて、それぞれが増減しながらバランスを保っています。
排卵後から生理開始までの時期(黄体期)は、エストロゲンよりもプロゲステロンが多く分泌され、身体的あるいは精神的な不調が起こりやすいのが特徴です。
PMS(月経前症候群)の症状について、見ていきましょう。代表的な症状としては、次のようなものがあります。
<身体的な症状>
<精神的症状>
PMS(月経前症候群)の症状は、人それぞれです。また、PMS(月経前症候群)の症状は200種類以上あるといわれており、同じ人でも月によって異なる症状が出ることもあります。
薬によらない治療法としては、食生活の改善やストレス解消、節酒・禁煙などが挙げられます。
薬物治療を行う場合は、低用量ピルや漢方薬の服用により症状を和らげる方法があります。また、PMS(月経前症候群)によって腹痛や頭痛の症状がある場合は、対症療法として鎮痛薬を服用する方法もあるでしょう。むくみがひどい場合には利尿薬で体内に水分が溜まらないようにするなど、症状に応じて治療します。
生理前にイライラや気分の落ち込み、怒り、不安、緊張などの精神的症状が強く出る場合、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。
PMDD(月経前不快気分障害)とは、PMS(月経前症候群)の中でも精神的症状が強く表れ、日常生活に支障をきたす状態のことです。イライラや怒りが強く表れて感情をコントロールできない、大きな不安感や緊張感に襲われて生活に支障をきたすといった場合は月経前不快気分障害(PMDD)の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
PMDD(月経前不快気分障害)の原因は解明されていませんが、ホルモンバランスや環境要因などが関係しているといわれています。
ホルモンバランスに関しては、生理前に増減するプロゲステロンが影響していると考えられています。
また、環境要因としては、妊娠・出産の経験の有無や仕事の有無、ストレスのほか、飲酒・喫煙などの生活習慣なども関係すると考えられています。
月経前不快気分障害(PMDD)の症状が出やすい人の特徴として、以下の例が挙げられます。
あくまで、症状が出やすいとされる人の一例です。上記に該当しても必ずしも症状が表れるわけではない点に注意しましょう。
月経前不快気分障害(PMDD)の一般的な治療法は、薬物療法です。そのほか、精神療法を行うこともあります。
月経前不快気分障害(PMDD)の薬物治療では、主に抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を用います。症状に応じて、継続的に服用する場合と生理前の約2週間のみ服用する場合があります。
また、症状の種類や程度によっては、漢方薬を用いた治療を行うこともあるでしょう。用いられる漢方薬としては、イライラ・興奮の抑制効果が期待できる抑肝散(よくかんさん)や精神不安の改善が期待できる加味帰脾湯(かみきひとう)などが挙げられます。
精神療法では、認知行動療法(CBT)やカウンセリングなどを通して、思考や行動のパターンを修正し、症状の改善を図ります。
生理中にイライラの症状が強く出る場合には、月経困難症の可能性があります。
月経困難症とは、生理に伴う下腹部痛や腰痛、吐き気、疲労感、イライラなどの症状により、日常生活に支障をきたす状態のことです。月経困難症には、病気が原因となって起こる「器質性月経困難症」と、原因となる疾患がない「機能性月経困難症」の2種類に分けられます。
月経困難症のうち、器質性月経困難症は、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などが原因で起こります。生理期間以外にも下腹部痛やお腹の張りなどの症状がある場合や、生理痛が年々ひどくなっている場合などは、特に注意しましょう。
機能性月経困難症は、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの過剰分泌や子宮口が狭いことなどが原因として挙げられます。プロスタグランジンは、過剰分泌されることで子宮が強く収縮するため、痛みなどの症状が引き起こされます。
機能性月経困難症は特に若い女性に多く、加齢や出産により改善する傾向があるのが特徴です。
月経困難症の症状の主な症状は、次のとおりです。
生理の度に下腹部の痛みやイライラの症状があっても、「いつもの症状だから」と我慢している人もいるかもしれません。月経困難症は治療により改善を図れるため、症状がつらい場合は医療機関の受診を検討しましょう。
月経困難症の治療法として、次の3つが挙げられます。
鎮痛薬を服用する場合、生理痛の原因となるプロスタグランジンの生成を非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で抑え、痛みを改善します。
月経困難症の治療で用いられることのある漢方薬は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などです。漢方薬は、体質や症状にあわせて種類を選びます。
また、低用量ピルの服用により子宮内膜の増殖を抑えることで、子宮の収縮運動を抑制して生理痛の緩和を図れます。
生理前・生理中のイライラを抑えるための対処法を5つ紹介します。
生理前・生理中にイライラしやすい場合、まずは、イライラしやすいタイミングや原因を考えてみましょう。イライラの原因がわかれば、それをできる限り避けたり意識的にリフレッシュを心掛けたりすることで、周囲の人に当たることやイライラの増幅を抑えられる可能性があります。
栄養バランスのとれた食事を心掛けつつ、イライラを抑える効果が期待できる食べ物を摂取することも有効です。例えば、小魚や乳製品に含まれるカルシウムを適切に摂取すると、脳の興奮を抑えられます。
また、イライラの対策としては、牡蠣・ナッツ類・大豆などに含まれるマグネシウムや、レバー・卵・チーズ・バナナなどに含まれるビタミンB6も意識して摂りたい栄養素です。
生理前・生理中のイライラを軽減するためには、生活習慣を見直すことも大切です。
十分な睡眠時間を確保する、適度に運動する、栄養バランスのよい食事をとる、適宜ストレスを発散するなど、できることから実践しましょう。
生理前・生理中のイライラを抑えるために、漢方薬を服用するのも一つの方法です。PMS(月経前症候群)や月経困難症の症状緩和が期待できる漢方薬の例は、次のとおりです。
なお、漢方薬は種類によって服用する期間の目安が異なるため、市販の漢方薬を飲む場合は服用前に確認しましょう。一定期間服用しても効果を感じづらい場合は体質に合っていない可能性もあるため、医療機関を受診して医師に処方してもらうのも一つの方法です。
低用量ピルを服用することで、女性ホルモンの急激な変動を抑えられ、生理前・生理中のイライラの抑制効果が期待できます。低用量ピルとは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを配合した薬のことです。
低用量ピルは、ドラッグストアや薬局では購入できません。服用したい場合は、産婦人科や婦人科で処方してもらう必要があります。
通院時間がとれない場合、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。オンライン診療であれば、通院時間を省けるだけでなく、周りの目を気にせずに医師の診察を受けることが可能です。
生理前にイライラしやすい場合、PMS(月経前症候群)の可能性があります。。PMS(月経前症候群)の中でも精神的症状が強く表れ、日常生活に支障をきたす場合には、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性があるでしょう。また、生理中にイライラしやすい場合は、月経困難症の可能性があります。
生理前・生理中のイライラを抑えるための対処法には、イライラの原因を探るほか、イライラを抑える効果が期待できる食べ物の摂取や漢方薬の服用などが挙げられます。
そのほか、低用量ピルの服用も有効です。ホルモンバランスを整えることで、女性ホルモンの変動によるイライラ・不安などの改善効果が期待できます。低用量ピルは、医療機関で受診することで処方してもらえます。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました