更新日:2025年09月03日
生理不順になると、「原因はなんだろう?」「受診の目安は?」と気になる方もいるでしょう。生理不順の原因として、ホルモンバランスの乱れや婦人科の病気などが考えられます。気になる症状があるときは、病院を受診することが大切です。
この記事では、生理不順の原因や症状、改善方法などを解説します。生理不順にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
生理不順の主な原因として、以下の5つが考えられます。
それぞれみていきましょう。
生理不順の原因として考えられるのは、ホルモンバランスの乱れです。
生理には、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンが関わっています。これらの女性ホルモンは、脳(視床下部・下垂体)や卵巣、子宮の連携によって分泌されており、いずれかにトラブルが生じるとホルモンバランスが乱れ、月経周期の乱れにつながります。
たとえば、過度な体重減少やストレスが視床下部に影響を与えた場合、ホルモンバランスの乱れを招きかねません。激しいスポーツや疲労なども、ホルモンバランスの乱れにつながることがあるとされています。
婦人科の病気が、生理不順の原因になっているケースもあります。
たとえば、「多のう胞性卵巣症候群(PCOS)」は、卵巣内の男性ホルモンの増加によって排卵しにくくなり、生理不順や無月経につながる病気です。卵巣腫瘍や、40歳未満で生理がこなくなる「早発卵巣不全(POI)」といった病気によって生理不順を自覚するケースもあります。
なかには、子宮筋腫などの病気が隠れており、「生理不順だと思っていたが、実際は不正出血(生理以外の性器出血)だった」という場合もあります。不正出血が疑われるなど気になる症状がある場合、病院を受診しましょう。
バセドウ病や橋本病といった、甲状腺の病気が原因で生理不順になることがあります。甲状腺機能の低下・亢進は、卵巣機能に影響を与えるためです。
甲状腺疾患は主に20〜40歳の女性に多くみられ、流産や不妊症の原因となる可能性があります。
薬剤による影響も、生理不順の原因の1つです。
たとえば、うつ病などの治療に用いられる精神安定薬を服用すると、脳下垂体から分泌されるプロラクチン値が上昇し、排卵に影響を及ぼす恐れがあります。抗がん剤の影響で卵巣機能が低下し、生理不順を招くこともあります。
更年期による影響も、生理不順の原因の1つとして挙げられます。
更年期とは、閉経の前後5年をあわせた10年間のことです。個人差はあるものの、40代半ば頃に更年期を迎えるケースが多いといわれています。
更年期には、月経周期や経血量の変化が現れることがあります。月経周期が短くなってしばらく経過すると、反対に月経周期が長くなり、最終的に閉経を迎える流れが一般的です。
生理不順は以下のようにさまざまなタイプがあり、それぞれ症状が異なります。
それぞれについて解説します。
頻発月経とは、月経周期が24日以内の生理不順のことです。正常な月経周期である25〜38日に比べ、サイクルが短い状態を指します。
頻発月経は、排卵のない「無排卵性」と排卵をともなう「排卵性」の2種類に分けられます。
少量の出血が長く続きやすい無排卵性の頻発月経は、卵巣機能が未成熟な思春期や、卵巣機能が低下する閉経前の女性に現れやすい頻発月経です。
排卵性の頻発月経は、「排卵までの期間(卵胞期)が短くなる」または「排卵から次の生理まで(黄体期)が短くなる」ことによって起こります。卵胞期が短いケースは、思春期や閉経前の女性によくみられる傾向があり、それ自体が病気というわけではありません。一方、黄体期が短いケースは黄体機能不全などの病気が疑われ、不妊や流産の原因となる恐れがあるため注意が必要です。
頻発月経の主な原因は、ストレスや不規則な生活習慣などによるホルモンバランスの乱れと考えられています。
希発月経とは、月経周期が39日以上3か月以内の生理不順のことです。正常な月経周期である25〜38日に比べてサイクルが長い状態を指します。体質により排卵までに時間がかかることやホルモンバランスの乱れ、多のう胞性卵巣症候群をはじめとする病気などが原因として考えられています。
排卵を伴わない無排卵の希発月経は、不妊につながるだけでなく、3か月以上生理が来ない「続発性無月経」に進行する可能性もあるため、注意が必要です。
無月経とは、「生理が一度も来ない」または「止まった」状態のことです。妊娠・出産・閉経によるものではない病的な無月経は、原発性と続発性に分けられます。
原発性無月経とは、18歳を過ぎても初潮を迎えていない状態のことです。遺伝性疾患や生殖器の先天異常などが原因として考えられます。
続発性無月経とは、通常の月経周期の後、3か月以上にわたって生理が止まっている状態を指します。主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。
過多月経とは、生理の経血量が正常よりも多い状態のことです。1回の月経周期における正常な経血量は20〜140mlであるところ、140ml以上のケースが該当します。「ナプキンが1時間もたない」「レバーのような血の塊がよく混じる」といった症状がみられやすく、鉄欠乏性貧血をともなうケースもあります。
過長月経は、8日以上にわたって生理が続く状態を指します。
過多月経や過長月経の主な原因として、ホルモンバランスの乱れや、子宮筋腫・子宮腺筋症といった婦人科系の疾患が考えられます。
過少月経とは、生理の経血量が正常よりも少なく、1回の月経周期における経血量が20ml以下の場合を指します。「ナプキンの表面に、ごく少量の経血がつく程度で生理が終わってしまう」といったケースが当てはまるでしょう。
また、生理の日数が2日以内の場合は過短月経と呼ばれます。
過少月経や過短月経は、ホルモンバランスの乱れや子宮内膜炎、甲状腺機能の異常などが原因で生じることがあります。
生理不順の主な改善方法として、以下が挙げられます。
それぞれについて確認しましょう。
生活習慣が乱れている場合は、見直しましょう。食事や睡眠、運動などの生活習慣が乱れていると、ホルモンバランスに影響を及ぼす可能性があります。
栄養不足は生理不順の原因になるため、過度なダイエットは避けましょう。主食・主菜・副菜を意識し、栄養バランスのよい食事を心がけることが大切です。また、質の良い睡眠をとれるよう、就寝前のアルコール・カフェインの摂取やスマートフォンの使用は避けましょう。
また、適度な運動は血流改善や自律神経の安定のほか、ホルモンバランスを整えることにもつながるため、日々の生活に運動を取り入れましょう。
ホルモンバランスの乱れによる生理不順を防ぐには、ストレスを発散することも大切です。女性ホルモンのバランスは、ストレスによる影響を受けやすいためです。適度に体を動かしたり、趣味を楽しんだりしながら、ストレス解消を図りましょう。
主なストレス解消法は、以下のとおりです。
自分にあったストレス解消法を見つけて実践してみましょう。
生理不順に悩んでいるときは、婦人科を受診するのも一つの選択肢です。
生理不順には、さまざまな原因が考えられます。病気が隠れているケースもあるため、「生理不順が続き不安を感じている」「生理不順の治し方を知りたい」といった場合、早めに婦人科で相談しましょう。
生理不順の原因や妊娠の希望有無などによって、治療法は異なります。基礎体温の変化の様子が診断の参考になるケースがあるため、基礎体温をつけている場合、受診の際に基礎体温表を持参するとよいでしょう。
ホルモンバランスを整えられる低用量ピルを服用することも、生理不順を改善する1つの手段です。
低用量ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンを含む薬剤のことです。
低用量ピルの服用中は、生理が起こりません。そして、服用を休止すると生理のような出血(消退出血)が起こります。21日間のピルの内服を経て7日間の休薬期間を設けることで、休薬期間中に消退出血が起こるため、月経周期をコントロールしやすくなることが特徴です。
また、生理不順の改善だけでなく、生理痛の緩和や、生理前のイライラ・不安といった月経前症候群(PMS)の改善効果も期待できます。
生理不順の改善を目的に低用量ピルを服用したいときは、婦人科で相談してみましょう。
「生理不順に悩んでいるけれど、忙しくて病院に行けない」「低用量ピルを服用してみたいけれど、婦人科へ足を運ぶのは気後れする」という方は、オンラインクリニックの利用がおすすめです。
オンラインクリニックであれば通院不要で、自宅にいながら生理の悩みについて気軽に医師に相談できます。低用量ピルを処方された場合、医療機関によっては自宅で薬を受け取ることも可能です。
生理不順に関する不安や悩みは抱え込まず、ぜひ医師に相談してみてください。
生理不順の原因は、ホルモンバランスの乱れをはじめ、婦人科系疾患や甲状腺の病気、薬剤、更年期の影響などが考えられます。生理不順の種類には、頻発月経や希発月経、無月経などが挙げられます。
生理不順に気がついたら、ホルモンバランスを整えるために生活習慣の改善やストレス解消を図りましょう。病気が隠れているケースもあるため、気になる症状がある場合は早めに病院を受診することも大切です。
生理不順の緩和を期待できる低用量ピルの服用を検討するのもよいでしょう。病院に行くのが難しいときは、気軽に利用しやすいオンラインクリニックがおすすめです。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました