更新日:2025年09月03日
生理で経血の量が多いと、頻繁にナプキンを変える必要があったり、貧血のような症状で不調を感じたりすることもあるでしょう。経血量が正常より多く、日常生活に支障が出ている場合は、過多月経の可能性があります。
本記事では、生理の経血量が多い過多月経の原因やセルフチェック法、治療法について解説します。
生理のときに「血の量が多い」と感じ、日常生活に支障が出ている場合は「過多月経」かもしれません。過多月経とは、生理における経血量が正常よりも多い月経のことです。
過多月経の場合、経血がナプキンから漏れて衣服を汚してしまったり、「漏れていないか」と気になって頻繁にトイレに行ったりと、日常生活に悪影響を及ぼします。多くの経血が排出されることで貧血状態となり、体のだるさや動悸、息切れ、めまいなどの症状が出ることもあるでしょう。
1回の生理における正常な経血の量は、20~140ml程度といわれています。しかし、経血量を自分で正確に測ることは難しいでしょう。
生理の血の量が多いと感じており、以下の項目に当てはまる場合は、過多月経の可能性があります。
経血に塊が混じること自体は、珍しくありません。子宮内膜は排出されるときに分解されてサラサラの血液の状態になりますが、分解しきれなかった場合は塊で出てくることがあります。血の塊が時々出る程度であれば問題ありませんが、ナプキンを交換する度に見られる場合や何日も続く場合は、過多月経の可能性があるでしょう。
経血の量が多い過多月経の主な原因として、機能性疾患や器質性疾患、内科系疾患が挙げられます。どのような原因があるのか、以下でみていきましょう。
機能性疾患による過多月経は、病気ではなく、その人の子宮の機能や働きが原因で起こるものです。10~20代や40代後半以降に多い原因とされています。
具体的には、黄体ホルモンの分泌異常や無排卵性周期症などがあります。以下で確認していきましょう。
黄体ホルモンの分泌が安定しないことで、過多月経になる場合があります。
黄体ホルモンとは女性ホルモンの1つで、子宮内膜を妊娠しやすい状態に整えたり、妊娠を継続させたりする役割があります。排卵後から生理開始までの黄体期に多く分泌されるホルモンです。
黄体ホルモンが正常に分泌されない場合は、子宮内膜が過剰に増殖してしまいます。経血は子宮内膜が剥がれ落ちたものであるため、黄体ホルモンの分泌に異常がある場合は経血も多くなり、月経過多となります。
無排卵性周期症とは、月経のような出血があるものの排卵はない状態のことです。
生理が始まる前、卵巣では卵子を包む卵胞が成長し、子宮内膜を厚くする卵胞ホルモンが分泌されます。やがて成熟した卵胞から卵子が放出(排卵)されると、残った卵胞は黄体へと変化します。
黄体が黄体ホルモンを分泌することで子宮内膜の増殖を抑制し、子宮内膜が剥がれ落ちて生理が起こるという仕組みです。
しかし、無排卵性周期症では、卵胞は成長するものの、なんらかの原因で排卵は起こりません。その結果、卵胞ホルモンが分泌され続けて子宮内膜が厚くなっていきます。
過剰に厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちると、血の量が多い生理をもたらします。
無排卵性周期症はホルモンバランスや卵巣機能が不安定なことが原因で起こるといわれており、思春期や更年期の女性に多い疾患です。
器質性疾患による過多月経とは、主に子宮の病気が原因で起こるものです。年齢を重ねるごとに経血が増えている場合は、なんらかの病気が隠れている可能性もあります。
生理の血の量が多い過多月経をもたらす主な病気は、子宮腺筋症や子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がん・体がんなどです。以下でみていきましょう。
子宮筋腫とは、子宮内に良性の腫瘍ができる病気です。無症状の場合もありますが、腫瘍のできる場所によっては生理のときに経血の量が多いと感じたり血の塊が見られたりすることもあります。子宮筋腫が大きくなると、出血の量も増えていきます。
子宮筋腫は30~40代に多い病気で、激しい生理痛を伴うことも少なくありません。不妊や流産の原因となることもあります。
子宮腺筋症とは、子宮を形成する筋肉の中に子宮内膜のような組織が作られる病気です。
子宮腺筋症では、生理のときに血の量が多いと感じやすくなるほか、激しい生理痛を伴うこともあります。30代後半~40代に多い病気です。
子宮内膜症とは、卵管や卵巣などに子宮内膜のような組織が作られる病気です。
子宮で増殖した子宮内膜は、生理になると出血という形で排出されます。しかし、卵管や卵巣で子宮内膜に似た組織が増殖した場合は、生理を迎えて剥がれ落ちても行き場がありません。
剥がれ落ちたものは卵管や卵巣にとどまり、炎症を起こして周りの組織と癒着することで、激しい生理痛を起こすことがあります。子宮が大きくなることで、生理のときに血の量が多いと感じることも少なくありません。
子宮内膜症は20~30代に多いとされており、不妊の原因となることがあります。
子宮頸がんや子宮体がんの進行によって、生理のときに血の量が多いと感じることもあります。
初期には自覚症状がなくても、進行すると症状が表れます。主な症状は不正出血で、生理期間が長引くことも症状の1つです。
甲状腺機能や血液の異常など、子宮以外の異常によって過多月経が引き起こされる場合もあります。それぞれどのようなものなのか、以下で解説します。
甲状腺機能の異常によって、生理の血の量が多いと感じる場合があります。
甲状腺は、身体の代謝や成長を調整する「甲状腺ホルモン」を分泌する器官です。甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる甲状腺機能低下症になると、卵巣機能に影響を及ぼし、過多月経となることがあります。無月経や月経不順になることもあるでしょう。
血液が止まりにくくなる病気によって、生理のときに血の量が多いと感じることもあります。過多月経を引き起こす主な血液の病気は、フォン・ヴィレブランド病や血友病、白血病などです。
過多月経の主な治療法は、以下のとおりです。
生理の経血の量が多い場合、身体のだるさを感じやすくなったり生理の漏れが気になったりし、生理期間中を落ち着いて過ごすことが難しいでしょう。病気が隠れている場合もあるため、生理の血の量が多いと感じて困っている場合は、医療機関の受診をおすすめします。
具体的にどのような治療を行うのかについて、以下でみていきましょう。
ホルモンバランスの乱れによって過多月経が起こっている場合は、低用量ピルや黄体ホルモン製剤などを使って治療を行います。薬の服用によってホルモンバランスを整えることで、子宮内膜の増殖を抑え、経血量を減少させる治療法です。
過多月経の原因が子宮の病気である場合は、必要に応じて手術を行います。子宮の一部を切除する場合もあれば、子宮全体を摘出する場合もあります。
手術の方法は、病気の進行具合や妊娠希望の有無などを考慮し、医師と話し合って決定します。
甲状腺・血液疾患が過多月経を引き起こしている場合は、その治療を優先して行います。
甲状腺機能低下症の主な治療方法は、治療薬の服用です。白血病の場合は、主に抗がん剤による治療を行います。
生理で血の量が多いと感じており、日常生活に支障が出ている場合は、過多月経の可能性があります。過多月経は、ホルモンバランスの乱れのほか、病気が原因の場合もあります。経血の量が多いことで貧血になったり病気が進行したりするのを防ぐために、早めに婦人科・産婦人科を受診しましょう。
病院に行く時間が取れない、婦人科・産婦人科の病院に行くことに抵抗があるという方は、オンライン診療で医師に相談するのも1つの方法です。
オンライン診療であれば、自宅で医師の診察を受けられ、必要に応じて薬の処方も受けられます。過多月経には病気が潜んでいることもあるため、早めに改善のための行動を起こすことが大切です。
レバクリは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅に届きます。診察料は無料のため、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました