更新日:2025年10月30日
ホルモンバランスが乱れる生理前になると、便秘の症状が出てくる方もいるでしょう。生理前の便秘は、黄体ホルモンの増加によって大腸の動きが鈍くなることが原因です。
ホルモンバランスを整えるピルを服用することで、生理前の不快な便秘を改善できる可能性があります。本記事では、生理前の便秘の改善効果が期待できるピルについてご紹介します。
ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合して作られています。そのため、ピルの服用で生理前後に不安定になりがちな女性ホルモンを安定させ、さまざまな症状を緩和させることができます。
そもそも生理前の便秘には、大腸の働きを抑制する黄体ホルモンの増加が関係しています。排卵から生理開始までは、とくに黄体ホルモンが増える時期であるため、便秘の症状が出やすいとされています。
急激なホルモンバランスの変化によって、身体にはさまざまな症状が現れます。そのため、生理前のひどい便秘に苦しんでいる場合は、ピルを服用するのも1つの手段です。ピルはホルモンバランスを整える効果があるため、便秘改善につながる可能性があります。
ピルは便秘の原因となり得る子宮内膜症を防いだり、改善したりする目的でも使用されます。子宮内膜症とは、子宮内膜が子宮内だけではなく卵巣・腸・腹膜などにできてしまう病気です。
子宮内膜症にかかると、生理時の痛みは強くなる傾向があります。また、直腸との癒着が起きることで、お腹の張りや便秘、下痢などの不調につながるケースも考えられるでしょう。
生理前後に強い痛みや便秘が続く場合は、子宮内膜症を発症している可能性があります。子宮内膜症を原因とする便秘の改善策として、ピルを用いるのも1つの方法です。
生理前の便秘改善効果を期待できるピルですが、反対に便秘の原因となり得るのも事実です。ピルはホルモンバランスを整えますが、服用する各個人の体調や状況によって効果は異なります。
ピルによって卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが変化することで、場合によっては便秘を引き起こしてしまうこともあるでしょう。ここでは、ピルの服用を検討するために知っておきたい副作用について解説します。
ピル服用による主な副作用は、便秘以外にも次のようなものが挙げられます。
先にも触れたとおり、ピルは服用する個人の体調や女性ホルモンの量によって得られる効果が異なる一方で、副作用も人それぞれです。大きな副作用がなくピルを服用できる方もいれば、慣れるまで普段との違いを感じる方もいるでしょう。
また、血栓症に関してはピルの副作用として稀であり、ピル服用によって著しく発症数が増えているわけではありません。過度に心配する必要はありませんが、副作用の1つとして認識しておくことが大切です。
ピルを飲み始めて2〜3ヶ月の間は、とくに副作用が多くみられる傾向にあります。ピルによる体調不良が起きた場合でも、続けて服用することで数ヶ月後には症状がおさまってくるケースが多いでしょう。
身体がピルに慣れてくることで、少しずつ症状が緩和すると考えられます。ただし、ピルを飲み続けても副作用による体調不良が続く場合は、無理せず病院で相談しましょう。
便秘改善以外にも、ピルの服用によって次の3つの効果が期待できます。
ピルの服用を検討する際には、便秘以外にもどのような症状に効果があるのかを知っておくことが大切です。それぞれを解説します。
ピルの服用によって生理周期を安定させることができます。ピルは28日周期で1シートを服用するのが一般的です。
ピルを飲んでいる間は排卵が抑制されるため、生理も始まりません。1シート分の21錠を飲み切った後、7日間服用を止める期間に生理が起きる仕組みです。
そのため、生理周期が不安定な場合はピルを飲むことで一定の周期に整えられます。
ホルモンバランスを整えることでPMSや月経困難症の症状改善につながるのも、ピル服用で期待できる効果の1つです。PMS・月経困難症は生理に伴い、下腹部痛や腰痛、頭痛や脱力感などさまざまな症状が出て、ときには日常生活に支障をきたすこともあります。
ピルは女性ホルモンのバランスを整える効果があるため、ホルモンの急激な変動を抑え、症状の緩和につながるでしょう。
ピルを服用すれば、ホルモンバランスの乱れによる肌荒れを防げる可能性があります。生理前にニキビや肌荒れが起きるのは、黄体ホルモンであるプロゲステロンの急増が関係しています。
ピルには、肌荒れの原因となるプロゲステロンの産生を抑制する働きがあります。ピルを飲んでホルモンバランスを整えられれば、お肌の調子が落ち着くかもしれません。
生理前の便秘改善の効果が期待できるピルを飲んでいても、あまり症状が改善しないケースもあるかもしれません。そのような場合は、次にご紹介する3つの対処法を検討してみてください。
つらい便秘を改善するための対処法をご紹介します。
十分な睡眠やバランスの取れた食事など、正しい生活習慣は健康の基本です。ピルを服用しても便秘が改善しない場合は、生活習慣に問題がないか確認してみましょう。
便秘の原因は、水分補給が足りていないことや運動不足、ストレス過多、睡眠不足など様々です。まずは正しい生活習慣を身につけることで心身がリラックスでき、体調が整うでしょう。
生活習慣を見直しても便秘が続く場合は、便秘薬を併用することも可能です。基本的には、便秘薬を飲んだとしてもピルの効果には影響を与えることがないとされているため、安心して併用できます。
ただし、下痢をしてしまうほど強い薬を飲んでしまうと、体調悪化やピルの避妊効果に影響が出る恐れはあるでしょう。まれに不正出血を引き起こすケースもあるため、体調を確認しながら便秘薬を併用することが重要です。
ピルに含まれる黄体ホルモンの種類は、薬ごとに異なります。そのため、ピルを服用しても便秘が改善しない場合は、別のピルを試してみるのも手です。
ただし、次々とピルの種類を変えるのはあまりおすすめできません。ピルの種類を変更する際には、医師に相談するようにしましょう。
ピルには、ホルモンバランスを整える効果があります。生理前に毎度便秘に悩まされている場合は、ピルの服用を検討するとよいでしょう。ホルモンバランスの乱れだけではなく、子宮内膜症が便秘の原因となっているケースでも、ピルを服用することで症状を緩和できる可能性があります。
ただし、ピルによって得られる効果や副作用は人によってさまざまです。場合によっては、ピルを飲むことで逆に便秘になってしまうことも。
一般的にピルの副作用は飲み始めの数ヶ月に多くみられるため、体調をみながら無理せずピルに慣れていく必要があります。毎月ひどい便秘をしてしまう人にとって、ピルは効果的な対処法となり得ます。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました