更新日:2025年10月30日
ピルの服用を検討している方の中には、仕組みや種類について知りたいと考えている方もいるでしょう。ピルには女性ホルモンが含まれており、ピルの種類には低用量ピルや中用量ピル、アフターピルなどがあります。自分にあったピルを服用するには、それぞれの効果や副作用を理解しておくことが大切です。
この記事では、ピルの仕組みや種類を解説するとともに、それぞれの効果や副作用、費用相場について解説します。低用量ピルの服用時に注意したいポイントもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった女性ホルモンを配合した飲み薬のことです。
ピルには複数の種類があり、低用量ピルや中用量ピル、アフターピル、ミニピルがあります。種類ごとにエストロゲンの含有量が異なり、期待できる効果や副作用の起こりやすさも異なります。
ピルに配合されているエストロゲンやプロゲステロンは、ともに卵巣で分泌される女性ホルモンです。ピルの服用により脳が「妊娠した」と錯覚を起こすと、排卵が抑制され、子宮内膜が厚くならないため、受精卵が着床しにくく避妊効果を得られる仕組みです。
また、ピルの服用によって子宮内膜が薄くなり経血量が減ることで、月経痛の軽減効果も期待できます。
ピルの歴史は、1930年代の半ばにアメリカのラッセル・マーカー博士が、山芋(ヤム)に生理痛を緩和する物質が含まれていることを見つけたのがはじまりといわれています。
その後、1960年代にアメリカにおいて、世界で初めてピルが経口避妊薬として認可されました。当時は高用量ピルが使用されていましたが、胃腸障害や血栓症などを引き起こすリスクが懸念され、1973年に副作用を改善して開発されたのが低用量ピルです。その後、日本において低用量ピルは1999年に認可されました。
ここでは、ピルの主な効果について解説します。
ピルを服用して得られる効果の1つめは、避妊です。ピルを正しく服用することで、99.7%の避妊効果を得られるとされています。ピルを飲み忘れたときや、飲み合わせの悪い薬と併用したときなどはピルの避妊効果が下がるとされています。
なお、避妊効果を得られるのは、ピルを正しく飲んでいる期間中です。服用をストップすると、およそ1~3か月以内に妊娠が可能になります。
ピルの2つめの効果が、月経困難症の症状緩和です。月経困難症とは、生理期間中の下腹部痛や腰痛、吐き気、イライラなどの症状により日常生活に支障をきたす状態のことです。ピルを服用することで排卵が抑制され、子宮内膜の増殖を抑えられるため、子宮の収縮運動が軽減し、腹痛や腰痛といった生理痛の緩和効果が期待できます。
ピルの効果の3つめは、生理不順の改善です。ピルを服用している間は排卵が抑制されて生理がきませんが、一定期間服用したあとの休薬期間中に生理のような出血(消退出血)が起こります。これまでホルモンバランスの乱れにより生理不順になっていた方は、ピルの服用によりホルモン量をコントロールすることで、生理不順の改善を図れるでしょう。
ピルの効果の4つめが、月経の出血量の減少です。月経は、妊娠のために厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、体外へ排出される現象のことです。ピルの服用により、体内は必要最低限のホルモン量で維持されるため、子宮内膜が厚くなりません。子宮内膜が薄ければその分剥がれ落ちる子宮内膜も少なくなるため、出血量が減ります。
ピルの5つめの効果が、貧血の予防です。前述したように、ピルの服用により出血量が減るため、貧血の予防効果が期待できます。
ここでは、ピルの種類や効果、副作用、費用相場について解説します。
低用量ピルとは、エストロゲンとプロゲステロンを含む薬のことです。「ピル」というと、一般的に低用量ピルのことを指すことが多いでしょう。
低用量ピルは、避妊や子宮内膜症の改善、月経困難症の治療などに使用されます。日本で処方されている低用量ピルは、マーベロンやファボワール、アンジュなどです。
低用量ピルの主な効果は、避妊や生理痛の緩和、生理不順の改善です。低用量ピルの服用により女性ホルモンの急激な変動を抑えられるため、女性ホルモンの変動により起こるとされているPMS(月経前症候群)や肌荒れなどの改善も図れるとされています。
低用量ピルの副作用として、飲み始めて間もない頃に頭痛や吐き気、胸の張りなどが起こる可能性があります。低用量ピルの副作用は、1~3ヶ月ほど服用を継続することで改善されることがほとんどです。
低用量ピルを避妊目的で服用する場合、ピルは保険適用されず、全額自己負担になります。低用量ピルの1シート(28日分)あたりの相場は、2,500〜3,500円程度です。一方、月経困難症や子宮内膜症の治療目的で保険適用になる場合、1シート(28日分)あたりの相場は、1,000〜2,000円程度です。
超低用量ピルとは、低用量ピルよりもエストロゲンの含有量が少ないピルのことです。低用量ピルはエストロゲンの含有量が0.05mg未満のもの、超低用量ピルは0.03mg未満のものを指します。
日本で処方されている超低用量ピルは、ルナベル配合錠ULDやフリウェル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ヤーズフレックス配合錠などです。
超低用量ピルの効果は、生理痛や生理不順、子宮内膜症の改善などです。低用量ピルとの違いとして、超低用量ピルは避妊目的では使用しないことが挙げられます。
含まれるエストロゲンの量が少ない超低用量ピルは、副作用が比較的起こりにくいことが特徴です。ただし、人によっては吐き気や頭痛、不正出血などの副作用が出る場合があります。
超低用量ピルは、子宮内膜症や月経困難症の治療目的で処方される場合、保険適用になります。1シート(28日分)あたりの相場は、1,300〜3,000円程度です。
中用量ピルは、エストロゲンが0.05mg以上含まれている薬です。
日本で処方されている中用量ピルは、プラノバールです。
中用量ピルの効果は、生理日の移動や避妊、月経困難症の改善などです。中用量ピルを服用することで、生理開始日を遅らせたり、早めたりできます。ただし、生理開始日を早める場合には、前の生理開始から5日目までに中用量ピルの服用を開始し、少なくとも10日ほど連続して服用する必要があるため、早めに受診することが大切です。
エストロゲンの含有量が多い中用量ピルは、副作用が出やすいといわれています。主な副作用は、吐き気や胸の張り、むくみ、頭痛などです。
中用量ピルは、主に生理日の移動を目的として処方されます。この場合は保険適用外となり、全額自己負担です。自費の中用量ピルの相場は、1シート(21錠)あたり約5,000〜7,000円です。
アフターピルは緊急避妊薬とも呼ばれ、性行為のときに避妊しなかった場合やコンドームが破損してしまった場合などに、妊娠を防ぐために服用するピルのことです。日本で処方されているアフターピルには、レボノルゲストレル錠やノルレボ錠などがあります。
アフターピルの効果は、次のとおりです。
なお、アフターピルを服用した後は、次回の生理がくるまで性行為を行わないようにしましょう。
アフターピルの副作用としては、頭痛や吐き気・嘔吐、胸の張りなどがあります。
アフターピルの服用後、2時間以内に嘔吐した場合は注意してください。十分に薬が吸収されず、避妊効果が得られない可能性があるため、医療機関に相談しましょう。
アフターピルは保険適用外のため、全額自己負担となります。1錠あたり、8,000〜1万5000円程度が相場です。
ミニピルとは、プロゲステロン(黄体ホルモン)のみを含むピルです。エストロゲンには血液凝固作用があり、血栓症のリスクがある肥満(BMI30以上)の方や40歳以上の方で低用量ピルの服用が難しい方場合も、リスクを減らして服用できます。
日本で処方されているミニピルは、マイクロノア、ノリディ、ノルゲストン、マイクロバルなどです。
ミニピルの主な効果は、低用量ピルと同様に避妊です。ただし、避妊の主な仕組みが低用量ピルとは異なります。
なお、ミニピルの効果を得るには、低用量ピルと同様に毎日同じ時間に服用することが大切です。ミニピルの場合は服用する時間が数時間ずれると避妊効果が下がりやすくなり、12時間以上時間がずれると避妊効果が得られなくなる可能性があります。
また、低用量ピルの場合は休薬期間を設けますが、ミニピルの場合は休薬期間がなく、決まった時間に毎日服用し続ける必要があります。
このほか、ミニピルは子宮内膜症や月経困難症の改善にも役立つとされています。
ミニピルの副作用は、不正出血や吐き気、乳房の張り・痛みなどです。ただし、低用量ピルや中用量ピル、アフターピルに比べると副作用は起こりにくいでしょう。
ミニピルは2025年6月時点で日本では認可されておらず保険適用外のため、全額自己負担になります。ミニピルの費用相場は、1シート(28日分)あたり3,000〜4,000円程度です。
ここでは、低用量ピルを服用したい場合の注意点について解説します。
以下に当てはまる人は、低用量ピルを服用できません。
低用量ピルを安全に服用するために、受診した際は既往歴や持病を医師に申告しましょう。
低用量ピルを服用するためには、医師の処方が必要です。問診や診察などにより健康状態や服用目的を確認し、症状にあったピルが処方されます。薬局やドラッグストアでは販売されていないため、低用量ピルを服用したい場合は、産婦人科や婦人科で受診し、処方してもらいましょう。
病院に行く時間がとれない場合は、オンライン診療を受けるのも一つの方法です。オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使ってオンラインで診察を受けるシステムです。オンライン診療であれば、通院時間を省けるうえ、周りの目を気にせずに医師の診察を受けられます。
低用量ピルには併用注意とされている薬があるため、気をつけましょう。
低用量ピルの服用を検討して受診する際、服用中の薬がある人は医師に必ず伝えましょう。
ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった女性ホルモンを配合した薬です。服用することで避妊や生理痛の緩和、生理不順の改善などの効果が得られます。
ピルには、低用量ピルや中用量ピル、アフターピルなどがあります。それぞれ主な効果が異なるため、症状や目的に応じたピルを処方してもらいましょう。
ピルは市販されておらず、服用するには医療機関での受診が必要になります。通院する時間が取れない場合は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました