更新日:2025年10月30日
「生理周期が短いのはなぜ?」と、疑問を抱えている方もいるかもしれません。生理が月に2回以上くる場合には、「病気なのではないか」と不安を抱えることもあるでしょう。生理周期が24日以下の場合は頻発月経といい、原因にはホルモンバランスの乱れや病気などが挙げられます。
本記事では、頻発月経の定義や生理周期が短くなる原因について解説します。また、病気が疑われる場合に行われる検査や頻発月経の予防・治療法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
頻発月経とは、生理周期が正常よりも短く、頻繁に生理が訪れる状態です。正常な生理周期は25〜38日とされていますが、頻発月経の場合は24日以下になり、1か月に2回生理が来ることもあります。頻発月経は、若年層から更年期まで、幅広い年齢の女性に見られるのが特徴です。
頻発月経が続き、生理の回数が増えて出血量が多くなると、貧血になるリスクが高まります。貧血状態が続くと、吐き気・めまい・立ちくらみなどが現れ、日常生活に支障をきたすおそれがあるでしょう。
生理周期とは、生理開始日から次の生理の前日までの期間を指します。正常な生理周期は25〜38日とされており、この範囲内であれば月によって日数が変わっても大きな問題はないと考えられます。
生理周期を調整するのが、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンです。女性ホルモンの分泌量の変化により、生理周期は「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」の4つの期間で構成されます。
卵胞期は、卵巣内で卵胞が成長する期間です。エストロゲンの分泌が増え、子宮内膜が厚くなります。排卵期では、エストロゲンの分泌がピークに達し、成熟した卵子が卵巣から排出されます。
黄体期は、受精卵の着床に向けて子宮内膜の準備を整える期間です。プロゲステロンが多く分泌されて子宮内膜が厚くなり、妊娠に適した環境へと変化します。受精が成立しなかった場合、プロゲステロンの分泌が低下し、子宮内膜が剥がれ落ちることで月経期(生理)が始まる仕組みです。
頻発月経は、排卵の有無によって「排卵性」と「無排卵性」に分類されます。タイプごとに原因や特徴が異なり、治療の必要性も変わります。
無排卵性の頻発月経は、排卵していないにもかかわらず出血が起こる状態で、経血量の少ない生理が長引くのが特徴です。主に卵巣機能が未熟な思春期の女性に見られ、多くの場合、卵巣機能が成熟するにつれて正常な生理周期へ移行するため、治療を必要としないケースも少なくありません。
一方、排卵性の頻発月経は、排卵するものの卵胞期または黄体期、もしくは両方の期間が短くなります。卵胞期の短縮や「黄体機能不全」などの病気が原因となって引き起こされます。
生理期間以外に出血があると、頻発月経なのか、不正出血(生理期間以外に起きる性器からの出血)なのか判断に迷う場合もあるかもしれません。しかし、これらを自己判断で見分けるのは困難です。
不正出血は子宮や卵巣の病気、ホルモンバランスの乱れなどが原因で生じることが多く、体の不調のサインといわれています。しかし、出血の量・色・においだけで生理と不正出血を見分けることは難しいでしょう。生理期間以外に出血が見られる場合には、医療機関を受診することをおすすめします。
とくに、大量の出血が続く場合や、腹痛・腰痛・性交時の痛み・排尿時の痛み・性器のかゆみ・発熱といった症状を伴う場合は、子宮や卵巣の病気が疑われるため、速やかに受診しましょう。
生理周期が短くなる原因として、卵巣の機能低下やストレスによるホルモンバランスの乱れ、子宮や卵巣の病気が考えられます。ここからは、生理周期が短くなる原因について解説します。
生理周期が短くなる原因の一つに、卵巣の機能低下が挙げられます。とくに更年期の初期には、それまで規則的だった生理の間隔が短くなることがあります。卵巣から分泌されるエストロゲンの減少を補おうと、脳下垂体から性腺刺激ホルモンが大量に分泌されるためです。性腺刺激ホルモンの働きによって、ホルモン分泌のバランスが乱れることで、生理周期が短縮されます。
ストレスによるホルモンバランスの乱れも、生理周期が短くなる原因の一つです。過度なストレスを受けると、ホルモンバランスが乱れて頻発月経をはじめとする生理不順を引き起こす場合があります。
ストレスと聞くと、疲れや精神的な負担などネガティブな要因を想像する人もいるかもしれません。しかし、引っ越しや進学・結婚式などもストレスになり得ます。そういった環境の変化が脳の視床下部や下垂体に悪影響を及ぼし、女性ホルモンの分泌が不安定になることで生理周期が短縮するケースもあるでしょう。
生理周期が短くなっている場合、子宮や卵巣の病気が隠れている可能性も考えられます。とくに、頻発月経が続く場合は「卵胞期短縮症」や「黄体機能不全」などの疾患が疑われます。
卵胞期短縮症とは、卵巣の内部で新たな卵胞が成長する「卵胞期」が短くなる病気です。卵胞が十分に成熟しないまま排卵が起こるのが特徴です。
また、黄体機能不全は黄体期が短くなる病気で、排卵後に分泌されるプロゲステロンの分泌不足によって起こります。プロゲステロンには子宮内膜を厚くし、受精卵の着床を助ける働きがあるため、不足すると妊娠を維持しにくくなり、不妊や流産の原因となるケースもあります。
ここからは、頻発月経で病気が疑われる場合に医療機関で行われる検査や診断内容について解説します。
頻発月経の原因を調べるために、診察時には問診を行い、症状や病歴などをチェックします。年齢や生理不順に気付いた時期、生理周期、出血量、経血の状態などを確認し、ホルモンバランスの乱れや婦人科系の病気の可能性を考えます。
また、判断材料の一つとなるのが、基礎体温です。基礎体温とは、最低限のエネルギーしか使っていない安静時の体温のことです。毎朝決まった時間に基礎体温を測り、3か月ほど記録を取ることで、排卵の有無やホルモンの変動を確認する際に役立ちます。基礎体温を日頃から記録している方は、受診時に持参しましょう。
たとえば、基礎体温が二相性(排卵の前後で低温期と高温期に分かれる)になっていれば排卵に異常はないと考えられるでしょう。しかし、一相性のまま変化が見られない場合は、無排卵の可能性があります。
頻発月経の場合には、超音波検査(エコー検査)を行うことがあります。子宮・卵巣の腫れや子宮内膜の厚さ、嚢胞の有無などを調べ、子宮がんや卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫など、子宮や卵巣の異常がないか確認するのが目的です。
血液検査では、エストロゲン・プロゲステロン・黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモンなど、生理周期に関連するホルモンの分泌量の測定が可能です。ホルモンの過不足や分泌の乱れが頻発月経に影響を与えているのかを確認します。
また、ホルモン分泌の評価だけでなく、感染症の有無や貧血、肝機能の状態など、全身の健康状態もあわせて確認できます。
頻発月経を予防・改善するには、ホルモンバランスを整えるために生活習慣を見直すことが大切です。また、頻発月経の原因や年齢、妊娠希望の有無などに応じて薬物治療を行うこともあります。
ここでは、頻発月経の予防・治療法について見ていきましょう。
頻発月経を予防・改善するためには、ホルモンバランスを整えるために生活習慣を改善することが大切です。とくに、食事・睡眠・運動の3つについては、意識的に改善を図りましょう。
偏った食事や過度なダイエットによって栄養不足になると、脳の働きが低下し、女性ホルモンの分泌に悪影響を及ぼします。インスタント食品や特定の食材だけとる食事は避けて、栄養バランスのよい食事をとることを意識しましょう。
また、質のよい睡眠をとり、心身の疲労を回復させることも大切です。さらに、適度な運動を取り入れることで、血行が促進され自律神経が安定するとともに、ストレス解消にもつながり、ホルモンバランスが安定しやすくなります。
黄体機能不全と診断された場合には、ホルモン剤による薬物治療を行うケースがあります。プロゲステロンの分泌が不足すると、子宮内膜が十分に厚くならずに生理周期が短くなるだけでなく、不妊や流産のリスクが高まるためです。
プロゲステロンの数値が低い場合、排卵前のタイミングでHCG製剤の注射を行い、排卵後のホルモン分泌を促します。また、ホルモン分泌を安定させるためのプロゲステロン補充療法も、黄体機能不全の治療法の一つです。
卵胞の発育や排卵に問題があると判断された場合には、排卵を促すための治療を行うケースもあります。妊娠を希望する場合には、排卵誘発剤を用いた治療を行います。
頻発月経とは、生理周期が24日以下で、正常よりも短い状態を指します。頻発月経が続き、生理の回数が増えて出血量が多くなると、貧血になるリスクが高まります。また、子宮や卵巣の病気が原因となっている場合には、不妊や流産の原因となるケースもあるため、頻発月経が続くときは医療機関で受診しましょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました