更新日:2025年10月30日
月経移動を図りたいと考えている方の中には、「生理を遅らせるにはいつからピルを飲めばいい?」「ピルはドラックストアで販売されている?」と気になっている方もいるかもしれません。ピルはドラックストアで販売されておらず、中用量ピルで生理を遅らせるには生理開始予定日の5~7日前から服用する必要があります。
本記事では、月経移動に使用するピルの種類ついて解説するほか、ピルを使った月経移動のメリットとデメリットについても説明します。ピルによる月経移動を図りたい方は、ぜひ参考にしてください。
月経移動とは、ピルの服用により生理の開始日を人為的にずらすことです。月経移動を図ることで、旅行やイベント、試験日、仕事などと生理を重ならないようにできます。低用量ピルや中用量ピルの服用により、生理を早めたり遅らせたりすることが可能です。
月経移動のためにピルを服用する期間は、数日~14日間程度です。どうしてもずらせない予定と生理が重なりそうで不安な場合には、ピルの服用による月経移動を検討してみましょう。
月経移動に使用するピルには、低用量ピルと中用量ピルの2種類があります。生理を早めたい場合には低用量ピルまたは中用量ピルを服用し、生理を遅らせたい場合には中用量ピルを服用するのが一般的です。
ピルとは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを含む薬剤です。エストロゲンは卵胞ホルモン、プロゲステロンは黄体ホルモンとも呼ばれます。中用量ピルは、低用量ピルよりもエストロゲンの含有量が多いのが特徴です。
生理が終わった後の「卵胞期」には、エストロゲンの分泌が盛んになって子宮内膜が徐々に厚くなります。排卵期を挟んで、排卵後の「黄体期」になると、プロゲステロンの分泌が多くなります。プロゲステロンの働きにより子宮内膜が柔らかい状態で維持され、妊娠しやすい環境になりますが、受精卵が着床しなかった場合は女性ホルモンの分泌が低下し、生理が始まります。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌量は、脳の指令によって変化します。ピルを服用することで、両方の女性ホルモンが体内にある状態が作られるため、脳はホルモン分泌の指令を出しません。これにより排卵が抑制され、生理開始日をずらせます。
生理を早めたい場合は、低用量ピルまたは中用量ピルを使います。どちらを使うかは、ずらしたい生理日までの日数によって異なります。
中用量ピルは、低用量ピルよりもエストロゲンの含有量が多く、月経移動の効果は高いとされています。その分、副作用が起こりやすいのがデメリットです。
低用量ピルと中用量ピル、それぞれを使って生理を早める方法について、以下の項で説明します。
低用量ピルによる月経移動では、前の生理開始日から5日目以内にピルの服用を開始し、少なくとも10~14日間ほど服用します。
低用量ピルの服用を中止すると、2~3日後に生理が来ます。ピルを服用したあとの生理は、「消退出血」と呼ばれる軽めの生理です。
「4月1日の入社式と生理が重なるのを回避したい」という例で考えてみましょう。前の生理の初日が3月3日で、同月5日からピルを服用し始めたとします。ピルの服用をやめるのは、服用開始から14日後の3月19日頃です。
その2~3日後、3月21日か22日頃には生理が来ます。
月経移動を図った生理から、その次の生理が来るまでの期間は、通常の周期に戻ります。いつも28日周期で生理が来るのであれば、約28日後の4月18~19日頃に生理が始まるでしょう。
中用量ピルの場合も、前の生理開始日から5日目までに服用を開始します。10〜14日間継続して服用し、生理を早めたい日の2~3日前にピルの服用を終了します。服用を終了した後、2~3日後に生理が来るのは低用量ピルと同じです。
前項と同じ、4月1日の入社式と生理が重ならないようにする例で考えます。生理初日は3月3日で、生理5日目の3月7日から中用量ピルを使い始めたとしましょう。10日後の同月17日までピルを服用し、終了した2~3日後の同月19日か20日頃に生理が来ます。
こちらの場合でも、4月1日の入社式と生理が重ならないようにできます。
ピルで生理を早めるメリットは、本来の生理予定日にはピルを内服する必要がないことです。大事な予定がある日にピルを持参する必要がなく、ピルを服用していないため副作用の心配もありません。
ただし、ピルの服用方法を間違えることなどにより、早めたい日に生理が来ず、避けたかった日に生理が来る可能性があることが注意点として挙げられます。
ピル生理を遅らせたい場合は、ずらしたい生理の開始予定日の5~7日前から、中用量ピルの内服を始めます。生理を避けたい日またはその前日まで飲み続けることで、服用している間は、生理が始まりません。早める方法と同様に、ピルの服用を終了した2~3日後に、生理が来ます。
4月1日の入社式と生理が重なるのを避けたい例で考えてみましょう。入社式の7日前にあたる3月25日頃から内服を始め、4月1日頃まで服用を続ければ、月経移動を図れます。
生理を遅らせられるのは、最大でも10日程度です。その後はピルを飲み続けていても、数日で生理が来ます。万が一服用中に生理が来たら、服用をやめましょう。
ピルで生理を遅らせる方法のメリットは、ひとつ前の生理日を過ぎてから大事な予定が決まった場合にも、月経移動を図れることです。中用量ピルによる月経移動により、最長10日程度生理を遅らせることができます。
注意点としては、大事な予定の当日もピルを飲む場合、副作用が強く出ているときは当日に体調が悪い可能性があることです。
また、生理を遅らせる方法では排卵日より後にピルの服用を始めることになるため、妊娠の可能性がある場合には服用できません。
ここでは、ピルを使った月経移動の注意点を紹介します。
ピルで月経移動を行うためには、生理周期を把握しておく必要があります。この点は、生理を早めたい場合も遅らせたい場合でも共通です。
生理周期が不規則で、次回の生理がいつ来るかわからない場合には、生理を遅らせる方法により月経移動を図るのは難しい可能性があります。生理を早める方法をとる場合も、睡眠不足や偏食を避けるなど、生理周期の乱れを防ぐ生活を送った方がよいでしょう。
持病や既往歴によっては、副作用のリスクを考慮してピルが処方されないこともあります。具体例は、以下のとおりです。
ピルによる月経移動を図りたい場合、受診時に持病や既往歴、服用中の薬などを医師に申告しましょう。
ピルに限ったことではありませんが、薬を服用すると副作用が出ることがあるため、事前に把握しておくことが大切です。
ピルの重篤な副作用は、血栓症です。血栓症は、血液の塊によって血管が塞がれる病気です。発生は極めてまれであり、過度に心配する必要はありませんが、ピルの服用中に万が一片足の腫れや痛みなどの症状が現れたら、医師の診察を受けましょう。
その他、ピルの服用により起こりうる副作用は、以下のとおりです。
月経移動のためにピルを服用し、体調の変化に関して不安な点があるときは、医師に相談しましょう。
低用量・中用量にかかわらず、ピルは市販薬ではないため、ドラッグストアなどでは販売されていません。月経移動のためにピルを服用したい場合、医師の処方が必要です。
なお、個人輸入の代行サイトでピルが販売されていることがあるようですが、利用するのはやめましょう。個人輸入サイトのピルは、安全性や有効性が確認されていない可能性があるほか、偽物や粗悪品のおそれがあるためです。期待する効果を得られないだけでなく、健康被害を受ける危険性もあります。
ピルを服用したい場合は、必ず医療機関を受診し、医師に持病や既往歴などを伝えて処方してもらいましょう。忙しい方や、婦人科の病院に行くことに抵抗感のある方には、オンライン診療がおすすめです。
オンライン診療であれば、スマートフォンやパソコンを使って自宅で医師に相談できます。医療機関によっては、処方されたピルが自宅に配送されるため、薬局に行く手間も省けて便利です。
ピルを服用することで、月経移動を図れます。ピルで月経移動を図る際、生理を早める場合と遅らせる場合では、服用を開始するタイミングが異なるため、注意しましょう。
ピルは市販されておらず、服用するには医師の処方が必要です。婦人科の病院に足を運ぶ方法もありますが、多忙な方や婦人科を訪れることにハードルの高さを感じる方などには、オンライン診療がおすすめです。
レバクリでは、低用量ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました