更新日:2024年03月13日
EDの治療はどのように行う?ED治療にかかる費用や治療の流れも解説
- EDと診断されたら早期からの治療開始が重要である
- EDの治療は主に薬物療法や心理療法で、血管の障害がある場合は手術療法もある
- ED治療薬は、主にバイアグラ・レビトラ・シアリスの3種類
- ED治療薬は、1錠500~2,000円が相場
- ED治療を受けるには、クリニックやオンライン診療で受診する
自分はEDではないかと考え、治療を始めるべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。一口にEDといっても、その原因にはさまざまなものがあり、原因によって治療方法は異なります。
本記事では、EDの症状や原因に加え、治療方法や治療薬の特徴、治療にかかる費用を解説します。また、治療を開始すべき時期や治療を受けられないケースも紹介するため、ED治療を検討している方は参考にしてください。
EDの症状
EDの症状には、下記のものがあります。
- 勃起の発現までに時間がかかる
- 勃起しない
- 勃起しても挿入できる硬さにならない
- 性行為の途中で中折れする
- 性行為への不安がある
1つでも上記の症状が当てはまる方はEDと診断されます。また、勃起がたまに起きないという方や上記に似た症状がある方もEDと診断される可能性があります。
EDの治療方法
EDは原因によって下記の4つに分類されます。
- 器質性ED
- 心因性ED
- 混合性ED
- 薬剤性ED
ここでは、それぞれのEDの特徴と治療方法を解説します。
器質性ED
器質性EDとは、血管の障害や神経の障害により起こるEDです。
血管の障害は主に動脈硬化があり、高血圧や肥満、脂質異常症などが動脈硬化の原因となります。動脈硬化が起きると、陰茎への血流が低下するため、EDになる可能性が高まります。
神経の障害は、糖尿病や脊髄損傷、パーキンソン病などの疾患が原因で起こります。これらの疾患で神経が傷つくことで、陰茎にうまく刺激を伝えることができなくなり、EDを発症する可能性があります。
器質性EDの治療は、原因となる疾患を薬物療法や手術療法で治療することで行います。また、原因となっている疾患が改善するまでには時間がかかるため、ED治療薬を併用する場合もあります。
ただし、器質性EDの原因となる疾患によってはED治療薬が併用できないケースがあります。そのため、自己判断でED治療薬を服用するのではなく、医師の指示に従う必要があります。
器質性EDについて詳しく知りたい方は、「器質性EDは改善できる?原因や治療方法、セルフケアについて解説」も参考にしてみてください。
心因性ED
心因性EDは、ストレスや性行為の失敗により心理的負担がかかり発症するEDです。
心因性EDの治療方法は、ED治療薬の服用が第一の選択肢となります。ED治療薬を服用し勃起が発現することで、性行為への不安を払拭でき、結果として心因性EDの改善が期待できるでしょう。
しかし、心因性EDは、ED治療薬を服用しても改善しないケースがあります。その場合は、カウンセリングを受けたり、パートナーと相談したりするといった、心理療法を行います。
カウンセリングやパートナーとの相談は、一朝一夕で終わるものではなく、長期的に取り組むことで効果を期待するものです。
心因性EDについては、「心因性EDの原因は?治療方法や必要性についても解説」でも詳しく解説しています。
混合性ED
混合性EDとは、器質性EDと心因性EDの両方が原因となっているEDを指します。そのため、混合性EDを治療するには、原因となる疾患の治療や心理的な要因を改善させる必要があります。
薬剤性ED
薬剤性EDとは、服用している薬剤が原因で起こるEDです。薬剤性EDは、降圧薬や抗うつ薬などで起こる可能性があると報告されています。
薬剤性EDの治療方法は、使用している薬剤の変更や休薬を検討することです。しかし、疾患の治療に使用している薬剤を個人の判断で変更・休薬すると、疾患が悪化したり、治療がうまくいかなかったりする可能性があるため、医師と相談しながら行いましょう。
薬剤性EDについて詳しく知りたい方は、「薬剤性EDとは?原因となりやすい薬や治療方法を解説」も参考にしてみてください。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」
ED治療に使われる治療薬
EDの治療薬には、下記の3種類があります。
- バイアグラ(シルデナフィル)
- レビトラ(バルデナフィル)
- シアリス(タダラフィル)
それぞれ特徴を解説します。
バイアグラ(シルデナフィル)
バイアグラ(シルデナフィル)は、世界で初めて承認されたED治療薬です。性行為を行う1時間前を目安に服用すると、高い効果が期待できます。食事の影響を受けやすく、食後に服用すると成分の吸収が抑えられ、効果が弱くなる可能性があります。そのため、服用する際は、空腹時か、食後2時間以上経過したタイミングにしましょう。
ED診療ガイドラインによると、25mgで58.3%、50mgで72.4%、100mgで72.3%の方が勃起が改善したと報告されています。100mgは日本では未承認のため、25mg、50mgのみ服用可能です。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」
レビトラ(バルデナフィル)
レビトラ(バルデナフィル)は、服用後30分を目安に効果を発揮するED治療薬です。
食事の影響はバイアグラと比較して受けにくいとされています。しかし、高脂肪食を摂取した場合は効果が弱くなるとされています。レビトラを服用する場合は、脂質の多い食事を避けるようにしましょう。
ED診療ガイドラインによると、レビトラを服用して、挿入に成功した方は5mgで63.5%、10mgで78.5%、20mgで79.3%にのぼります。レビトラを服用することで、半分以上の方が性行為に成功していることがわかります。
レビトラは、2023年現在販売が中止されており、ジェネリック製剤のバルデナフィルのみ処方可能です。ジェネリック製剤でも、効果は同等とされているため安心してください。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」
シアリス(タダラフィル)
シアリス(タダラフィル)は、服用後30分から効果を発揮し、36時間持続するED治療薬です。バイアグラやシアリスと比較して持続時間が長い点が特徴です。また、食事による影響もないため、服用するタイミングを気にせず使用できるメリットがあります。
ED診療ガイドラインによると、シアリスの服用によって勃起の改善を41~81%以上の方が認めており、73~80%は性行為に成功したと報告されています。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」
ED治療にかかる費用
ED治療にかかる費用は、ED治療薬1錠で約1,000~2,000円です。ED治療薬の費用に加えて、診察料などがかかるため、初診の場合は5,000円程度かかると想定しておきましょう。
また、バイアグラとシアリスは、2022年より一般不妊治療における不妊治療の目的で条件を満たす場合のみ保険診療が可能です。条件は下記の6つです。
- 処方する医師に泌尿器科での5年以上の経験がある
- 勃起不全に関する診療ガイドラインに従い、勃起不全と診断されている
- ED治療薬を使用する患者もしくはパートナーが6ヵ月以内に「一般不妊治療管理料」や「生殖補助医療管理料」に該当する管理を受けている
- 保険が適用される期間は原則6ヵ月であり、最長で1年までである
- 1回の処方量が4錠以下である
- 泌尿器科のないクリニックで不妊症の治療をしている場合は、クリニックが条件を満たしている泌尿器科へ紹介状を書き、情報共有を図る必要がある
保険が適用される場合、ED治療薬は1錠約300円程度で購入可能です。ただし、1回の処方で4錠までの制限がある点には注意しておきましょう。
また、ED治療薬にはジェネリック製剤があるため、自費診療で費用を抑えたいと考えている方はジェネリック製剤を検討すると良いでしょう。
EDの治療を受ける流れ
ED治療を受ける流れは下記のとおりです。
- クリニックを受診し、問診票を記載する
- 医師による診察を受ける
- ED治療薬の処方箋をもらう
- クリニックもしくは薬局で処方してもらう
- ED治療薬を使用後、定期的に受診し効果を報告する
ED治療を受ける場合は、泌尿器科のクリニックやED治療を専門にしているクリニックを受診しましょう。対面での受診に抵抗がある方は、オンライン診療での受診も検討できます。
オンライン診療の場合は、クリニックのホームページから問い合わせを行い、受診日程をすり合わせて受診後、ED治療薬を処方してもらい、郵送もしくは薬局で受け取り可能です。
ED治療を開始した後は、定期的にクリニックを受診して効果を実感できているか医師に報告します。効果を実感できていない場合は、ED治療薬の用量調整や、日々の生活習慣で改善できる点がないかを相談します。
ED治療はできるだけ早期から開始するべき
EDの治療は早期から開始しましょう。EDを発症している原因が器質性EDの場合、高血圧や糖尿病などの疾患を合併している可能性が高いからです。ED診療ガイドラインによると、EDを発症している方の41.2%が高血圧症を発症していたと報告されています。
EDを治療せずそのままにするとEDが進行し、完全EDと呼ばれる重度のEDになる可能性もあります。また、EDの原因となっている疾患が進行して、動脈硬化や神経障害などを引き起こすリスクもあるでしょう。
さらに、EDにより性行為が満足にできないために、自分に自信が持てず他者とのコミュニケーションが少なくなり、うつ病を発症するなど精神的な疾患を合併することもあります。
早期から治療することで、合併症を早期発見できる機会となり、性機能や身体的・精神的に健康を維持して生活できます。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」
ED治療を受けられないケース
下記の要件に当てはまる方は、原則ED治療を受けることはできません。
- 硝酸薬を使用している
- 肺動脈性肺高血圧症を罹患しており、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬を服用している
- ED治療薬にアレルギーがある
- 重度の心疾患に罹患している
- 重度の肝障害に罹患している
- 高リスク群の高血圧症に罹患している
- 高リスク群の低血圧症に罹患している
硝酸薬や可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬とED治療薬を併用した場合、相乗効果により急激な血圧低下を起こす可能性があるため、ED治療を受けられません。
また、ED治療薬にアレルギーがある場合も、ED治療薬を服用すると最悪の場合アナフィラキシーショックを起こすリスクがあるため、ED治療は受けられません。
ほかにも、重度の心疾患や高リスク群の高血圧症の方は、ED治療薬を服用すると心臓に負担がかかり、狭心症や心筋梗塞などを起こすリスクが高くなるため、ED治療を受けることはできません。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」
まとめ
EDの治療には、主に薬物療法や心理療法があり、第一の選択肢は薬物療法です。血管の障害によるEDの場合は手術療法を行うケースもあります。ED治療薬には3種類あり、どの薬剤でもED改善の効果が期待できます。
もしEDの治療が遅れると、EDが進行し重度のEDとなってしまう可能性があります。治療を悩んでいる間にEDや生活習慣病が進行してしまう恐れがあるため、早めにクリニックを受診してED治療を始めることをおすすめします。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会