更新日:2024年02月21日
うつ病でオナニーができないときはどうすれば良い?原因と対策を解説
- うつ病ではオナニーができなくなることがある
- うつ病でオナニーができなくなる原因として、心理的要因や薬剤性の要因などが考えられる
- うつ病でオナニーができないことを改善させるには、まずは医師に相談する
- うつ病でオナニーができないときの対策として、服用している薬剤を見直す、内服加療する、様子を見るなどが挙げられる
うつ病に罹患しオナニーができない場合、周りには相談しづらく、不安に感じることもあるでしょう。しかし、医療機関で受診すれば症状の改善が見込めるため、うつ病でオナニーできないことを過剰に心配する必要はありません。
本記事では、うつ病でオナニーできなくなる2つの原因やうつ病でオナニーできない時の5つの対策を解説します。ぜひ参考にしてください。
うつ病でオナニーができなくなる原因
うつ病でオナニーができない原因として、主に心理的要因と薬剤による要因の2つが考えられます。また、その他の要因も複合されて起こることも考えられます。
ここでは、うつ病でオナニーができなくなる原因について具体的に解説します。
心理的要因
うつ病でオナニーができなくなる原因の1つに、心理的要因が挙げられます。
うつ病を発症すると、意欲の減退や感覚の鈍麻が起こる可能性があります。そのため、オナニーをしたいという意欲が減退したり、オナニーに対する感覚が鈍くなったりする場合があります。
また、うつ病と勃起不全には相関関係があることが示唆されています。日本人を対象とした調査では、40代後半から50代前半の方において、うつ症状がある方は、うつ症状がない方と比べ約2倍ほど勃起不全の方が多かったことが報告されています。
参考:National Library of Medicine「Relationships between erectile dysfunction, depression, and anxiety in Japanese subjects」
薬剤による要因
うつ病でオナニーができなくなる2つ目の原因は、特定の薬剤の服用によるものです。
うつ病で使用する下記の薬剤は、勃起不全や性欲減退の原因となる可能性があります。
- セロトニン再取り込み阻害薬(SRI)
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
- ベンゾジアゼピン系薬剤
- 三環系抗うつ薬
ED診療ガイドラインによると、特にセロトニン再取り込み阻害薬は約64%、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬では75%の方にEDが発生したと報告しています。
また海外の研究では、ベンゾジアゼピン系薬剤は2.34倍、三環系抗うつ薬は3.35倍、EDの発症率が上がるとしています。
抗うつ剤とEDの関係性については、「抗うつ剤でEDになる?その理由と対策を解説」でも詳しく解説しています。
参考: 日本性機能学会、日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」 National Library of Medicine「Common prescription medication use and erectile dysfunction. Results from the Boston Area Community Health (BACH) Survey」
その他の要因
うつ病でオナニーができない原因は、はっきりと1つを特定できないこともあり、複合的な原因である場合もあります。
勃起不全には、前述した心因性・薬剤性のほかに、器質性と呼ばれる神経や血管の障害によって起こる場合があります。また、心因性と器質性が複合して起こる、混在性という勃起不全もあります。うつ病による勃起不全は、これらすべての要因がかかわっている可能性があるとされています。
また、男性版更年期障害と呼ばれるLOH症候群によってうつ病を発症している場合、テストステロンの低下によって勃起障害が起きている可能性もあります。LOH症候群は、加齢やストレスによってテストステロンの分泌量が減り、体にさまざまな不調をもたらします。テストステロンは興奮性の神経伝達物質であるドーパミンの分泌を促す役割もあるため、テストステロンが減少することでオナニーができなくなることも考えられるでしょう。
いずれにせよ、オナニーができない原因は多岐にわたるため、自己判断して対策するのではなく、医師の判断を仰ぐことが大切です。
うつ病でオナニーができないときの対策
うつ病でオナニーができないときでも、過剰に心配する必要はありません。うつ病でオナニーができないときは、下記の対策をとると改善する可能性があります。
- 病院で相談する
- 服用している薬剤を見直す
- 内服加療する
- ストレスを軽減する
- 様子を見る
それぞれについて説明します。
病院で相談する
うつ病でオナニーができなくなり不安なときは、まずは病院で相談するようにしましょう。うつ病でかかっている病院の先生に相談するとスムーズです。
うつ病を診てもらっている先生にオナニーができないことを相談しにくい場合は、勃起不全専門のクリニックなどへ相談することも選択肢の1つです。 病院を選ぶ際は、オナニーができない原因を検討し、その後の対策まで一貫して行ってくれる病院を、口コミなどを参考にして探すことがおすすめです。
服用している薬剤を見直す
服用している薬剤が原因でオナニーができない場合は、薬剤を見直すことで症状が改善する可能性があります。
しかし、うつ病に対して薬剤を服用している場合は、自分の判断で内服をやめてしまうとうつ病の症状が急激に悪化する恐れがあり注意が必要です。 服用している薬剤の見直しは、必ず医師に相談してから慎重に検討するようにしましょう。
内服加療する
うつ病でオナニーができないときは、ED治療薬を内服加療されることもあります。ED治療薬によって勃起が促され、オナニーができるようになる可能性が高まります。 治療薬は、バイアグラやシアリスなどのPDE5阻害薬を使用する場合が多いです。
勃起は、cGMP(環状グアノシン一リン酸)という物質が血管を拡張することで起こり、PDE5という酵素がcGMPを分解することで勃起が収まります。PDE5阻害薬は、このPDE5の働きを抑えることで勃起を促す薬剤です。
PDE5阻害薬は、向精神薬などうつ病で使用される薬剤と併用しても問題ありません。ただし、薬剤によっては飲み合わせることで勃起への効果を減少させるものもあるので、医師と相談することが重要です。
ED治療薬について詳しく知りたい方は、「ED治療薬の特徴は?3種類の薬の勃起力や即効性、持続時間・副作用を解説」も参考にしてみてください。
ストレスを軽減する
日常的な身体的・精神的ストレスが原因でオナニーができない場合は、ストレスを軽減することでオナニーへの意欲が改善する可能性があります。
ストレスの原因が職場などの環境である場合、可能であれば距離を取ることも1つの選択肢です。また、バランスの良い食事や十分な睡眠をはじめ、しっかりと休息を取ることがストレスの軽減に大切です。
様子を見る
うつ病でオナニーができないときでも、すでにうつ病の治療を開始している場合は様子を見るのも1つの手です。
薬剤は、飲み始めのタイミングで効果や副作用が強く出ることがあり、ある程度継続すると体が慣れ、副作用も徐々に収まっていくとされています。また、飲んでいる薬剤が効いてうつ病の経過が良くなれば、自然とオナニーができるようになることもあるでしょう。
オナニーができないことを積極的を治療するのがためらわれる場合には、ある程度様子をみることをおすすめします。
まとめ
うつ病に罹患している場合、オナニーができなくなることがあります。うつ病でオナニーができなくなる原因として、心理的要因や薬剤性の要因などが考えられます。 うつ病でオナニーができない時の対策は、病院で相談する、ストレスを軽減する、服用している薬剤を見直す、内服加療をする、様子を見るです。
うつ病と勃起不全には相関関係があるとされています。うつ病でオナニーができないことに悩んでいる方は、病院で相談してみましょう。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会