更新日:2026年08月31日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
糖尿病またはその予備軍と診断され、最近勃起の硬さや持続に不安を感じて「糖尿病によるEDは治るのか」と気になっている方もいるかもしれません。糖尿病が関係するEDは血糖コントロールや生活習慣の見直し、ED治療薬によって改善が期待できます。この記事では、糖尿病とEDの関係や引き起こされる仕組み、具体的な対処法、受診の目安までを解説します。正しい知識を身につけ、医師への相談も検討してみてください。
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糖尿病とEDには深い関わりがあり、糖尿病のある人はそうでない人に比べてEDを発症しやすいとされています。 どちらも自覚しにくいまま進行することがあり、放置すると生活の質やパートナーとの関係に影響することもあるでしょう。 ここでは、糖尿病とEDがどのように関係しているのかを解説します。
糖尿病のある人は、糖尿病でない人に比べてEDを発症しやすいとされています。 日本性機能学会、日本泌尿器科学会の「ED診療ガイドライン(第3版)」によると、糖尿病患者の35〜90%にEDがみられ、その有病率は糖尿病でない人と比べて約2〜4倍高く、また、EDの発症時期も非糖尿病の人より10〜15年早いとされる報告があります。 糖尿病は初期に自覚症状が乏しいため、先にEDの症状が現れて糖尿病の発見につながるケースもあるでしょう。 勃起の変化が続く場合は、性機能だけでなく血糖値の状態も確認する視点が大切です。
糖尿病によるEDは、混合性EDを発症しているケースが多く見受けられます。 混合性EDとは、血管や神経障害などが要因で発症する器質性EDや、ストレスなどの精神的な要因で発症する心因性EDが混在したEDです。 糖尿病になると、血管と神経の両方に障害が生じやすくなります。また、糖尿病の治療や自己管理に関連するストレスや不安は、勃起に関わる神経や筋肉に影響し、陰茎の血流を滞らせて性的機能にも影響をおよぼすことがあるでしょう。さらに、糖尿病によく併存する高血圧などに対して処方される一部の治療薬が、副作用として勃起機能に影響をおよぼすケース(薬剤的要因)もあります。 そのため、糖尿病によるEDは、器質性EDと心因性ED、薬剤性EDが混在した混合性EDを引き起こしやすいとされています。
糖尿病が関係するEDは、血糖コントロールと適切な治療によって改善が期待できます。 ただし、糖尿病の進行度や原因によって改善の見込みは異なり、必ず元の状態に戻ると保証できるものではありません。 ここでは、改善が期待できる理由と、治療効果が変わる要因を解説します。
糖尿病によるEDは、血糖コントロールと治療を組み合わせることで改善する可能性があるでしょう。 高血糖が続くと血管や神経が傷つき、これがEDの一因となるため、血糖値を管理して糖尿病の進行を抑えることが治療の土台になります。 あわせて運動や禁煙、食生活の見直しによって血管内皮の働きの回復が期待でき、ED治療薬を用いることで勃起のサポートも見込めます。 血糖コントロールによって糖尿病の進行を抑制することがEDの改善につながる可能性があるため、早めに血糖管理へ取り組むことが大切です。
ED治療薬の効果の現れ方は、糖尿病の進行度によって変わることがあります。 軽症から中等症では、勃起を終わらせる働きを持つ酵素PDE5(ホスホジエステラーゼ5)を阻害する薬によって勃起の維持サポートが期待できます。 一方で、糖尿病が進行して神経や血管の障害が大きくなっている場合は、薬の効果が現れにくくなることがあります。 だからこそ、症状が軽いうちに血糖コントロールと並行して医師に相談することが、改善を目指すうえで大切です。
糖尿病によるEDは、高血糖が血管や神経にダメージを与えることが主な要因です。 原因は一つではなく、複数の要因が重なって起こることが多くみられます。 ここからは、糖尿病によりEDが引き起こされる仕組みを解説します。
糖尿病によるEDの一因は、動脈硬化による血流の低下とされています。 動脈硬化は、血管の中にプラークや血栓が生じて弾力性が失われ、硬くなる状態です。 動脈硬化が陰茎の血管に影響すると、勃起に必要な血液が海綿体に十分流れ込まなくなり、勃起が起こりにくくなるでしょう。 動脈硬化の影響は細い血管から現れやすく、陰茎の海綿体の毛細血管は特に細いため、影響を受けやすいとされています。
糖尿病による高血糖は、海綿体の機能不全を招いて勃起力を低下させることがあるでしょう。 勃起は、性的刺激を受けると血管の内側でNO(一酸化窒素)がつくられ、これを引き金にして陰茎海綿体の筋肉を弛緩させる物質cGMP(環状グアノシン一リン酸)が増えて、海綿体の血流が増加することで起こります。 しかし高血糖が続くと、海綿体の血管内皮が傷ついてNOの産生が低下するのです。その結果、平滑筋がゆるみにくくなり、海綿体へ十分な血液が流れ込まず勃起が起こりにくくなります。
EDは神経障害によっても引き起こされる可能性があります。 糖尿病により、常に高血糖の状態が続くと、自律神経のバランスに影響をおよぼしかねません。 自律神経は、心臓や呼吸、消化、排泄などの機能をコントロールする神経です。勃起の成立に必要なNOの放出は副交感神経を介しているため、交感神経の活動が過剰になると勃起機能に影響をおよぼす可能性があります。
糖尿病を原因とするストレスは、勃起をコントロールする神経に影響し、心因性のEDを引き起こすことがあります。 糖尿病患者は、血糖値をコントロールするための食事や運動などの生活習慣の変化や自己管理によって、ストレスを感じやすくなります。厚生労働省の情報によると、うつ症状がみられる糖尿病患者の割合は約30%です。 うつ症状により性的刺激を脳が十分に感じられなくなると、勃起が困難になることがあります。勃起が困難になると性行為に対するプレッシャー・不安感が増すことで、心因的なストレスがさらに高まることもあるでしょう。
参考:厚生労働省「糖尿病とこころ」
糖尿病を起因とするうつ病などの治療薬により、EDが引き起こされる場合もあります。 抗うつ薬や抗精神病薬の服用は、薬剤性EDにつながることがあるとされています。また、糖尿病の合併症として併発しやすい高血圧の治療薬(一部の降圧薬)などが、陰茎への血流や神経の伝達に影響を与えることがあるでしょう。 もし「服用中の薬が原因かもしれない」と感じた場合でも、自己判断で糖尿病や高血圧の薬を中断することは危険です。必ず医師に相談し、安全なED治療の進め方を決めていきましょう。
糖尿病によるEDは、生活習慣の見直し・血糖コントロール・ED治療薬の服用などによって、症状の軽減や改善が期待できます。 EDは生活習慣病とのつながりが深く、生活習慣の見直しが直接的な対処につながり得る点が特徴です。 ここからは、それぞれの対処法を解説します。
糖尿病によるEDの改善には、生活習慣の見直しが土台になります。 糖尿病の背景には、肥満や糖質の摂りすぎ、運動不足、過度な飲酒など生活習慣に起因するものが多くみられます。 生活習慣を見直して糖尿病の進行を抑えることが、EDの改善につながる可能性があります。
食事の見直しは、血糖値のコントロールとEDの改善のために欠かせません。 血糖値が上がりやすい高カロリー・高脂肪・高塩分の食事を避け、栄養バランスのとれた食事を心掛けましょう。野菜や果物、玄米などの全粒穀物や魚、豆類などを中心とした食事が推奨されます。また、1日3食、規則正しく食べることも大切です。 食べる量や内容を整えることは、肥満の予防や血管の健康維持にもつながります。
参考:厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」
適度な運動は、血糖値のコントロールと適正体重の維持に役立ちます。 厚生労働省によると、週に3回以上、1回20分以上の有酸素運動が望ましいとされているため、生活に取り入れてみましょう。 肥満は男性ホルモンのテストステロンの減少に関与し、テストステロンの減少は性欲減退を招くことがあります。その結果、EDのリスクを高めるため、食事と運動の両面から適正体重を保つことが大切です。
参考:厚生労働省「糖尿病を改善するための運動」
飲酒は適量を守り、喫煙は控えることが血流の維持につながります。 過度な飲酒を続けると血糖値の上昇を招き、EDのリスクを高める可能性があるでしょう。 喫煙は血管を収縮させて血流を悪化させるため、禁煙によって血流が保たれ、EDの改善が期待できます。
十分な睡眠とストレス対策も、糖尿病とEDの改善に役立ちます。 ストレスは血糖値や血圧を高め、EDの一因になることがあります。 睡眠をしっかりとり、趣味や好きなことで気分転換を図るなど、ストレスをためない工夫を取り入れましょう。
糖尿病によるEDの改善には、血糖値のコントロールが重要です。 血糖値が高い状態が続くと血管が傷つきやすくなり、勃起に必要な血流が悪くなってEDのリスクが高まります。 目標値は個人の状態や治療計画によって異なりますが、日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド」で示されている血糖コントロール目標は以下のとおりです。
| 目標 | 血糖の正常化を目指す際の目標 | 合併症予防のための目標 | 治療強化が難しい際の目標 |
|---|---|---|---|
| HbA1cの目標値 | 6.0%未満 | 7.0%未満 | 8.0%未満 |
※HbA1cは、血液中で糖と結びついたヘモグロビンの割合を示す指標です。
血糖値を良好に保つことで、血管障害や神経障害の進行を抑え、EDの改善が期待できます。 血糖値の急な上昇を抑えるためには、食事の際サラダや酢の物から食べ始めたり、食物繊維を含む食材を加えたりするなど、無理なくできそうなことから始めてみましょう。
糖尿病によるEDの改善には、ED治療薬の服用も対処法の一つです。 ED治療薬はPDE5阻害薬と呼ばれ、陰茎への血流をサポートして勃起を助ける役割があります。 薬を飲めば自動的に勃起するわけではなく、性的刺激を受けたときの勃起する力を補う点を理解しておきましょう。 国内で承認されているED治療薬には、シルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シアリス)があり、持続時間や食事の影響が異なります。

糖尿病あるいはその予備軍と診断され、勃起の変化が続く場合は早めの受診を検討しましょう。 EDは血管のトラブルを知らせる体からのサインであることもあり、放置せず相談することが糖尿病の改善やほかの病気の早期発見につながります。 ここでは、受診を検討する目安を解説します。
中折れや十分な硬さが得られない状態が続くときは、早めに医師へ相談しましょう。 前述のとおり糖尿病とEDは併発しやすいため、糖尿病と診断され、勃起不全などの自覚症状がみられる場合は、EDを併発している可能性があります。 EDは進行すると治療薬の効果が現れにくくなることもあるため、症状が軽いうちの相談が大切です。
EDは、動脈硬化や心血管疾患のサインとなる場合があります。 陰茎の血管は全身の血管のなかでも特に細いため、動脈硬化の影響が早期に現れやすいとされています。 そのため、EDの症状が、全身の血管の状態を見直すきっかけになることもあります。 勃起の変化を感じた際は、性機能の低下だけでなく、血管や血糖の状態にも目を向けることが大切です。

糖尿病によるEDは、進行する前の早めの相談が大切です。ED治療薬は併用できない薬があり、糖尿病で複数の薬を使っている方は特に注意が必要なので、自己判断や個人輸入での使用は避けましょう。必ず医師の診察を受けて服用中の薬を確認したうえで使用してください。なお、シアリスのスイッチOTC化(市販化)に関する動向もありますが、市販薬を検討される場合であっても、まずは医師や薬剤師へのご相談をおすすめします。
ここでは、糖尿病とEDについて、読者が抱きやすい疑問に回答します。
糖尿病によるEDは自然に治ることはありますか?
軽症の場合、血糖コントロールや生活習慣の見直しで変化がみられることもありますが、放置して自然に改善するとは限りません。気になる症状が続く場合は医師に相談しましょう。
糖尿病によるEDの治療は保険適用されますか?
ED治療は原則として保険適用外の自由診療です。なお、一定の条件を満たした不妊治療目的の場合に限り、保険適用が認められる例があります。
ED治療薬は糖尿病の薬と一緒に飲めますか?
多くの糖尿病治療薬とは併用できますが、狭心症などで硝酸薬を使用している場合は併用が禁忌です。服用中の薬は必ず医師に伝えてください。
糖尿病になると性行為はできなくなりますか?
糖尿病の人すべてが性行為をできなくなるわけではありません。EDがある場合でも、血糖コントロールや治療によって改善が期待できます。
糖尿病のある人はEDを発症しやすく、その背景には高血糖による血管・神経障害や心理的要因、薬剤などが関係しています。 糖尿病が関係するEDは、血糖コントロールや生活習慣の見直しを土台に、ED治療薬を組み合わせることで改善が期待できます。ただし、進行すると治療薬の効果が現れにくくなることもあるため、早期の対処が大切です。 勃起の変化が続く場合は、糖尿病とEDの両面から、医師への相談を検討してみてください。「対面では相談しにくい」「忙しくて通院できない」という方は、オンライン診療での相談も可能です。レバクリを通じたオンライン診療では、スマホで簡単に予約でき、治療薬は希望の場所で受け取れます。初診料・再診料は発生しませんので、ぜひご相談ください。
厚生労働省「糖尿病とこころ」
厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」
厚生労働省「糖尿病を改善するための運動」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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狭心症などで硝酸薬または一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリンなど)を使用している場合、ED治療薬との併用は禁忌です。 急激な血圧低下を招くおそれがあるため、糖尿病で高血圧や心疾患の治療を受けている方は、服用中の薬を必ず医師に伝えてください。 副作用には頭痛やほてり、鼻づまり、消化器症状などが報告されており、4時間以上勃起が続く場合や痛みがある場合は速やかに受診が必要です。 なお、ED治療は保険適用外の自由診療です。ただし、不妊治療の目的で、厚生労働省が定める条件を満たした場合に限り、保険適用となる例外があります。