更新日:2026年06月29日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
日々忙しい中でダイエットに取り組む余裕がなく、「市販薬でラクに痩せたい」と思っている方もいるでしょう。内臓脂肪を減らせる市販薬が販売されていますが、誰でも購入・服用できるわけではありません。しかし、ダイエットの助けとなる薬や健康食品はほかにもあるため、自分に合うものをうまく取り入れるとよいでしょう。本記事では、ダイエットに役立つ薬の種類やアプローチ、服用する際の注意点について解説します。
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市販薬の中には、ダイエット効果を期待できるものもあります。しかし、ただ「薬を飲むだけで痩せる」というわけではなく、生活習慣の改善や記録などの取り組みが必要です。
以下では、ダイエットに役立つ市販のものについて、「一般的な医薬品」「漢方薬」「健康食品」の3つに分類して解説します。
注目を集めているトピックとして、2024年に日本で初めて市販が開始された内臓脂肪減少薬があります。
この薬は、食事により摂取した脂肪の分解を阻害して、そのまま便とともに排出するものです。服用により、本来は吸収されるはずの脂肪が体に蓄積されないため、継続して服用することで内臓脂肪を減少させる効果が期待できます。
薬局やドラッグストアで購入できるものの、薬剤師との対面や書類の記入が必要です。腹囲の数値や生活習慣改善への一定の取り組みなど、服用するための条件があります。入手しやすい市販薬という形ではありますが、誰でも自由に購入・服用できるわけではありません。
加えて、食事や運動といった生活習慣の改善やその記録もあわせて行う必要があります。服用の3か月前から取り組む必要があり、薬を継続して購入する際は、生活習慣の改善記録の提示が必要です。服用に関するハードルは高いといえるでしょう。
漢方はダイエットに役立つ市販薬としてよく知られています。体質に合わせた適切な服用により、代謝を高めたり食欲を抑えたりすることでダイエットをサポートします。
ダイエットの効果が期待できる主な漢方には、次のものがあります。
それぞれの効能やおすすめしたい方を、以下で詳しく解説します。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)には、次の効能があります。
「ついつい食べすぎてしまう」「脂っこいもの・味の濃いものが好き」という方は、代謝が追いつかずに体に脂肪が付いてしまいがちです。こうした方は体に熱がこもりやすく、うまく発散できないために便秘や吹き出物につながることもあります。
防風通聖散を服用することで、体にたまった熱が発散され、脂肪の分解・燃焼を促進します。腸管運動も活性化されるため、便通の改善にもつながるでしょう。
おなか周りの脂肪に悩んでいる方や、便秘がちな方におすすめです。一方、冷え性の方や体の弱い方には向いていません。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)には、次の効能があります。
食べすぎていないのに太っている、むくみがちという方は、体内の「水(すい)」のバランスが崩れているかもしれません。
防已黄耆湯を服用することで、胃腸機能の改善が期待できます。消化吸収を促進して余分な水分を排出し、エネルギーの産出や消費を正常にすることで、ダイエット効果が期待できます。これにより、体重の増加によるひざや関節の痛みが改善されることも少なくありません。
むくみがちな方や、汗をかきやすい方におすすめです。
大柴胡湯(だいさいことう)には、次の効能があります。
大柴胡湯を含む薬の服用は、筋肉質で脂肪が付きやすい体質、いわゆる「固太り」の方におすすめです。固太りになると、上半身のエネルギーの巡りが悪くなり、二の腕やわき腹をはじめ全身に脂肪が付きやすくなります。わき腹からみぞおちにかけて張り、苦しく感じる方にも有効な漢方です。
大柴胡湯を服用することで、エネルギーの巡りが改善され、自律神経の働きも整います。血液の巡りも改善されることで、便通の改善も期待できます。
ストレスがたまりやけ食いしてしまう、年齢を重ねて痩せにくくなってきたという方にもおすすめです。
健康食品とは、健康の維持・促進に役立つことがうたわれている食品です。ただし、法律上の定義はありません。
ダイエットに役立つ薬以外のものとして、サプリメントを思い浮かべる方もいるでしょう。サプリメントも健康食品の1つに分類され、こちらにも法律上の定義はありません。
健康食品には、国の制度によって機能性を表示できる「保健機能食品」とそれ以外のものがあり、サプリメントは後者に分類されます。保健機能食品は、容器や包装への表示についての決まりがあります。
以下では、保健機能食品を構成する「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」について、詳しくみていきましょう。
特定保健用食品とは、健康を守る機能性が証明されている特定の成分を含んだ食品です。機能性とは、たとえば「食後の血糖値の上昇を穏やかにする」「睡眠の質を高める」といったものです。
食品ごとに安全性と有効性について国が個別に審査を行い、消費者庁から表示の許可を得たものが特定保健用食品です。国に対して科学的な根拠を示し、有効性があると認められたものに「特定保健用食品」の表示が許可されます。なお、消費者への科学的根拠の公開は義務付けられていません。
特定保健用食品は国による審査を経て市販されているため、安心感を持って使用できます。
機能性表示食品とは、科学的根拠に基づく機能性が表示されているものです。
特定保健用食品との違いは、国による審査を経ていない点と、消費者への情報公開が義務である点です。特定保健用食品は国の審査を通過しなければなりませんが、機能性表示食品には国の審査はありません。その代わり、メーカーの責任で機能性を評価し、消費者庁へ届け出る必要があります。加えて、メーカーは科学的根拠を公開しなければなりません。
消費者自身が成分や機能性の情報を得られるため、各自の判断で納得したうえで使用できます。
栄養機能食品とは、特定の栄養成分を補給できるものです。国が定めた範囲内で栄養成分を含む場合、所定の機能性表示と注意喚起が義務付けられています。栄養機能食品として表示できる栄養成分は何でもよいわけではなく、20種類ほどが指定されています。
栄養機能食品には、国や消費者庁による審査はありません。特定の栄養成分が一定以上含まれていれば、事業者が「栄養機能食品」として表示できます。ただし、食品の持つ効果や機能性を表示することはできません。
補いたい栄養が明確であれば、栄養機能食品を選ぶとよいでしょう。
ダイエットと一口に言っても、アプローチは次のようにさまざまです。
たとえば、ついつい食べすぎてしまう方は食欲を抑えること、むくみやすい方は体内の水分を排出することがダイエットに効果的と考えられます。どのようなアプローチでダイエットしたいかによって得たい効果が変わり、どの市販薬を選ぶか判断できます。
上記の効果のメカニズムについて、以下で詳しくみていきましょう。
食事で体内に摂り込んだ脂肪の吸収を抑えることは、ダイエットに効果的です。食事から摂取した中性脂肪は、膵液に含まれる脂肪分解酵素(リパーゼ)によって、脂肪酸とモノグリセリドに分解され、小腸から吸収されます。吸収された脂肪酸は血液中に放出され、脳や体のエネルギー源として消費されます。
しかし、エネルギーとして脂肪を使いきれない場合も少なくありません。こうした脂肪は、中性脂肪に変化して体にため込まれます。
脂肪の吸収を抑える薬では、脂肪の分解を抑えることで吸収を阻害します。脂肪は分解なしには吸収されないという性質があります。吸収されなかった脂肪は、体外に排出されるという仕組みです。
脂肪は、摂取したうちの95%以上が体内に吸収されるといわれています。これは、食事に含まれる脂肪のほとんどが体に付くため、太りやすいことを意味します。
食事から体内に蓄積される脂肪の吸収を阻害する方法は、油っこい食事が好きな方におすすめのアプローチです。
体内にため込まれた脂肪を燃焼させることで、体重を減らす効果が期待できます。一度付いてしまった脂肪は、「脂肪の吸収を抑える」というアプローチでは減らせません。
こうした場合は、有酸素運動や筋力トレーニングなどの運動が効果的です。並行して、脂質の代謝を上げる薬を使うことも視野に入れましょう。脂肪は1gあたり約9kcalのエネルギーを持っており、蓄積された脂肪1kgを消費するには約7,200kcalのエネルギー消費が必要です。
脂肪を消費するために多くのカロリーを要するため、運動だけで多くの脂肪を燃焼させるのは大変です。そこで、薬を補助的に使うことで、運動の効果を促進できるでしょう。「付いてしまった脂肪を何とかしたい」という方におすすめのアプローチです。
脂肪だけでなく、糖質の吸収を抑えることもダイエットに効果的です。糖質を多く含む食材には、米やパン、麺などの主食やイモ類があります。
糖質は小腸でブドウ糖などに分解され、肝臓から血液中に放出されて血糖値が上昇します。その結果、膵臓からインスリンが分泌されて筋肉や肝臓に取り込まれるという仕組みです。
取り込まれたブドウ糖はエネルギー源として使われるほか、「グリコーゲン」という形で筋肉や肝臓に貯蔵され、血中のブドウ糖が不足したときに補給されるエネルギー源となります。
しかし、エネルギー源や貯蔵分を超過したブドウ糖(グルコース)は中性脂肪となり、体内に蓄えられることで太ってしまいます。
糖質の吸収を抑えるアプローチは、血糖値が気になる方や炭水化物が好きな方におすすめです。脂肪の吸収を抑えるよりも、糖質の吸収を抑える方が効果的にダイエットできる方もいます。自分に合ったアプローチを選びましょう。
食欲を抑えることで、体に摂り込む食事の量を減らし、太りにくくする効果が期待できます。一度体に付いてしまった脂肪を落とすのは簡単ではありません。
そのため、最初から余計な脂肪や糖分を摂らないというアプローチも、ダイエットに有効です。食事の量を減らすことで、すでに蓄えられた脂肪がエネルギーとして燃焼されることにもつながります。
直接的に食欲を抑える処方薬はありますが、市販はされていません。しかし、満腹感を維持して「食べたい」という気持ちが起こらないようにする薬や健康食品はあります。
一部のサプリメントには、プランタゴ・オバタなどの食物繊維を含むものがあり、水分を吸収して胃で膨らむことにより、空腹感が起こりにくくなるという仕組みです。少量の食事でも満足感を得やすく、食べすぎ防止の効果も期待できます。
つい食べすぎてしまう方やストレスでドカ食いしやすい方におすすめのアプローチです。
体内の余分な水分を排出し、むくみや胃腸の働きを改善することも、ダイエットのアプローチの1つです。太って見えるのは、むくみが原因である場合も珍しくありません。体内では水分が循環し、栄養を送ったり、老廃物を排出したりしています。
心臓や筋肉がそのポンプ役ですが、この機能が何らかの理由でうまく働かなければむくんでしまいます。筋肉量の減少や水分・塩分の摂りすぎ、同じ姿勢を長時間続けることなどが主な原因です。
市販薬や健康食品は手軽に購入・服用できる反面、次の注意点もあります。
それぞれの注意点について、以下で具体的に解説します。
ダイエットで市販薬や健康食品を活用する場合は、日常生活の改善もあわせて行う必要があります。たとえば、食事を見直して食べすぎや栄養バランスの偏りをなくす、適度な運動を習慣づけてカロリーを消費するといったことが必須です。
一度蓄えられた脂肪は、食生活や薬の服用だけでは十分に燃焼されません。付いてしまった脂肪を減らすには、運動を習慣づけることが大切です。ウォーキングや水泳などの有酸素運動では、脂肪が分解されてエネルギー源として消費されます。腹筋やスクワットなどの筋力トレーニングは、体の基礎代謝を向上させるために有効です。
市販薬だけでは健康的なダイエットはできません。ダイエットの効果が期待できる健康食品も、摂りすぎれば太る原因となります。薬や健康食品は、あくまでもダイエットをサポートするものとしてとらえましょう。
薬を服用した場合、副作用が出る場合があることにも注意しましょう。
薬を服用する際は、添付文書をよく読み、用法・用量を守らなければなりません。健康食品の場合も、過剰摂取は避ける必要があります。副作用と思われる症状が改善しない場合は薬の服用を中止し、医療機関を受診しましょう。
薬の効果は服用する方の体調や状況などによって異なります。同じ薬を飲んだからといって、誰でも同じ効果が得られるわけではありません。
健康食品の中には、一定の条件下でなければ効果が期待できないものもあります。たとえば、食事と並行して摂取することで機能性を発揮できる健康食品は、食後に摂取しても機能性を発揮できない場合があります。摂取するタイミングや量にも気を付けましょう。
薬の中には、特定の病気の方や妊娠中の方が服用できないものもあります。自己判断で服用せず、事前に医師に相談してください。
同じ薬でも、病気や妊娠の状態によって服用できるかどうかは異なります。かかりつけの医師であれば、体の状態について過去からの経過を通して服用してもよいかどうか判断してもらえるでしょう。安心・安全にダイエットをするために、有効なアドバイスを受けられる可能性もあります。
病気や妊娠中の方は、薬や健康食品に関して健康な方よりも慎重な判断が必要です。薬や健康食品の記載事項を理解することは重要ですが、それだけで判断せず、医師の指示を仰ぐようにしてください。
ダイエットの薬や健康食品を複数併用する際も、医師に相談することをおすすめします。健康食品は薬ではないため、あまり気にせず併用する方もいるかもしれませんが、成分によっては注意が必要となることも考えられます。
併用の仕方によっては、薬の効果が弱まったり過剰になったりすることがあります。ダイエットのために摂取した薬や健康食品が、思わぬ逆効果を招く場合があるため、自己判断による併用は避けましょう。
ダイエットにおいては、市販薬よりも処方薬の方が効果は強い傾向にあります。市販薬の方が効果は穏やかであるため、ダイエットに直接的な効果は得にくいでしょう。市販の薬や健康食品は、あくまで補助的に使うことが想定されています。そのため、短期間で確実に痩せたい方には、市販薬でのダイエットはあまり適していません。
一方で、市販薬は成分の配合量が処方薬に比べて少なく、安全性を重視した設計がされています。「副作用が不安」「生活習慣などを総合的に見直して健康的に痩せたい」という方は、市販薬をうまく使うとよいでしょう。
処方薬が保険適用されるかどうかは、ダイエットの目的が肥満解消か美容かによって異なります。肥満を解消することが目的であれば、保険適用となる場合があります。これは、肥満は糖尿病や高血圧といった生活習慣病のリスクを高めるものであるためです。
BMIの数値や健康リスクの度合いによっては、診療や処方に保険が適用されることもあります。健康上の理由からダイエットをしたい場合は、一度受診することをおすすめします。
美容目的であれば保険は適用されないことが一般的です。お金はかかるものの、医師のサポートのもとで効果の高い薬の処方を受けたり、医学的な見地からのアドバイスを受けたりできます。
「市販薬を使って自力でダイエットできる自信がない」「早く確実に痩せたい」という方には、「メディカルダイエット」という方法もあります。
メディカルダイエットとは、医師の指導による医学的・科学的な根拠に基づいたダイエット方法です。主な方法には薬の服用や医療機器による処置、手術などがあります。医師のもとで行うダイエットであり、安全性の高さや高い効果が魅力です。
医師から処方される薬により、効果的かつ安全にダイエットを進められます。市販薬とは異なり、自分に合った薬を選んでもらえるため、選択に迷うこともありません。加えて、日常生活における食生活や運動などの習慣についても、医師から的確な助言を受けられるでしょう。
ダイエットに役立つ市販薬は多くあり、薬によってアプローチや期待できる効果は異なります。しかし、「飲むだけで痩せる」という薬はごく一部であり、日常生活の改善がダイエットの基本です。
ダイエットに有効なものは薬だけではなく、特定保健用食品や機能性表示食品などの健康食品もあるため、自分に合ったものをとり入れて健康的なダイエットを目指しましょう。
自力でのダイエットが難しい、早く痩せたいという方は、市販薬ではなく処方薬を使った「メディカルダイエット」も検討してみてください。
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メディカルダイエットとは、痩せホルモン「GLP-1」などの作用を薬剤で促進し、食欲を自然に抑えて痩せやすい身体を作る治療法です。 つらい食事制限や激しい運動を必要とせず、カロリー収支をマイナスに整えることで減量を目指します。
処方について
効果実感には個人差がありますが、無理なく体重を減らし、リバウンドしにくい体質を作るため、3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
美容目的のダイエット治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(月数千円〜数万円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
ダイエットの成功には「継続的なカロリーコントロール」が不可欠ですが、自力での食事制限はストレスが大きく、結果が出にくいこともあります。 また、クリニックへの定期的な通院は、時間や費用などの負担に加え、体型に関するデリケートな悩みゆえに人目が大きな心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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むくみは水分がたまることで起こるため、放置しても脂肪に変わることはありません。しかし、体内の水分貯留によって数キロ程度の体重増加が見られることがあります。
むくみを放置してしまうと、血流やリンパの流れが悪化して脂肪をため込みやすい体になってしまうため、早めの対策が必要です。「むくみやすい」「汗をかきやすい」という方に、おすすめのアプローチです。
腸内環境を整えることも、健康的なダイエットに有効な方法です。
便通をよくすることで、直ちに減量できるというわけではありません。しかし、腸内環境を整えることで体内の老廃物の排出がスムーズになり、栄養素の吸収やエネルギー代謝、さらには食欲調節に関わる短鎖脂肪酸の産生を介して、痩せやすい体内環境づくりをサポートする可能性が示唆されています。
ダイエットをしていると、食事量の減少や食物繊維の不足によって、便秘に陥ることもあります。ダイエット中の便秘に悩む方は、まずは無理なダイエットをしていないか振り返り、食生活を見直しましょう。
それでも便通が改善されない場合は、整腸作用のある薬や健康食品を補助的に摂ることがおすすめです。「便秘がちで毎日排便がない」という方に、おすすめのアプローチです。