更新日:2026年01月21日
脂漏性皮膚炎によるフケや赤み、かゆみに悩まされ、治し方を探している方もいるかもしれません。脂漏性皮膚炎を治すには、皮膚科に掛かることが大切です。皮膚科では脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチア菌を抑制する抗真菌薬や、炎症を抑えるステロイド外用薬などが処方されます。この記事では、脂漏性皮膚炎の予防と再発防止のためのセルフケアも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
脂漏性皮膚炎を効果的に治すには、主に抗真菌薬やステロイドの外用薬(塗り薬)を使用します。脂漏性皮膚炎の発症原因の一つとされているマラセチア菌は皮膚に常在するカビの一種であり、抗真菌薬を塗ることで繫殖を抑えられるためです。また、抗炎症作用があるステロイドの塗り薬を併用することもあります。
症状が軽い初期段階では市販薬で対応できる場合もありますが、症状がひどい場合には皮膚科で薬を処方してもらう必要があります。ここでは、医療機関での治療と自宅でできる対処法について説明します。
脂漏性皮膚炎の治療では、医師の診察を受けたうえで適切な薬剤を処方してもらうのが一般的な方法です。
皮膚科で処方される代表的な薬剤には以下のようなものがあります。
抗真菌薬:脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチア菌を抑制する薬
ステロイド外用薬:炎症を抑える効果があるが長期使用には適していない
カルシニューリン阻害薬:アトピー性皮膚炎や自己免疫疾患炎症を抑える薬。長期使用が必要な際に、第二選択として用いられることがある
症状が重く、外用薬だけで効果が得られない場合は、皮脂分泌をコントロールするビタミンB2・B6が含まれたビタミン剤や、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬といった内服薬(飲み薬)が処方されることもあります。
脂漏性皮膚炎の症状が軽い場合や、すぐに医療機関を受診できない場合には、市販薬を利用して症状の緩和を図ることも可能です。脂漏性皮膚炎に効果的な市販薬には、次のようなものがあります。
| 症状 | 必要な成分 | 具体的な薬品名 | 効果 |
|---|---|---|---|
| フケ・かゆみ | 抗真菌成分 | ケトコナゾールやミコナゾール硝酸塩、ピリチオン亜鉛 | 頭皮の脂漏性皮膚炎に効果的で、菌の増殖を抑え、フケやかゆみを軽減する |
| 頭皮の赤み・炎症 | 抗炎症成分 | グリチルリチン酸ジカリウム、サリチル酸 | 炎症を鎮め、かゆみや赤み、肌荒れを軽減する |
| 頭皮の乾燥 | 低刺激・保湿成分 | セラミドやスクワラン、アロエエキス | 肌の水分を保ち、外部刺激から頭皮を守る |
市販薬は対症療法であり、根本的な治療ではありません。一時的に脂漏性皮膚炎の症状が落ち着いても、再発することもあるため、継続的なケアが必要です。脂漏性皮膚炎の症状がひどい場合や、繰り返し再発する場合は自己判断で治療を続けず、皮膚科を受診しましょう。
脂漏性皮膚炎の主な症状は、頭皮や鼻、頬、耳の後ろといった皮脂の分泌が多い部位にかゆみ・赤み・皮むけなどの症状が出ることです。頭皮に脂漏性皮膚炎を発症すると、フケが増えたり、かさぶたのようにフケが固まったりします。
脂漏性皮膚炎には乳児型脂漏性皮膚炎と成人型脂漏性皮膚炎があり、乳児型の場合はスキンケアを適切に行うことで、生後8〜12ヶ月になるころに自然に治るとされています。一方、成人型脂漏性皮膚炎の場合は乳児型脂漏性皮膚炎と異なり、自然治癒することは少なく、再発しやすいのが特徴です。成人型脂漏性皮膚炎は、一般的に30~40代に発症しやすいとされています。
脂漏性皮膚炎は、皮膚症状やフケの発生などから、接触性皮膚炎(かぶれ)やアトピー性皮膚炎と見分けるのが難しいケースもあります。正しく判断してもらうためにも、疑わしい症状が出たら皮膚科を受診するようにしましょう。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
脂漏性皮膚炎の原因は明確にはなっていませんが、成人型脂漏性皮膚炎の原因の一つとして考えられるのは、マラセチア菌というカビ(真菌)の増加です。マラセチア菌が増殖することで炎症が起こりやすくなると考えられています。マラセチア菌は常在菌(人の体に日常的に存在する菌)で、皮脂や汗などが多く分泌されると増殖するとされています。
脂漏性皮膚炎の主な原因は、以下のとおりです。
皮脂の過剰分泌:ストレスやホルモンバランスの乱れなどによる皮脂の過剰分泌
体質的な要因:乾燥や紫外線による皮膚のバリア機能の低下
生活習慣の乱れ:睡眠不足や食生活の乱れによる免疫力の低下
脂漏性皮膚炎を発症する原因は一つとは限らず、上記のようなさまざまな要因が絡み合った結果、引き起こされる場合があります。脂漏性皮膚炎になった場合、服薬治療だけでなく、根本的な原因となる生活習慣の改善や適切なスキンケアなどが必要となるでしょう。
脂漏性皮膚炎は完全に治ったように見えても、適切なケアを怠ると再発しやすい特徴があります。ここでは、日常生活で実践できる効果的な脂漏性皮膚炎の予防法と、再発防止のためのセルフケア方法を紹介します。
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌が盛んな部位に発症しやすいため、皮脂が溜まりやすいとされている頭や鼻、わき、頭皮などを特に清潔に保つことが大切です。洗顔や洗髪が不十分で皮脂汚れが残ると、脂漏性皮膚炎の原因の一つとされている、マラセチア菌が増えるおそれがあります。
ただし、洗い過ぎは皮膚のバリア機能を低下させ、脂漏性皮膚炎の症状を悪化させる可能性があります。洗顔は1日2回程度、洗髪は1日1回行い、皮脂が多くなりやすい部位の汚れをとりましょう。入浴後は速やかに皮膚の水分を拭き取り、清潔な状態にしたうえで低刺激性の保湿剤で保湿し、肌が乾燥して過剰に皮脂が分泌されるのを防ぐことも大切です。
また、汗をかいた際はできるだけ早く汗を拭き取るか、シャワーを浴びて清潔な状態を保つよう心掛けましょう。
肌に合わないシャンプーや洗顔料を使用していると、脂漏性皮膚炎の症状が悪化するおそれがあります。自身の肌質に合うものを使えているか、今一度確認すると良いでしょう。
なお、市販されているシャンプーの中には、ミコナゾール硝酸塩という抗真菌の成分を含むものや、アミノ酸系洗浄成分が配合されている肌に刺激の少ないシャンプーがあるので、頭皮環境を改善させるために使用するのも一つの方法です。
ワックスやジェルなどの整髪料を普段使っている方は、1回の使用料は適切か、洗髪の際に落としきれているかなどを確認してみましょう。
また、洗顔料は弱酸性で低刺激のものを選ぶと良いでしょう。脂漏性皮膚炎の方が刺激の強い洗顔料を使用すると、乾燥を招き、症状が悪化する恐れがあります。
ゴシゴシと強く洗髪すると、頭皮のダメージとなり乾燥やかゆみを引き起こすおそれがあります。また、熱過ぎるお湯は皮脂を過剰に落とし、皮膚を乾燥させてしまうため、熱いと感じない程度のぬるま湯で洗うようにしましょう。洗浄後はすすぎ残しがないよう十分にすすぎます。シャンプーやリンスが頭皮や肌に残ると、刺激の原因になることがあるため注意しましょう。
洗顔の際は、泡をクッションにして肌を直接こするのを避けると、摩擦を減らせます。洗髪の際はシャンプーを泡立て、指の腹で優しくマッサージするようにして洗いましょう。爪を立てたり、強くこすったりするのは厳禁です。
なお、洗顔や洗髪のあとにタオルで顔や体を拭くときは、なるべく肌をこすらないようにすることも大切です。肌への刺激を減らすために、タオルを軽く押し当てるようにして水分を拭き取りましょう。
脂漏性皮膚炎の予防と治療には、保湿と紫外線対策が大切です。
保湿は、皮膚のバリア機能を維持するために必要です。保湿を行わないと、皮膚が乾燥してしまい、水分不足を補おうと皮脂の分泌が増えて、脂漏性皮膚炎が悪化してしまう可能性があります。特に洗顔・洗髪後は肌が乾燥しやすいため、すぐに保湿ケアを行いましょう。
また、紫外線は皮膚の刺激となり、炎症を悪化させる可能性があります。外出時は日焼け止めを使用し、帽子や日傘で直射日光を避けるなどの対策が必要です。脂漏性皮膚炎の方は、低刺激性の日焼け止めを選ぶようにしましょう。
スキンケア製品を選ぶ際は、アルコールやフレグランスなど刺激の強い成分が含まれていないものを選ぶことが重要です。「敏感肌用」「低刺激性」と表示された製品がおすすめです。
睡眠不足は成長ホルモンの分泌を抑制し、肌のターンオーバーが乱れる原因となります。ターンオーバーは、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わることです。ターンオーバーが乱れると、肌がガサガサになったりニキビができやすくなったりします。
一定の周期で肌のターンオーバーが起こることで健康な皮膚を保てるため、普段から十分な睡眠を取るよう心掛けましょう。厚生労働省の「良い睡眠の概要(案)」によると、理想的な睡眠時間には個人差がありますが、基本的に6〜8時間ほどとされています。毎日同じ時間に就寝・起床する規則正しい生活リズムを心掛けると、なお理想的です。
また、枕カバーやシーツはこまめに洗濯し、清潔に保つことも大切です。特に頭皮の脂漏性皮膚炎がある方は、枕に皮脂や菌が付着し、症状を悪化させることがあります。
参考:厚生労働省「第2回健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」
脂漏性皮膚炎の発症予防・再発防止のために、脂質の多い食事は避けるようにしましょう。脂質を摂り過ぎると、皮脂の分泌量が増えてマラセチア菌の繫殖につながるおそれがあります。揚げ物や菓子類、バラ肉・ロース肉といった脂身の多い肉類などの脂肪分や糖分は、摂り過ぎないように気をつけましょう。
なお、皮膚の状態を良くするために積極的に摂りたい栄養素は、ビタミンB2やビタミンB6といったビタミンB群です。レバーやうなぎ、納豆、乳製品などに含まれるビタミンB2は、皮脂の分泌を抑制する働きがあります。また、ビタミンB6は赤身の魚や鶏ささみ、バナナなどに含まれており、肌のターンオーバーを整える作用があるとされています。栄養バランスのとれた食事を心掛けつつ、これらの栄養素を積極的に摂ることも意識してみましょう。
ストレスによってホルモンバランスが乱れると、皮脂が過剰に分泌されるおそれがあります。また、ストレスで自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れて交感神経が優位になると、ターンオーバーが乱れて肌荒れを引き起こす可能性があります。
ストレスを溜めないために、音楽を聴いたり軽い運動をしたりするといった方法で適宜リフレッシュしましょう。深呼吸をしたり趣味に時間を使ったり、ストレス緩和のために、睡眠時間を確保して心身を休めることも大切です。
脂漏性皮膚炎の治療は、医学的なアプローチだけでなく、生活習慣の改善を含めた総合的なケアが重要です。一つひとつの対策を根気強く続けることで、症状の改善と再発予防につながります。
脂漏性皮膚炎の治し方には、主に抗真菌薬やステロイド外用薬による治療が効果的です。原因菌であるマラセチア菌の増殖を抑制し、炎症を鎮める治療が基本となります。症状が軽い場合は市販の抗真菌成分入りシャンプーや低刺激洗顔料で対応できますが、症状が重い場合は皮膚科を受診して適切な処方薬による治療が必要です。
脂漏性皮膚炎の再発を防ぐためには、日常的なセルフケアが欠かせません。皮脂の多い部位を清潔に保ちながらも過度な洗浄は避け、低刺激のスキンケア製品を選ぶことが大切です。また、十分な睡眠やバランスの良い食事、ストレス管理といった生活習慣の改善も症状の安定に役立ちます。特に脂質の多い食事を控え、ビタミンB群を積極的に摂取することで皮脂分泌のコントロールをサポートできます。
脂漏性皮膚炎は一時的に良くなっても再発しやすいため、治療と予防を継続的に行うことが大切です。症状が繰り返し悪化する場合は、自己判断での対処を続けず、医師に相談しましょう。