更新日:2024年02月15日
脂漏性皮膚炎の治し方は?症状や原因、セルフケアについても解説
- 脂漏性皮膚炎は頭皮や鼻、頬などに赤み・かゆみなどの症状が出る病気
- 脂漏性皮膚炎の原因は、マラセチア菌の増殖やホルモンバランスの乱れなど
- 脂漏性皮膚炎の治療では、抗真菌薬やステロイドの外用薬などを使用する
- 脂漏性皮膚炎を予防するには、正しい方法での洗髪・洗顔やストレスケアが大切
頭皮・鼻・頬など皮脂の分泌が多い部位に炎症が起こる脂漏性皮膚炎。肌が赤くなってかゆみが出たり、頭皮のフケが増えたりします。思春期以降に見られる成人型脂漏性皮膚炎の場合、発症すると再発しやすいのが特徴です。
当記事では、脂漏性皮膚炎の治し方が気になる方に向けて、使用する薬の例をご紹介します。また、脂漏性皮膚炎の症状や原因、発症予防・再発防止のためのセルフケア、AGAとの関係性も解説するので、参考にしてください。
脂漏性皮膚炎の予防・再発防止のためのセルフケア
脂漏性皮膚炎の発症予防や再発防止のためにできるセルフケアについて説明します。 生活習慣の見直しによって取り組めることが多いので、できることから始めてみましょう。
皮脂が溜まりやすい部位を清潔にする
皮脂が溜まりやすいとされている頭や鼻、わきなどは特に清潔に保つことが大切です。洗顔や洗髪が不十分で皮脂汚れが残ると、脂漏性皮膚炎の原因の一つとされているマラセチア菌が増えるおそれがあります。
目安としては、洗顔は1日2回程度、洗髪は1日1回行い、皮脂が多くなりやすい部位の汚れをとりましょう。 また、洗顔後は保湿し、肌が乾燥して過剰に皮脂が分泌されるのを防ぐことも大切です。
シャンプーや洗顔料などを見直す
肌に合わないシャンプーや洗顔料を使用していると、脂漏性皮膚炎の症状が悪化するおそれがあります。自身の肌質に合うものを使えているか、今一度確認するとよいでしょう。
なお、市販されているシャンプーの中には、ミコナゾール硝酸塩という抗真菌の成分を含むものや、アミノ酸系洗浄成分が配合されている肌に刺激の少ないシャンプーがあるので、頭皮環境を改善させるために使用するのも一つの方法です。
また、ワックスやジェルなどの整髪料を普段使っている方は、1回の使用料は適切か、洗髪の際にしっかり落とせているかなどを確認してみましょう。
洗顔や洗髪の際は泡で優しく洗う
「皮脂はマラセチア菌の繁殖の要因になるから」と、ゴシゴシと強く洗うのはやめましょう。皮膚に強い刺激を与えてしまうと、頭皮に必要以上のダメージを与えてしまい、乾燥やかゆみを引き起こすおそれがあるからです。
洗顔の際は、泡をクッションにして肌を直接こするのを避けると、肌への刺激を減らせます。また、洗髪の際はシャンプーを泡立て、指の腹で優しくマッサージするようにして洗いましょう。
なお、洗顔や洗髪のあとにタオルで顔や体を拭くときは、なるべく肌をこすらないようにすることも大切です。肌への刺激を減らすために、タオルを軽く押し当てるようにして水分を拭き取りましょう。
十分な睡眠を取る
睡眠不足は成長ホルモンの分泌を抑制し、肌のターンオーバーが乱れる原因となります。ターンオーバーは、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わることを指します。ターンオーバーが乱れると、肌がガサガサになったりニキビができやすくなったりします。
一定の周期でターンオーバーが起こることで健康な皮膚を保てるため、普段から十分な睡眠を取ることを心掛けましょう。
食生活を見直す
脂漏性皮膚炎の発症予防・再発防止のために、脂質の多い食事は避けるようにしましょう。脂質を摂り過ぎると、皮脂の分泌量が増えてマラセチア菌の繫殖につながるおそれがあります。揚げ物や菓子類、バラ肉・ロース肉といった脂身の多い肉類などは、摂り過ぎないように気を付けましょう。
なお、皮膚の状態を良くするために積極的に摂りたい栄養素は、ビタミンB2やビタミンB6といったビタミンB群です。 レバーやうなぎ、納豆、乳製品などに含まれるビタミンB2は、皮脂の分泌を抑制する働きがあります。また、ビタミンB6は赤身の魚や鶏ささみ、バナナなどに含まれており、肌のターンオーバーを促す作用があるとされています。 栄養バランスのとれた食事を心掛けつつ、これらの栄養素を積極的に摂ることも意識してみましょう。
ストレスケアをする
ストレスによってホルモンバランスが乱れると、皮脂が過剰に分泌されるおそれがあります。また、ストレスで自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れて交感神経が優位になると、ターンオーバーが乱れて肌荒れを引き起こす可能性があります。
ストレスを溜めないために、音楽を聴く、運動するといった方法で適宜リフレッシュしましょう。また、ストレス緩和のために、睡眠時間を確保して心身を休めることも大切です。
脂漏性皮膚炎の治し方
成人型脂漏性皮膚炎の治療では、主に抗真菌薬やステロイドの外用薬(塗り薬)を使用します。
発症原因の一つとされているマラセチア菌はカビの一種であり、抗真菌薬を塗ることで繫殖を抑えられます。また、抗炎症作用があるステロイドの塗り薬を併用することも一般的です。
ステロイドは長期の使用には適していないため、症状が落ち着いたらステロイドの作用を弱めたり、抗真菌薬のみを使用したり、お薬全般を中止などして経過を見ることになるでしょう。
なお、症状が重く外用薬だけで効果が得られない場合は、皮脂分泌をコントロールするビタミンB2・B6が含まれたビタミン剤や、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬といった内服薬(飲み薬)が処方されることもあります。ただし医薬品の適正使用や供給状況の観点から、ビタミン類の処方は制限される場合があります。
脂漏性皮膚炎の症状や特徴
脂漏性皮膚炎を発症すると、頭皮や鼻、頬といった皮脂の分泌が多い部位にかゆみ・赤み・皮むけなどの症状が出ます。 なかでも頭皮で脂漏性皮膚炎を発症すると、フケが増えたり、かさぶたのようにフケが固まったりします。
脂漏性皮膚炎には乳児型脂漏性皮膚炎と成人型脂漏性皮膚炎があり、乳児型の場合はスキンケアを適切に行えば、生後8ヶ月〜12ヶ月になるころに自然に治るとされています。
成人型脂漏性皮膚炎は、一般的に30~40代に発症しやすいとされています。乳児型脂漏性皮膚炎と異なり、自然治癒することは少なく、再発しやすいのが特徴です。
脂漏性皮膚炎は、皮膚症状やフケの発生などから、接触性皮膚炎(かぶれ)やアトピー性皮膚炎と見分けるのが難しいケースもあります。
頭皮のかゆみの原因について詳しく知りたい方は、「頭皮のかゆみは何が原因?改善方法やかゆみを放置するリスクを解説」も参考にしてみてください。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の原因は明確にはなっていませんが、成人型脂漏性皮膚炎の原因の一つとして考えられるのは、マラセチア菌というカビ(真菌)の増加です。 マラセチア菌が増殖すると、脂肪の一種であるトリグリセリドを遊離脂肪酸に分解し、この遊離脂肪酸が原因となって炎症が起こると考えられています。マラセチア菌は常在菌(人の体に日常的に存在する菌)で、皮脂や汗などが多く分泌されると増殖するといわれています。
脂漏性皮膚炎は、マラセチア菌の増殖以外にも皮脂貯留やホルモンバランスの乱れ、ビタミンB群の不足などが原因となって発症することもあるとされています。
脂漏性皮膚炎とAGAとの関係性
脂漏性皮膚炎は主にマラセチア菌が原因となるのに対し、AGAは男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンが原因となって発症します。脂漏性皮膚炎とAGAの発症原因は異なりますが、どちらも食事・睡眠などの生活習慣の乱れが発症リスクを高める可能性があり、併発する場合もあるでしょう。併発した際は、脂漏性皮膚炎とAGAの両方の治療を行うことで、症状の改善を図ることが可能です。
なお、脂漏性皮膚炎は発症すると必ず抜け毛が増えるというわけでなく、頭皮のかゆみによってかきむしることで脱毛につながる場合があります。脂漏性皮膚炎によるかきむしりで髪が抜けたとしても、炎症が治まれば再び髪が生えてくるでしょう。
一方、AGAを発症すると、ヘアサイクル(髪が生えてから抜け落ちるまでの周期)が乱れ、髪が太く・長く成長する期間が短くなって髪が育ちづらくなります。治療を行わないと、抜け毛が増えて薄毛が進行してしまうでしょう。
AGAについて詳しく知りたい方は、「AGAとは?抜け毛・薄毛が進行する男性型脱毛症について分かりやすく解説」も参考にしてみてください。
まとめ
脂漏性皮膚炎の症状や原因、治し方、発症予防・再発防止のためのセルフケアなどについて解説しました。
成人型脂漏性皮膚炎の発症原因として、マラセチア菌の繁殖が挙げられます。頭皮や鼻・頬などにかゆみ・赤み・フケといった症状が出た際は、悪化する前に皮膚科で受診しましょう。
また、「かゆみや赤みの症状はないが抜け毛が増えた」「最近薄毛が気になり始めた」という方は、AGAを発症している可能性があります。AGAは進行性の病気で、治療を行わないと薄毛の症状が悪化するため、早めに皮膚科やAGA専門クリニックで医師に相談しましょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会