更新日:2023年12月21日
コーヒーを飲むとはげる?コーヒーと薄毛の関係性を解説!
- コーヒーは飲み過ぎなければ頭髪に対して特段大きな影響はない
- コーヒーに含まれるカフェインには亜鉛の吸収を妨げたりアデノシンを破壊したりする作用がある
- コーヒーにはDHTの抑制や、血行の促進といった効果が期待されている
嗜好品として楽しまれている方も多いコーヒーですが、コーヒーを飲むとはげるという噂も耳にします。頭髪が薄くなるリスクがあるならば、コーヒーの飲用を悩んでしまう、という方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、コーヒーが本当にはげる理由となっているのか、コーヒーと頭髪の関係性について詳しく解説していきます。コーヒーが好きだけれど頭髪への影響が気になるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
コーヒーを飲み過ぎるとはげるのか
コーヒーを嗜好品として愛飲している方も多いかと思いますが、本当にコーヒーを飲み過ぎるとはげるのでしょうか。ここではコーヒーを飲み過ぎたことによってはげる可能性があるのかどうかについて解説します。
飲み過ぎなければ問題ない
結論として、コーヒーは飲み過ぎなければ頭髪に対して何の影響も及ぼしません。ただし、コーヒーにはカフェインが含まれており、カフェインの過剰摂取が薄毛に影響する可能性は示唆されています。厚生労働省によると、健康な成人は最大400mg/日(237ml入りのマグカップ3杯分)までのカフェインを摂取しても良いとされています。
つまり、この量に1日のコーヒー摂取量をとどめれば飲み過ぎではありません。
参照元:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
AGA治療中にコーヒーを飲んでも問題ない
コーヒーが薄毛の原因と無関係ということは分かりましたが、AGA治療中にコーヒーを飲んだことで、AGA治療の効果が半減するかもしれないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
過去に、コーヒーに含まれる成分がAGA治療の阻害をしたという報告やエビデンスはありません。そのため、AGA治療中にコーヒーを飲んでいても問題ないといえるでしょう。AGA治療中であってもコーヒーを飲むときは適量を守って飲みましょう。
ただし、水の代わりにコーヒーでAGA治療薬を服用した場合、薬を体内に吸収する吸収力に影響が出たり、効果を充分に発揮できなかったりするリスクがあります。そのため、AGA治療薬とコーヒーを一緒に服用するのは控え、AGA治療薬は水あるいはぬるま湯で服用するようにしましょう。
カフェインが薄毛を引き起こすと言われる理由
コーヒーを飲み過ぎるとはげるといわれている理由には、おそらくカフェインが関係していると思われます。薄毛とカフェインが関係する理由は次の2つであるといわれています。
- 亜鉛の吸収を妨げるから
- アデノシンを破壊するから
それぞれについて詳しく説明します。
亜鉛の吸収を妨げるから
コーヒー中のカフェインと結合しているタンニンという物質は、亜鉛の吸収を妨げると考えられています。亜鉛は髪の成長に関係する物質で、薄毛治療中の方にとっては重要な栄養素です。担任の作用によって亜鉛が吸収されにくくなることで、毛髪の健やかな成長を阻害すると考えられることが、コーヒーを飲むとはげるといわれる所以になっていると考えられています。
ただし、亜鉛の吸収を妨げられることによってどの程度薄毛に影響を及ぼすのかについては分かっておらず、有用なエビデンスもありません。あくまで、一説であるという程度でとらえておくと良いでしょう。
アデノシンを破壊するから
コーヒーに含まれるカフェインは、発毛を促進させる機能を持つアデノシンを破壊するといわれています。アデノシンとは発毛剤や育毛剤にも含まれる成分で、細胞のエネルギー代謝に関与することで、血行を促進し発毛を促す効果が期待されています。
カフェインは、アデノシンと化学構造が似ているため、アデノシンの受容体にカフェインが結合してしまい、アデノシン本来の働きを阻害してしまいます。その結果、アデノシンの破壊につながり、アデノシンが本来もっている血行促進や発毛を促す効果が寄与されず、髪の成長を妨げてしまうのです。
こちらについては、農林水産省にエビデンスがあり、実際にアデノシンの働きが阻害されることが確認できます。ですが、コーヒーを過剰に摂取しなければ問題はありません。
ちなみに、カフェインはコーヒーだけでなくお茶やチョコレート、カカオなどにも含まれる成分です。近年ではカフェインを多く含んだエナジードリンクも販売されており、コーヒーのみがカフェインの多量摂取につながるとは考えにくくなってきています。
参考:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
適量のコーヒーは薄毛の予防につながる可能性がある
カフェインは薄毛のリスクとなるといわれている一方で、コーヒーには髪の成長に良い影響を及ぼす成分も含まれており、飲み過ぎなければ薄毛の予防につながるかもしれないと考えられています。具体的な理由は次の通りです。
ポリフェノールが血行を促進し髪を育てる
カフェイン以外にコーヒーに含まれる成分の1つがポリフェノールです。ポリフェノールは約8000種類以上が存在しているといわれています。ポリフェノールと聞くとワインを思い浮かべるかもしれませんが、コーヒーとワインでは含まれるポリフェノールの種類が異なります。ワインに含まれるポリフェノールはアントシアニンで、コーヒーに含まれるポリフェノールはクロロゲン酸類です。
このクロロゲン酸類は血行を促進する作用があります。血行促進作用によって頭皮の環境が改善され、髪の成長を促すことで、薄毛の予防や改善に繋がるかもしれないと言われています。
参照元:J-Stage「コーヒー豆由来クロロゲン酸接種が冷水孵化後の抹消部皮膚温および皮膚血流に及ぼす効果」
DHTを抑制する
DHTとは、ジヒドロテストステロンのことで、男性ホルモンの一種であるテストステロンが5αリダクターゼという還元酵素によって還元されたものです。このジヒドロテストステロンが受容体に結合すると脱毛因子を発することから、薄毛やAGAの原因になると考えられています。
コーヒーに含まれるカフェインには、DHTに変換する5αリダクターゼを抑制する効果が期待できるという報告があります。これは、アメリカの皮膚科医が報告したもので、カフェインにはAGA治療薬の1つであるミノキシジルと同様の働きが期待できることから、薄毛の改善に役立つかもしれないとしています。 ただし、カフェインとDHTの関係性はまだまだエビデンスが不十分なため、これからの研究が期待されている段階にあります。
ジヒドロテストステロンについて詳しく知りたい方は、「ジヒドロテストステロンとは?AGAとの関係性や抑制する方法を解説」も参考にしてみてください。
参照元:COSMOPOLITAN「髪の成長と薄毛予防にカフェインが効く?毛髪学のプロが解説」
まとめ
コーヒーに含まれるカフェインは薄毛の理由にも関係しますが、カフェインおよびその他の成分は薄毛を改善させる作用も期待できます。しかし、どの作用においても確固たるエビデンスの証明はなく、まだまだ研究途上といえます。そのため、コーヒーの影響に悩むことなく、嗜好品としてコーヒーの飲用を楽しんでみても良いでしょう。コーヒーをたくさん飲めば、頭髪だけでなく体内への影響も懸念されるため、コーヒーを飲むときには飲み過ぎないように、適量を飲用しましょう。