更新日:2024年02月29日
円形脱毛症が治る前兆とは?治りかけの症状を知っておこう
- 円形脱毛症が治る前兆は、産毛が生える、かゆみが出るなどの症状
- 円形脱毛症が治る前兆が見られたら、頭皮に刺激を与えないように注意する
- 円形脱毛症が治る前兆が見られたとしても、再発する可能性はある
- 円形脱毛症が見られたら、専門医を受診することがおすすめ
円形脱毛症が治るにあたって、特有の前兆があるわけではありません。ただし、一般的に脱毛症が治る際に見られる前兆は存在します。円形脱毛症においても、治る前兆を知っておけば、その症状が出たときに落ち着いて対処できるようになるでしょう。
本記事では、円形脱毛症に言及する形で、治る前兆について詳しく解説していきます。また、円形脱毛症が治らない原因についても併せて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
円形脱毛症が治るときに見られる前兆
円形脱毛症が治るときに見られる主な前兆は、下記の5つです。
- 産毛が生える
- 硬くて短い髪の毛が生える
- 脱毛斑の境目が分からなくなる
- かゆみが出る
- 白髪が生える
それぞれ解説していきます。
産毛が生える
円形脱毛症が治る前兆として見られるもっとも分かりやすい症状が、産毛が生えることです。産毛が生えてきたということは、毛周期の休止期が終わり、髪が成長期を迎え始めているという証拠となります。
ただし、生えてきた産毛のすべてが成長して正常な髪の毛にはならず、一部の産毛は抜けてしまうこともあります。たとえ産毛が抜けてしまっても、毛母細胞が順調に成長していると前向きにとらえましょう。
硬くて短い髪の毛が生える
産毛が生えてくるのと同時に、前兆の初期に生えていた産毛が成長して硬くて短い髪の毛になるため、短くて硬い髪の毛に触れることもできるようになります。硬くなっているので、触るとチクチクとしたり、帽子から毛がツンとはみ出たりすることもあるでしょう。
硬い髪の毛が増えてきたということは、髪が順調に成長している証拠ともいえるため、刺激を与えず経過を見ていくことをおすすめします。
なお、成長しているとはいえこの時点でもまだ髪が抜け落ちる可能性はあるため、焦らずにじっくりと経過を見ていきましょう。
脱毛斑の境目が分からなくなる
産毛や短い髪の毛が成長して生えてくることで、脱毛斑の境目が分からなくなってきます。
そもそも円形脱毛症は、AGAなどのほかの薄毛とは異なり、脱毛部分とそうでない部分の境目が明確に現れます。これを脱毛斑と呼びます。
この脱毛斑との境目が目立たなくなってきたということは、毛量が増えてきたという証拠であり、より一層、回復に向かっているということになるでしょう。
かゆみが出る
新たに生えてきた毛先が頭皮を刺激する影響で、ちくちくとしたかゆみを感じることがあります。新たに髪が生えてきたことによって起こる症状のため、多くの方が円形脱毛症の治る前兆として経験します。
このように一時的なかゆみであれば、円形脱毛症が治ってきているという証拠なので心配ありません。しかし、かゆみが長期間続く場合やかゆみに加えて頭皮の赤みやフケなどがみられた場合には、円形脱毛症が治る前兆ではなく、別の疾患による症状と考えられます。そのため、かゆみが止まらない場合には、早めにかかりつけ医や専門医に相談することをおすすめします。
白髪が生える
必ず見られる症状ではないものの、円形脱毛症が治る前兆に白髪が生えることもあります。
髪の毛を作り出す役割を持つ毛母細胞の周りには、メラニンを生成するメラノサイトという細胞が存在しています。一般的に日本人の黒々とした髪の毛は、メラノサイトからメラニン色素が取り込まれることで、髪の毛に黒い色をつけています。しかし、メラニン色素を取り込めなければ、髪の色は白のままとなります。
円形脱毛症の治療をしたことによって毛母細胞が回復してきている一方、メラノサイト細胞の回復が遅れている場合、円形脱毛症の治る前兆で白髪が生えてくることがあります。メラノサイト細胞は、遅れて回復してくることもあるため、白髪が生えた後で、黒い髪の毛が生えてくるようになります。
ただし、加齢や遺伝、ストレスといった、白髪になりうる要因を抱えていた場合には、メラノサイト細胞が回復しても白髪が生え続けることがあります。
円形脱毛症と白髪の関係性については、「円形脱毛症後に白髪が生えるのはなぜ?原因と白髪を改善する方法を解説」でも詳しく解説しています。
円形脱毛症が治る前兆がみられたときの注意点
ここでは、円形脱毛症が治る前兆が見られたときに、注意した方が良いことを解説します。
かゆくても頭皮をかかない
治る前兆として、かゆみが出現したときには絶対に頭皮を掻いてはなりません。かゆみが出ると、ついついポリポリと掻きたくなってしまいますが、掻いてしまうと爪で頭皮を傷つける可能性があります。
もしも掻いたことによって頭皮に傷がつき炎症を起こしてしまうと、脱毛症状を悪化させ、結果として新しい毛髪の成長を阻害する可能性があります。かゆみが出てもなるべく掻かないように注意しましょう。
頭皮を清潔に保つ
頭皮を清潔に保つことは、円形脱毛症の治療をしていくうえで重要です。治る前兆が見られたら、より一層頭皮を清潔にして、円形脱毛症の改善をアシストしてあげましょう。
頭皮の清潔な状態を保つためには、日ごろの頭皮ケアと同様に、シャンプーで1日1回頭皮の汚れを落とすことが重要です。円形脱毛症が治りかけている段階では、まだ髪の毛の割合も産毛が多いです。産毛は弱いため、ごしごし洗ってしまうとせっかく生えてきていた産毛が抜けてしまう可能性があります。そのため、指の腹を使って優しくマッサージするようなイメージで、丁寧にシャンプーをするように心がけましょう。
また、普段洗浄力の強いシャンプーを使っている場合、治りかけの円形脱毛症には刺激が強すぎてしまう場合があります。円形脱毛症が治る兆候が見られているのであれば、アミノ酸系シャンプーやオーガニックシャンプーなど、頭皮に優しいシャンプーを使うようにするとよいでしょう。
生活習慣に注意する
円形脱毛症の治る前兆が見られてきたら、より改善に向かえるように日常生活に注意を払っていきましょう。特に、円形脱毛症に影響を与えるのはストレスです。せっかく症状が改善傾向にあっても、ストレスをため込んでいてしまっては、状態が悪くなってしまうこともあるかもしれません。適宜ストレスを解消しながら穏やかに過ごしていきましょう。
また、栄養バランスの良い食事を摂ることも、円形脱毛症を回復させるために重要です。特に、タンパク質・ビタミン・ミネラル・亜鉛といった、髪の毛の成長に良い影響をもたらす栄養は積極的に摂っていきましょう。
一方で、スナック菓子やジャンクフード、肉類など、脂っこい食品は皮脂の分泌を過剰に促してしまうため、頭皮環境が悪くなり、新しく生えてきている髪の毛にも影響を及ぼすかもしれません。円形脱毛症を回復させるためには、これらの食べ物は極力摂取を控えると良いでしょう。
円形脱毛症の回復率
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版によると、脱毛が見られたタイミングが1年以内であり、脱毛斑が1つなど少数の場合は、1年以内に80%程度の方が回復するようです。しかし、その回復した方のなかでも、円形脱毛症を再発する例も多いとしています。
また、同資料によると、別の研究では円形脱毛症になった患者の14%~25%は、全頭型や汎発型へ移行してしまい、全頭型や汎発型へ移行してしまった場合、回復率は10%以下といわれています。
治る前兆が見られた場合でも再発したり円形脱毛症が進行してしまう可能性があるため、医療機関を受診し早めに適切な治療を受ける必要があるでしょう。
円形脱毛症が再発する原因について詳しく知りたい方は、「円形脱毛症は繰り返す?再発する原因と治療方法、予防について解説」も参考にしてみてください。
参考:公益社団法人日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」
円形脱毛症が治る兆候が見られない場合に考えられること
治療を開始しても全く改善する兆候が見られない場合は、以下の3つの可能性が考えられます。
薬が合っていない
円形脱毛症が治る前兆が見られない場合、使用している薬が原因や体質に合っていないことが考えられます。円形脱毛症の治療薬として推奨されている薬は複数あり、効果にも個人差があります。症状をよく観察しながら、個人個人に合った治療薬や方法を選択することが大切です。
薬の用法・用量が間違っている
薬は用法・用量を誤ると、効果が出ないだけでなく健康を害する危険性があります。必要量を使用できていなければ、円形脱毛症が治る前兆が見られなくなる可能性が高まるでしょう。
また、効果が見られないからといって、薬の使用量を増やすことはおすすめできません。円形脱毛症の治療薬として使われることが多いステロイド剤は、高い効果が期待できる反面、副作用も強く出る薬です。副作用を最小限に抑えながら、円形脱毛症の治る前兆が現れることを期待するには、正しい投与量や使い方を守ることが重要です。
そもそも円形脱毛症ではない
円形脱毛症ではないのに円形脱毛症の治療薬を使用すると、円形脱毛症が治る前兆が見られなくなるだけではなく、返って症状を悪化させる可能性があります。
AGA(男性型脱毛症)や休止期脱毛症など、円形脱毛症に似た症状の病気も多いため、脱毛の原因を医師に診断してもらい、自分の症状や体質に合った薬を処方してもらうことが大切です。
まとめ
円形脱毛症には治る前兆には、産毛が生える、かゆみが出る、白髪が生えるといった症状が現れます。もしも治る前兆が見られたら、かゆみが出ても掻かないように気をつけましょう。 また、頭皮のケアをしたり、日常生活に留意しながら過ごしたりすることで、スムーズに回復に向かうことができるかもしれません。 円形脱毛症を治療しているにもかかわらず、治る兆候が見られないという場合には、一度かかりつけ医や専門医に相談して原因を探っていくことをおすすめします。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会