更新日:2026年03月18日
「最近抜け毛が増えてきたので、もしかしたらAGAかもしれない」と不安を感じている方もいるかもしれません。AGAは進行性の疾患のため、薄毛の症状が気になるときは受診し、医師の診断のもと治療を行うことが大切です。
本記事では、AGAの基本的な知識や自宅でできるセルフチェック方法を解説します。AGAとほかの脱毛症との違いも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
AGA(男性型脱毛症)は進行性の脱毛症で、治療を行わなければ薄毛の範囲が広がっていきます。「もしかしたらAGAかもしれない」と感じている場合、まずはAGAの特徴について理解し、必要な対策を考えましょう。ここでは、AGA診断の前に知っておきたい基礎知識を解説します。
AGAとは、思春期以降の男性に発症し、薄毛の症状が徐々に進行する疾患のことです。日本皮膚科学会のAGAのガイドラインでは、ヘアサイクルの成長期が短縮し、休止期にとどまる毛包が多くなる疾患とされています。額の生え際や頭頂部の髪が軟毛化して細く短くなり、進行するにつれて地肌が目立ちやすくなるのが特徴です。
AGAと一般的な加齢による脱毛との主な違いは、発症のメカニズムです。AGAは、主に男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)や遺伝的な要因によって引き起こされるのが特徴です。一方で、加齢による薄毛は頭部全体が均等に細くなるびまん性の軟毛化で、前頭部と頭頂部が優位に薄くなるAGAとはパターンが異なります。
AGAの主な原因として考えられているのは、男性ホルモンのDHTです。体内のテストステロンが5αリダクターゼという酵素によってDHTに変換されると、毛根の司令塔である毛乳頭細胞に取り込まれます。毛乳頭から毛母細胞へ髪の成長を抑制する信号が送られると、ヘアサイクルの成長期が短くなります。

ヘアサイクルは、成長期・退行期・休止期という流れを繰り返します。しかし、AGAになると成長期が短くなり、細く弱々しい毛が増えて毛髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまうのが特徴です。
AGAは、時間の経過とともに症状が進行する疾患です。放置すると、ヘアサイクルが短縮される状態が繰り返され、薄毛の範囲が徐々に広がっていきます。
そのため、「最近、抜け毛が細くなった」「以前より地肌が目立つようになった」と感じた段階で、医師に相談するのがおすすめです。早い段階で治療を始めることで、ヘアサイクルの乱れや毛包のミニチュア化の進行を抑え、太い毛が生えやすい状態を維持できます。AGAは自己判断で対処せずに、医師の診断に基づいた治療を検討することが大切です。

AGAは、遺伝と男性ホルモンの影響を受けて発症します。改善を図るには、早期発見と適切な治療を行うことが大切です。
あくまで目安ではあるものの、病院を受診する前に自宅でもある程度AGAの可能性を確認できます。

チェックがついた項目が多いほど、AGAが進行している可能性があります。ここでは、自分でできるAGAのチェック方法について解説します。
AGAかどうかの指標となるのが抜け毛の状態です。健康な方であっても1日に50~80本程度の髪は自然に抜けますが、AGAを発症すると明らかに抜け毛が増える傾向にあります。AGAの場合、本来は数年かけて太く育つはずの髪が、成長しきる前に抜けてしまうためです。また、AGAは毛が細く短くなることが本質で、抜け毛の本数が極端に増えない場合でも進行することがあるでしょう。
抜け毛の中に、細くて短い毛や産毛のような毛が混ざっていないかどうかも、AGAであるか確認するためのポイントです。季節の変わり目に一時的に抜け毛の本数が増えることがありますが、AGAによる抜け毛とは髪の長さや太さに違いがあります。
抜け毛の本数だけに惑わされず、一本一本の毛髪が健康なヘアサイクルを経て抜けているかを観察することが、AGAを早期に発見するためのポイントです。
AGAによる薄毛は主に前頭部や頭頂部から進行していくため、鏡を使って両方の部位をチェックしてみましょう。頭頂部の変化は自分では確認しにくいので、合わせ鏡やスマートフォンのカメラを利用するのがおすすめです。
つむじ周辺の地肌が透けて見えないか、分け目が目立つようになっていないかを確認します。客観的に判断するためには、定期的に同じ角度・同じ照明条件のもと写真を撮影し、過去の自分と比較しましょう。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
頭皮の状態や皮脂の量もAGAかどうかを判断する手掛かりとなります。AGAを発症している場合は、頭皮の皮脂分泌が過剰になりやすいでしょう。AGAの主な原因物質であるDHTが皮脂を作る皮脂腺を刺激し、活動を活発にさせてしまうためです。洗髪後、数時間で頭皮がベタついたり、頭皮に触れた指が脂っぽく感じられたりする場合は皮脂分泌が多いサインかもしれません。ただし、皮脂分泌量は個人差が大きく、AGAそのものが皮脂を必ず増やすわけではありません。DHTは皮脂腺にも影響しますが、皮脂量だけでAGAと診断することは不可能です。
AGAは非炎症性脱毛ですが、脂漏性皮膚炎のような別の皮膚炎を合併すると脱毛が進行することがあります。皮脂の過剰分泌や赤み、強いかゆみが見られる場合は、単なる体質と考えずに注意を払うことが必要です。ただし、頭皮の赤みや炎症があるからといってAGAとは限りません。頭皮に異常を感じたら、ほかの皮膚疾患である可能性も考えられるので、病院を受診しましょう。
AGAの発症には遺伝が関与しており、特に母方の家系から受け継ぐ遺伝子が影響を与えると考えられています。男性のAGAの発症に関わると考えられている受容体の遺伝子はX染色体に存在し、X染色体は母親から受け継ぐため、母親を通じて母方の祖父の体質を引き継ぐ可能性があります。
一方で、父親がAGAである場合も、子どもが体質を受け継ぐリスクは存在します。父親側の遺伝子も影響を与えることを念頭に置き、母方と父方の両方の家系を総合的に確認することが、自身の将来的なAGAのリスクを予測するために大切です。
ただし、遺伝的な背景はあくまで発症のしやすさを示すものであり、遺伝子を引き継いでいれば必ずAGAを発症するというわけではありません。

セルフチェックは、気づきの目安として活用しましょう。「AGAかもしれない」と思ったら、早めに病院を受診するのがおすすめです。
AGAのほかにも円形脱毛症や休止期脱毛症などさまざまな脱毛症があり、それぞれ原因や対処法が異なります。ここでは、AGAと間違えやすいほかの脱毛症との違いを見ていきましょう。
AGAと円形脱毛症は、原因や症状の現れ方が異なります。AGAは主にDHTの働きによって起こるのに対し、円形脱毛症は体内の免疫細胞が誤って毛包を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種と考えられています。
AGAと円形脱毛症は、脱毛のパターンにも違いがあります。AGAは額の生え際や頭頂部からゆっくりと進行するのに対し、円形脱毛症は突然、境界がはっきりとした円形や楕円形の脱毛斑が現れるのが特徴です。AGAは細く短い毛が増える傾向にありますが、円形脱毛症は根元が細く毛先に向かって太くなる「感嘆符毛」と呼ばれる特徴的な髪が見られる場合があります。感嘆符毛は、進行期の円形脱毛症に特徴的に見られる所見です。
AGAと休止期脱毛症は、進行の持続性と脱毛の範囲に違いがあります。AGAは治療を行わない限り徐々に進行し続けるのに対し、休止期脱毛症は自然に回復したり、原因を取り除くことで回復したりする傾向があるでしょう。休止期脱毛症は、出産・強いストレス・薬剤・感染症など多様な原因で起こり、原因が解消されると数か月で自然回復することが多いとされています
また、AGAが額の生え際や頭頂部といった部位から髪が薄くなるのに対し、休止期脱毛症は、頭部全体の髪が薄くなる傾向があります。AGAのように髪が細く短くなることは少なく、太い毛が根元からそのまま抜けるのも、休止期脱毛症の特徴です。
頭皮の皮膚疾患や薬剤の副作用による脱毛は、頭皮環境の悪化や体の生理反応によって起こり、対処法がAGAとは異なります。たとえば、脂漏性皮膚炎が悪化すると、脱毛が起こる可能性があるでしょう。脂漏性皮膚炎による脱毛は、皮膚科で治療をすることで改善が期待できます。
特定の薬剤を服用した際の副作用として、「薬剤性脱毛」が起こる場合があります。薬剤性脱毛は、原因薬剤の中止後 数か月で改善することが多いとされているのが特徴です。
AGAのセルフチェックを行ったあとは、結果に応じて次のステップを検討しましょう。ここでは、セルフチェックの結果別に、次に取るべき行動をまとめました。
AGAの可能性が高いと感じた場合は病院を受診し、現在の状況を把握するのがおすすめです。医師へ相談することで、自身の抜け毛がAGAによるものか、ほかの要因によるものかを知ることができ、適切な対応をとれます。
医師は現在の薄毛の進行度に基づき、将来どのような経過を辿る可能性があるか、どのような治療法があるかを提示してくれるでしょう。
AGAの兆候があるもののすぐに病院を受診すべきか迷う場合は、自身で経過観察し、必要に応じて医師への相談を検討しましょう。AGAは数年単位で進行するため、短期間の抜け毛の増減だけで一喜一憂するのではなく、長期的な変化を客観的に捉える視点が大切です。
経過観察をするにあたって、スマートフォンで定期的に頭部の写真を撮影し、記録を残す方法があります。定期的に同じ角度や照明条件で撮影を続けると、生え際の後退や頭頂部の密度の変化を比較できるでしょう。また、写真で記録しておけば、のちに医師の診断を仰ぐ際にもAGAかどうかの判断材料となります。
セルフチェックの結果、AGAの典型的な特徴が見られない場合は、発症している可能性が低いと考えられます。
ただし、現在は問題がなくても定期的なセルフチェックを継続するのがおすすめです。自分の本来の髪の量や質を把握しておくことで、わずかな変化が起きた際にも気づきやすくなります。
セルフチェックはあくまで目安であるため、早期発見・治療のためには、医師への相談が重要です。ここでは、受診によってわかることや、対面診療とオンライン診療の特徴を解説します。
医師の診察を受ければ、現在の薄毛の原因がAGAなのか、ほかの要因によるものなのかを判断してもらえます。自分ではAGAだと思い込んでいても、「休止期脱毛症」「円形脱毛症」「瘢痕性脱毛」「甲状腺疾患」「貧血」など見た目だけでは判断できない疾患が多いため、鑑別診断が重要です。医師は専門的な知見から頭皮や毛髪の状態を観察し、薄毛の原因を判断します。
また、診断を通じてAGAの進行度を客観的に把握することで、今の自分に適した治療法を納得感を持って選択できるでしょう。
AGAのオンライン診療は、忙しくて通院の時間が確保できない方や、気軽に医師の意見を聞いてみたい方に向いています。スマートフォンやパソコンを使って自分の好きな場所から相談できるため、移動時間やクリニックでの待ち時間を気にする必要がありません。仕事やプライベートで多忙な生活を送っていても、隙間時間を活用して診察を受けられます。
クリニックに足を運ぶこと自体に抵抗を感じる方にとっても、オンライン診療は心理的なハードルを下げる手段となります。プライバシーが確保された環境で、周囲の目を気にせず医師のアドバイスを受けられる点は、相談を迷っている方にとってメリットとなるでしょう。
AGA以外の原因が疑われる場合や対面での診察のほうが安心感を得やすい場合には、対面診療を検討してみましょう。対面診療では、頭皮の状態を医師に直接確認してもらえるメリットがあります。
オンライン診療・対面診療のどちらが良いかは個人の状況によって異なるため、自身の頭皮の状態やライフスタイルに合わせて受診方法を選びましょう。
AGAは進行性の脱毛症で、細くて短い毛が抜けるようになったり、前頭部や頭頂部の髪から薄くなったりする特徴があります。
AGAのセルフチェックはあくまで現状に気づくきっかけとして活用し、少しでも気になる点があれば医師に相談しましょう。現在は対面診療だけでなく、場所を選ばずに相談できるオンライン診療もあります。自身の頭皮の状態やライフスタイルに合わせて受診方法を選びましょう。