更新日:2026年05月12日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「男性ホルモンが多いとはげる?」と心配している方もいるかもしれません。薄毛は、男性ホルモンが特定の酵素と反応して髪の成長を阻害する物質へと変化し、毛根に作用することで起こります。そのため、男性ホルモンが多いからといって、必ずしも薄毛になるわけではありません。 本記事では、男性ホルモンと薄毛の関係性を解説します。男性ホルモン以外が原因で起きる薄毛や、防ぐためのセルフケアも紹介するので、ぜひご一読ください。
男性ホルモンの量が薄毛の直接的な原因になるわけではありません。男性型脱毛症(AGA)の発症メカニズムは複雑であり、単にホルモン量が多いからといって必ずしもはげるわけではないのです。
男性ホルモンであるテストステロンは善玉男性ホルモンと呼ばれ、筋肉量の増加や骨密度の保持、生殖機能の向上など、男性の健康を維持するうえで重要な役割を担っています。テストステロンは、身体的な若々しさを保つために必要な男性ホルモンです。
テストステロンが不足してしまうと、身体が疲れやすくなったり、気力が低下して精神的に不安定になったりするなどの悪影響を及ぼす可能性があります。男性が毎日をイキイキと過ごすためには、テストステロンの分泌を維持するのが望ましいといえるでしょう。
薄毛の引き金となるのは、テストステロンから変換されて生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)という物質です。DHTは5αリダクターゼという酵素がテストステロンと結合することで生成されます。DHTが毛根にある受容体と結合すると、髪の成長サイクルを短縮させ、髪が細くなったり、抜けたりする現象を引き起こすのです。
はげの進行を左右するのはテストステロンの量ではなく、5αリダクターゼの活性度です。血液中のテストステロンが豊富であっても、5αリダクターゼの働きが穏やかであれば、DHTは過剰に作られません。
健康な髪は、ヘアサイクルと呼ばれる一定の周期で生え変わる仕組みを持っています。ヘアサイクルは、「髪が太く長く伸びる成長期」「成長が止まる退行期」「抜け落ちて次の準備をする休止期」の3つの段階を繰り返すのが特徴です。
しかし、薄毛の原因物質であるDHTが毛根に作用すると、ヘアサイクルが乱れてしまいます。DHTから発せられる脱毛シグナルによって、成長期が短縮されるのです。その結果、髪が十分に育つ前に成長が止まってしまい、未熟なまま抜け落ちてはげるという悪循環に陥ります。

男性ホルモン「テストステロン」がAGAの要因ではありません。薄毛は、テストステロンから変換されるDHTという物質によって引き起こされます。薄毛の進行を食い止めるためには、このDHTの生成を抑制する適切な治療や対策が必要となります。
薄毛の原因は男性ホルモンだけではありません。遺伝的要素や生活習慣などが複合的に作用し、髪の健康に影響を与えます。ここでは、男性ホルモン以外の主な薄毛の原因をまとめました。
テストステロンをDHTに変換する5αリダクターゼの活性度と、DHTを毛根がどれほど敏感に捉えるかというアンドロゲンレセプターの感受性は、親から遺伝する要素です。つまり、薄毛の原因物質の作られやすさと、影響の受けやすさには、遺伝的な体質が影響すると考えられます。
アンドロゲンレセプターの感受性については、母方の家系から遺伝する可能性が高いとされています。受容体に関する遺伝子は、母方から受け継ぐX染色体に存在しているためです。
ただし、遺伝によって決まるのは、あくまではげやすさという体質の傾向であり、将来を完全に決定づけるものではありません。自分の体質を正しく知ることは、最適な対策を選ぶための選択肢といえるでしょう。
日々の生活習慣が乱れると、髪を育てる土台である頭皮環境が悪化します。髪の主成分であるタンパク質や、その合成を助ける亜鉛などの栄養が不足した偏った食事は、間接的に薄毛につながる可能性があるのです。
睡眠不足は自律神経のバランスを崩して血管を収縮させ、毛根へ酸素や栄養が届きにくい状態を招きます。また、喫煙はニコチンの作用によって毛細血管を収縮させ、髪の成長に必要なビタミンを消費するため、頭皮にとってダメージとなるのです。
生活習慣の乱れは、髪の成長サイクルを妨げ、頭皮の皮脂分泌の過剰化や毛穴の詰まりを招く場合もあります。薄毛対策を考えるうえでは、血行を促進し、髪に十分な栄養が行きわたるような体質づくりを心掛けることが大切です。
慢性的なストレスは、髪の健康に悪影響を及ぼします。ストレスは、体温や血流を調節している自律神経のバランスを乱し、頭皮に影響を与えるのです。過度なストレスを感じると、交感神経が優位になり、全身の血管が緊張・収縮し、血行不良になります。
髪の毛の成長に必要な酸素や栄養素は、血液によって毛根へと運ばれるので、血行不良になると髪の毛が栄養不足に陥る可能性があるでしょう。毛根に栄養が行き届かない状態が続くと、髪は十分に成長できなくなり、次第に細く弱くなってはげる可能性があるのです。

AGAの要因は遺伝や生活習慣の乱れ、過度なストレスなどです。薄毛を引き起こしている原因によって、有効な対策や治療法は異なります。そのため、自身の薄毛の原因を正しく把握し、適切な治療を受けることが大切です。
頭皮環境を整えて健康な髪を育むためには、日常的なセルフケアが必要です。ここでは、5つのセルフケア方法を紹介します。
健康な髪を育てるためには、バランスの良い食事で必要な栄養素を摂取することが大切です。髪の毛の主成分は、ケラチンというタンパク質です。良質なタンパク質源として、肉類・魚類・卵・大豆製品などを積極的に摂りましょう。
タンパク質を効率良く髪へと合成するためには、補助的な役割を果たす亜鉛も欠かせません。亜鉛はケラチンの再構成を助けるミネラルであり、牡蠣やレバー、ナッツ類などに豊富に含まれています。頭皮の血行を促進したり、新陳代謝を整えたりするビタミン類も意識的に摂取しましょう。ビタミンAやB群、Eを豊富に含む緑黄色野菜やナッツ類を組み合わせることで、栄養が毛根まで届きやすい環境が整いやすくなります。
極端な食事制限や偏った食生活は髪の健康に悪影響を与えるので、さまざまな食品をバランスよく摂ることが大切です。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、髪の成長と修復において重要な役割を担っています。成長ホルモンの役割は、頭皮のダメージを修復し、毛母細胞の分裂を活性化させて髪の成長を促すことです。成長ホルモンは深い眠りの間にまとまって分泌される傾向があるため、眠りの質を高めれば、健やかな髪を維持しやすくなります。厚生労働省の「Good Sleep - 良い睡眠のために」によると、質の高い睡眠をとるための方法は、以下のとおりです。
睡眠を、髪が育つための修復時間と捉えて、質にこだわることが大切です。
参考:厚生労働省「睡眠」
適度な運動は、健やかな髪を育む土台である頭皮の血行改善に有効です。有酸素運動を習慣にすると、心肺機能が高まり、血液が体の隅々までスムーズに流れるようになります。髪の成長に必要な酸素や栄養素は血液によって運ばれるため、運動による頭皮の毛細血管の活性化は、毛髪の健康を支えることにつながります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、健康維持のための身体活動として、成人に対して一日60分以上の歩行程度の強度の運動を推奨しています。歩数に換算すると一日約8,000歩以上に相当します。
参考:厚生労働省「身体活動・運動の推進」
ストレスは自律神経の乱れや血行不良を招き、間接的に薄毛を進行させる要因となります。そのため、日々の生活の中で自分なりのリフレッシュ方法を見つけ、こまめにストレスを解消することが健やかな髪を守ることにつながるでしょう。
ストレス解消法の例として、「ぬるめのお湯にゆっくり浸かる」「好きな音楽を聴く」「散歩をする」「瞑想を行う」などが挙げられます。数ある方法の中から自分に合ったものを一つでも見つけることが大切です。
健康な髪を維持するためには、日々のシャンプーで頭皮環境を適切に整えることが大切です。しかし、汚れを落とそうと力を入れ過ぎたり、一日に何度も洗ったりすると必要な皮脂まで奪い、頭皮の乾燥を招きます。頭皮が乾燥するとバリア機能が低下し、血行不良や炎症の原因となるため、洗浄力が穏やかなアミノ酸系のシャンプーを選び、潤いを守りながら優しくケアしましょう。薄毛を防ぐための正しい洗髪手順は以下のとおりです。
セルフケアだけでは効果が見られない場合や、すでに薄毛が進行している場合は、医療機関での専門的な治療が効果的です。ここでは、フィナステリド・デュタステリドやミノキシジルによるAGA治療法について解説します。
AGA治療薬で抜け毛を抑制する効果が期待できるのは、フィナステリドとデュタステリドです。フィナステリドとデュタステリドは、AGAの原因となるDHTの生成を抑える役割を担っています。
2つの薬の違いは、DHTを作るもととなる酵素「5αリダクターゼ」への作用範囲です。フィナステリドは、主に5αリダクターゼII型の酵素を阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。
フィナステリドとデュタステリドを服用するうえで知っておきたいのが、副作用のリスクです。医薬品医療機器総合機構の「フィナステリド錠 添付文書」と「デュタステリドカプセル 添付文書」の添付文書をもとに、起こりうる副作用の例を以下の表にまとめました。
| 医薬品名 | 副作用 |
|---|---|
| フィナステリド | リビドー(性欲)減退(1~5%未満) 勃起機能不全・射精障害・精液量減少(1%未満) |
| デュタステリド | リビドー減退・勃起不全・射精障害(1%以上) 乳房障害(1%未満) |
フィナステリドやデュタステリドを服用中、体調に異変を感じたら、早めに医師に相談しましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「デュタステリドカプセル 添付文書」
抜け毛を抑制するフィナステリド・デュタステリドに対し、発毛効果が期待できるのがミノキシジルです。ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬(降圧剤)として開発された経緯があり、毛包周囲の血流を改善することで酸素や栄養の供給が増え、発毛が促進されると考えられています。
ミノキシジルには外用薬(塗り薬)と内服薬があり、AGA治療薬として国内で承認されているのは外用薬のみです。外用薬は市販されておりドラックストアでも購入できますが、ミノキシジル内服薬の服用はあくまでも専門医の管理下で行う点に留意しましょう。
ミノキシジルは、DHTの生成を抑制するフィナステリドまたはデュタステリドと併用することが可能です。医師の判断のもとフィナステリド・デュタステリドとミノキシジルを組み合わせることで、抜け毛の抑制と発毛促進を図れます。

薄毛に悩んでいる場合はなるべく早めに医師に相談しましょう。進行したAGAをセルフケアのみで改善するのは難しい傾向があります。病院を受診すれば、医師が適切な治療計画を立ててくれます。
薄毛の原因となるのは、テストステロンから変換されるDHTと毛根の感受性です。そのため、男性ホルモンの量が多いからといってはげるわけではありません。DHTは5αリダクターゼという酵素がテストステロンと結合することで生成され、毛根に作用することでヘアサイクルが乱れて薄毛が進行します。
薄毛の原因は男性ホルモン以外にもあります。遺伝的要素や生活習慣の乱れ、過度なストレスなどが複合的に作用しているのです。
薄毛を防ぐためには、バランスの取れた食事で髪を作るための栄養を補い、質の高い睡眠で成長ホルモンの分泌を促すことが大切です。また、適度な運動で頭皮の血行を改善したり、正しいヘアケアで頭皮環境を清潔に保ったりすることも効果的でしょう。
薄毛を改善したい場合は、病院を受診し、内服薬や外用薬などを用いた治療を検討することをおすすめします。
厚生労働省「睡眠」
厚生労働省「身体活動・運動の推進」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「デュタステリドカプセル 添付文書」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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毎日の洗髪を、頭皮のコンディションを整える時間として丁寧に行うことで、髪が健やかに育つための良好な土台を維持できます。

セルフケアによって健康な髪が育ちやすい頭皮環境を整えられます。毎日の食事や睡眠、ストレス管理など、継続的な取り組みが大切です。自分のライフスタイルに合った方法を見つけて、無理なく続けることをおすすめします。