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更新日:2024/05/07

ザガーロはなぜやばいといわれる?効果や副作用について詳しく解説

この記事のまとめ
  • ザガーロ(デュタステリド)は、I型とII型の両方の5αリダクターゼに作用するため、頭皮全体の薄毛の方に推奨される薬剤
  • ザガーロがやばいといわれるのは、精神面や性機能への副作用、特定の検査値に影響を及ぼすことなどが考えられる
  • 正しく使用すれば、やばいと言われるような副作用はほぼ起こらないため、安全に服用できる
  • ザガーロがやばくて使いたくないという場合には、ほかの治療薬の選択も可能

AGA治療薬の1つであるザガーロの服用を検討している方もいるでしょう。しかし、ザガーロについて調べると、「ザガーロはやばい」という言葉が出てくるため、ザガーロの服用は止めた方がいいのではと思う方もいらっしゃるかもしれません。

結論からいえば、用法・用量を守って服用すれば、ザガーロは安全に使用できる薬剤といえます。本記事ではなぜザガーロがやばいといわれるのかについてくわしく解説します。また、ザガーロの正しい服用方法についても詳しく紹介します。ザガーロの服用についてやばいと言われて心配という方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

ザガーロとは

ザガーロは、デュタステリドという有効成分を含んだAGA治療薬で、グラクソ・スミス・クライン株式会社が開発した薬剤です。日本では2016年より販売が開始されています。ザガーロは、AGA治療薬の中でも数少ないカプセル型の製剤で、1日1カプセルを服用して治療をします。

ザガーロはジェネリック薬も販売されており、有効成分と同じデュタステリドという名前で販売されています。ザガーロの作用と副作用については次のとおりです。

ザガーロの作用

ザガーロは、薄毛や抜け毛の原因となる5αリダクターゼという酵素の活性を抑えることで、薄毛を改善します。5αリダクターゼにはI型とII型の2種類があり、ザガーロは両方の型の5αリダクターゼに作用する薬剤です。

そもそも、AGAとなる理由は男性ホルモンが関係しています。まず、男性ホルモンであるテストステロンが、5αリダクターゼの働きによってジヒドロテストステロンに変換されます。生成されたジヒドロテストステロンが、頭頂部や前頭部の毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体に結合すると、TGF-βやDKK1といったタンパク質が誘導されます。これらの作用により、髪の毛の増殖因子が抑制され、毛髪の成長期が極端に短縮されてしまうのです。

5αリダクターゼI型は側頭部や後頭部を含む広い範囲の毛乳頭細胞に分布している一方、5αリダクターゼII型は生え際や頭頂部の毛乳頭細胞に多いことから、生え際や頭頂部の薄毛の原因になると考えられています。

実際に国際臨床試験でも、同じAGA治療薬であるフィナステリドと比較して、全毛髪数と毛直径の増加はザガーロの主成分であるデュタステリドが優位であることが分かっています。したがって、頭全体的に薄毛が気になっている方においては、ザガーロの方が薄毛の改善を実感できるといえるでしょう。

ザガーロの効果については、「ザガーロ(デュタステリド)の効果と副作用を解説」でも詳しく説明しています。気になる方は参考にしてみてください。

参照元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

ザガーロの副作用

ザガーロにももちろん副作用があります。5αリダクターゼは、頭部のみでなく前立腺や陰茎にも存在していると考えられており、性機能の向上に関わる働きをしています。そのため、ザガーロが5αリダクターゼの活性を抑制することで、性機能低下が見られることがあると言われています。

ザガーロの資料によると、発症頻度は、約17%程度と副作用の発症頻度としては高い傾向にあります。ほかにも、発症頻度は1%未満と低くはなっていますが、頭痛・抑うつ・発疹・蕁麻疹・アレルギー・腹部の不快感なども見られます。

また、重篤な副作用として肝機能の障害もありますが、発症率は極めて低いとされています。

ただし、これらの副作用はほかのAGA治療薬においても同様のものが見られ、ザガーロ特有のものではありません。

参照元:医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル 製造販売承認申請書添付資料

ザガーロがやばいといわれる理由

ここからは、ザガーロがやばいといわれる理由を解説します。ザガーロがやばいといわれる理由は、上述した副作用が大きく関係していると考えられます。ザガーロがやばいといわれる理由は次のとおりです。

精神面への副作用がある

1%未満という低確率ではありますが、ザガーロの副作用の1つである抑うつによって、精神面へ影響が出ることがあります。

ザガーロによって抑制されるジヒドロテストステロンは、頭の毛髪だけでなくやる気などにも関係するホルモンとされています。ザガーロの服用によってジヒドロテストステロンの量が減ってしまうと、やる気が低下するため、精神面に何かしらの影響があることが伺えるのです。

また、ザガーロが抑制するジヒドロテストステロンが抑うつと関係していることが指摘されています。日本未病システム学会雑誌によると、実際に男性の更年期障害の方の血液を採取すると、テストステロンの値は変わらないものの、ジヒドロテストステロンの値が低下していることが分かっています。

AGAの治療をしていたはずなのに、抑うつ状態になり、日常生活への影響が出る可能性もあることから、ザガーロはやばいといわれているのかもしれません。

もしも、以下の症状が出ている場合、抑うつ状態となっている可能性が高いため、ザガーロを継続して服用をするべきかどうかを主治医に相談することをおすすめします。

  • 楽しい気持ちになれない
  • 朝になるととくに気分が落ち込む
  • 憂うつで哀しい気持ちになる

上記の症状がほぼ毎日2週間以上続き、なおかつ生活に支障をきたした場合には抑うつが進行してうつ病となることもあります。

参考:KEGG MEDICUS「添付文書 ザガーロ

特定の検査値へ影響が出る

ザガーロの主成分であるデュタステリドには、前立腺の検査値へ影響を及ぼす可能性が示唆されています。

日本皮膚科学会が発表している日本皮膚科学会では、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA値が、ザガーロの成分であるデュタステリドを服用したところ、服用開始後6ヶ月で約50%低下させる作用があると報告しています。

前立腺がんの腫瘍マーカーへ影響が出ることで、本来発見できた病気を発見できなくなるというリスクがあります。

ザガーロを服用していることを事前に検査医に伝えておけば、血清PSA濃度を本来の検査値から2倍した値で評価してくれるため、大きな問題にはならないといえるでしょう。

また、これはザガーロ特有の事象ではなく、AGA治療薬の1つであるフィナステリドを主成分とした薬剤でも、検査値への影響は出ます。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

性行為に対してネガティブになる

ザガーロを服用すると、性行為に対してネガティブになる方もいます。ザガーロの副作用による性機能低下によって、性行為をする気になれなくなってしまうのです。

そのため、セックスレスとなり、パートナーとの関係性に影響が出る可能性もあります。

長期服用の臨床実験はされていない

日本皮膚科学会によると、デュタステリドの服用に関する臨床実験は、1年を超える長期投与での効果や投与中止後の毛髪量変化については行われていないとされています。

そのため、長期服用による効果や副作用については不明であるといえます。長期間服用することでどのように体に影響を及ぼすのかわからないため、ザガーロがやばいといわれる遠因となっている可能性があります。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

発毛効果が確実に出るわけではない

ザガーロを服用すれば、確実にAGAが治るということはありません。ザガーロは6ヶ月間の服用が必要ですが、その期間を守れていない場合や、用法用量を間違えて服用している場合には発毛効果を発揮することは難しいでしょう。

また、脱毛の原因がAGA以外であった場合も、ザガーロの服用で脱毛を改善することはできません。

妊娠中の方がザガーロに触れないよう注意する

ザガーロの主成分であるデュタステリドは、女性や子どもが触れることで、さまざまな影響が出ると報告されています。

特に妊娠中の女性がザガーロの成分に触れた場合、薬の成分が皮下吸収され、男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがあります。また、子どもにおいては安全性が確認されていないため、ザガーロを触った結果、何かしらの症状が出る可能性がゼロではないのです。

ザガーロはカプセル製剤なので、カプセルの上から触るのは問題ありません。カプセルが割れたり解けたりしてカプセル内の粉末に触った場合に影響が出てしまいます。

そのため、ザガーロを服用する際には、十分に注意して薬を管理することが重要です。

肝機能への影響が出る

頻度は不明とされていますが、ザガーロの副作用の1つに肝機能障害があります。

ザガーロの服用によって重度の肝機能障害が起こると皮膚や粘膜が黄色っぽくなる黄疸が見られます。

ただし、基本的に口から服用した薬剤は肝臓で代謝されるため、内服薬のほとんどには副作用として肝機能障害が挙げられます。ザガーロに限ったものではないため、過度な心配は必要ありません。

すでに肝機能障害があるという方においては、ザガーロを服用することで肝機能障害が悪化したり、ザガーロの血中濃度が高まり、予想していない効能が出る可能性があるため、服用前に必ず医師へ相談しましょう。

参考:医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg

ザガーロの服用方法

ザガーロは1日1回、決められた時間に水またはぬるま湯で服用しましょう。ザガーロは24時間おきに服用するのが望ましいため、飲む時間を決めて服用することがおすすめです。また、カプセルはかみ砕かずそのまま服用してください。

もし服用を忘れた場合は、服用を忘れたことに気が付いたタイミングで1回分を服用しましょう。2回分を一度に服用することはしてはいけません。もしも、次の服用のタイミングと時間の間隔があいていない場合には、いつものタイミングに1錠を飲めば問題ありません。

何かしらの理由があり、上記以外の方法で服用した場合には、副作用が強く出たり、効果が出なかったりする可能性もあるため、ザガーロを処方した医師に相談することをおすすめします。

ザガーロ以外のAGA治療薬

ザガーロはやばいといわれていることからザガーロを飲みたくないと考える場合には、ほかのAGA治療薬を選択するという方法もあります。ザガーロの有効成分であるデュタステリドを含まないAGA治療薬は、次のとおりです。

プロペシア

プロペシアはオルガノン株式会社が製造販売しており、フィナステリドを主成分としたAGA治療薬です。AGAの原因となる5αリダクターゼII型のみの活動を阻害することが特徴です。そのため、5αリダクターゼI型がAGAの原因となっている方にとっては、ザガーロと同様の効果は得られないかもしれません。

日本皮膚科学会によると、2年間および 3年間の内服継続によって、軽度改善以上の効果が68~78%見られていることもあり、AGA治療においてフィナステリドの服用は推奨されています。

プロペシアの添付文書によると、副作用には、性機能の低下として勃起機能不全、射精障害、精液量減少、リビドー減退があり、発症頻度は約1~5%程度と、ザガーロと比較すると低い割合で推移しています。

参照元: 日本皮膚科学会 「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」 日本医薬情報センター「プロペシア錠

ミノキシジル

ミノキシジルは、国内で承認されているAGA治療薬の中では唯一の外用薬です。患部に塗布することで血管を拡張させる効果が期待でき、頭皮の血流を良くしつつ、細胞分裂の活性化によって発毛と髪の毛の成長を促進させます。

女性のAGA治療薬としても推奨されているため、女性が触れても問題ありません。副作用としては、外用薬であるため、塗布した部分の皮膚炎などがあります。

まとめ

ザガーロがやばいといわれるのは、おもに副作用である抑うつや性機能の低下が理由となっているようです。ほかにも、検査値への影響などがありますが、どれもザガーロに限った話ではありません。ザガーロ以外のAGA治療薬でも、同様の事案が起こることがあります。

また、ザガーロは正しい方法で服用すれば安全に服用できます。また、ザガーロは5αリダクターゼI型、II型の両方を阻害してくれますが、両方を阻害するAGA治療薬はデュタステリドを主成分とするもののみです。つまり、ザガーロの代わりはほとんどないのが現状です。

頭皮全体の薄毛で悩んでいるという方は、用法用量を守って服用すれば、やばいといわれるような事象が起こることなく服用できるため、ザガーロの服用を継続していきましょう。

もしも、ザガーロについて不安なことがある場合には自己判断で服用を中断せず、必ず処方委に相談して対処法を考えてもらいましょう。

レバクリでは、AGA治療薬のオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会