更新日:2026年01月21日
AGA治療の血液検査は薄毛の原因を特定し、適切な治療方法を選択するために必要である
AGA治療の血液検査では、薄毛の原因を調べられる
血液検査をすることで、AGA治療薬の服用に問題がないかを事前に確認できる
血液検査で服薬不可の場合も外用薬やメソセラピー、自毛植毛などの代替治療法がある
「なぜAGA治療に血液検査が必要なの?」と疑問をお持ちの方もいるかもしれません。AGA治療の血液検査は、薄毛の原因がAGAなのか、治療薬の服用に問題はないのか、どの程度の効果が期待できるのかを事前に知るために行われます。この記事では、AGA治療における血液検査の必要性や検査で分かること、費用の相場について解説します。薄毛治療を始める前の血液検査について気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
AGA治療に血液検査が必要な理由は、薄毛の原因がAGAかどうかを判断するためと、服薬治療が可能かどうかを判断するためです。また、治療薬の効果を予測するのに血液検査をすることもあります。ここでは、それぞれの理由について解説します。
AGA治療で血液検査を行う理由の一つは、薄毛の原因がAGAかどうかを調べるためです。薄毛の原因はAGAだけではありません。自己免疫反応による円形脱毛症や甲状腺の異常、ホルモンバランスの乱れ、栄養不足などのさまざまな理由が考えられます。
薄毛の原因がAGAではない場合、AGA治療を行っても効果を得られません。さらに、ほかの病気が薄毛の原因であるにもかかわらず、AGAと判断してしまうと、適切な治療を受けられずに病気が進行してしまう可能性もあります。
血液検査を行うことで、薄毛の原因がAGAなのか、それともほかの疾患による薄毛なのかを判断できます。薄毛の原因を把握したうえで適切な治療法を選ぶためにも、血液検査が必要なのです。
AGAの原因については、「AGAの原因は?治療方法や進行を遅らせるための対策を解説」の記事でも解説しています。
AGA治療で血液検査を行うもう一つの理由は、AGA治療薬を服用して問題がないかを判断するためです。
AGA治療では、一般的にプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)といった治療薬による服薬治療を行います。
ザガーロの添付文書によると、ザガーロ(デュタステリド)は重度の肝機能障害のある人には投与しないこととされています。このように、身体の状態によっては副作用が起こるリスクが高くなるおそれがある薬が存在します。そのため、医師は血液検査によって体調や体質を調べ、一人ひとりの患者に適切な治療プランを提案しているのです。
なお、血液検査によって薬の服用による副作用のリスクが高い場合、別の治療法が検討されることもあります。
参考:グラクソ・スミスクライン株式会社「ザガーロ 添付文書」
血液検査で、AGA治療の効果がどのくらい見込めるかも判断できます。血液検査では血中のヘモグロビンや甲状腺、肝機能に関するさまざまなデータを数値で見ることが可能です。薬の効果は体質やAGAの進行状況によっても異なります。
AGA治療薬の効果がどれほど出るかは個人差があり、症状や体質によっては効果があまり見込めない場合もあるでしょう。AGA治療薬の効果が出るまでには約半年ほどかかるため、もし効果が見込めない薬を服用している場合、AGAがさらに進行してしまうリスクがあります。
血液検査で事前に効果が予測できていれば、効果の見込めない薬を続けている間にAGAが進行するリスクを防げる可能性があるのです。
AGA治療における血液検査では、下記の3つが分かります。
AGA以外の薄毛の原因があるか
重度の肝機能障害を引き起こすリスクが高いか
AGAを発症する可能性が高いか
以下でそれぞれ詳しく説明していきます。
血液検査を行うことで、AGA以外の薄毛の原因があるかを判断できます。AGA以外の薄毛の原因には、鉄欠乏性貧血や甲状腺の異常などが挙げられます。
鉄欠乏性貧血になると、頭皮へ酸素を送り届ける役割を果たすヘモグロビンの量が減少し、髪の毛の成長に必要な酸素が毛母細胞へ行き届かなくなることで、薄毛が引き起こされてしまうのです。
また、甲状腺の異常による薄毛は、毛母細胞の活動が鈍化することで引き起こされます。なぜなら、甲状腺ホルモンには毛母細胞の細胞分裂を活性化させる働きがあるためです。
鉄欠乏性貧血や甲状腺の異常は、血中のへモグラビンの数値や甲状腺ホルモンの数値から判断できます。これらの数値が低いと、AGAとは別の薄毛の原因が潜んでいる可能性があります。
血液検査で肝臓の数値を測定することで、肝機能障害を引き起こすリスクの有無も判断することが可能です。AGAの治療で使用されるプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)といった薬は肝臓で代謝されます。そのため、もともと肝機能障害がある方が内服を継続すると、重大な副作用が起こるリスクが高くなってしまうのです。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました
また、肝機能が低下していると代謝が悪くなるため、薬に含まれる成分が長く体内に留まることで、性欲減退や勃起機能不全などの副作用のリスクが高まるおそれもあります。
クリニックによっては、血液検査を行う際に遺伝子検査を同時に行うことがあります。なぜなら、AGAの発症リスクは両親から引き継がれた遺伝子によって変化するからです。
ただし、遺伝子検査は別途費用がかかるほか、あくまで傾向としての情報提供にとどまるため、実際に必要となることはまれといえます。検査の希望がある場合は、事前にホームページや電話などで実施している医療機関を確認しておきましょう。
AGA治療における血液検査は、一般的な健康診断と同様に、注射器で血液を採取する方法で行います。その後、クリニックが血液を検査機関に提出し、1週間程度で検査結果が分かります。検査結果に基づき、医師がAGA治療薬を使用できるかを判断するのです。
クリニックによっては、診察日より6ヶ月以内に健康診断などで血液検査をしていれば検査が不要になる場合があるので、直近で採血を行った方は検査結果を代替できるかをクリニックに確認してみましょう。
なかには医療機関には行かずに自宅で検査ができるキットを利用する方法もあります。自宅検査キットとは、口の中の粘膜や毛髪を採取し、検査機関に送る検査方法です。
検査の方法は医療機関によって異なるため、気になる方は受診するクリニックに確認しましょう。
AGA治療は保険適用外のため、血液検査にかかる費用は医療機関によって異なります。
一般的な血液検査の費用は、5,000円~10,000円です。遺伝子検査も行う場合は、別途15,000~30,000円ほどかかる可能性があります。クリニックによっては、遺伝子検査を必須としているところもあるため、費用に関しては事前に確認しておくのがおすすめです。
初診料とは別に検査費用がかかりますが、なかにはキャンペーンで血液検査が無料になるクリニックもあります。また、一部のクリニックでは治療を開始することを条件に検査料金が無料または割引されることもあるため、複数のクリニックを比較検討すると良いでしょう。
また、定期的な再検査が必要な場合もあるため、継続的なコストについても考慮しておくことをおすすめします。
血液検査で服薬治療ができないと判断された場合は、外用薬や育毛メソセラピー、自毛植毛といった治療選択肢があります。以下でそれぞれの方法を説明します。
血液検査の結果により服薬治療ができないと判断された場合は、外用薬で治療を行うことが可能です。外用薬は体内に直接取り入れるわけではないため、内服薬と比較して副作用のリスクが低いとされています。
AGA治療の外用薬として代表的なものは、ミノキシジルです。ミノキシジルは、毛母細胞を活性化させる働きを持っているため、発毛を促す効果が期待できます。また、ミノキシジル外用薬は厚生労働省の認可を受けており、クリニックや薬局で入手可能です。ミノキシジルについて詳しくは、「ミノキシジルとは?AGA治療の効果や外用薬の副作用について解説」の記事でも解説しています。
服薬治療ができない場合、育毛メソセラピーを行うのも一つの手です。育毛メソセラピーとは、頭皮に有効成分を直接注入することで毛髪の細胞増殖や成長を促し、髪の成長を促す治療法です。育毛メソセラピーで使用される主な成分とその効果は下記のとおりです。
| 成分 | 効果 |
|---|---|
| ミノキシジル | 発毛を促進する |
| フィナステリド | 脱毛を抑制する |
| インスリン様成長因子(IGF-1) | 髪の毛の成長をサポートする |
| ケラチノサイト成長因子(KGF) | 髪の毛の成長を促進する |
| 血管内皮細胞成長因子(VEGF) | 新しい血管生成を促進する |
| 繊維芽細胞成長因子(bFGF) | 毛髪や頭皮の成長を促進する |
| タンパク質 | 髪の毛の土台をつくる |
| ヒアルロン酸 | 頭皮を保湿する |
育毛メソセラピーでは、AGA治療薬に含まれる成分だけでなく、頭皮環境を整えるための栄養素も注入できます。
メソセラピーは1回の施術で効果が出るものではなく、数回の施術を継続することで効果が現れるのです。基本的には2~4週間に1回の頻度で、6ヶ月~1年程度継続することが推奨されています。1回あたりの価格は15,000~70,000円程度です。
メソセラピーについて詳しくは、「メソセラピーとは?効果や料金、副作用などについて詳しく解説」の記事でも解説しています。
服薬治療ができない場合は、自毛植毛という選択肢もあります。自毛植毛は、自分の側頭部や後頭部など薄毛の影響を受けにくい部分から毛髪を採取し、薄毛になっている部分に移植する治療法です。
頭皮ごと移植するため、髪が抜け落ちても再び生えてくるようになるのがメリットです。治療範囲によってかかる費用は異なりますが、範囲が広くなるほど費用が高額になる点がデメリットとして挙げられます。
自毛植毛について詳しくは、「自毛植毛の効果とは?施術方法の種類やメリット・デメリットを解説」の記事で解説しています。
薬物治療や施術に加えて、日常的なセルフケアも重要です。適切なケアを継続することで、薄毛の進行を遅らせ、健やかな頭皮環境を維持できます。具体的な方法としては、生活習慣や食生活の改善に取り組んだり、正しい頭皮ケアを実践したりといった方法があります。ここでは、それぞれの方法について詳しく解説するので、チェックしてみてください。
睡眠不足は成長ホルモンの分泌がされにくくなり、薄毛を助長する恐れがあるため注意が必要です。喫煙や運動不足、ストレスも血流が悪くなりAGAによる薄毛が進行する可能性があります。また、薄毛につながる要因として脂質や糖質、カフェイン、塩分などの過剰摂取も挙げられます。これらの成分を過度に摂取しないように食生活を見直すことが大切です。
一方、髪に良い影響を与える栄養素として、タンパク質や亜鉛、ビタミンB群、ビタミンEなどが挙げられます。これらの成分を日々の食事の中でうまく取り入れるようにしてみると良いでしょう。
正しい頭皮ケアによる頭皮環境の改善も大切です。まずは皮脂の分泌量に合ったシャンプーを選ぶことがポイントです。頭を洗う際は頭皮を傷つけないよう爪を立てず、指の腹で洗いましょう。
すすぐ際は、泡が残らないよう十分にシャンプーを流します。ドライヤーを当てる際は、頭皮から30cmほどの距離で行いましょう。ドライヤーと頭皮の距離が近過ぎると、頭皮が乾燥し、頭皮トラブルにつながるため注意が必要です。
薄毛を改善する生活習慣については、「薄毛は生活習慣で改善できる?薄毛を予防・改善するための生活習慣とは?」の記事でも解説しています。
AGAの血液検査は、薄毛治療を安全かつ効果的に進めるための重要なステップです。血液検査によって、薄毛が本当にAGAによるものなのか、それとも鉄欠乏性貧血や甲状腺の異常など別の原因があるのかを正確に判断できます。また、プロペシアやザガーロといった治療薬を安全に服用できる体質かどうかも事前に確認できるため、副作用リスクを最小限に抑えられるメリットがあります。血液検査の費用は一般的に5,000〜10,000円程度で、検査方法も通常の採血と同様です。直近で健康診断を受けている場合は、その結果を代用できるクリニックもあるので、事前に確認してみると良いでしょう。血液検査の結果、内服薬での治療が難しいと判断されたとしても、外用薬や育毛メソセラピー、自毛植毛など、ほかの治療選択肢もあります。さらに、生活習慣の改善や適切な頭皮ケアなど、日常のセルフケアも併用することで、より効果的な薄毛対策が可能になります。薄毛の悩みを抱えているなら、まずはAGA血液検査を受けて自分の状態を正確に把握し、医師と相談しながら最適な治療法を見つけていきましょう。