更新日:2026年07月21日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「AGA治療を始める際、血液検査を受けないといけないの?」と疑問をお持ちの方もいるかもしれません。血液検査を推奨されるケースもありますが、診断は主に医師による問診や視診で行われるため必須ではありません。AGA以外の原因が隠れていないか確認したい場合に、別途料金を払って受けることが可能です。
この記事では、血液検査で分かることや費用相場を解説します。薄毛治療を始める前の血液検査について気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
AGAの診断は、通常、医師による問診と視診によって行われます。そのため、血液検査は必ず行われるものではありません。検査では、拡大鏡やダーモスコピー(トリコスコピー)などを使って、頭皮の状態を診るケースもあります。
診察の結果、医師がAGAと判断した場合に、内服薬や外用薬を処方するのが一般的な治療の流れです。
一方、体の状態などをより詳細に調べるために血液検査が行われる場合もあります。ただし、血液検査はあくまで希望者のみが受ける「オプション」という位置づけです。
AGAは薄毛の進行パターンや毛髪の状態から診断ができるケースが多いため、体への負担が大きくなりやすい検査は必要とされていません。
医師による問診や、マイクロスコープを使って頭皮や毛髪の状態を直接確認するといった診察がメインとなります。
現在の薄毛の状況や気になり始めた時期、理想の状態などを、事前に整理しておくだけで、当日の診察や治療の提案がよりスムーズになります。
健康診断の結果や、ほかの医療機関で受診した直近の血液検査の結果をクリニックへ持参することもできます。診察前にクリニックへ提出することで、スムーズに診察を進められる場合があります。
手元に診断書がなかったとしても心配することはありません。クリニックでは医師が問診を通じて体調や持病の有無などを丁寧にヒアリングしてくれるため、安心して受診しましょう。

問診結果や健康状態によっては、健康被害のリスクを減らすためにも検査を推奨します。気になる症状や服用中の薬などがあれば、事前に医師へ伝えることが大切です。
一部のクリニックでは、通常の診察とは別に有料で血液検査を実施しているケースもあります。実施するクリニックではどのような理由から血液検査を推奨しているのでしょうか。ここでは、考えられる2つの理由について解説します。
AGA治療で血液検査を行う理由の一つは、薄毛の原因がAGAかどうかを調べるためです。薄毛の原因はAGAだけではありません。たとえば、血中ヘモグロビン濃度の低下から分かる鉄欠乏性貧血や、甲状腺ホルモンの機能低下・亢進などは、いずれも脱毛を伴う可能性のある疾患として知られています。そのほかにも、自己免疫反応による円形脱毛症やホルモンバランスの乱れ、栄養不足など、さまざまな理由が考えられます。
薄毛の原因がAGAではない場合、AGA治療を行っても効果を得られません。さらに、ほかの病気が薄毛の原因であるにもかかわらず、AGAと判断してしまうと、適切な治療を受けられずに病気が進行してしまう可能性もあります。
薄毛の原因を把握したうえで適切な治療法を選ぶために、血液検査を実施しているのです。
AGA治療で血液検査を行うもう一つの理由は、AGA治療薬を服用して問題がないかを判断するためです。
AGA治療では、一般的にプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)といった治療薬による服薬治療を行います。
ザガーロの添付文書によると、ザガーロ(デュタステリド)は重度の肝機能障害のある人には投与しないこととされています。このように、体の状態によっては副作用が起こるリスクが高くなるおそれがある薬が存在します。そのため、医師は血液検査によって、一人ひとりの患者に適切な治療プランを提案しているのです。
なお、血液検査によって薬の服用による副作用のリスクが高い場合、別の治療法が検討されることもあります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロ 添付文書」
血液検査の結果は、より自分に合った治療方針を検討するための参考になります。血液検査では血中のヘモグロビンや甲状腺、肝機能に関するさまざまなデータを数値で確認することが可能です。薬の効果の現れ方には、体質やAGAの進行状況によって個人差があります。
一般的に効果の実感には約半年を要するため、万が一体質に合わない治療を長期間続けた場合、その間にAGAが進行してしまうリスクにも注意が必要です。
血液検査で事前に体質や健康状態のデータを把握して治療方針の参考とすることで、体質に合わない治療を続けてAGAが進行してしまうリスクを減らす一助となるでしょう。
AGA治療における血液検査は、採血により血液を採取する方法で行います。その後、クリニックが血液を検査機関に提出し、1週間程度で検査結果が分かります。検査結果に基づき、医師がAGA治療薬を使用できるかを判断するのです。
クリニックによっては、診察日より6ヶ月以内に健康診断などで血液検査をしていれば検査が不要になる場合があるので、直近で採血を行った方は検査結果を代替できるかをクリニックに確認してみましょう。
検査の方法は医療機関によって異なるため、気になる方は受診するクリニックに確認しましょう。
AGA治療は保険適用外のため、血液検査にかかる費用は医療機関によって異なります。
一般的な血液検査の費用は、5千円~1万円です。遺伝子検査も行う場合は、別途1万5千円~3万円ほどかかる可能性があります。クリニックによっては、遺伝子検査を必須としているところもあるため、費用に関しては事前に確認しておくのがおすすめです。
初診料とは別に検査費用がかかりますが、なかにはキャンペーンで血液検査が無料になるクリニックもあります。また、一部のクリニックでは治療を開始することを条件に検査料金が無料または割引されることもあるため、複数のクリニックを比較検討すると良いでしょう。
また、定期的な再検査が必要な場合もあるため、継続的なコストについても考慮しておくことをおすすめします。
血液検査で服薬治療ができないと判断された場合は、外用薬や育毛メソセラピー、自毛植毛といった治療選択肢があります。以下でそれぞれの方法を説明します。
血液検査の結果により服薬治療ができないと判断された場合は、外用薬で治療を行うことが可能です。外用薬は体内に直接取り入れるわけではないため、内服薬と比較して全身への副作用のリスクは抑えやすいとされていますが、塗布した部分のかゆみやかぶれといった頭皮トラブルには注意が必要です。
AGA治療の外用薬として代表的なものは、ミノキシジルです。ミノキシジルは、毛母細胞を活性化させる働きを持っているため、発毛を促す効果が期待できるでしょう。また、ミノキシジル外用薬は厚生労働省の認可を受けており、クリニックや薬局で入手可能です。
服薬治療が難しい場合などに、育毛メソセラピーが検討されることがあります。育毛メソセラピーとは、頭皮に有効成分を直接注入することで、毛髪の細胞増殖や髪の成長を促す治療法です。育毛メソセラピーで使用される主な成分とその効果は下記のとおりです。
| 成分 | 効果 |
|---|---|
| ミノキシジル | 発毛を促進する |
| フィナステリド | 脱毛を抑制する |
| インスリン様成長因子(IGF-1) | 髪の毛の成長をサポートする |
| ケラチノサイト成長因子(KGF) | 髪の毛の成長を促進する |
| 血管内皮細胞成長因子(VEGF) | 新しい血管生成を促進する |
| 繊維芽細胞成長因子(bFGF) | 毛髪や頭皮の成長を促進する |
| タンパク質 | 髪の毛の土台をつくる |
| ヒアルロン酸 | 頭皮を保湿する |
育毛メソセラピーでは、AGA治療薬に含まれる成分だけでなく、頭皮環境を整えるための栄養素も注入できます。
メソセラピーは1回の施術で効果が出るものではなく、数回の施術を継続することで効果が現れるのです。基本的には2~4週間に1回の頻度で、6ヶ月~1年程度継続することが推奨されています。1回あたりの価格は2万円~5万円程度です。
服薬治療ができない場合は、自毛植毛という選択肢もあります。自毛植毛は、自分の側頭部や後頭部など薄毛の影響を受けにくい部分から毛髪を採取し、薄毛になっている部分に移植する治療法です。
頭皮ごと移植するため、髪が抜け落ちても再び生えてくるようになるのがメリットです。治療範囲によってかかる費用は異なりますが、範囲が広くなるほど費用が高額になる点がデメリットとして挙げられます。
薬物治療や施術に加えて、日常的なセルフケアも重要です。適切なケアを継続することで、健やかな頭皮環境を維持できます。具体的な方法としては、生活習慣や食生活の改善に取り組んだり、正しい頭皮ケアを実践したりといった方法があります。ここでは、それぞれの方法について詳しく解説するので、チェックしてみてください。
睡眠中には体の修復に関わるホルモン分泌が促され、頭皮環境の維持にも関与すると考えられています。そのため、睡眠不足が続くと頭皮環境の悪化につながる可能性があるため注意が必要です。また、喫煙や運動不足、過度なストレスも、AGAの直接的な進行原因にはなりませんが、頭皮環境を悪化させ、健やかな髪の成長を妨げる要因になり得ます。脂質や糖質、塩分などの過剰摂取に気をつけ、食生活を見直すことも全身の健康維持のために大切です。
髪に良い影響を与える栄養素として、タンパク質や亜鉛、ビタミンB群、ビタミンEなどが挙げられます。これらの成分を日々の食事の中でうまく取り入れるようにしてみると良いでしょう。
AGA治療における血液検査は必須ではありませんが、体の状態をより詳細に調べ、治療によるリスクを避ける役割があります。
血液検査はオプションで受けられるケースが多く、検査費用は5千円~1万円程度です。血液検査を受けない場合、直近の健康診断結果を提出する方法もあります。もし手元に健診結果がない場合でも、医師が問診で既往歴や現在服用中の薬との飲み合わせを確認し、治療の可否を判断してもらえるため安心して治療を受けることができます。
万が一、内服薬での治療が難しいと判断されても、外用薬や育毛メソセラピーなど別の選択肢もあるため、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロ 添付文書」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のAGA治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
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ただし、生活習慣の改善だけでAGAの進行を止めることは困難であるため、薄毛が気になる場合は並行して医師に相談することが大切です。
正しい頭皮ケアによる頭皮環境の改善も大切です。まずは皮脂の分泌量に合ったシャンプーを選ぶことがポイントです。頭を洗う際は頭皮を傷つけないよう爪を立てず、指の腹で洗いましょう。
すすぐ際は、泡が残らないよう十分にシャンプーを流します。ドライヤーを当てる際は、頭皮から30cmほどの距離で行いましょう。ドライヤーと頭皮の距離が近過ぎると、頭皮が乾燥し、頭皮トラブルにつながるため注意が必要です。