更新日:2024年01月10日
ケトコナゾールとは?効能効果やシャンプーの使い方について解説
- ケトコナゾールとは、真菌感染によるかゆみや湿疹の治療に使われる医療用医薬品
- ケトコナゾールは、AGAの頭皮環境の改善や進行抑制に効果がある
- ケトコナゾールにはローションやクリーム、シャンプーがある
- ケトコナゾールをAGA治療に使用したい場合は医師の処方が必要である
真菌(カビ)による皮膚感染症に使われる医療用医薬品の「ケトコナゾール」。最近ではAGA(男性型脱毛症)の頭皮環境を改善する効果や、AGAの進行を抑制する効果が期待され使用されています。この記事では、ケトコナゾールのAGAへの効果やケトコナゾールシャンプーなどについて詳しく紹介するので、ぜひチェックしてください。
※2023年11月現在、レバクリにてケトコナゾールの取り扱いはありません。
ケトコナゾールとは?
ケトコナゾールは、真菌感染によって引き起こされる皮膚のかゆみや赤みの症状に使われる医療用医薬品です。残念ながら、ドラッグストアなどで購入できる市販薬としては販売されていません。ケトコナゾールを購入したい場合には、医師による処方箋が必要になります。
ケトコナゾールの効能効果
ケトコナゾールは抗真菌薬で、真菌とは、いわゆるカビの一種を指します。ケトコナゾールが効果を発揮する真菌には、白癬(はくせん)菌、カンジダ、マラセチア菌、癜風(でんぷう)菌などがあり、効能効果が認められている疾患は以下のとおりです。
- 脂漏性皮膚炎
- 白癬
- 皮膚カンジダ症
- 癜風
それぞれの疾患の特徴について説明します。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎とは、皮膚に炎症や赤み、かゆみが起こる慢性的な皮膚病です。主に頭皮や顔、胸などの脂腺が多い部位にできることが多く、フケ症状が現れることもあります。原因は皮脂の過剰分泌や、マラセチア菌の感染などが考えられています。
白癬
白癬とは、白癬菌という真菌によって引き起こされる感染症で、有名な疾患としては水虫があります。発症する部位によって足白癬、体部白癬、股部白癬などと呼び方が変わります。白癬菌は、皮膚の角質層に多く含まれるケラチンというタンパク質を栄養源として増殖するため、全身の皮膚または毛や爪に発生します。白癬の主な症状としては、かゆみや赤みが出るほか、白くふやけたり、水疱ができたりもします。
皮膚カンジダ症
皮膚カンジダ症とは、カンジダという真菌によって引き起こされる感染症で、湿気の多い箇所に発症します。陰部や手足指の間、脇の下などの皮膚や粘膜などの部位で、かゆみ・発疹・白斑といった症状を引き起こします。
カンジダは、粘膜の常在菌で、誰もが保菌しているありふれた菌です。通常は病原性が弱いため発症することは少ないのですが、免疫力の低下や不潔状態が続いた場合などに発症します。
癜風
癜風とは、癜風菌(マラセチア・ファーファー)による皮膚の感染症です。20〜40代の成人に好発し、男性にやや多い傾向があります。癜風菌はカンジダ同様常在菌で誰もが保菌していますが、高温多湿の環境下や多汗により、菌が増殖し発症すると言われています。自覚症状はあまりなく、軽度のかゆみが発生する程度なのが特徴です。
ケトコナゾールに育毛効果はある?
AGAの原因となる5αリダクターゼの働きを抑える効果が認められているものの、ケトコナゾール自体に育毛効果はなく、国内では育毛剤として認可されていません。
一方で、日本皮膚科学会のガイドラインでは、「ケトコナゾールの外用を行っても良い」としています。
ガイドラインによると、2%ケトコナゾールローションを用いた臨床試験において、男性17名の脱毛状態が高度10例・中等度7例だったのが、治療6ヶ月後には高度1例・中等度12例・軽度4例に改善したという報告があります。
また、脂漏性皮膚炎や白癬による湿疹・かゆみが頭皮に起こり、抜け毛が起きている場合では、ケトコナゾールにより症状を緩和し頭皮環境を正常化させることで、薄毛症状の改善が期待できます。
育毛効果に対しての有用性はまだ高くはありませんが、AGAの治療手段の1つとしてケトコナゾールはすでに使用されています。ケトコナゾールをAGA治療に使用するかどうかは、皮膚科専門医やAGA専門医を受診し、相談してみましょう。
ガイドラインについて詳しく知りたい方は、「AGA診療ガイドラインは治療の選択に役立つ?内容と治療の推奨度を解説」も参考にしてみてください。
参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
ケトコナゾールの使い方
ケトコナゾールを含有する医薬品には、ローションやクリーム、シャンプーがあります。それぞれの使い方を紹介します。
ローションの場合
1日1回患部に塗布します(脂漏性皮膚炎の場合は1日2回)。症状がひどいからといって、用法用量を超えてケトコナゾールを塗布することは避けてください。ローションは、さらさらとしたテクスチャーで患部に塗っても目立ちにくいため、頭皮などの有毛部に塗布しやすいでしょう。また、ローションは浸透力が高いので、粘膜や傷口には使用しないよう注意してください。
クリームの場合
1日1回患部に塗布します(脂漏性皮膚炎は1日2回)。ローションに比べると、ベタつきやすく洗い落としにくい特徴があります。そのためクリームタイプのケトコナゾールは、頭皮などの有毛部には向きません。
シャンプーの場合
ケトコナゾールの成分を含有したシャンプーが、一部のクリニックで販売されています。真菌感染によって引き起こされるかゆみや赤み、湿疹を抑えるシャンプーとして使われていたり、AGA対策として使われていたりします。
製品によって使用方法は異なりますが、概ね一般のシャンプー同様に使用できるので、毎日の洗髪時にケトコナゾールシャンプーを使用することで、手軽にAGA対策ができます。ケトコナゾールシャンプーは洗浄力が高く髪がパサつきやすいため、トリートメントを併用すると良いでしょう。
ケトコナゾールはローション・クリーム・シャンプーのいずれも市販されておらず、クリニックにて処方が必要になります。
そのほかの育毛シャンプーについては、「育毛シャンプーの効果とは?詳しい成分や選び方を解説」の記事を参照してください。
ケトコナゾールの副作用
ケトコナゾールは比較的作用がマイルドな医薬品のため、副作用は多くありませんが、報告されている副作用には次のものがあります。
種類 | 症状 |
---|---|
皮膚 | 刺激感、そう痒、接触皮膚炎、紅斑、水疱、皮膚灼熱感、発疹、皮膚剥脱、皮膚のべとつき感、 蕁麻疹、糜爛、亀裂、疼痛 |
全身障害および投与局所様態 | 適用部位反応(出血、不快感、乾燥、炎症、錯感覚、浮腫) |
免疫系障害 | 過敏症 |
その他 | 尿蛋白陽性 |
参考:医薬品医療機器総合機構「ニゾラールローション2% 添付文書」
上記の症状が出た場合は使用を一時中止し、処方医に相談しましょう。
また、ケトコナゾールは、過去にケトコナゾールを使用し過敏症を発症したことがある人は使用できません。そのほかに、妊娠中や授乳中の方への安全性は確立されていませんので、使用に際しては医師と必ず相談しましょう。
まとめ
ケトコナゾールは真菌(カビ)の感染による皮膚病の治療に幅広く使われている医療用医薬品です。最近では、AGA(男性型脱毛症)の原因となる5αリダクターゼの働きの抑制効果も示唆されており、AGAの治療手段の一つとして使われることもあります。ケトコナゾールは市販されておらず、入手するには医師の処方箋が必要になります。ケトコナゾールをAGA治療で使用する場合、他の治療薬と組み合わせて使用することが一般的ですので、興味のある方は一度専門医へ相談してみてはいかがでしょうか。気軽に相談できるオンライン診療もおすすめです。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会