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更新日:2024/07/19

フィナステリドで初期脱毛が起こるのはなぜ?期間の目安や対処法を解説

この記事のまとめ
  • フィナステリドによって初期脱毛が起こるのは薬が効いている証拠
  • 初期脱毛が起こる期間は、フィナステリドの服用開始から1〜3ヶ月頃
  • 初期脱毛は、多くの場合症状がみられてから1~3ヶ月程度で収まる
  • 初期脱毛が気になるときは帽子をかぶるなどして対策をすると良い
  • 初期脱毛がひどくても、自己判断で服用を中断せずに医師へ相談することがおすすめ

AGAを治すためにフィナステリドの服用を始めたのに、服用していたら抜け毛が増えてきて不安になっている方もいるかもしれません。確かにフィナステリドの服用開始時には、初期脱毛と呼ばれる脱毛症状が起こることが多いです。しかし初期脱毛は数ヶ月程度で収まるため、そのまま服用を継続することが望ましいです。

本記事では、フィナステリドによる初期脱毛について、初期脱毛が起こる理由や目安などを詳しく解説します。また、初期脱毛に対する対処法もあわせて解説するため、フィナステリドによる初期脱毛が気になる方はぜひ参考にしてみてください。

フィナステリドとは

フィナステリドは、AGA治療薬であるプロペシアの後発薬であり、同名のフィナステリドという有効成分を含んだ薬剤です。フィナステリドは、AGAの原因となる5αリダクターゼII型に作用して薄毛の進行を抑制する効果が期待できます。

そもそも脱毛の原因となるAGAには、男性ホルモンであるテストステロンが関係しています。テストステロンが5αリダクターゼの働きによってジヒドロテストステロンに変換されると、この生成されたジヒドロテストステロンが、毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体に結合します。すると、髪の毛を増殖させる因子が抑制されるため、毛髪の成長が抑えられるのです。

5αリダクターゼII型は、主に生え際や頭頂部に分布しているため、それらの部位の脱毛を抑制する効果が期待できます。

日本皮膚科学会によると、1年間の継続内服をすると1mg/日では 58%が軽度改善以上の効果があり、0.2mg/日では 54%が軽度改善以上の効果があったとしています。

さらに、2年間および3年間の内服継続をすることによって軽度改善以上の効果があり、2年間の継続で68%、3年間の継続で78%の症例で効果が得られました。このことから、フィナステリドは継続して服用していけば、高い発毛効果が得られるということが分かっています。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

フィナステリドの服用で初期脱毛が起こる理由

フィナステリドの服用によって初期脱毛が起こる理由は、ヘアサイクルが正常化し始めるからとされています。

ヘアサイクルとは、髪が成長してから抜けるまでの一連の流れのことです。ヘアサイクルには、髪の毛を成長させる成長期、髪の毛の成長が抑制される退行期、髪の毛が生えなくなり脱毛する休止期の3つがあります。髪の毛はこのサイクルを繰り返して成長し、抜けていきます。

日本皮膚科学会によると、生えている髪の約85~90%が成長期にあたるといわれ、一般的に成長期は2~6年程度続きます。一方で、髪の約10%程度は休止期です。休止期は2~3ヵ月続き、髪の毛の抜ける量は1日100本程度とされています。

本来ならば1日100本程度の髪が抜けても、成長期の髪の毛が多いため、薄毛になることはほぼありません。しかし、AGAはこのヘアサイクルが乱れ、成長期にあった髪の毛が多く休止期に入ることで、本来よりも多くの髪が脱毛するのです。

フィナステリドを服用すると、髪の毛を生成する毛母細胞に有効成分が直接働きかけ、毛母細胞が活発化します。すると、休止期に入った髪の毛がスピードを上げて成長期へと移行していきます。成長期に移行するとき、休止期に入って細く弱くなっていた髪の毛が、新たに成長した髪の毛によって外に押し出されて抜けるというのが初期脱毛のメカニズムです。

つまり、休止期にある髪の毛が多ければ多いほど、初期脱毛(休止期脱毛)で抜ける髪の毛の量は多くなるということなのです。

ただし、フィナステリドの服用によって必ずしも初期脱毛が起こるわけではありません。また、初期脱毛があったとしても髪の抜ける量が少ないことで、初期脱毛に気づかないというケースもあります。

参考:日本皮膚科学会「Q1毛が伸びる、または生えかわる仕組みはどのようになっているのでしょうか?

フィナステリドによる初期脱毛が起こる目安

初期脱毛が起こる目安としては、フィナステリドの服用を始めてから1〜3ヶ月後です。また、初期脱毛を確認してから1~3ヶ月程度で収まるとされています。

ただし、初期脱毛が起こらない人もいたり、髪の毛の抜ける量が少なくて初期脱毛に気づかなかったりする人もいるほか、長い人では初期脱毛が半年ほど続く可能性もあります。

あくまで個人差があるため、不安な場合は医師に相談すると良いでしょう。

フィナステリドによる初期脱毛への対策

フィナステリドによる初期脱毛を防ぎたい、あるいは、初期脱毛が起こっても周りにばれないように対処したいと考える方もいるでしょう。ここからは、フィナステリドによる初期脱毛への対策を解説します。

生活習慣を見直す

フィナステリドによる初期脱毛が続く理由には、生活習慣が関係しているケースもあります。

たとえば、睡眠不足が続いている場合には、毛母細胞の細胞分裂が低下しやすいため、頭皮の血流が悪くなり、抜け毛になりやすくなるといわれています。また、脂質、糖質、塩分の摂りすぎといった食生活の乱れも脱毛に影響します。

初期脱毛の量を減らし脱毛期間を短くするためにも、バランスのとれた食事を摂り、良質な睡眠をとりましょう。

また、運動をすることで、血流が良くなり脱毛の改善にもつなげられるため、食事や睡眠をしっかり取ることと合わせて、積極的に身体を動かすのも良いでしょう。

ウィッグや帽子を活用する

初期脱毛によって薄毛が目立つ場合、ウィッグや帽子を活用して脱毛を隠すのも、初期脱毛の対策として良い方法です。

ただし、ウィッグや帽子を長期間かぶりつづけると、頭皮が蒸れて、頭皮環境を悪化させる可能性があります。また、サイズの合っていないウイッグや帽子を着用すると頭が締め付けられて頭皮の血行不良につながり、毛母細胞に栄養が行きにくくなることも考えられます。

結果として薄毛を助長する可能性があるため、脱毛を隠すためとはいえ、長時間着用しないように工夫する必要があります。

長時間着用しなければならない場合には、定期的に帽子やウイッグを外して頭皮の汗を拭いたり風通しを良くしたりしましょう。また、帽子やウイッグは少し頭のサイズよりも緩いものを着用すると良いでしょう。

頭皮を健康に保つ

初期脱毛が気になって、髪や頭皮を触ってしまうことも多いかもしれません。しかし、髪や頭皮を過剰に触ると頭皮にダメージが加わり、脱毛が進みやすくなる可能性があります。

初期脱毛はほとんどの場合、数ヶ月程度で収まるので、初期脱毛中は髪や頭皮をいじらないように注意しましょう。少しでも早く発毛を促せるように頭皮マッサージをする方もいますが、過度な刺激を頭皮に与えてしまうと脱毛を助長する可能性もあるため注意が必要です。

また、刺激の強いシャンプーを使っているとそのシャンプー剤によって、頭皮の健康が維持できず、抜け毛が発生することも考えられます。たとえば、洗浄力が強い高級アルコール系シャンプーは頭皮の刺激になり、頭皮に炎症を引き起こすリスクがあります。頭皮に炎症が起これば、脱毛を助長する可能性が高まるでしょう。そのため、アミノ酸系シャンプーなど、合成界面活性剤が含まれておらず保湿力の高いシャンプーを使用するのがおすすめです。

ほかにも、初期脱毛が起こると、脱毛を何とかしようと育毛剤を使用する方もいます。育毛剤自体に特段問題はないものの、頭皮に合わない育毛剤を使用した場合には頭皮に炎症を引き起こし、頭皮の健康が維持できなくなるかもしれません。そのため、初期脱毛がはじまったからと言って無理矢理育毛剤を使うのはおすすめできません。なるべく頭皮にダメージを与えずに、初期脱毛が収まるのを待つのが得策といえます。

フィナステリドによる初期脱毛が起こった場合の注意点

フィナステリドによる初期脱毛が起こった場合には、前述したケアをしながらも次のことに注意しましょう。

服用を自己判断で中止しない

初期脱毛が起こると薬が効いていないと考えて、薬を自己中断する方もいるようです。

しかし、フィナステリドの初期脱毛は薬が毛母細胞に作用することで起こるため、つまりは薬が効いている証拠といえます。

日本皮膚科学会におけるフィナステリドの効果が現れた実験結果は、6ヶ月以上の観察期間を設けているもののため、6ヶ月未満で中断すると発毛効果が得られない可能性があります。

初期脱毛が起こったとしても、脱毛が悪化していると考えて服用を自己中断するのではなく、薬が効いていると信じて服用を継続することが大切です。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

関連記事:フィナステリドの効果とは?副作用や服用時の注意点についても説明

脱毛期間が長い場合は、医療機関を受診する

初期脱毛が長い期間続いているのであれば、かかりつけの医師を受診しましょう。脱け毛の量が明らかに多い場合や、3ヶ月以上症状が続いているという場合は、AGA以外のほかの脱毛症である可能性も考えられるため、クリニックを受診し、適切な検査や治療を受けることが望ましいです。

正しい服用方法で服用を継続する

より早く初期脱毛が終了するように、正しい服用方法でフィナステリドを服用を継続しましょう。フィナステリドの正しい服用方法は、1日1回、24時間以上間を開けずに服用することです。また、飲み忘れた場合には気づいたタイミングで飲み忘れ分も服用してください。

初期脱毛が起こると効果が出ていないのではと考え、服用量を増やそうとする人もいるようですが、自己判断で薬の量を増やさないようにしましょう。正しい服用方法で服用を続けることで、徐々に初期脱毛が改善してくるため、不安な気持ちを抑え、様子を見ることが大切です。

初期脱毛以外のフィナステリドの副作用

フィナステリドには、初期脱毛以外にも副作用があります。フィナステリドを服用することで起こり得る副作用は、次のとおりです。

性機能障害

フィナステリドの副作用として頻度が高いのが、性機能の障害です。フィナステリドの添付文書によると、最も頻度として高いのがリビドー(性欲)の減少で1%~5%未満、そのほかに勃起機能不全 ・射精障害・精液量減少が1%未満となっています。また、頻度は不明としているものの、精子の質が低下することから男性不妊となる可能性も考えられます。

参考:医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠1mg『NIG』

肝機能障害

発症頻度としては極めて低いものの、フィナステリドの服用による重篤な副作用として肝機能障害が挙げられます。

ただし、フィナステリドに限らず、基本的に内服薬は肝臓で代謝されるため、どの内服薬においても肝臓へのリスクは添付文書に記載されています。

もともと肝機能に何かしらの障害がある方は、フィナステリドを服用することによってさらに肝機能を悪化させる可能性があるため、服用前に医師に相談することが大切です。

アレルギー症状

フィナステリドの成分にアレルギーがある方は、服用によってアレルギー症状を引き起こす可能性があるため、服用ができません。厚生労働省でもフィナステリドの成分にアレルギーがある方の服用は控えるようにと推奨しています。

フィナステリドには有効成分のフィナステリド以外にもさまざまな添加物が含まれています。フィナステリドを服用する際には、医療機関を受診し自身のアレルギーを発症する原因となる物質が含まれていないかを確認してから服用しましょう。

参考:厚生労働省プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について

初期脱毛が気になるならば治療薬を変えても良い

フィナステリドによる初期脱毛が気になるならば、治療薬を変えて治療をするのも良いでしょう。たとえば、同じ5αリダクターゼ阻害薬であるデュタステリドを主成分とした内服薬のほか、血行を促進させることで発毛を促すミノキシジル外用薬に切り替えることで、初期脱毛が気にならなくなるかもしれません。

ただし、ほかの治療薬でも初期脱毛が起こる可能性はあります。

自己判断で治療薬を変えるのではなくほかの薬の作用や副作用も理解したうえで、医師に相談してから、治療薬を変えるかどうかを検討しましょう。

まとめ

フィナステリドの服用によって初期脱毛が起こるのは、フィナステリドが毛母細胞に届いている証拠であり、薬が効いているからこそ起こる症状です。そのため、脱毛症状が悪化しているのではと悲観的に考える必要はないといえるでしょう。

初期脱毛はフィナステリド服用後1~3ヶ月で始まり、概ね1~3ヶ月で収まります。ただし、個人差があるため、これよりももっと長期間初期脱毛が続くこともあり得るでしょう。また、初期脱毛があまりにも長期間続く場合には、初期脱毛ではなく、AGA以外の病気による脱毛の可能性もあります。

そのため、初期脱毛が気になるという場合には、自己判断で服用を中断せず、必ず医師へ相談しましょう。

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この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会