更新日:2026年09月07日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「フィナステリドを服用したいが、初期脱毛で髪が抜けるのが怖い」と不安に感じている方がいるかもしれません。フィナステリドによる初期脱毛は、服用開始後のヘアサイクルの変化により一時的に抜け毛が増えたように感じる現象です。2~8週間後に始まり、3ヶ月程度で落ち着くことが多いです。 この記事では、初期脱毛のメカニズムや対処法を解説します。そのほかの副作用についても触れていますので、ぜひご一読ください。
フィナステリドは、AGAの進行を抑制するための内服薬です。フィナステリドには抜け毛の原因物質である「DHT(ジヒドロテストステロン)」への変換に関わる酵素「5αリダクターゼ」の働きを阻害する効果があります。DHTを抑制することで、髪の毛を作り出す毛包が小さく萎縮するのを防ぎ、抜け毛を予防したり、髪の軟毛化を抑えたりするのが特徴です。 フィナステリドは、ヘアサイクルを正常な状態へ戻す役割を担っており、AGA治療の第一選択薬として用いられています。
初期脱毛は、薬が効き始めてヘアサイクルが正常化する過程で起こる可能性がある現象です。

AGAを発症すると、ヘアサイクルの「成長期」が短縮し、「休止期」にとどまる毛包が増えます。フィナステリドには、毛周期における成長期への移行を促し、成長期の毛髪を増やす作用が報告されています。 上記イラストのように、このような機序が考えられているものの、初期脱毛そのものの詳細な機序は明確ではないと考えられています。

フィナステリドの服用を始めると、服用開始後に一時的に抜け毛が増えることがありますが、起こる時期や程度には個人差があります。ここでは、初期脱毛が起こる期間とメカニズムをまとめました。
フィナステリドの服用を開始した後に、前髪や頭頂部の毛量が減ったと感じたら、フィナステリドによる初期脱毛が原因の可能性があります。 初期脱毛が始まる時期は、服用してから2~8週間後くらいが目安です。ただし、服用した人全員に起こるわけではありません。症状の現れ方には個人差があり、ほとんど気づかない程度で済むこともあれば、一時的に抜け毛が増えたと感じる場合もあります。 なお、初期脱毛の有無や程度だけから、フィナステリドの治療効果を判断できません。そのため、見た目の変化に驚いて過度に不安になったり、初期脱毛がないから効果が出ていないのではと心配したりせず、焦らずに様子を見ることが大切です。
フィナステリドによる初期脱毛は、3ヶ月程度で徐々に収まるのが一般的です。初期脱毛が落ち着いたあとは、新しい髪が成長し始めます。 髪の変化を実感するまでには時間がかかりますが、初期脱毛に驚いて自己判断で服用を止めてしまうのは避けましょう。フィナステリドは服用を継続している間にAGAの進行を抑制する薬剤であるため、自己判断で中止せず、服用継続や中止については医師に相談してください。医師の指示どおり、継続して服用することが大切です。

フィナステリドによる初期脱毛はヘアサイクルが正常化する過程で起こる一時的な現象です。抜け毛が増えたからと自己判断で服用中止することは避けてください。
フィナステリドで起こる初期脱毛を止めることは難しいですが、頭皮への刺激を避けることで頭皮環境を整えるサポートができます。 この期間を上手に乗り切る方法を考えてみましょう。
頭皮を清潔に保つことも大切です。洗髪時は爪を立てずに指の腹でやさしく洗い、すすぎ残しがないようによく洗い流します。洗浄力が強過ぎるシャンプーは頭皮に負担をかけるため、低刺激なものを選びましょう。 また、外出時は帽子や日傘で紫外線を防いだり、整髪料が頭皮に直接つかないようにするなど、日常的な工夫が健康な髪の成長を助けます。
服用開始から抜け毛が長期間続く場合や急激に抜け毛が増えた場合、頭皮にかゆみ・赤み・痛みなどの症状がある場合は、自己判断せず医師に相談してください。医師に相談することで、現在の状態が正常な経過なのかどうかを判断してもらえます。医学的なアドバイスを得られるだけでなく、不安を軽減し、治療へのモチベーションを維持するうえでも役立つでしょう。

フィナステリドだけでなく、ほかのAGA治療薬でも初期脱毛が起こることがあります。初期脱毛が起きる可能性がある主な薬を以下で紹介しますので、治療薬を選ぶ際の参考にしてください。
デュタステリドは、フィナステリドと同様に初期脱毛が起こる可能性がある薬です。フィナステリドが5αリダクターゼII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型・II型両方を阻害する作用があります。デュタステリドでも、治療開始後に一時的に抜け毛が増えることがあります。ただし、その発現時期や機序については個人差があり、詳細は十分に解明されていません。
ミノキシジルは、発毛を促進するAGA治療薬です。外用薬と内服薬が存在します。ミノキシジルを使用した際も初期脱毛が起こる可能性があります。 ミノキシジルは血管を拡張させる作用があり、毛包に作用して毛髪の成長を促進すると考えられています。この作用によって、新しい毛が生える力が強くなるため、発毛効果が期待できると同時に、初期脱毛が起きることがあります。ミノキシジルはフィナステリドと併用されることもあり、その場合は両方の作用による初期脱毛が重なる可能性もあります。ただし、これも一時的な現象とされています。

フィナステリドは、初期脱毛以外にも性機能障害や肝機能障害などの副作用があります。治療を安全に続けるためには、副作用について理解しておくことが大切です。 下記で主な副作用とその対処法を解説します。
フィナステリドの副作用として、リビドー(性欲)減退や勃起不全(ED)などの性機能障害が報告されています。フィナステリドによる5α還元酵素阻害作用との関連が考えられていますが、発現機序の詳細は明らかではありません。 もし、フィナステリドを服用後に性機能障害が現れた場合は、一人で悩まず医師に相談してください。医師の指示のもと服用量を調整したり、中止したりすることで、副作用による症状は改善される傾向にあります。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 「プロペシア錠 添付文書」
フィナステリド服用中に、「気分が落ち込む」「意欲が低下する」などの精神的症状が現れることがあります。ほかの副作用やAGA治療のストレスにより二次的に抑うつ状態を招いている可能性もあり、状況に応じて治療方針の見直しが必要になる場合があるでしょう。 心の健康は全身の健康にも影響します。フィナステリドの服用開始後に気分の変化を感じた場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
フィナステリドは主に肝臓で代謝され、肝機能障害が報告されています。体の倦怠感や黄疸などの異常を感じた場合は速やかに医療機関を受診してください。 肝臓に疾患を持っている方は、治療開始前に必ず医師にその旨を伝えましょう。服薬が可能かの判断をはじめ、治療が始まったあとも定期的な血液検査で肝機能をチェックすることで、早期に異常を発見できます。
フィナステリドによる初期脱毛ではどれくらい髪が抜けますか?
初期脱毛の程度には個人差がありますが、普段と比較すると2~3倍程度の抜け毛に感じる可能性があります。通常、健康な人の抜け毛は1日50~100本程度です。
ただし、抜け毛の本数だけでフィナステリドによる変化かどうかは判断できません。シャンプーをしているときや枕元の抜け毛が明らかに増えると感じる方もいるようです。
フィナステリドによる2回目の初期脱毛は起こる可能性がある?
ヘアサイクルの違いにより、初期脱毛が落ち着いたあとに抜け毛が増える場合もあります。髪には成長期・退行期・休止期というヘアサイクルがあり、毛根によってずれがあります。すべての髪が同じ段階にあるわけではありません。
また、治療中に再び抜け毛が増えた場合、2回目の初期脱毛以外にも、「AGAの進行」「休止期脱毛症」「頭皮トラブル」「体調変化」「服薬状況の変化」などが関係している可能性があります。自己判断で「2回目の初期脱毛」と決めつけず、抜け毛が続く場合は医師へ相談しましょう。
フィナステリドによる初期脱毛がないと治療効果がない?
初期脱毛の有無だけから、フィナステリドの治療効果を判断できません。人によってヘアサイクルの乱れ方や薬への反応は異なるため、初期脱毛を経験しない方もいるでしょう。初期脱毛の有無に一喜一憂せず、定期的に頭髪の状態をチェックし、長期的に全体のボリュームや髪の太さなどの変化を見ていくことが大切です。
フィナステリドによる初期脱毛で薄毛が進行する?
フィナステリドによる初期脱毛で一時的に髪のボリュームが減ったように感じることはあり得ますが、その程度は人によって異なります。髪が細い人や全体的に密度が低い人は、初期脱毛中に隙間が気になることがあるかもしれません。
ただし、初期脱毛はあくまで一時的な状態です。薄毛が目立ちにくい髪型にしたり、帽子をかぶったりするなどの工夫をしながら、初期脱毛を乗り切りましょう。
フィナステリドによる初期脱毛は、治療途中で起こる可能性がある一時的な現象です。薬の効果によってヘアサイクルが変化し、休止期にあった古い髪が抜け落ちることで生じます。初期脱毛は服用開始から2~8週間程度で始まり、3ヶ月程度で収束するのが一般的です。初期脱毛が起きている期間は、健康的な生活習慣の維持や頭皮への過度な刺激を避けましょう。 また、初期脱毛はフィナステリド以外にもデュタステリドやミノキシジルなど、ほかのAGA治療薬でも起こる可能性があります。フィナステリドには初期脱毛のほかにも、性機能障害や抑うつ症状、肝機能障害などの副作用が起こる可能性があります。不安なことは、医師と相談しながら治療を継続することが大切です。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 「プロペシア錠 添付文書」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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