更新日:2026年05月14日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「AGAの治療を始めたいけど、フィナステリドは効果があるのだろうか」と疑問を持っている方もいるかも知れません。フィナステリドは抜け毛を防ぐ「守りの薬」です。ただし、効果を実感するには最低6ヶ月の継続服用が必要で、即効性はありません。
本記事では、フィナステリドの作用機序や実際の効果、起こりうる副作用を解説します。効果を感じられないときの対処法にも触れているので、ぜひご一読ください。
フィナステリドは、抜け毛の原因を根本から抑えて「守り」のような働きをする内服薬です。主な役割は、今ある髪を抜けないように守り、AGA(男性型脱毛症)の進行を食い止めることにあります。
フィナステリドは、現在持っている髪の毛が抜けるのを防ぐことで髪の毛のボリュームを保ちます。薬の効果を実感するまでには、最低6ヶ月ほど継続した服用が必要です。
フィナステリドの服用を中断すると薄毛の進行が再開する可能性があるため、継続して飲み続けることが大切です。一時的に使用するものではなく、長期的に服用する前提で治療を始めましょう。
フィナステリドは、体内でテストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する酵素「5αリダクターゼII型」の働きを阻害するのが特徴です。下の図にあるように、頭皮のDHT濃度が低下し、短縮されていた成長期が正常な状態へと近づくことで、抜け毛を防ぐ効果が期待できます。ここでは、フィナステリドの効果と作用機序をまとめました。

フィナステリドは前述のとおり、薄毛の直接的な原因となるDHTの生成をブロックします。AGAの症状があるときは、頭皮にある5αリダクターゼII型によってテストステロンがDHTへと変換されている状態です。フィナステリドは5αリダクターゼII型の働きを妨げ、DHTの濃度を低下させます。
DHTの濃度が下がると、通常よりも短縮されていた髪の成長期が正常な長さに戻り、髪が健康に育つ環境が整います。特に、5αリダクターゼII型が多く存在する頭頂部や前頭部の薄毛に対して、高い効果が期待できるのが特徴です。
フィナステリドを服用すると、AGAによって崩れてしまったヘアサイクルを本来の状態に戻す効果が期待できます。ヘアサイクルが正常化することで、細く短い抜け毛が減り、髪を太く育てる状態が整うでしょう。
注意しておきたいのは、フィナステリドの主な役割は、今ある髪が抜けないように維持することにあります。直接的に新しく髪の本数を増やすわけではないので、長期的な視点での服用が大切です。
また、フィナステリドの服用開始初期に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こる場合があります。これはヘアサイクルが正常化に向かっているサインである可能性が高いため、焦らず服用を続けましょう。
フィナステリドの効果が出る時期については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医療用医薬品情報「プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書」にも記載されているとおり、早い方では3ヶ月で現れることもありますが、薬の効果を正しく判断するためには6ヶ月間の継続が必要です。自己判断で中止せず、毎日決まった時間に飲んで血中濃度を一定に保つよう心掛けましょう。
| 投薬継続期間 | 髪の状態 |
|---|---|
| 1ヶ月 | 見た目の変化はほぼなく、「初期脱毛」が起こるケースもある |
| 3ヶ月 | 早い人だと抜け毛が減ったと感じ始める |
| 6ヶ月~ | 髪にコシが出る、地肌が目立ちにくなるなどの効果を実感できる |
薬が効き始めても、ヘアサイクルが休止期にある毛が抜け落ち、新しく太い毛が頭皮の表面に出てくるまでには時間差が生じます。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報「プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書」

フィナステリドの効果が出るまでには約6ヶ月の期間が必要です。初期脱毛が起こることもありますが、効果が出ているサインなので焦らず継続しましょう。
どのような医薬品にも共通することですが、フィナステリドも服用にあたって副作用が現れる可能性があります。ここでは、フィナステリドの主な副作用4つを解説します。
フィナステリドの服用によって、リビドー(性欲)減退や勃起機能不全、射精障害、精液量減少などが報告されています。
フィナステリドの副作用には個人差があり、さらに個人の体質や年齢なども関係します。リビドー減退や性機能障害といった症状が現れた場合は、自己判断で薬の服用を中止せず、処方医に相談して対応を決めましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報「プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書」
フィナステリドにより、肝機能数値の変動が見られる場合があります。フィナステリドは肝臓で代謝される薬のため、もともと肝機能に不安がある方や持病がある方は注意が必要です。
倦怠感や食欲不振、白目が黄色くなる(黄疸)などの症状が出た場合は、肝機能に影響が出ている可能性があります。このような症状を感じたら、すぐに医療機関へ相談してください。
フィナステリド服用により、気分の落ち込みや意欲低下を招くケースが報告されています。具体的には、「気分が沈む」「何事にも興味が持てない」「普段楽しめていたことが楽しめなくなる」などの症状が現れる可能性があるでしょう。
精神的な不調を感じた際は、「薬のせいだから仕方ない」と自己判断せず、医師に相談することをおすすめします。状況によっては投薬量の調整や、薬の変更などが選択肢に挙がってくるでしょう。
フィナステリドは1日1回1錠服用することが基本で、自身のライフスタイルに合わせて習慣化することがポイントです。薬の吸収は食事の影響をほとんど受けないため、食前でも食後でも問題ありません。自分の生活リズムに合わせて、最も忘れにくい時間帯を選びましょう。フィナステリドは「たまに飲む」という方法では十分な効果が期待できません。毎日同じ時間帯に服用することで、飲み忘れを防げます。
服用のタイミングは、朝の歯磨きや夜寝る前など、日々のルーティーンと併せて時間を決めておくのがおすすめです。スマートフォンのアラーム機能などを活用して、服用時間のリマインダーを設定するのも有効でしょう。
フィナステリドを服用しても効果を感じられない場合、AGA以外の脱毛症や服用方法の誤りなどの原因が考えられます。まずは、なぜ変化が現れないのか、背景にある具体的な理由を確認していきましょう。
フィナステリドは「現状維持・抜け毛抑制」がメインの薬です。短期間で毛量が増えることを期待している場合、効果を実感しにくいかもしれません。AGAの治療薬には髪を増やすミノキシジルのような「攻めの薬」と、髪を維持し、これ以上薄くならないようにするフィナステリドのような「守りの薬」があります。
フィナステリドのような「守りの薬」による効果は「抜け毛の減少」や「細かった毛が太くなる」といったものが中心となるでしょう。フィナステリドの効果を正しく理解することが、納得して治療を続けるためのポイントです。
フィナステリドはAGA治療薬のため、円形脱毛症や脂漏性脱毛症などAGA以外の脱毛症には効果が期待できません。。AGAは男性ホルモンの影響で進行する脱毛症で、一般的に生え際や頭頂部から徐々に進行するのが特徴です。免疫異常によって突発的に髪が抜ける円形脱毛症や、過剰な皮脂による頭皮の炎症が原因の脂漏性脱毛症などは、AGAと発生のメカニズムが異なります。そのため、フィナステリドを服用しても根本的な改善は見込めません。
「境界線がはっきりした円形に髪が抜ける」「頭皮に強いかゆみや赤みがある」など、AGAとは異なる症状がある場合は、皮膚科や専門クリニックで正確な診断を受けましょう。
毛包(髪を育てる組織)が委縮していて、うぶ毛が生えていないほどAGAが進行した部位は、フィナステリドだけで改善するのが難しくなります。毛包の萎縮が進んだ状態では、フィナステリドの効果だけでは不十分で、ミノキシジルを組み合わせたり、自毛植毛を検討したりする必要があるかもしれません。AGAは早期の治療開始が大切なため、薄毛に気づいた段階でクリニックを受診するのがおすすめです。
フィナステリドは、飲み忘れが多かったり、勝手に服用量を減らしたりすると、本来の効果が十分に発揮されなくなる可能性があります。フィナステリドは毎日服用することで、効果を発揮する薬です。飲み忘れが多いと、DHTの抑制効果が不安定になり、薄毛の進行を適切に防げなくなります。
前述のとおり、朝の歯磨きのタイミングや夜の就寝前など、自分のルーティンに組み込むことで服用の習慣化を図りましょう。薬のケースに入れて常に持ち運んだり、目につく場所に置いておいたりするなどの工夫も役立ちます。
厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」で注意喚起がされてるとおり、個人輸入で入手した海外製の薬には偽造医薬品や不純物が混入しているリスク、成分が正しく含まれていない可能性があります。
フィナステリドを個人輸入した結果、期待される効果が得られない可能性や、健康被害の危険性もあるため、注意が必要です。
また、個人輸入の医薬品で重篤な副作用や健康被害が出たとしても、医療費や年金などの給付を行う医薬品副作用被害救済制度が適用されないというデメリットもあります。安全性と効果の両面を求めるなら、医師の処方によるAGA治療薬を使用しましょう。
参考:厚生労働省「医薬品・医療機器」
前述のとおり、フィナステリドは最低でも6ヶ月服薬を継続しないと、目に見える変化は現れない可能性があります。ヘアサイクルの特性上、フィナステリドの効果が現れるまでには時間がかかるためです。
フィナステリドの服用を6ヶ月未満で「効果がない」と判断してしまうのはもったいないでしょう。日々の変化を過剰に意識せず、定期的に写真で記録を撮るなどして、数ヶ月単位での変化を観察するのがおすすめです。
フィナステリドを使用しても効果を感じられない場合、デュタステリドへの変更やミノキシジルの併用などの対処法が考えられます。ここでは、フィナステリドを正しく服用しても効果がない場合の対処法を詳しく見ていきましょう。
フィナステリドが効かない場合、より強力な作用を持つデュタステリドへの切り替えを検討することも一つの選択肢です。デュタステリドは5αリダクターゼのI型・II型両方を阻害できるため、フィナステリドよりも広範囲にDHTの生成を抑えられるという特徴があります。
フィナステリドからデュタステリドへの切り替えにあたっては、医師の診察を受け、自身の症状や体質に適しているか慎重に判断してください。
フィナステリド単剤での治療に行き詰まりを感じている場合、ミノキシジルを加える治療法が有効な選択肢となります。ミノキシジルは頭皮の血行を促進することで発毛を促進する薬です。フィナステリドが「これ以上薄くならないように守る」役割を担うのに対し、ミノキシジルは「新しい髪を生やす」役割を果たします。
フィナステリドとミノキシジルを併用することで、相乗効果が期待できます。フィナステリドがDHTを抑制して毛根の環境を整え、ミノキシジルが血流を改善して発毛を促すという異なるアプローチで、より効果的な治療が可能になるでしょう。
フィナステリドの効果を引き出すためには、髪の材料となる栄養補給と頭皮環境の整備を行う必要があります。どんなに優れた薬でも、土台となる体づくりがおろそかになっていては、十分な効果を発揮しづらくなります。睡眠不足や喫煙を避けて頭皮の血流悪化を防止したり、髪の毛の材料となるタンパク質や亜鉛を積極的に摂取したりすることを心掛けましょう。
ただし、生活習慣の改善だけでAGAは治せません。あくまで補助的な役割と位置づけ、両方のアプローチを並行して行うのが理想的です。
フィナステリドは、女性や子どもが服用できなかったり、前立腺がん検査の数値に影響があったりするなど、注意するべき点があります。フィナステリドを安全に服用するために、事前に対策を確認しておきましょう。
フィナステリドは男子胎児の生殖器発達に影響を及ぼす恐れがあるため、女性の服用や接触は厳禁です。フィナステリドは男性ホルモンに作用する薬であるため、妊娠中の女性が服用したり、触れたりすると、男子胎児の生殖器の発達に影響を与える可能性があります。成分は皮膚からも吸収される性質があるため、特に妊娠中または妊娠の可能性がある女性が割れた錠剤などに触れることがないように注意が必要です。また、子どもについては、安全性が確立されていないため服用できません。
家庭内で使用する場合は、フィナステリドの保管場所や取り扱いに細心の注意を払い、女性や子どもの手の届かない場所に保管しましょう。万が一、錠剤が粉砕されたり、割れたりした場合は、女性や子どもが触れないよう適切に処分してください。
フィナステリドには、前立腺がん検診で測定するPSA(前立腺特異抗原)の数値を約半分に低下させる作用があります。そのため、フィナステリドの服用を医師に伝えずに検査を受けると、正確な診断を妨げて前立腺がんの発見が遅れる恐れがあるでしょう。
前立腺がん健診時には、必ずフィナステリド服用中の旨を医師に伝えましょう。医師はフィナステリドを服用していることを考慮し、検査結果を解釈してくれます。
フィナステリド以外にも、AGAを治療するための薬が存在します。ここでは、代表的なデュタステリドとミノキシジルについて、フィナステリドとの違いを交えながら特徴をまとめました。
フィナステリドが5αリダクターゼII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。そのため、フィナステリドよりもDHT生成を広範囲にわたって強力に抑制することが可能です。
| 比較項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 阻害する酵素 | 5αリダクターゼII型 | 5αリダクターゼI型、II型 |
| 副作用リスク | 比較的低い | 比較的高い |
デュタステリドはより強力な効果が期待できる反面、副作用のリスクも高まる可能性もあります。フィナステリドで効果が不十分な場合の選択肢として、医師と相談しながら検討すると良いでしょう。
フィナステリドがDHTを抑制する「守りの薬」であるのに対し、ミノキシジルは頭皮の血行を促進して毛母細胞に栄養を届きやすくする「発毛を促す」薬です。作用機序は完全には解明されていないものの、血管拡張作用によって頭皮の毛細血管が広がり、酸素や栄養素が毛根に行き渡りやすくなると考えられています。毛母細胞の分裂が活性化され、細くなった髪を太く、長く成長させる効果が期待できるでしょう。
フィナステリドとミノキシジルは作用機序が異なるため、併用することで抜け毛を抑えながら新しい髪を増やすという相乗効果があります。
フィナステリドは、AGAの主な原因物質であるDHTの生成を阻害し、乱れたヘアサイクルを正常化することで「今ある髪を守り、進行を抑制する」内服薬です。効果を実感するためには最低でも6ヶ月間の継続服用が前提で、長期的な視点で治療に臨む必要があります。
フィナステリドの副作用として性機能障害や肝機能障害、抑うつ症状などが報告されています。症状が現れた場合は医師に相談しましょう。
フィナステリドの効果が不十分と感じる場合は、フィナステリドの役割のの再確認やAGA以外の脱毛症の可能性の検討、用法・用量の遵守をしてください。また、発毛効果のあるミノキシジルとの併用やデュタステリドへの変更、生活習慣の改善などの対策を専門医と相談しながら検討し、最適な治療法を選択していきましょう。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 「プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書」
厚生労働省「医薬品・医療機器」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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