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更新日:2024年02月14日

M字はげの原因と治し方とは?セルフケアから治療まで解説

この記事のまとめ
  • 耳から頭頂部へのラインと生え際が2cm以内の場合、M字はげの疑いがある
  • 若い人のM字はげは、はげではなく生まれつきM字型の生え際である可能性がある
  • M字はげになる原因は、AGAと牽引性脱毛症の2つである
  • M字はげを治すには、服薬によるAGA治療、生活習慣の改善などが有効である

「これってM字はげ?」「生え際が後退してきた気がする」など、自分がM字はげかもしれないと気になっている男性は年代に関係なくいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、M字はげの基準や原因、M字はげの治し方について解説します。自宅でできるセルフケアからクリニックでの治療まで紹介していますので、M字はげを改善させたいとお悩みの方は、ぜひ読んでみてください。

M字はげとは

M字はげとは、額の中央の生え際に比べて左右の生え際が後退し、M字型に見える薄毛を指します。 生まれつきM字型の生え際の人もいますが、年齢とともに左右の生え際が後退してM字はげになる人も多いです。髪型によっては目立ちやすいことから、症状に悩む男性も多いでしょう。

ここでは、M字はげの基準と、M字はげの前兆について解説します。

M字はげの基準

M字はげに明確な基準はありませんが、耳の上部から頭頂部に向かって引いたラインと生え際のラインが2cm以内になっている場合はM字はげが疑われます。また、数年前の自分の写真と比べたときに、生え際が後退しているように感じた際も、進行のサインになるかもしれません。

そのほかに、AGA(男性型脱毛症)の診断で使われるハミルトン・ノーウッド分類を参考にするのも良いでしょう。ハミルトン・ノーウッド分類では、左右の生え際の後退が見られる薄毛のタイプをI型〜VII型で分類します。I型は生え際のラインがわずかに後退している状態で、II型は徐々に後退しM字型の生え際が目立ってきている状態を指します。自身の生え際がI型・II型に該当していないか、年々進行していないか確認することで、M字はげかどうかのセルフチェックができます。

頭頂部・生え際・前頭部のイラストイメージ

M字はげの前兆

今はM字型に後退していなくても、以下の状態が表れている場合は、今後M字はげになる可能性があります。

  • 抜け毛が増えた
  • 髪の毛が細くなってきた
  • 生え際が後退してきた
  • おでこが広くなってきた

シャンプー時の抜け毛が増えた、ドライヤー後に抜け毛が多く落ちている、といった変化には注意が必要です。また、毛が細くなったり脆くなったりという毛質の変化も、今後M字はげや薄毛を引き起こす前兆といえるでしょう。

おでこが広くなってきたと感じる方も注意が必要です。生え際が後退しM字はげが起きている可能性があります。正面から鏡を見ているだけでは気付けないこともあるので、気になる方は定期的に横から見た生え際も観察し、前兆がないか確認することをおすすめします。

おでこハゲについて詳しく知りたい方は、「おでこが広いとハゲる?おでこハゲとの違いと原因と判断基準」も参考にしてみてください。

M字はげの3つの原因

M字はげの主な原因は以下の3つが考えられます。

  • AGA
  • 牽引性脱毛症
  • 生まれつきのもの

それぞれ詳しく解説します。

AGA

M字はげの原因の1つが、AGA(男性型脱毛症)です。AGAは「Androgenetic Alopecia」の略称で、進行型の脱毛症です。徐々に抜け毛・薄毛が進行し、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなっていくのが特徴です。

AGAの進行には、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが関係しています。ジヒドロテストステロンは、体内に存在するテストステロンという男性ホルモンが、5αリダクターゼという酵素と結合することで生成されます。生成されたジヒドロテストステロンが、アンドロゲンレセプター(受容体)と結合すると、脱毛因子TGF-βが増加し毛髪の成長を妨げ、抜け毛や薄毛、M字はげを引き起こすのです。

特に、5αリダクターゼの活性度が強い人はAGAを発症しやすいことも分かっています。5αリダクターゼの活性度は遺伝によって受け継がれると言われているため、親族に薄毛の方がいる場合、AGAの発症リスクは高いです。

AGAは進行性の脱毛症であるため、AGAが原因のM字はげの場合、放っておくと薄毛がどんどん進行してしまいます。できるだけ早期に治療を開始することが大切です。

AGAについて詳しく知りたい方は、「AGAとは?抜け毛・薄毛が進行する男性型脱毛症について分かりやすく解説」も参考にしてみてください。

牽引性脱毛症

2つ目にM字はげの原因として考えられるのは、牽引性(けんいんせい)の脱毛症です。髪を長時間引っ張り上げる習慣があったり、カチューシャやゴムで髪に力を加えていたりすると、物理的な刺激で頭皮や毛髪に大きな負担がかかります。これにより、抜け毛や切れ毛などの牽引性脱毛症を引き起こし、結果としてM字はげになってしまう可能性があります。

生まれつきのもの

後天的な要因ではなく、生まれつき生え際がM字である、という人もいます。若いときから生え際がM字型になっていて、年齢を重ねても生え際が後退している様子が見られない場合は、生まれつきの可能性が高いです。特に高校生や20代といった若年層の場合、生まれつきM字型の生え際であることが多いと考えられるでしょう。

ただし、まれではありますが、若くてもAGAによるM字はげが起こるケースはあります。家族や親族にM字はげや薄毛の人がいる場合や、年々M字はげが進行している場合には注意が必要です。M字はげの前兆がないか、定期的に確認することをおすすめします。

M字はげの治し方

ここでは、M字はげを治す方法について、すぐにできるセルフケアから服薬による治療まで詳しく紹介します。

食生活を改善する

食生活の改善は、M字はげや薄毛の対策に有効です。髪の毛の主成分であるタンパク質は、食事から摂取する栄養を元に作られるからです。また、偏った食生活や、糖質・脂質の摂りすぎは髪の毛の成長を阻害してしまいます。

食事を改善する場合、タンパク質の中でも、シスチンを多く含む食品を摂るように心がけましょう。シスチンを多く含む食品は、下記のとおりです。

  • 肉類:レバー類、牛肉、羊肉、豚肉
  • 魚類:イワシ、さけ、まぐろ
  • 乳製品:牛乳、チーズ
  • その他:卵、大豆製品、オートミール

また、髪の毛のタンパク質の合成を助ける亜鉛やビタミンB群も一緒に摂るとより良いです。

生活習慣を改善する

睡眠不足や過度なストレスは、頭皮の血行不良を引き起こし薄毛を進行させることがあります。また、髪の毛の成長に欠かせない成長ホルモンは、就寝中に最も分泌されます。十分な睡眠は健やかな毛髪の維持に欠かせません。

また、喫煙習慣がある人も要注意です。AGAの原因となるジヒドロテストステロンという男性ホルモンは、喫煙により上昇するというデータがあります。禁煙によりAGAの発症・進行を抑制できる可能性がありますので、M字はげを改善したい方は禁煙を検討しましょう。

参考:National Library of Medicine「The relation of smoking, age, relative weight, and dietary intake to serum adrenal steroids, sex hormones, and sex hormone-binding globulin in middle-aged men

頭皮マッサージをする

頭皮マッサージをすると血行が促進され、髪の毛の成長に必要な栄養分や酸素が行き渡りやすくなります。M字はげや薄毛予防に効果があり、セルフケアとして手軽にできるのでおすすめです。過度な力でマッサージをしてしまうと、牽引性脱毛症の原因となることもありますので、気持ちいい力加減に留めるように注意しましょう。

頭皮マッサージの効果については、「頭皮マッサージを続けた結果、得られる効果とデメリットとは?」でも詳しく解説しています。

髪型を変える

髪の毛への物理的な力が加わる髪型は、牽引性脱毛症の原因となりM字ハゲを悪化させてしまいます。ゴムできつく縛るような髪型や、カチューシャや帽子を長時間被り続けることは避け、髪の毛への負担が少ない髪型に変えると効果的です。

また、生まれつきM字の生え際で悩んでいる方は、前髪を下ろす髪型にすると生え際が目立たなくなり、M字はげをうまく隠すことができます。

AGA(男性型脱毛症)治療を行う

セルフケアによるM字はげ対策を行っても、改善がみられない場合、AGAの可能性が高いです。AGAは進行型の疾患のため、治療をしないで放っておくとM字はげが悪化することもあります。AGA治療は症状に合わせてさまざまな治療が行えます。ここではクリニックで行われている一般的な治療方法について詳しく紹介しますので、M字ハゲを治したい方はぜひ参考にしてください。

内服薬治療

AGA治療の中で最も一般的な治療が内服薬治療です。AGAの発症には、体内のジヒドロテストステロンという男性ホルモンが関連しています。薬を飲むことで、ジヒドロテストステロンの生成を抑え、AGAの進行を抑制することができるのです。 使用する薬剤は、厚生労働省の承認を得ているフィナステリドやデュタステリドといった医薬品が一般的です。クリニックによっては、海外で使われている医薬品を輸入して処方しているケースもあります。

一方で、内服薬は外用薬に比べて副作用が発現しやすい傾向があります。内服薬で認められている主な副作用として、勃起不全や性欲減退などがあるので、服用する場合は、副作用について医師に十分確認することが大切です。

外用薬治療

外用薬による治療には、ミノキシジルという発毛・育毛成分が配合された薬剤が主に使われます。ミノキシジルは、毛乳頭細胞に作用し、毛母細胞を活性化させることで発毛効果を発揮します。

ミノキシジルを含む外用薬は、クリニックで処方される以外に、ドラッグストアでも購入できます。ただし、ドラッグストアで販売されている外用薬は、クリニックで処方される外用薬に比べて濃度が低いので、より効果を期待するのであればクリニックにて処方してもらうと良いでしょう。 また、外用薬では頭皮のかゆみやかぶれといった副作用が出ることがあります。万が一副作用が出た場合、かかりつけの医師に相談することが重要です。

自毛植毛

自毛植毛は、自身の後頭部など、健康に生えている毛髪周辺の皮膚組織ごと採取し、薄毛の箇所へ植え替える治療法です。自身の組織を植え替えるため拒絶反応などのリスクが少なく、植え替えた先で将来にわたり毛髪が生え続けることが期待できます。

AGA治療の中で最も高額な治療ではありますが、M字はげが進行していたり、生まれつきのM字型の生え際を気にしている方は、自毛植毛によって長期にわたりM字はげを改善できるメリットがあります。

日本皮膚科学会のガイドラインによると、自家植毛の定着率は80%以上と高く、内服薬や外用薬で効果が見られない場合には、十分な経験と技術を有する医師のもとで治療することを勧めています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

注射薬による治療(メソセラピー)

メソセラピーとは、頭皮に極細の注射針で薬剤を注入する治療です。外用薬としても使われる発毛成分のミノキシジルや毛髪の成長を促す成長因子、またはそれらを組み合わせ薬剤として使用します。頭皮の細胞に直接薬剤を届けられるので、内服薬や外用薬よりも早期に効果を実感できるケースが多いようです。

また、内服薬では勃起不全や制欲減退、肝機能障害といった副作用が起こることがあるため、内服薬の副作用が気になる方は、メソセラピーを検討するのも1つの方法です。

LED・低出力レーザー治療

LEDや低出力レーザーといった特殊な光線を照射する治療方法があります。臨床試験において、発毛効果の有用性が証明されており、非侵襲性なため副作用が軽微であることが特徴です。LED・低出力レーザーは発毛効果は認められているものの、AGAの進行を抑制する効果はないため、内服薬との併用治療を行うことが多いようです。

まとめ

M字はげの基準や原因を紹介しました。若い方のM字はげは、生まれつきによるM字型の生え際の場合もありますが、年々生え際が後退していたり、抜け毛・薄毛症状がみられたりする場合にはAGA(男性型脱毛症)を発症している可能性もあります。AGAにはさまざまな治療法があり、治療することで症状の改善が期待できます。M字はげでお悩みの方は一度専門医に相談してみると良いでしょう。クリニックに通院するだけでなく、オンライン診療で手軽に受診することも可能なので、ぜひ検討してみてください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会