更新日:2026年01月14日
ビオチンとは、肌や髪の健康維持への効果を期待できる水溶性ビタミンのこと
ビオチンの効果は髪の生成サポートや健康な肌づくり、疲労回復など
成人の1日あたりのビオチン摂取目安量は、50μgほど
ビオチンはレバーや卵黄、きのこ類などに多く含まれる
「肌荒れや抜け毛といった美容面の悩みを抱え、解決策として知ったビオチンの効果が気になる」という方もいるかもしれません。ビオチンは肌や髪の健康維持に役立ちます。具体的には肌荒れや抜け毛、爪が割れやすいなどのトラブルに効果があるとされています。この記事では、ビオチンの効果や1日の摂取目安量、摂取方法などを解説します。美容トラブルを抱えておりビオチンについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビオチンとは、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンのことです。一般的な名称であるビオチンのほかに、ビタミンHと呼ばれることもあります。肌や髪の健康維持に関わるため、美容目的で意識的にビオチンの摂取を心掛ける人もいるようです。
ビオチンは、主にタンパク質と結合した状態で存在しており、ビオチンを人の体内で利用するためには、タンパク質から離して遊離させなくてはなりません。厚生労働省の「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書(p.218)」によると、食事で摂取したビオチンをタンパク質から遊離させて使用できる率は80%程度とされています。
ビオチンは、さまざまな食品から摂取できることに加えて、腸内細菌によって合成できるため、通常の食生活で欠乏することは少ないとされています。
参考:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書」
ビオチンが不足すると、体内のアミノ酸代謝が悪化し、肌や髪、爪などの外見に関わる症状が現れやすくなります。また、ビオチン不足になると、食欲不振や吐き気などの体調不良も起こりえます。以下に、ビオチン不足時によくみられる主な症状をまとめました。
| 部位 | ビオチン不足による主な症状 |
|---|---|
| 肌 | 乾燥・かゆみ・湿疹・炎症 |
| 髪 | 抜け毛の増加・パサつき・白髪の増加 |
| 爪 | もろくなる・割れやすくなる |
| 全身 | 食欲不振・むかつき・吐き気・憂うつ感・免疫不全症・糖尿病 |
ビオチンが体内で欠乏すると代謝や免疫機能に異常が出るため、免疫不全症に関する病気が出現する可能性があります。また、ビオチンが不足するとインスリンの分泌能が低下するため、糖尿病のリスクが高まる可能性が示唆されています。
通常の食事をしている限り、健康な成人がビオチン不足になることはまれです。しかし、偏った食生活や過度なダイエット、妊娠中の方などはビオチン不足のリスクが高まる場合があるため注意が必要です。
ビオチンは水溶性ビタミンであるため、体内に蓄積されにくく、過剰分は尿として排出される性質があります。そのため、ビオチンを多く摂り過ぎても副作用の心配は比較的少なく、一般的な食事やサプリメントからの摂取では、健康被害が出ることはほとんどないでしょう。
ただし、極端に高用量のビオチンを摂取すると、血液検査の結果に影響を与える可能性があり、誤診につながる恐れもあるため注意が必要です。血液検査を受ける予定がある場合は、事前にビオチンサプリメントの使用を医師に伝えましょう。
ビオチンには、健康な肌や髪の生成や脂質や糖の代謝をサポートする効果があります。ここでは、ビオチンに期待できる5つの効果についてそれぞれ詳しく解説します。
ビオチンは、健康的な肌に必要なコラーゲンの生成を促進します。ビオチンには、カルボキシラーゼというアミノ酸の代謝を行う酵素の働きを助ける補酵素としての役割があります。アミノ酸は糖や脂肪とともにエネルギーを作り出したり、コラーゲンを合成したりするときの材料になるのです。
ビオチンには肝臓と脂肪組織で脂質代謝を促す効果があり、臓器内脂肪量を減少させるとされています。また、ビオチンは視床下部にある摂食亢進系という神経に影響を与え食欲を抑制する効果があるとされています。
ただし、ビオチン単体でダイエット効果があるわけではなく、バランスの取れた食事や適度な運動と組み合わせることが大切です。
ビオチンは糖の代謝をサポートし、血糖値のバランスを保つのに貢献します。ビオチンの作用によりインスリンの働きを助け、体内での糖の利用効率を高める作用があるため、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果が期待できるのです。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
ただし、サプリメントとしてのビオチンの効果については必ずしも有用性が報告されているわけではないため、自己判断で使用せずに医師の指示を仰ぐのが良いでしょう。
厚生労働省の「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書(p.217)」によると、成人男女におけるビオチンの目安量は50μg/日となっています。ビオチンの必要量に関する科学的データが限られているため、妊婦や授乳婦、高齢者の場合も変わらず50μg/日となっています。
通常の食品によってビオチンの過剰摂取になり、健康被害に至った報告は見当たらないとされています。しかし、サプリメントなどでビオチンを摂取する場合は注意が必要です。サプリメントでビオチンを摂取する場合は製品の推奨量を守り、過剰摂取にならないようにしましょう。
参考:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書」
ビオチンを摂取するには、食品から摂る方法とサプリメントで補う方法があります。ここではそれぞれのビオチンの摂取方法について解説します。
特にビオチンの含有量が多い食品は、きのこ類やレバーを中心とした肉、ナッツを含む種実、鶏卵、魚介類です。文部科学省の「食品成分データベース」をもとに、ビオチンを多く含む代表的な食品とを以下にまとめました。
牛レバー(生)
卵黄(生)
きのこ(生)
糸引き納豆
ほうれん草(生)
落花生(乾)
あさり(生)
日々の食事でこれらの食品をバランスよく取り入れることが理想的です。なお、生卵を大量に摂取した場合、卵白に含まれるアビジンという物質がビオチンと結合して吸収を妨げ、ビオチンが欠乏する可能性があります。卵は加熱するとアビジンが変性しビオチンを吸収しやすくなるため、加熱してから食べると良いとされています。とはいえ、ビオチン欠乏症がみられるのは長期間にわたって大量に生卵を食べた場合なので、一般的な食事量で生卵を摂取するだけなら問題ないといえるでしょう。
参考:文部科学省「食品成分データベース」
食事だけでビオチンを十分に摂取するのが難しい場合や、特定の美容効果・健康改善を目指す場合は、サプリメントを活用するのも選択肢の一つです。ビオチンサプリメントを飲むタイミングは、食事と一緒に吸収されるよう、食後に飲むのがおすすめです。ビオチンをサプリメントで摂取する場合は、継続して摂取することを心掛けましょう。
ビオチンサプリメントを選ぶ際は、信頼できるメーカーの製品や不必要な添加物が少ないものを選ぶと良いでしょう。また、継続できる価格帯、摂取しやすい形状かなど、総合して自分にあったものを見つけることをおすすめします。
ビオチンは体に必要な栄養素ですが、それだけで健康や美容の問題が解決するわけではありません。ビオチンを適切に摂取しているにもかかわらず、期待していた効果が感じられない場合は、ほかの要因が関係している可能性があります。肌や髪の状態は、ビオチン以外の栄養素不足やホルモンバランスの乱れ、ストレスなど多くの要素に影響されるからです。
ビオチンの効果を感じられない場合、まずは生活習慣を見直してみましょう。十分な睡眠や適度な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理など健康習慣が整っているかを確認します。それでも改善が見られない場合は、医師や専門家に相談することをおすすめします。医師との相談により、体質や症状に合った最適な治療法や栄養摂取の方針が見つかるかもしれません。
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ビオチンは肌や髪、爪の健康維持に欠かせない水溶性ビタミンです。美容効果に加えて代謝促進や疲労回復など多岐にわたる効果が期待できます。ビオチンを摂取することで、肌のコラーゲン合成のサポートや髪・爪の主成分であるケラチンの生成を助け、脂質・糖代謝を整えることで健康的な体づくりに役立つでしょう。
成人の1日の摂取目安量は50μgで、卵黄やレバー、きのこ類、納豆などの食品から自然に摂取できます。ビオチンは水溶性のため副作用の心配は少ないものの、サプリメントで補う場合は過剰摂取にならないよう製品の推奨量を守りましょう。特に血液検査前はビオチンサプリメントの使用を医師に伝えることが大切です。
ビオチンの効果を実感するには継続的な摂取が重要です。効果が感じられない場合は、睡眠や運動、バランスの良い食事など生活習慣を見直し、必要に応じて医師に相談することをおすすめします。