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更新日:2024/02/15

はげたくない人は知っておくべき!薄毛の原因と自分できる対策について解説

この記事のまとめ
  • はげの原因は、AGAや食事、睡眠などの生活習慣が挙げられる
  • はげの進行は、抜け毛の本数や髪質の変化、生え際や頭頂部の状態で見分けることができる
  • 生活習慣の改善や禁煙、ヘアケアを見直すことではげ対策ができる
  • はげは専門の医療機関で受診し、薬を処方してもらうことで治療できる
  • はげの治療法は飲み薬以外に、塗り薬や注射がある

「髪の毛が減ってきた」「生え際が後退してきた」という変化を感じ、はげの進行や将来はげてしまうことに不安を抱く人は多いのではないでしょうか。

本記事では、はげたくない人が知っておくべき、はげの原因やはげの進行を見分ける方法を解説します。また、自分でできるはげ対策やはげが目立ちにくい髪型も紹介するので、はげを予防したい人は参考にしてみてください。

はげたくない人が知っておくべき薄毛の原因

はげや薄毛の原因はさまざまですが、日々の習慣がはげの原因となることがあります。将来はげたくないと思っている人は、はげの原因を正しく知り対策することが重要です。はげを引き起こす主な原因には、以下のものがあります。

  • 遺伝
  • 食生活の乱れ
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 頭皮環境の悪化
  • 誤ったヘアケア

それぞれ詳しく解説します。

遺伝

男性の薄毛の原因として多いとされているのがAGA(男性型脱毛症)という疾患です。AGAの発症には、男性ホルモン受容体の感受性や、5αリダクターゼという酵素の活性度が関係しています。これらは、遺伝により引き継がれるとされており、家族や親族に薄毛の人がいるとAGAの発症リスクは高まります。

食生活の乱れ

以下のような食生活ははげの原因となるため、注意が必要です。

  • 栄養が偏った食事
  • ダイエットによる過度な食事制限
  • 暴飲暴食

毛髪の成分は主にタンパク質で、食事の栄養バランスに偏りがあるとタンパク質が合成されず、健康な毛髪が育ちません。また、食べ過ぎや飲み過ぎは消化・分解にエネルギーが費やされることで、毛髪の成長を阻害してしまいます。

睡眠不足

睡眠不足が原因のはげは、成長ホルモンの分泌不足と自律神経の乱れの2つの要因があります。

毛髪の成長や頭皮の代謝・修復には成長ホルモンが関係しています。成長ホルモンは睡眠中に活発に分泌されるため、睡眠時間が短いと成長ホルモンの分泌量が減ってしまい、髪が育ちにくくなります。

また、睡眠不足によって自律神経が乱れると、血行不良を引き起こし頭皮に酸素や栄養素が運ばれにくくなり、髪が成長しづらくなって薄毛につながる恐れがあります。睡眠時間は取れていても、睡眠の質が悪いと成長ホルモンの分泌量が低下し、はげの原因になることがあります。

ストレス

過度なストレスは、ホルモンバランスや自律神経を乱してしまい、はげの原因となります。ホルモンバランスの乱れは、髪の成長に必要な成長ホルモンの分泌低下や、はげを進行させる男性ホルモンの増加を引き起こすおそれがあります。

また、睡眠不足で起こる自律神経の乱れと同様に、ストレスによって自律神経が乱れると、頭皮の血行不良につながり、毛髪の成長に必要な酸素や栄養素が行き届きにくくなります。ストレスを受け続けると睡眠の質が低下し、それがまたストレスにつながるといった悪循環に陥るため、注意が必要です。

頭皮環境の悪化

フケやかゆみ、赤みなどの頭皮トラブルがあると、毛髪が正常に成長せず、はげの原因となります。頭皮環境が良くない状態が長く続くと、健康的な毛髪が生えにくくなります。頭皮環境が目に見えて悪化しており、毛髪の傷みが激しい、十分な太さがないという場合は、正常に成長してない可能性が高いです。

誤ったヘアケア

何気なく行っているシャンプーやドライヤーの使い方が、はげの原因になっていることがあります。誤ったヘアケアには以下のものがあります。

  • 爪を立てて頭皮を洗う
  • 短時間ですすぐ
  • タオルでごしごしと水分を拭き取る
  • 自然乾燥で乾かす

このような間違ったヘアケアの積み重ねが、毛髪や頭皮にダメージを与えます。

はげの進行を見分けるには?

はげの進行は、毎日鏡で見ていても自分では気付けないことがあります。ここでは、薄毛や若ハゲの前兆を紹介するため、はげの進行に不安を感じている人はセルフチェックしてみてください。

抜け毛が増えている

抜け毛が増えたと感じる人は要注意です。健康な人であっても髪は毎日抜け落ちるため、1日に50~100本程度であれば問題ないとされています。以前に比べて、洗面所や枕元に落ちている抜け毛が増えたと感じる人は、はげが始まっているかもしれません。

髪質が変化している

毛髪が傷んでいたり、切れやすくなったり、髪質に何らかの変化を感じるときは、はげが進行しているかもしれません。髪質の変化は、健康な毛髪の成長が阻害されているサインです。はげの前兆の一つといえるため、注意しましょう。

おでこが後退している

年々おでこが広くなってきている、生え際が後退してきているという場合、すでにはげが進行している可能性があります。過去の写真と比べるなどして、生え際が変化していないか確認すると良いでしょう。 また、おでこの後退はAGAの特徴的な症状であるため、おでこが後退している場合はAGAを発症している可能性があります。

頭頂部が透けている

頭頂部が透けて見えやすくなったり、つむじまわりの毛が減っていたりする場合、はげが進行している可能性があります。おでこの後退同様、頭頂部が透けてくるのはAGAの典型的な症状です。頭頂部は自分では気づきにくいので、はげの進行が気になる人は、定期的に手鏡や写真などで観察することをおすすめします。

自分でできるはげ対策

はげの原因はさまざまありますが、生活習慣が原因となっている場合には、自分ではげの対策が可能です。生活習慣を見直すことでできるはげ対策を紹介します。

髪に良い栄養素を摂る

毛髪の主成分はケラチンというタンパク質です。しかし、ケラチンは食事などから摂取できる成分ではありません。シスチンというアミノ酸から体内で合成されるもので、シスチンを豊富に含む食品を摂ると、健康な毛髪が生えると考えられます。シスチンを豊富に含む食品には次のものがあります。

  • 肉類:鶏肉、牛肉、豚肉
  • 魚類:いわし、かつお、さけ
  • 乳製品:牛乳、チーズ
  • その他:卵、大豆製品、オートミール

また、シスチンをケラチンとして合成させる際には、亜鉛やビタミンB6が必要です。亜鉛やビタミンB6を豊富に含む食品を一緒に摂るとよりはげ対策になります。亜鉛とビタミンB6を豊富に含む食品には次のものがあります。

  • 亜鉛:牡蠣、しらす、豚レバー、焼きのり、きな粉、アーモンド
  • ビタミンB6:かつお、まぐろ、さんま、牛レバー、バナナ

食事にそこまで気を遣えないという場合には、サプリメントを活用するのも1つの方法です。シスチン・亜鉛・ビタミンB6のサプリメントはドラッグストアなどで購入できます。

ビタミンB群に属するビオチンについては、「ビオチンは髪への効果があるの?ビオチンの成分と効果について解説」でも詳しく解説しています。

質の良い睡眠を確保する

睡眠中は、成長ホルモンの分泌が活発になり、髪の毛を成長させる毛母細胞の分裂を助けます。睡眠時間が短かったり、夜更かししたりしていると成長ホルモンの分泌が減少してしまいます。

睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとるためには、以下のことが大切です。

  • 7時間以上眠る(あくまで目安で、適切な時間は個人差があります)
  • 毎日同じ時間に起床する
  • 寝室の室温と照明を整える
  • 就寝する1〜2時間前に入浴する
  • 寝る前にスマホを見ない

長時間寝ていても、朝起きたときにだるい、スッキリしない、という人は、睡眠の質が悪い可能性があります。上記を参考に睡眠を見直してみましょう。

定期的に運動する

運動は、頭皮を含めた全身の血流を良くします。定期的に運動することで、毛髪の成長に必要な酸素や栄養素を毛母細胞に届けやすくなります。

運動といっても、激しいスポーツなどをする必要はありません。通勤時に歩く距離を増やしたり、階段を使うことを意識したりと、毎日の生活に取り入れられるもので身体を動かすことから始めてみてください。

禁煙する

喫煙は、毛細血管を収縮させる働きがあるので、頭皮の血流を悪化させます。また、AGAの発症にかかわるジヒドロテストステロン(DHT)量は、喫煙者では非喫煙者よりも14%多いという報告もあります。

喫煙は薄毛になるリスクを高めるいので、将来はげたくないならば、禁煙することも薄毛対策に繋がります。

参考:National Library of Medicine「The relation of smoking, age, relative weight, and dietary intake to serum adrenal steroids, sex hormones, and sex hormone-binding globulin in middle-aged men

ストレスを溜めない

ストレスが溜まると、自律神経の乱れを引き起こし、毛髪の成長に悪影響を及ぼします。はげ対策にはストレスを溜めない生活が大切なので、次のようなことを意識してみてください。

  • 意識して身体を休める
  • ゆっくりお風呂に浸かる
  • 趣味に没頭する
  • 無理に人に合わせない
  • 好きな人と会話する
  • 美味しいものを食べる
  • スマホと離れる時間を作る

現代社会はストレスが多く、気付かぬうちにストレスが溜まっているものです。意識してリラックスする時間をとり、ストレスケアを心がけましょう。

ヘアケアを見直す

何気なく行っているヘアケアが、毛髪や頭皮にダメージを与えていることがあります。正しいヘアケアを実践することで、はげ対策になります。正しいシャンプー方法とドライヤーの使い方を紹介します。

正しいシャンプー方法

ハゲを対策するためには正しくシャンプーすることが大切です。正しいシャンプー方法は以下のとおりです。

ブラッシングをする

入浴前のブラッシングは、ほこりや目に見えない汚れを落とす効果があります。また、毛髪の引っ掛かりをなくしておくことで、汚れが落ちやすくなります。

予洗いをする

髪を濡らしてすぐにシャンプー剤で洗うのではなく、まずは3分以上予洗いをします。予洗いで大半の汚れを落とすことができ、シャンプーの使用量も減らせるので、毛髪や頭皮のダメージ軽減に繋がります。予洗いする際は、頭皮が乾燥しにくい38〜40度程度のぬるま湯で行いましょう。

よく泡立てる

シャンプー剤は直接頭に乗せず、手のひらでしっかり泡立ててからつけます。頭皮は、爪を立てず指の腹を使って優しく洗ってください。

しっかり洗い落とす

すすぎに時間をかけることが大切です。汚れやシャンプー剤が落とし切れていないと、かゆみや炎症を引き起こすことがあります。耳の後ろや頭頂部はすすぎ残しがおきやすいので、重点的に流しましょう。 また、リンスやコンディショナーは、頭皮につかないよう塗り、しっかりと洗い落とすことも忘れないでください。

しっかり乾かす

入浴後は、濡れたまま放置せずにすぐ乾かします。頭皮が濡れた状態が続くと、常在菌が繁殖しニオイやかゆみといった頭皮トラブルを引き起こします。ドライヤーを使わず自然乾燥で済ませる人も多いかもしれませんが、はげ対策としてはしっかり乾かすことが重要です。

正しいドライヤーの使い方

ドライヤーの熱は毛髪や頭皮にダメージを与え、はげのリスクになります。下記の項目を参考に、正しく使えているか確認しましょう。

  • はじめにタオルドライする
  • 根本から毛先に向けて乾かす
  • ドライヤーを髪から20〜30㎝離して乾かす
  • 温風と冷風を使い分ける
  • ドライヤーを動かし続ける

まんべんなく乾かし短時間で終わらせることでダメージ軽減になり、はげ対策につながります。

紫外線対策をする

紫外線は、頭皮の老化を早めたり乾燥させたりし、はげを引き起こすことがあります。手軽にできる紫外線対策としては、以下のものがあります。

  • 帽子を被る
  • 日陰を歩く
  • 日焼け止めを使う

帽子を被ったり、日陰を歩いたりすることで、紫外線にあたるのを防げます。また、最近では頭にも使えるスプレータイプの日焼け止めも売られているので、紫外線対策として1つ持っておくと安心です。

髪型を工夫する

髪型を工夫することは根本的なはげの改善にはなりませんが、一時的にはげを目立たなくすることができます。多くのはげ対策は、数日では目に見える変化は得られないので、まず髪型を変えて薄毛の箇所を隠すのも一つの方法です。

はげが目立ちにくい髪型には、下記のようなものがあります。

  • 坊主
  • ショートヘア
  • ツーブロック
  • ソフトモヒカン
  • 七三分け
  • オールバック

坊主やショートヘアは、毛髪のあるところとないところの境目がわかりづらくなるので、はげが目立ちにくくなります。また、ツーブロックやソフトモヒカンは、頭頂部に長さやボリュームをもたせる髪型なので、頭頂部のはげを隠しやすいです。七三分けやオールバックは、分け目の方向や毛流れの作り方次第で、薄毛部分を目立たなくできます。

薄毛の箇所や頭の形によって、できる髪型・似合う髪型は異なります。髪型ではげを隠したい場合は、美容師に相談することをおすすめします。

はげは飲み薬で治療できる

AGAが原因で薄毛が起こっている場合、飲み薬で治療することができます。また飲み薬以外にもさまざまな治療法があり、しっかり治療することで改善が期待できます。ここでは、AGAによるはげの症状や治療方法について解説します。

AGAとは

AGAは進行性の脱毛症で、AGAの発症・進行にはDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが関係しています。体内のテストステロンというホルモンが、5αリダクターゼという酵素と結合すると、DHTが生成されます。生成されたDHTが、男性ホルモン受容体と結合すると脱毛因子TGF-βが増加し、毛髪の成長を妨げます。特に、5αリダクターゼの活性度が高い人はAGAを発症しやすく、この活性度は遺伝によって受け継がれるとされています。

AGAの多くは成人以降の男性に発症します。日本皮膚科学会のガイドラインによると、日本人男性の発症頻度は、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降で約40%と、年齢とともに高くなると報告されています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

AGA治療で使われる飲み薬

AGAの治療で使われる飲み薬は、テストステロンがDHTに変換される際に働く5αリダクターゼという酵素の働きを阻害する作用があります。飲み薬は、クリニックによって扱う薬剤が異なりますが、主な薬剤としてプロペシアやザガーロといったものがあります。

プロペシアの特徴

プロペシアは世界60ヶ国以上で販売され、日本では2005年に発売された国内で最初のAGA治療薬です。プロペシアは、フィナステリドという5αリダクターゼII型を阻害する成分により、テストステロンがDHTに変化するのを抑えます。5αリダクターゼII型は、おでこの生え際や頭頂部に存在しており、プロペシアはその部分に起きている脱毛に対して効果を発揮します。

効果発現の目安はおよそ6ヶ月です。主な副作用としては、性欲減退、勃起不全、肝機能障害があります。

ザガーロの特徴

ザガーロは、2015年にプロペシアの次に国内での販売が認められたAGA治療薬です。5αリダクターゼI型とII型の2つを阻害するデュタステリドという成分を含んでいます。5αリダクターゼI型は、頭部においては後頭部や側頭部に存在しているため、ザガーロによってI型とII型の両方を阻害することで、頭部全体の発毛効果が認められる可能性があります。

効果発現の目安は6ヶ月〜1年です。プロペシアより効果が現れるまで時間はかかりますが、発毛効果は比較的高い傾向があります。主な副作用は、プロペシアと同様、性欲減退、勃起不全、肝機能障害が挙げられます。

ザガーロはプロペシアに比べて効果が高い一方で副作用が出やすくなります。どの薬剤が合うかは、医師に相談して決めるようにしましょう。

AGAの治療薬について詳しく知りたい方は、「AGA治療薬の種類と効果、副作用とは?」も参考にしてみてください。

AGAの飲み薬以外の治療法

AGAの治療は、飲み薬以外に以下の治療法があります。

塗り薬(外用治療)

外用治療は、頭皮に直接薬を塗る治療です。AGA治療における塗り薬には主にミノキシジルという成分が使われており、毛髪の細胞増殖やタンパク質の合成を助けることで発毛を促します。3〜6ヶ月程で発毛が認められることが多く、飲み薬と併用して治療することもあります。

注射

注射は、発毛に効果があるミノキシジルや成長因子、保湿成分など、複数の成分を配合した薬剤を頭皮に直接注射する治療です。メソセラピーとも呼ばれます。脱毛箇所の細胞に直接薬剤が届くので、内服治療や外用治療に比べて効果の発現が早いとされています。個人差はありますが、2〜3ヵ月程で発毛が認められることが多いです。

自毛植毛

自毛植毛は、自身の後頭部などの健康な毛髪周辺の皮膚組織ごと採取し、薄毛の箇所へ植え替える手術です。自身の組織を植え替えるため拒絶反応のリスクが少なく、植え替えた先で長期にわたり毛髪が生え続けることが期待できます。高い確率で薄毛の改善が期待できますが、十分な経験と技術を有する医師のもとで施術を受ける必要があります。

LED光治療

光治療は、高輝度LEDという特殊な光を頭皮にあてる治療法です。穏やかな光による毛母細胞の活性化や血行促進により、発毛をサポートします。発毛効果は認められていますが、AGAの進行を抑制する効果はないので、飲み薬と併用することが多いです。

まとめ

はげの原因や進行の見分け方、自分でできる対策について紹介しました。生活習慣を改善することではげを予防することもできますが、AGAの場合には、飲み薬や塗り薬で治療することが改善の近道になります。

自分でできるはげ対策を実践しても効果が感じられない場合は、早めにAGA専門クリニックで受診し治療を開始しましょう。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会