更新日:2026年06月02日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
テストステロンとはどのようなホルモンなのか、詳しく知りたい方もいるかもしれません。 テストステロンは心身の健康を支えており、減少すると意欲の低下や不眠、性欲減退などを引き起こす要因となるものです。 本記事では、テストステロンの働きや心身におよぼす影響などを解説します。また、テストステロンの減少で引き起こされる症状や、分泌量を増やすための生活習慣についてもまとめたので、活力維持の参考にしてください。
「テストステロンは、主に男性の精巣(睾丸)で作られる男性ホルモンの一種で、男性らしい身体的特徴の形成や維持に欠かせないものです。思春期には声変わりや体毛の増加、筋肉の発達などを促し、成人後も心身の健康を維持する働きを担っています。
また、テストステロンは身体機能だけでなく、意欲や集中力といった心の健康、さらには認知機能にも関わっています。そのため、適切なレベルを保つことは、活力ある充実した日常生活を送るうえで大切です。
テストステロンの分泌量は20〜30歳代でピークを迎え、その後の変化には個人差があります。テストステロン値の急激な低下は、いわゆる男性更年期障害(LOH症候群)の主な原因となるでしょう。
なお、テストステロンは女性の体内では、主に卵巣や脂肪、副腎で作られます。男性に比べて分泌量は少ないですが、女性の健康維持にも欠かせないものです。女性でもテストステロンは健康維持に関与しており、筋肉量や骨量、気分などに影響すると考えられています。更年期ではエストロゲンが大きく減少しますが、テストステロンも加齢に伴い変化します。
テストステロンが正常なレベルで分泌されると、意欲の向上や性機能の維持、生活習慣病のリスク低減など、心身にさまざまな良い影響をもたらすでしょう。
ここでは、テストステロンがもたらす主な効果を紹介します。
テストステロンは心の健康を保ち、仕事や日常生活における意欲や集中力の向上を支える、活力の源といえるでしょう。 テストステロンは脳の記憶中枢である海馬でも合成されており、そのテストステロンを受け取る受容体(アンドロゲンレセプター)は海馬のメイン回路(CA1領域)にあるグルタミン酸神経に多く発現しています。 テストステロンは、この回路にある受容体に結びつくことで、情報を伝達するシナプスを強化する働きがあります。
つまり、テストステロンは脳機能にも関与すると考えられており、意欲や集中力、認知機能との関連が研究されています。
これにより、仕事や日常生活における情報の整理や集中力の向上が期待できます。
テストステロンは筋肉を太くする信号を発信し、筋肉内のタンパク質合成を促します。適切な範囲のテストステロンは、筋肉量の維持に関与しています。
また、テストステロンは骨の健康維持にも欠かせません。テストステロンは骨芽細胞という骨を作る細胞の活動を促し、骨密度の低下を防ぐ効果があります。
テストステロンは、男性の性機能維持を心と体の両面から支えています。脳内の受容体に作用して性欲(リビドー)を湧き上がらせる一方、体に対しては血管を広げる一酸化窒素(NO)の産生を促し、陰茎への血流をスムーズにして勃起をサポートします。
男性は二次性徴期に精巣が発達し、テストステロンの分泌が増えて生殖器の発達や陰茎の増大、性欲や勃起頻度の増加が起こりますが、テストステロンが減少すると関心そのものが薄れるだけでなく、物理的な反応も低下します。
つまり、テストステロンはパートナーとの良好な関係を維持し、プライベートな時間においても充実感を得るための要素の一つといえるでしょう。
なお、テストステロンの力を最大限に活かすためには、血管が健康であることも欠かせません。日々の食事や適度な運動を通じて血管の健康を保ち、心身に活力を取り戻しましょう。
テストステロンは、生活習慣病の予防にも関係しています。テストステロンは筋肉量の維持および体脂肪量のコントロールに寄与し、インスリン感受性(インスリンの効きの良さ)を保つ効果があるためです。したがって、内臓脂肪の蓄積を抑え、糖尿病や肥満のリスクを低減させる可能性があります。
また、テストステロンは、血管機能との関連も指摘されています。ただし、この恩恵を十分に受けるためには、受け皿となる血管そのものが健やかであることが大切です。
生活習慣病のリスクを低減するためには、定期的な健康診断に加え、ホルモンバランスと血管の健康の両面に注意を払いましょう。
テストステロンが減少すると、心身に不調が現れる可能性があります。ただし、これらの症状は個人差があり、すべての人に同じように現れるわけではありません。また、テストステロンは20代をピークに徐々に減少すると考えられていますが、個人差が大きく、年齢を重ねてもそれほど減少しない人もいるといわれています。
テストステロンが減少すると、疲労感や活力の低下などを感じるようになります。たとえば、以下のような症状を実感する場合があるでしょう。
これらの症状は、「朝起きても疲れが取れない」「以前なら簡単にできていた作業が億劫に感じる」といった形で現れることがあります。テストステロンの減少によるこのような病態は、男性更年期障害(LOH症候群)と呼ばれるものです。
ただし、疲労感や活力の低下はほかの原因でも起こります。原因がテストステロンでない可能性もあるため、日常生活に支障が出るほどの症状が続く場合は医療機関で相談するのが望ましいでしょう。
前述のとおり、テストステロンの減少は生活習慣病のリスクを高める要因となります。
特に注意すべきは、内臓脂肪の蓄積です。テストステロンには脂肪の燃焼を促す働きがあるため、分泌量が低下すると腹部に脂肪がつきやすくなります。これは単なる見た目の変化に留まらず、メタボリックシンドロームの引き金となるものです。
また、テストステロンにはインスリン感受性を高く保つ働きがあるため、不足すると血糖値が上がりやすくなり、糖尿病のリスクを上昇させる可能性があるでしょう。
さらに、血管の柔軟性を保つ物質(NO)の働きも鈍くなるため、動脈硬化の進行を早め、心血管疾患を招く恐れもあります。
運動や食事、睡眠などの改善は、テストステロン値の維持・低下予防につながる可能性があります。
ここでは、テストステロンを増やすための生活習慣について解説します。
筋力トレーニングや有酸素運動は、テストステロンの分泌を促します。
筋力トレーニングでは、筋力の増加によってテストステロンがさらに分泌され、それがまた筋肉や骨を強化するという好循環を生み出すことができます。
また、有酸素運動による肥満の解消も欠かせません。テストステロン減少の原因の一つは肥満です。適度な有酸素運動で脂肪を燃焼させることで、ホルモンバランスの維持につながる可能性があります。
ただし、長時間の激しい有酸素運動は、体がストレスを感じてテストステロン値を下げてしまう可能性があります。無理のない範囲で、適度な運動量の継続を意識してください。
栄養バランスの良い食事は、テストステロンの生成に欠かせません。特に亜鉛は、テストステロンの合成に関わるミネラルですが、摂取量が不足する傾向にあります。亜鉛の含有量が多い牡蠣や牛肉(赤身)、卵やナッツ類などを献立に取り入れると良いでしょう。
そのほか、タンパク質やビタミンD不足の改善がテストステロン値に影響する可能性が示唆されています。タンパク質に含まれるアミノ酸は、テストステロンの分泌を促します。また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、骨を丈夫にして筋力を高める効果があるため、間接的にテストステロンの分泌を促すでしょう。ビタミンDは、魚類やきのこ類に多く含まれています。
また、テストステロンを合成するエネルギー源として、体内には適度な糖質が必要です。過度な糖質制限はテストステロン値の低下を招く恐れがあるため、適量を摂取することが大切です。
質の良い睡眠によって促される成長ホルモンは、テストステロンの分泌に関係します。成長ホルモンは入眠直後に最も多く分泌されるため、このときに深い眠り(ノンレム睡眠)にあることが大切です。
以下では、質の良い睡眠をとるために必要なことをまとめています。就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、寝室を暗く静かに保ちましょう。

また、テストステロンはストレスの影響を受けやすい性質を持っています。過度なストレスを感じると、抗ストレスホルモンであるコルチゾールが大量に分泌され、テストステロンの生成が抑制されるためです。
つまり、テストステロン値を高く保つためには、ストレスを溜め込まないことが大切です。ヨガで心身をリラックスさせたり、好きな趣味に没頭したりするなど、自分に合った方法でストレスを解消し、テストステロンが働きやすい環境を整えましょう。
過度な飲酒と喫煙は、テストステロンの分泌を阻害する要因の一つです。 過度の飲酒はテストステロン低下と関連することが知られています。大量の飲酒は体にとってストレスとなり、脳からの「ホルモンを作れ」という命令を乱します。その結果、細胞にダメージを与え、テストステロンを減らしてしまうのです。
喫煙も同様に悪影響を与えます。タバコに含まれる有害物質は血管を収縮させ、精巣への血流を阻害するものです。これにより、テストステロンの合成能力が低下する可能性があります。
お酒やタバコをいきなりゼロにするのが難しい方は、休刊日を作るなど段階的に減らす工夫をしてみてください。テストステロンは生活習慣によって変動しやすいため、小さな積み重ねによって活力を取り戻せる可能性があります。

気分の落ち込みや性機能の低下などはテストステロン以外の原因で起こっている可能性もあります。「疲れが溜まっているだけ」と自己判断するのではなく、医師に相談することを検討しましょう。

テストステロンは、男性型脱毛症(AGA)の発症に間接的に関与しています。
AGAはテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合して、ジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで発症するものです。
DHTが頭頂部や前頭部の毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合すると、ヘアサイクルの成長期が短縮し、薄毛状態に至ります。
DHTは髭や体毛の成長に関与する一方で、頭皮では毛包のミニチュア化を引き起こすことがあります。
テストステロン値の測定は、主に血液検査で行われます。テストステロン値は日内変動が大きく、午後からは低下する傾向があるため、採血は午前中(できれば午前11時頃まで)に行うのが一般的です。検査では「総テストステロン」と「遊離テストステロン」の両方を測定することが多く、LOH症候群の評価は参考指標の一つとして用いられます。
| 数値(pg/mL) | 判定・目安 | 症状 |
|---|---|---|
| 11.8以上 | 正常 | 特に問題なし |
| 8.5~11.8未満 | 境界域 | 軽度の症状が現れる可能性あり |
| 8.5未満 | 低値 | LOH症候群の症状が現れやすい |
検査結果は年齢や個人差を考慮して判断されます。また、治療の必要性については、数値だけでなく、そのほかの症状なども含めて総合的に判断されるでしょう。
テストステロン値の検査は泌尿器科やメンズクリニックで受けられます。なお、レバクリでテストステロン値の検査は行っておりません。
ここでは、テストステロンに関する悩みや疑問について、Q&A形式で解説します。
正しい知識を持ち、ホルモンバランスを管理するための参考にしてください。
テストステロン値は1日のなかで刻々と変化します。一般的に、テストステロンの分泌は夜明け前から午前11時頃にピークを迎え、午後になると低下して再び上昇します。その後、夕方から深夜にかけて再度低下し、深夜に最も低い数値となるのです。
この変動幅には個人差があり、午前中と深夜の差がかなり大きい場合もあります。
女性にもテストステロンは存在します。女性のテストステロンは主に卵巣と副腎で作られ、男性よりもかなり少ない量が分泌されているのです。
また、テストステロンは女性においても、筋肉の維持や骨の健康、性欲や気分の安定などに関わっています。そのため、テストステロンが多い女性は、年齢を重ねても筋肉量や骨密度を維持しやすく、一方少ない方は気分の落ち込みなどの症状が現れる傾向にあるでしょう。
女性の更年期では、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少しますが、テストステロンは減少ペースがゆるやかです。そのため、エストロゲンに代わって、テストステロンが健康維持を担います。
サプリメントでテストステロンを直接増やせるわけではありませんが、間接的にサポートできる可能性はあります。たとえば、亜鉛やビタミンDなどの栄養素はテストステロンの合成に関わるため、これらが不足している場合はサプリメントにより補うことで、テストステロンの分泌を促進できるかもしれません。ただし、すでに十分な栄養を摂取している人が追加でサプリメントを活用しても、大きな効果は期待できないでしょう。
サプリメントはあくまでも補助的な役割であり、栄養は食事で摂るのが基本です。また、食事や睡眠、運動などによって健康が維持されていなければ、サプリメントを飲んでも期待するような効果は得られない可能性があります。
疲労や不眠、気分の落ち込みなどが続く場合は、医療機関を受診して原因を確認することも検討してください。
思春期には骨格や筋肉の発達に影響することがあります。また、皮脂の分泌が増加するため、肌質が変わることもあるでしょう。これらの変化は、主に思春期に現れます。
成人男性の場合、テストステロン値の変動による顔つきの変化は、それほど顕著ではないでしょう。ただし、テストステロンの増加によって意欲や活力が向上すると、その影響で表情や雰囲気が変わることがあるかもしれません。
テストステロンとは、主に男性の精巣で作られる男性ホルモンの一種です。男性らしい身体的特徴の形成や意欲・集中力の向上、性機能の維持、生活習慣病のリスク低減など、心身の健康維持に重要な役割を果たしています。
テストステロンが減少すると、疲労感や活力の低下、性機能の低下などの症状が現れる可能性があり、男性更年期障害(LOH症候群)に至ることもあるでしょう。
また、テストステロンはAGAの間接的な要因となる場合があります。テストステロンそのものが悪いわけではありませんが、DHTに変換されることでヘアサイクルを乱す引き金となるためです。
テストステロン値は加齢だけでなく、肥満、睡眠不足、ストレス、慢性疾患、服薬などさまざまな影響を受けます。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関で相談することが重要です。
AGAに関しては、希望の場所から医師に相談できるオンライン診療も検討してみてください。
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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