更新日:2026年08月19日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
抜け毛や薄毛が気になり、「亜鉛は髪の毛に効果があるの?」と気になっていませんか?亜鉛は髪の材料となるケラチンの合成を支える栄養素ですが、摂るだけで薄毛やAGAの進行が止まるわけではありません。 この記事では、亜鉛と髪の関係や不足のサイン、1日の推奨摂取量を紹介します。抜け毛や薄毛が気になる場合は、医師への相談も検討してみてください。
亜鉛は、健康な髪の毛を育てるために必要なミネラルです。髪の主成分であるケラチンの合成や、毛根で髪を作り出す細胞の働きを支えています。
ただし、亜鉛は髪を生やす作用があるわけではなく、あくまで髪が育つ土台を整える役割という位置づけです。
亜鉛は、髪の主成分であるケラチンを作るために必要な栄養素です。髪の毛のおよそ8〜9割は、ケラチンというタンパク質でできています。
食事で摂ったタンパク質はアミノ酸に分解され、再びケラチンへと組み立て直されます。亜鉛は、ケラチンの合成過程で働くのが特徴です。
そのため、亜鉛が不足すると、材料となるタンパク質を摂っていても、丈夫な髪を作りにくくなると考えられます。
亜鉛は、髪を生み出す毛母細胞の分裂を支える働きがあります。毛母細胞の役割は、毛根の奥で活発に分裂を繰り返し、新しい髪を作り続けることです。
亜鉛は細胞分裂やタンパク質の合成に関わる多くの酵素の構成成分であり、毛母細胞が正常に働くための土台となります。亜鉛が不足して細胞の働きが落ちると、髪が育ちにくくなる可能性があります。健やかな髪を育てるには、亜鉛を補い続けることが大切です。
亜鉛が不足すると、抜け毛の増加や髪質の低下といった変化が現れることがあります。亜鉛は体内で作れず、汗や尿として排出されるため、食生活によっては不足する場合がある栄養素です。
亜鉛が不足すると、抜け毛が増えたり、髪の成長に影響を与えたりすることがあります。亜鉛はヘアサイクルの中で髪を作り出す段階を支えているため、不足すると新しい髪が育ちにくくなります。
ただし、抜け毛の原因は亜鉛不足だけではないため、自己判断で決めつけないことも大切です。
亜鉛不足は、切れ毛やハリ・コシの低下として現れることもあります。亜鉛が不足してケラチンがうまく作られないと、髪の強度が下がり、切れやすく傷みやすい状態になりがちです。
また、亜鉛が不足することで髪のツヤが失われたり、まとまりにくくなったりと感じる場合もあるでしょう。「最近髪が細くなった」「セットが決まりにくい」と感じたら、食生活を見直してみるのがおすすめです。
亜鉛は、食生活の乱れや飲酒、ストレスによって不足しやすくなります。また、亜鉛はアルコールの分解に使われ、尿への排出も増えるため、飲酒量が多いと不足を招きやすいでしょう。
次の習慣がある方は、亜鉛不足に注意が必要です。
これらに当てはまる場合は、食生活の見直しから始めましょう。
亜鉛を摂るだけで、薄毛や抜け毛が改善するわけではありません。亜鉛は、薄毛の主な原因であるAGA(男性型脱毛症)の進行を止める働きはないため、亜鉛の正しい位置づけを理解しましょう。
AGAの進行は、亜鉛では止められません。AGAは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)へと変換されることで発生します。DHTはヘアサイクルの成長期を短縮するため、薄毛が進行するのが特徴です。亜鉛と男性ホルモンの代謝との関連が示唆されている研究もありますが、AGA改善効果について十分なエビデンスは確立されていません。
亜鉛は、髪が育つ土台を整える補助的な栄養素という位置づけです。バランスの良い食事で亜鉛を含む栄養を補うことは、頭皮や髪の健康を保つうえで役立ちます。
AGAが関係する薄毛を改善するには、医学的なアプローチが基本です。

亜鉛をはじめとする栄養は、あくまで髪が育つための土台を支えるものです。AGAは男性ホルモン由来のDHTが関わる進行性の脱毛で、栄養補給だけで進行を抑えるのは難しいと考えられます。「栄養バランスを整えても抜け毛が続く」「生え際や頭頂部の薄毛が気になる」といった場合は、自己判断で栄養やサプリに頼り続けず、早めに医師へ相談してください。
亜鉛は、不足だけでなく摂り過ぎにも注意が必要な栄養素です。髪のために大量に摂れば良いわけではないので、年代・性別ごとの目安量を守りましょう。
亜鉛の1日の推奨量は、年代・性別ごとに次のように示されています。

通常の食事で亜鉛の推奨量を大きく超えるのは稀ですが、サプリを使う場合は含有量に注意しましょう。 参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
亜鉛の摂り過ぎが、直接はげる原因になるという医学的な根拠は確認されていません。ただし、サプリなどで長期間にわたり亜鉛を過剰に摂ると、体内の銅の吸収が妨げられ、銅欠乏による貧血や胃の不調などが起こる可能性があります。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 18~29歳 | 40mg | 35mg |
| 30~49歳 | 45mg | 35mg |
| 50~64歳 | 45mg | 35mg |
| 65~74歳 | 45mg | 35mg |
| 75歳以上 | 40mg | 35mg |
亜鉛サプリを活用する場合は、推奨量の範囲に留めましょう。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
亜鉛は、食事から摂るのが基本です。亜鉛を多く含む食材を知り、吸収を高める食べ合わせを意識すると、効率良く補えます。
食事だけで亜鉛が足りない場合は、サプリで補うのも一つの手です。
亜鉛は、牡蠣やレバー、赤身肉などに多く含まれます。可食部100gあたりの亜鉛含有量は次のとおりです。
| 食品 | 亜鉛含有量(100gあたり) |
|---|---|
| 牡蠣(養殖・生) | 14.0mg |
| 豚(スモークレバー) | 8.7mg |
| 牛肩ロース(赤肉・生) | 5.6mg |
| カシューナッツ(フライ) | 5.4mg |
| 鶏レバー(生) | 3.3mg |
| プロセスチーズ | 3.2mg |
| 納豆(糸引き) | 1.9mg |
特に、牡蠣は亜鉛が豊富で、数粒で1日の目安量に近い量を補えます。毎日続けやすい食材として、赤身肉や納豆、チーズ、ナッツ類も取り入れるのがおすすめです。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
亜鉛は、動物性タンパク質と一緒に摂ると吸収が高まります。肉や魚などの動物性タンパク質は亜鉛の吸収を助けます。
一方で、加工食品に含まれるリン酸塩や、穀類・豆類のフィチン酸は吸収を妨げることがあるため、偏り過ぎないよう注意が必要です。
亜鉛サプリは、食事だけで不足しがちな場合の補助手段として使えます。忙しくて食事が偏りやすい方には便利ですが、サプリを選ぶ際は含有量を確認し、推奨量や耐容上限量の範囲で使うことが大切です。サプリには、亜鉛の吸収を助ける成分が含まれた製品もあります。
薬を服用中の方は、サプリの飲み合わせに気をつけましょう。また、亜鉛のサプリを飲む際は、鉄やカルシウムとは時間をずらすと相互の干渉を避けやすくなります。
参考:厚生労働省「健康食品の正しい利用法」

薄毛や抜け毛が気になる場合は、亜鉛による栄養面のケアと並行してAGA治療を検討しましょう。AGAは進行性のため、亜鉛の補給だけでは進行を防ぎにくいため、医学的根拠のある治療薬が基本です。
AGAの進行を抑える内服薬として、フィナステリドとデュタステリドがあります。どちらもDHT(ジヒドロテストステロン)の生成に関わる5αリダクターゼの働きを抑え、抜け毛の進行を抑える効果が期待できるのが特徴です。フィナステリドはII型を、デュタステリドはI型とII型の両方を抑えるとされています。
フィナステリドとデュタステリドの主な副作用には、性機能障害や肝機能障害などがあり、服用前には医師の診察が必要です。なお女性や子どもは、服用も成分への接触も避けてください。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠 添付文書」 参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル 添付文書」
発毛を促す薬としては、ミノキシジルの外用薬があります。ミノキシジルは頭皮の血流改善などを通じて、ヘアサイクルの成長期を延ばし、発毛を促す作用が期待されているのが特徴です。日本では、5%以下のミノキシジル外用薬が市販・処方されています。

ミノキシジル外用薬の主な副作用として、頭皮のかゆみや発赤、かぶれなどが報告されています。フィナステリドやデュタステリドと組み合わせて使われることもありますが、使用の可否は医師に相談しましょう。
参考:大正製薬株式会社「リアップX5チャージ説明書」
薄毛が気になる場合は、オンライン診療で医師に相談する方法があります。AGA治療は自己判断が難しく、症状や体質に合わせて医師が薬を処方することが必要です。
オンライン診療なら、カメラ付きのビデオ通話を使って自分の好きな場所から医師に相談でき、通院の手間を抑えられます。診察のうえで治療薬の処方を受けられる場合があります。
抜け毛や薄毛が気になり始めた段階で早めに相談しておくと、そのあとの選択肢を考えやすくなるでしょう。
ここでは、亜鉛と髪の毛について、読者が抱きやすい疑問をまとめました。以下で質問にお答えします。
亜鉛を摂れば髪の毛は早く伸びますか?
亜鉛を摂れば髪が早く伸びるとは限りません。亜鉛はケラチンの合成を支える栄養素で、不足を補うことで健やかな成長を助けるものです。必要量を超えて摂っても、伸びる速さが上がるわけではありません。
亜鉛は女性の薄毛・抜け毛にも効果がありますか?
亜鉛は男女を問わず、髪の健康に関わる栄養素です。女性も亜鉛が不足すると、抜け毛や髪質の低下につながる場合があります。
ただし、女性の薄毛にもさまざまな原因があるため、気になる場合は医師への相談を検討しましょう。
亜鉛不足かどうかは自分で分かりますか?
亜鉛不足は自分で判断しにくいのが実情です。抜け毛や味覚の変化、肌荒れなどが目安になることもありますが、確認するには医療機関での血液検査が必要となります。気になる症状が続く場合は医師に相談しましょう。
亜鉛は、髪の主成分であるケラチンの合成や毛母細胞の働きを支える、髪の健康に欠かせない栄養素です。不足すると抜け毛や髪質の低下につながることがある一方、摂るだけで薄毛やAGAが改善するわけではありません。
亜鉛は牡蠣やレバー、赤身肉などの食事から摂るのが基本です。足りない場合はサプリで補いつつ、推奨量・上限量を守りましょう。
薄毛の主な原因であるAGAは亜鉛では進行を止めにくいため、抜け毛や薄毛が気になる場合は、栄養面のケアと並行して医師へ相談するのがおすすめです。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル 添付文書」
大正製薬株式会社「リアップX5チャージ説明書」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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