更新日:2026年06月15日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「亜鉛が薄毛に効く」と聞いて、本当に効果があるのか気になる方もいるかもしれません。亜鉛は髪に良い影響をもたらす栄養素の一つですが、薄毛への直接的な効果を期待するのは難しいでしょう。ただし、薄毛治療と平行して摂取するのはおすすめです。 本記事では、亜鉛による髪への影響や薄毛対策として摂取する方法、推奨される摂取量などを解説します。正しい摂取方法を知り、薄毛対策の一つとして取り入れてみてください。
亜鉛に髪を増やす直接的な効果はありません。しかし、亜鉛は毛母細胞の働きに欠かせない栄養素であり、正常なヘアサイクルを維持して髪の健康を助けるために必要です。
亜鉛は体内で生成できないため、食事やサプリから意識的に摂取し続けることが望ましいでしょう。
亜鉛には「毛母細胞の細胞分裂を促す働き」と、「毛母細胞が酸化ストレスにより老化することを防ぐ役割」があります。毛母細胞とは髪を生み出す細胞であり、細胞分裂を行うことで髪を成長させるものです。
亜鉛の量が十分であれば毛母細胞の働きが促され、ヘアサイクルの成長期が短縮されるのを防げます。反対に、亜鉛不足になると毛母細胞が予定より早く退行期に入り、髪が十分に育つ前に抜ける可能性があるでしょう。
さらに、亜鉛は細胞の再生を促す酵素の働きをサポートし、毛母細胞の再生に寄与します。その結果、休止期の髪が再び成長期へ移行するのを助け、ヘアサイクルの正常化を促すのです。
髪は主にケラチンというタンパク質で構成されています。食事から摂取したタンパク質は体内でアミノ酸に分解されますが、これを再びケラチンへと組み立てる「再合成」のプロセスで不可欠なのが亜鉛です。
つまり、どれだけタンパク質を摂取しても、亜鉛が不足していればケラチンを合成できず、健やかな髪を作ることができません。亜鉛には薄毛を治療する効果はありませんが、栄養不足による細毛や抜け毛の予防において役割を果たします。
亜鉛不足はヘアサイクルの乱れを招き、間接的に抜け毛の増加に影響する可能性があります。また、ケラチンの合成やメラニンの生成が不十分になり、髪の軟毛化や白髪の増加に影響をおよぼす可能性もあるでしょう。
ここでは、亜鉛不足がもたらす髪への影響と、そのメカニズムを解説します。
前述のとおり、亜鉛が不足するとヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増加する可能性があります。これは亜鉛が毛母細胞の働きを支える役割を担っているためです。
髪は通常、成長期、退行期、休止期というサイクルで生え変わります。

亜鉛不足が続くと細胞分裂の働きが弱くなり、成長期が短縮されます。その結果、本来育つはずだった髪が休止期・退行期へ移行して、抜け毛が増加する可能性があります。
亜鉛が不足すると、髪の主成分であるケラチンの合成が十分に行われず、髪が細くなって軟毛化し、全体的なボリュームが減少する可能性があります。「髪がペタンとしてセットがまとまらない」「分け目が目立つ」と感じる場合は、亜鉛不足が要因の一つかもしれません。
また、亜鉛は新しい組織や器官を作るために必須のミネラルなので、影響は髪だけでなく肌や爪にも現れます。肌荒れが長引いたり、爪がもろくなったりするのは亜鉛不足のサインという可能性があるでしょう。
亜鉛不足は髪の色素生成にも影響を与え、白髪の増加に関与する可能性があります。亜鉛は、髪の色素であるメラニンの生成過程に関わるためです。
メラニンの生成にはチロシナーゼという酵素が必要です。このチロシナーゼに関連するタンパク質を安定化させると考えられているのが亜鉛です。亜鉛が不足するとチロシナーゼの働きが促されず、メラニンの生成が減少して白髪が増える可能性があります。
さらに、ストレスによる亜鉛不足も白髪の原因となることがあります。過度なストレスが続くと、体は「メタロチオネイン」というタンパク質を作って抵抗しますが、この合成には亜鉛が必要です。
本来、毛母細胞の分裂やメラニンの生成に使われるはずだった亜鉛がストレス対策に消費されるため、結果として白髪の増加を招く可能性があります。

爪が割れやすい、肌がカサつくという場合は、亜鉛不足のサインかもしれません。亜鉛だけですべてが改善するわけではありませんが、細胞の再生を促す亜鉛を意識的に取り入れることは体の健康を維持するために大切です。結果として、髪や爪、肌のコンディションが改善される可能性があります。
薄毛対策として亜鉛を摂取するためには、亜鉛の含有量が多い食品を選んだり、亜鉛の吸収を助ける栄養素を一緒に摂取したりするのがおすすめです。また、亜鉛の推奨量を把握して、適量を意識することも大切といえます。
ここでは、亜鉛の推奨摂取量や含有量が多い食べ物などを紹介するので、日々の献立選びや食生活の見直しの参考にしてみてください。
亜鉛の推奨摂取量は年齢・性別によって異なります。厚生労働省の「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書」で示されている1日あたりの推奨摂取量は以下のとおりです。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18~29歳 | 9.0mg | 7.5mg |
| 30~49歳 | 9.5mg | 8.0mg |
| 50~64歳 | 9.5mg | 8.0mg |
| 65~74歳 | 9.0mg | 7.5mg |
| 75歳以上 | 9.0mg | 7.0mg |
【2026年3月時点】
参考:厚生労働省「(2)微量ミネラル」
なお、妊娠中期〜後期の女性は+2.0mg、授乳婦は+3.0mgが推奨摂取量となります。また、18歳以上の男女には耐容上限量が示されており、女性は一律に35mgです。男性は30〜74歳が45mg、そのほかは40mgとなっています。
参考:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会」
亜鉛不足を防ぐために、亜鉛を多く含む食べ物を取り入れましょう。以下は、文部科学省の食品標準成分表で示されている亜鉛を含む主な食品と、亜鉛含有量を抜粋したものです。
| 食品 | 亜鉛含有量(可食部100gあたり) |
|---|---|
| 牡蠣(養殖・水煮) | 18mg |
| 牛肉(ビーフジャーキー) | 8.8mg |
| かたくちいわし(煮干し) | 7.2mg |
| 牛肉(リブロース・脂身つき・焼き) | 6.3mg |
| 抹茶 | 6.3mg |
亜鉛不足になるのは、バランスの偏った食生活や過度な飲酒、強いストレスなどが主な原因です。一般社団法人日本臨床栄養学会の「亜鉛欠乏症の診療指針2024」によると、日本人の男女ともに、20代以降における亜鉛摂取量が推奨量に比べてやや少ないと報告されています。ここでは、亜鉛不足の原因となる生活習慣を紹介するので、自身の生活を振り返るための参考にしてみてください。
亜鉛不足はバランスの良い食生活を送っていれば極端に恐れる必要はありませんが、過度なダイエットや偏食はリスクを高める可能性があります。極端な食事制限や摂取カロリーの不足、また動物性食品を避けるヴィーガンのような食生活では、亜鉛の主な供給源が限られるため、摂取量が不足しやすくなるでしょう。
また、糖尿病や腎疾患、肝疾患が亜鉛不足に影響する可能性も否定できません。糖尿病は尿量が増えることで亜鉛が体外へ排出されやすくなり、腎機能や肝機能の低下は、体内での亜鉛の吸収や代謝を妨げる要因となり得ます。
さらに、ライフステージによって摂るべき量が変わる点にも注意が必要です。胎児の成長を支える妊娠中の女性や、食事量の減少や吸収力の低下がみられる高齢者は、通常よりも亜鉛が不足しやすい傾向にあります。
過度な飲酒や喫煙は亜鉛の吸収を阻害し、亜鉛不足の要因となる可能性があります。お酒を飲むとアルコールを分解するために「アルコール脱水素酵素」が肝臓で作られますが、その合成には亜鉛が不可欠です。したがって、酵素の合成に亜鉛が大量に消費され、体内の亜鉛レベルを低下させてしまうでしょう。
また、飲酒による利尿作用で亜鉛の排泄量が増えることも、不足を招く一因です。日常的な深酒は肝臓に負担をかけ、亜鉛を代謝する機能そのものを低下させる恐れもあります。
そのほか、喫煙も亜鉛不足を招く要因の一つです。タバコの煙に含まれる有害物質は酸化ストレスを増大させ、これに抵抗するために体内の亜鉛が消費されます。さらに、喫煙は亜鉛の吸収を助けるビタミンCを大量に消費させるため、結果として食事からの吸収率も低下するリスクがあるでしょう。
強いストレスや慢性的なストレス状態も亜鉛不足を引き起こす要因の一つです。ストレスを感じると体内ではコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。このホルモンは体内のミネラルバランスに影響をおよぼし、尿中への亜鉛排出を増加させることがあるのです。
また、ストレス状態が続くと体は活性酸素と戦うために亜鉛を成分とする抗酸化物質を多く消費するため、結果的に髪や肌の修復に回るはずの亜鉛が不足しやすくなるでしょう。
ストレスによる亜鉛不足を防ぐためには、適度な運動や十分な睡眠によるストレス管理に加え、食事での亜鉛摂取を心がけることが大切です。
亜鉛の過剰摂取には、吐き気や頭痛などの健康被害を引き起こすリスクがあります。特に、長期的な過剰摂取は銅や鉄の吸収を妨げるリスクがあり、間接的に髪の健康に影響する可能性もあるのです。
ここでは、亜鉛の過剰摂取がもたらす健康へのリスクについて解説します。
亜鉛は体に必要なミネラルですが、過剰に摂取すると悪影響をおよぼす可能性があります。
亜鉛の過剰摂取による主な症状は以下のとおりです。
これらの症状は、一度に大量の亜鉛を摂取した際に急性中毒症状として起こる可能性があります。
亜鉛は健康の維持に必要な栄養素ですが、適量を意識することが大切です。
亜鉛の過剰摂取が長期にわたると銅の吸収が妨げられ、銅欠乏症を引き起こす可能性があります。銅欠乏症の症状には貧血や骨粗しょう症、免疫力低下などがあり、これらは髪の健康にも間接的に悪影響を与えかねません。
また、亜鉛の過剰摂取は鉄の吸収を妨げる可能性もあります。鉄欠乏性貧血に陥ると、毛母細胞へ酸素を運ぶ能力が低下するため、結果として健やかな髪の成長を妨げる要因の一つとなり得るのです。
栄養素は単独で働くのではなく、互いに影響し合って体内で機能します。そのため、特定のミネラルに偏ることなく、バランス良く栄養を摂取することが大切です。

「亜鉛は摂れば摂るほど良い」というものではありません。栄養素は単体で機能するのではなく、互いの合成や働きを助け合う、ほかの栄養素とのバランスが大切だからです。また、特定の栄養素を摂り過ぎると肝臓などの臓器に負担が偏る可能性もあるため、摂取量に留意しましょう。
亜鉛は間接的に髪の健康をサポートする栄養素ですが、それだけで男性型脱毛症(AGA)による薄毛の改善に寄与するものではありません。AGAによる薄毛の改善には、医学的な治療が必要です。
AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンに5αリダクターゼという酵素が結合して、ジヒドロテストステロン(DHT)が生成されることにあります。このDHTが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合するとヘアサイクルの成長期を短縮させ、薄毛を引き起こすのです。したがって、乱れたヘアサイクルを正常化するためには、5αリダクターゼの働きを阻害するための治療が必要となります。
「亜鉛で薄毛を改善しよう」と自己判断で亜鉛サプリメントだけに頼ると、直接的な薄毛の改善には至らず、AGA治療の開始が遅れる原因になりかねません。AGAは進行性の脱毛症なので、薄毛が気になる場合はできるだけ早く医療機関に相談するのがおすすめです。
ここでは、亜鉛と薄毛の関係について、Q&A形式で解説します。薄毛改善のために亜鉛を意識的に摂取しようと考えている方は、参考にしてみてください。
亜鉛を摂取することで髪の毛が増えた人はいる?
亜鉛の摂取だけで育毛や発毛が促されるわけではありません。亜鉛は健康な髪の成長をサポートする栄養素ですが、あくまでも補助的な役割となります。亜鉛のほか、タンパク質やビタミンなどの栄養素も髪の健康に良い影響をもたらしますが、栄養補給はあくまで、今ある毛母細胞が正常に活動するための土台づくりです。
「髪が増えた」という実感を得るには、栄養補給だけではなく、医学的な治療を行う必要があります。
薄毛対策におすすめの亜鉛サプリは?
薄毛対策としておすすめする特定の亜鉛サプリメントはありませんが、以下の点に注目して選ぶと良いでしょう。
・含有量(年齢や性別、食生活に応じて自分に合った含有量のもの)
・亜鉛の形態(グルコン酸亜鉛やクエン酸亜鉛など、吸収率の高い形態)
・ほかの栄養素との組み合わせ
・価格(無理なく続けられる価格帯)
薄毛対策の観点からは、亜鉛単体のサプリメントよりも、髪の健康に関わる栄養素(ビタミンB群、ビオチンなど)と組み合わされたものを選ぶのがおすすめです。加えて、銅不足を防ぐため、銅も含まれている製品が望ましいでしょう。
また、無理なく続けられる価格帯といっても安さだけで判断するのではなく、製造基準などの品質面も考慮することが大切です。
ただし、サプリメントは食事を補完するものであり、基本的には食事からの栄養摂取を第一に考え、必要に応じてサプリメントも活用するという姿勢が大切です。
亜鉛は薄毛に対して直接的な治療効果はありませんが、髪の成長をサポートするために必要な栄養素の一つです。亜鉛が不足するとヘアサイクルの乱れを招き、薄毛を引き起こす可能性があるため、食事やサプリメントで推奨量を摂取するのが望ましいでしょう。
ただし、亜鉛の摂取だけでAGAの改善は難しく、医学的な治療が必要となります。薄毛が気になる場合は、皮膚科やAGAクリニックで医師の診察を受けるのがおすすめです。
通院が難しい方は、オンライン診療という選択肢もあります。オンライン診療はビデオ通話で医師に相談でき、治療薬を配送で受け取れるため、通院が難しい方に向いているでしょう。
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のAGA治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
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| 5.2mg |
| ナチュラルチーズ(エダム) | 4.6mg |
| 大豆(きな粉) | 4.5mg |
| 味付けのり | 3.7mg |
| アーモンド(乾) | 3.6mg |
| 豚肉(ロース・脂身つき・ゆで) | 2.2mg |
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
一度の食事で推奨量を満たすのは難しいこともあるため、複数の食品からこまめに摂取すると良いでしょう。食習慣に取り入れやすい食品を意識的に選ぶのもおすすめです。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表・資源に関する取組」
亜鉛は摂取量だけでなく、一緒に食べる食品によって吸収率が左右されます。そのため、亜鉛の吸収率を高める栄養素を一緒に摂ることが大切です。
亜鉛の吸収を助ける栄養素にはクエン酸やビタミンC、動物性タンパク質などがあります。たとえば、生牡蠣や焼肉にレモンをかけるのは、理にかなった食べ方といえるでしょう。
反対に、亜鉛の吸収を妨げる成分もあります。フィチン酸(全粒穀物や豆類に多く含まれる)やカフェインは亜鉛の吸収を阻害する可能性があるため、亜鉛を含む食品と分けて摂取するのが望ましいでしょう。
食事だけで十分な亜鉛を摂取するのが難しい場合は、サプリメントを活用する方法もあります。ただし、サプリメントを選ぶ際は、亜鉛の含有量をチェックすることが大切です。食事にサプリメントを加えることで耐容上限量を超えてしまうと、吐き気や頭痛、めまいなどが起こる可能性があります。
亜鉛は食事での摂取を基本とし、サプリメントはあくまで補助的な役割であると捉えましょう。体内の栄養バランスが整った健康な状態でないと、サプリメントを取り入れても期待した効果を得られない可能性があります。安易に頼るのではなく、日々の食事から栄養を補うことを第一に考えてみてください。