更新日:2023年12月22日
頭皮マッサージの効果とは?頭皮マッサージの方法とリスクを解説
- 頭皮マッサージを行うと、頭皮の血行促進や、髪が立ち上がりやすくなるなどの効果が期待できる
- 頭皮マッサージは、押す・揉む・こする動作を組み合わせて行う
- 頭皮マッサージを行う際は、頭皮や髪に負担をかけないように行うと良い
- 頭皮マッサージを間違ったやり方で行うと、頭皮や毛根を傷つけるリスクがある
- 頭皮マッサージをしても抜け毛や薄毛が増える場合は、AGAの可能性がある
薄毛を改善する目的で頭皮マッサージを取り入れようと考えている方もいるのではないでしょうか。頭皮マッサージは薄毛に対して効果がある一方、間違ったやり方で行うと逆に薄毛を進行させてしまうリスクもあります。
本記事では、頭皮マッサージの効果や頭皮マッサージの方法について詳しく解説します。また、頭皮マッサージによって起こりうるリスクについても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
頭皮マッサージの効果
まずは、頭皮マッサージの効果について解説します。頭皮マッサージをすることによって、次の5つの効果が期待できます。
1.頭皮の血行促進
花王株式会社が行った「地肌マッサージの頭皮への作用」という研究によると、頭皮マッサージをすることで、頭皮の血行が促進されるとしています。頭皮の地肌マッサージを約3分間被験者に行ってもらったところ、頭皮血流量は、頭頂部・側頭部のいずれにおいても、頭皮マッサージ後の血流が有意に上昇したとのことです。さらに、頭皮マッサージを行ってから20分経過しても、頭皮の血流量は約20%程度上昇した状態を持続するようになったとしており、血行促進効果が持続することもわかりました。
頭皮マッサージによって頭皮の血行が促進されると、毛乳頭細胞に十分な栄養が届くようになります。毛乳頭細胞は、髪の毛を生成する毛母細胞へ細胞増殖因子などを送る重要な細胞です。頭皮マッサージを行うことで血行が良くなり髪に十分な栄養を送れるようになるため、薄毛や抜け毛が起こりにくくなると考えられます。また、メラノサイトという、髪の黒色の素となるメラニン色素を作る細胞にも酸素と栄養が十分に届けられるので、白髪の予防にもつながるでしょう。
参照元:花王株式会社ヘアケア研究所「地肌マッサージの頭皮への作用」
2.頭皮が柔らかくなる
同資料によると、頭皮マッサージには頭皮を柔らかくする効果も期待できるとのことです。頭皮を柔らかくすることで、頭部にある前頭筋や側頭筋、後頭筋といった筋肉の血流が良くなり、抜け毛の予防や改善が期待できるといわれています。
頭皮マッサージを1度行うだけでも頭皮が柔らかくなりますが、1週間継続すると、さらに頭皮が柔らかくなることを感じられるでしょう。
3.髪が立ち上がりやすくなる
頭皮マッサージをすることによって、髪が立ち上がりやすくなり、髪のボリュームが出る効果が期待できます。
頭皮マッサージによって頭皮が柔らかくなることで、皮膚内部の毛を作る組織である毛包の角度が上がります。そうすると、髪が根元から立ち上がり、毛髪にボリュームを出すことができるのです。
4.髪が太くなる
頭皮マッサージを継続すれば、髪の毛が太く丈夫になるように成長をサポートする効果が期待できます。海外の研究によると、頭皮マッサージを継続して行うことによって、毛の本数や長さには影響は見られなかったものの、髪の毛が太くなることが確認されました。
髪の毛が太くなれば、少ない本数でもボリュームがあるように見えるでしょう。
参照元:National Library of Medicine「Standardized Scalp Massage Results in Increased Hair Thickness by Inducing Stretching Forces to Dermal Papilla Cells in the Subcutaneous Tissue」
5.リフトアップ効果
頭皮マッサージは頭皮だけでなく、顔に対しても効果が期待できます。その代表的な効果が顔のリフトアップです。
頭皮は顔の皮膚と同じ皮1枚でつながっています。頭皮が固くなると顔の筋肉を引き上げにくくなり、顔の皮膚がたるんでしまうと考えられています。頭皮マッサージで頭皮を柔らかくすることで、顔にも張りが出てリフトアップの効果が期待できるのです。
頭皮マッサージの方法
頭皮マッサージを行う際は、押す方法に加えて、揉む・こするという動作も組み合わせるのが効果的です。具体的な頭皮マッサージのやり方は次のとおりです。
まず、5本の指先を頭皮をつかむように置き、そのまま指先の位置は動かさず、頭皮を押したまま手で3回ほど回しながら揉みほぐします。これを少しずつ位置を変えて行いましょう。
続いて、3本の指で頭皮を押し、こめかみから頭のてっぺんに向けてゆっくりと指を移動しながら頭皮を引き上げます。 最後に、両手の指先で、頭頂部の押すと気持ちが良いと思う部分を、3秒ほど押して離す動作を繰り返します。
頭皮のマッサージ方法については、「頭皮マッサージを続けた結果、得られる効果とデメリットとは?」でも詳しく解説しています。
頭皮マッサージを行う際の注意点
頭皮マッサージは正しくない方法で行ったり、過度に強い力で行ったりすると、頭皮や毛髪を傷つけてしまい、頭皮に悪影響を与える可能性もあります。頭皮マッサージを行う際には次の注意点を押さえておきましょう。
爪を短くする
爪が長い状態で頭皮マッサージをすると、伸びた爪によって頭皮を傷つける可能性があります。爪で頭皮を深く傷つけた場合、炎症に発展することもあるでしょう。爪は短く切りそろえてから頭皮マッサージを行うことが大切です。
頭皮に強い負荷をかけない
強い力をかけて頭皮マッサージをしたり、1日に何度も長時間頭皮マッサージをしたりすると、頭皮に負担がかかり、毛根部へダメージを与えてしまう可能性があります。毛根部を傷つけてしまうと毛髪がうまく成長できなくなってしまい、軟毛化や脱毛が起こる可能性があるので注意しましょう。
また、頭皮マッサージによって過度な伸展刺激を長時間繰り返してしまうと、炎症反応を引き起こす可能性があります。炎症反応が起こると、毛細血管の血管透過性(血管とその周りの組織との水分や栄養分のやりとりのしやすさ)が過剰に亢進してしまうため、血液が血管外へ漏出し、頭皮環境が悪化してしまうリスクもあります。
そのため、優しい力加減でマッサージを行うことが大切です。
髪の毛に負担をかけないようにする
頭皮マッサージ中に髪の毛に負担をかけないようにするのも大切なポイントです。マッサージ中に髪の毛を引っ張ったり、髪の毛をこすったりすると、髪の毛のキューティクルが壊れる可能性があります。髪の毛のキューティクルが壊れると、枝毛や切れ毛が発生してしまいます。
そのため、頭皮マッサージをする際は、髪の毛に刺激を与えないように行いましょう。髪の毛への刺激を抑えるには、シャンプー中に頭皮マッサージを行ったり、頭皮の保湿ケア剤を使って行ったりすると良いでしょう。
頭皮マッサージをしても薄毛になったらAGAかも
頭皮マッサージをしていても薄毛や抜け毛が改善されず、悪化する一方であれば、AGAと呼ばれる男性型脱毛症を発症している可能性があります。
AGAとは進行型の脱毛症で、おでこの生え際や頭頂部が徐々に薄くなり、脱毛範囲が広くなっていくという特徴があります。
AGAはジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンが、男性ホルモン受容体と結合して脱毛因子を増やすことで引き起こされます。ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素によって変換され生成されます。
この男性ホルモン受容体の感受性や5αリダクターゼの活性度は、遺伝の要素が強いとされているため、AGAを頭皮マッサージで治すことはできません。しかし、AGAは薬剤を使用することで治療することが可能です。そのため、AGA専門のクリニックで診察を受け、医師の指示のもとで治療を受けると良いでしょう。
もしも正しい方法で頭皮マッサージをしているのに髪が抜けやすくなってきていたり、薄毛が気になりだしたりしたら、AGAの可能性も視野に入れて、AGA専門のクリニックへ一度相談してみてください。
AGA治療について詳しく知りたい方は、「AGA治療は効果がないと言われる6つの理由」も参考にしてみてください。
まとめ
頭皮マッサージには血行を改善したり、頭皮を柔らかくしたりと、髪の成長につながるさまざまな効果が期待できます。押す・揉む・こするの3つの動作を組み合わせて行えば、より高い効果が期待できるでしょう。しかし、強い力をかけたり、爪が伸びた状態で行ったりすると頭皮にダメージを与えてしまうため、優しい力加減でマッサージすることが大切です。
もしも、頭皮マッサージをしているのに薄毛や抜け毛が起こるという場合には、AGAを発症している可能性があります。頭皮マッサージをしていても薄毛や抜け毛の改善が見られないという場合には、専門のクリニックを受診して、AGAかどうか診断してみることをおすすめします。