レバクリ

更新日:2024年03月06日

円形脱毛症後に白髪が生えるのはなぜ?原因と白髪を改善する方法を解説

この記事のまとめ
  • 円形脱毛症後の白髪は、メラニン色素が染色していなことが原因である
  • 円形脱毛症では、黒髪だけ抜けて白髪は残ることがある
  • 円形脱毛症後の白髪を改善するには、食生活や生活習慣の改善が重要である
  • 円形脱毛症は、早期に治療を開始することで回復までの期間は短くなる

円形脱毛症の回復時に白髪が生えてきてお悩みの方は多いのではないでしょうか。この記事では、円形脱毛症後に白髪が生える原因や白髪を改善する方法、白髪の正しい対処法を解説します。円形脱毛症の治療方法についても紹介するので、円形脱毛症が気になる方はぜひ参考にしてください。

円形脱毛症後に白髪が生える原因

円形脱毛症後に白髪が生えてくる原因は主に2つあり、どちらもメラノサイトという毛髪を黒くするための細胞が関連しています。メラノサイトにはメラニン色素を作る役割があり、毛髪は成長する過程で、メラノサイトで作られたメラニン色素を取り込むことで黒髪になります。

メラノサイトの働きが弱い

円形脱毛症の回復時に白髪が生える原因の1つとして、メラノサイトの働きが弱くなっていることが挙げられます。円形脱毛症が回復する過程では、毛髪を生やす働きのある毛母細胞がメラノサイトより先に回復します。毛母細胞が回復した段階でメラノサイトの働きが回復していない場合、メラニン色素が十分に生成されず、白髪として生えてきてしまいます。

メラノサイトの量が少ない

円形脱毛症が回復してしばらくしても白髪が生えてくる原因には、メラノサイト自体の量が減少している可能性も挙げられます。メラノサイトは老化やストレスによって減少することがあり、円形脱毛症の回復時にメラノサイトが減少していた場合は、円形脱毛症後に白髪が生えてくることがあります。

円形脱毛症の回復後の白髪の改善方法

円形脱毛症後の初期にはメラノサイトの働きが弱いことも多いですが、回復に伴い、メラノサイトの働きが活性化してくると、次第に元の髪色に戻ることが多いです。ここでは、メラノサイトをより早期に活性化させる方法を紹介します。

食生活を見直す

メラノサイトを活性化させるには、栄養が重要です。バランスの良い食事と髪の毛に良い食品やサプリメントを摂取することで、白髪は改善できます。

メラノサイトを活性化させる代表的な栄養素は、亜鉛とカルシウムが挙げられます。また、メラノサイトがメラニン色素を生成する際には、チロシンというアミノ酸が必要です。これらの栄養素を食事やサプリメントから積極的に摂取すると、髪色を早く戻す効果が期待できます。

各栄養素が豊富に含まれる食品は、下記のとおりです。

栄養素豊富に含まれる食品
亜鉛牡蠣、海藻類、赤身肉、レバー
カルシウム乳製品、小魚、大豆製品
チロシンチーズ、納豆、アボカド、バナナ

生活習慣を見直す

白髪を改善させるには、生活習慣の改善も効果的です。運動不足や睡眠不足、喫煙などに代表される乱れた生活習慣は、頭皮の血行不良や栄養不足を引き起こし、毛包細胞やメラノサイトの働きも低下させます。

白髪を改善するための生活習慣には以下のものがあります。

  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • 禁煙

健康的な生活を送ることで、白髪の改善に繋がります。

円形脱毛症後の白髪に対してしてはいけないこと

円形脱毛症後に白髪が生え目立ってしまい、気になることも多いでしょう。ですが、円形脱毛症後の白髪に対して以下のことは控えてください。

白髪を抜かない

円形脱毛症後の白髪を抜いてはいけません。白髪とはいえ、発毛しているということは、毛母細胞が回復し発毛している良い状態といえます。白髪を抜いてしまうことで、せっかく回復してきている毛母細胞を傷つけてしまいます。今後の発毛に影響が出てしまう可能性があるので、白髪は抜かないようにしてください。

白髪染めの使用は控える

白髪染めの使用は、なるべく避けたほうがいいでしょう。白髪染め自体に円形脱毛症を悪化させる作用があるわけではありませんが、白髪染めのカラー剤は頭皮への刺激になりやすく、頭皮環境の悪化を引き起こす可能性があります。

白髪を隠したい気持ちはわかりますが、回復期にある毛母細胞やメラノサイトを傷つけないためにも使用は控えてください。

円形脱毛症の発症原因

そもそも円形脱毛症はどのような原因で発症するのでしょうか。一般的な円形脱毛症の発症原因について解説します。

自己免疫反応

円形脱毛症の主な原因として考えられているのが、毛根周辺に起こる「自己免疫反応」です。通常の免疫反応は、細菌やウイルスなどの異物に対して体内の抗体が攻撃するというものですが、自己免疫反応は、体内に存在する正常な細胞に対して攻撃してしまう状態を指します。

円形脱毛症では、メラニン色素に対して働く自己免疫反応によって脱毛が起こると言われています。そのため、もともと白髪混じりの人が円形脱毛症になると、メラニン色素が存在しない白髪は抜けずに黒髪だけ抜けるという現象が起きます。

メラニン色素に対して自己免疫反応が起こる原因は、残念ながらまだ解明されていません。

アトピー性疾患

直接の発症原因ではありませんが、円形脱毛症を発症した人の41%がアトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギ性鼻炎など)をもっていたという報告があります。そのため、アトピー性疾患と円形脱毛症には関連があるとされています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版

ストレス

ストレスは、円形脱毛症の原因として長らく信じられてきましたが、最近では発症の直接の原因というよりは、発症のきっかけになる間接的な要因と言われています。

ストレスをきっかけとして、自己免疫反応が誘因されたり頭皮環境の悪化を招いたりすることで、円形脱毛症になると考えられています。

遺伝

円形脱毛症は遺伝的要因により発症することがわかっています。日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドラインによると、中国の大規模調査では、円形脱毛症の患者の8.4%に家族内発症が認められ、親等が近いほど発症率が高いことがわかりました。

また、欧米でも、1親等以内の発症は一般の発症に比べて10倍高かったという報告もあり、遺伝は円形脱毛症の発症原因の1つとして考えられています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版

円形脱毛症の治療方法

ここからは、クリニックで行われる円形脱毛症の一般的な治療方法と、回復までの期間について解説します。

ステロイド局所注射

ステロイドを脱毛部に直接注射する治療法です。ステロイドには自己免疫反応や炎症を抑える効果があるため、円形脱毛症の根本原因に直接アプローチできます。4〜6週間に一度注射をすることで発毛効果が期待できます。

局所免疫療法

局所免疫療法は、脱毛部に意図的にかぶれを生じさせることで、発毛効果を促す治療法です。SADBE(Squaric Acid Dibutylester)やDPCP(Diphenylcyclopropenone)といった試薬を塗ることで赤みやかゆみなどを生じさせ、自己免疫反応を抑制することを目的に行います。

局所免疫療法は、広範囲の脱毛にも有効と言われています。ただし、副作用として重度の皮膚炎を引き起こす可能性もあるため、定期的に通院し医師にフォローしてもらうことが必要な治療です。

ステロイド外用療法

ステロイド外用薬を脱毛部に塗る治療法をとることもあります。1日2回、数ヶ月にわたり塗り続けなければなりませんが、注射の痛みや局所免疫療法でのかぶれを避けたい方には、良い治療方法と言えます。

円形脱毛症の治療方法については、「円形脱毛症の治療方法とは?原因やセルフケアについて解説」でも詳しく解説しています。

円形脱毛症の回復までの期間

症状により回復までの時間は異なりますが、日本皮膚科学会のガイドラインによると、脱毛している期間が1年以内で少数の脱毛班が生じている場合、1年以内に80%程度の人が毛髪の回復にいたったという報告があります。

しかしながら、再発を繰り返してしまうケースや脱毛部が広範囲におよぶケースでは回復までに時間がかかる可能性が高いです。毛髪が抜け落ち頭皮が見えると、精神的に大きなストレスになりやすく、そのストレスがさらに円形脱毛症を進行させてしまうこともあります。

症状が進行しすぎると治療が長期化することもありますので、気づいたときに専門医の受診し治療を開始することをおすすめします。

円形脱毛症の治る前兆については、「円形脱毛症が治る前兆とは?治りかけの症状を知っておこう」で詳しく解説しています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版

まとめ

円形脱毛症後に白髪が生えるのは、発毛を促す毛母細胞の働きが最初に回復し、髪を黒くするメラノサイトの働きがまだ回復していないことが原因です。この白髪を抜いたり、白髪染めをしたりすると、円形脱毛症の回復を妨げる可能性があるため避けましょう。頭皮への刺激を減らし健康的な生活を送ることで、元の黒髪に戻る時間も短くなります。

円形脱毛症は、放っておくと悪化し回復に時間がかかる疾患です。早い段階で専門医へ相談し、適切な治療を受けることが早期の回復につながります。