更新日:2026年06月17日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「生え際が後退しているかも」「自然な後退なのかAGAなのか気になる」という方もいるかもしれません。正常な生え際は、生え際の形状に変化がなく、密度が高いことなどが特徴として挙げられます。ストレスによる生え際の後退は一時的なこともありますが、AGAの場合は治療が必要です。 本記事では、正常な生え際と後退している生え際の見分け方を解説します。生え際の後退を予防する方法も紹介するので、参考にしてください。
生え際が正常かどうかは第三者との比較では分からず、一律に判断できるものではありません。おでこの広さや形状は人によって異なるため、過去の自分と比較して生え際の変化を確認しましょう。
鏡に映る現在の生え際と昔の写真を見比べるのがおすすめです。
特に、以下の点に注目しましょう。
生え際の毛が産毛のように細く弱い場合は、おでこのラインが以前よりぼやけて見える場合もあります。上記に加えて、細く短い抜け毛の増加も一つの指標になるでしょう。
生え際のチェックのためには、スマートフォンのカメラで定期的に記録しておいたり、家族や友人に聞いてみたりするのも一つの方法です。特に、男性型脱毛症(AGA)の初期段階の場合、つむじ周辺から薄くなることもあるため、自分よりも周りのほうが変化に早く気づくケースがあります。また、 毎日鏡を見ている自分にとっては気づきにくい変化でも、客観的な視点で見ると変化がはっきりと分かることもあるでしょう。
生え際が正常か、AGAにより後退しているかを見分けるポイントは、毛髪の太さや密度、生え際のラインなどです。比較するポイントを以下にまとめました。
毛髪の太さは正常なら全体が均一でコシがありますが、後退の兆候がある場合は生え際の毛が細く短くなる軟毛化が起こります。通常は1つの毛穴から2〜3本の毛が生え地肌は透けませんが、後退が進むと単位面積あたりの本数が減り、毛穴の間隔が広がってスカスカになったと感じる症状です。
また、生え際の形状が正常な場合は、ラインが揃って境界が分かりやすいのに対し、変化が始まるとM字型に後退したり、額の中央からラインが上がったりする場合があります。
これらのポイントを比較し、自身の生え際が正常な範囲か、あるいは後退が始まっているのかを確認してみてください。
ただし、生え際の形状は人によって異なるので、もともとM字型の人もいるかもしれません。注視すべきは、以前の自分と比較することです。
生え際が後退する原因として考えられるのは、AGAやFPHL(女性型脱毛症)、牽引性脱毛症や休止期脱毛症などです。原因によって対処法が異なるため、気になる場合は医師の診断を受けることが大切です。
ここでは、生え際の後退を引き起こす脱毛症について、特徴やメカニズムを解説します。
AGAは、男性ホルモンが関与して起こる脱毛症で、生え際が後退するパターンや頭頂部から薄くなるパターンなど、いくつかの進行パターンがあります。
代表的な進行パターンは、M字型・U字型・O字はげです。

AGAは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素によりジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで発症します。このDHTが、毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合すると、ヘアサイクルが乱れて成長期が短縮され、脱毛を引き起こすのです。
AGAでは、成長期の髪が十分に成長する前に休止期に移行するため、細く弱い髪が増えるのも特徴として挙げられます。そのため、産毛のような髪が増えて薄毛状態になるでしょう。
また、AGAは進行性の脱毛症なので、治療しなければ徐々に進行するのも特徴の一つです。毛包へのダメージが進むと回復に時間がかかるため、症状が初期の段階で治療を開始するのが望ましいといえます。
女性は出産や更年期など、ライフステージの変化に伴いホルモンバランスが変化し、その影響で脱毛が引き起こされる場合があります。また、遺伝的要因やストレスなどホルモンバランス以外の複数の要因が重なって脱毛に至ることもあります。
FPHLでは、加齢やホルモン環境の変化、遺伝的要因などが関与して、分け目や頭頂部を中心に髪が細くなり、全体的にボリュームが低下して見えることがあります。
牽引性(けんいんせい)脱毛症は、髪を強く引っ張る髪型を続けることで起こる脱毛症です。ポニーテールなどの特定の髪型を続けると、生え際や分け目など負担がかかりやすい箇所から脱毛が起こるでしょう。
生え際の後退に対する治療法は、原因によって異なります。
AGAやFPHLでは、ミノキシジルの外用薬や内服薬が治療の選択肢として挙げられます。一方、牽引性脱毛症の場合は、ヘアスタイルの変更といった習慣の見直しで改善が期待できます。
ここでは、それぞれの脱毛症における主な治療法をまとめました。
AGAの治療では、脱毛を引き起こす男性ホルモンの生成を抑制する薬や、血流を促進して発毛を促す薬などが用いられます。AGAの治療で活用される主な治療薬は以下のとおりです。

フィナステリドとデュタステリドは、DHT生成の要因となる5αリダクターゼを阻害することで、脱毛を抑制する内服薬です。なお、5αリダクターゼにはl型とll型があり、フィナステリドは主にIl型のみを阻害します。一方、デュタステリドはl型とll型の両方を阻害するため、フィナステリドとは作用範囲が異なる点が特徴です。
また、血流を改善する治療薬にはミノキシジルがあります。ミノキシジルには外用薬と内服薬があり、外用薬は第1類医薬品として市販されているものです。一方、内服薬は2026年4月時点では日本国内で未承認の薬であるため、専門医の管理下のもと使用する必要があります。
ミノキシジルは高血圧の治療薬として開発された薬剤ですが、副作用として多毛症が認められたことから、AGA治療に応用されるようになりました。ミノキシジルの作用機序は完全には解明されていませんが、血管拡張作用に加え、毛包への直接作用も関与すると考えられています。また、ヘアサイクルの成長期を延長する作用もあると考えられており、髪が太く育ちやすくなることが期待できるでしょう。
なお、ミノキシジルの内服薬と外用薬の効果の差については、明確な結論が得られていません。
効果を実感するまでには、少なくとも6ヶ月程度の継続使用が目安とされています。ただし、国内で承認されている治療ではなく、医師の指示・管理のもとで、服用する必要があります。ヘアサイクルが正常化するには一定の時間を要するため、すぐに効果が現れるとは限らない点に留意しましょう。
FPHLの治療は、女性用のミノキシジル外用薬などが使用されます。女性用のミノキシジルは男性用に比べて、ミノキシジルの濃度が低く設定されているのが特徴です。
注意すべき点として、男性用ミノキシジルだけでなく、フィナステリドやデュタステリドも女性には使用できません。これらの薬剤は、妊娠中の女性が服用すると胎児に悪影響をおよぼす可能性があるためです。
また、女性用ミノキシジルの添付文書によると、女性用であっても、妊娠中または妊娠していると思われる人、授乳中の人は使用できないとされています。
ミノキシジルの効果を実感するためには、少なくとも6ヶ月間は用法・用量を守って使用してください。
参考:大正製薬「RiUP Regenne説明書」
牽引性脱毛症の治療の基本は、髪に負担をかけている原因を取り除くことです。物理的な刺激を避けることで、回復が期待できる可能性があります。
具体的な対策方法は以下のとおりです。
頭皮のコンディションを良好に保つためには、食事や睡眠、シャンプーなどでセルフケアを心がけることも大切です。生活習慣の改善は直接的に脱毛を改善するわけではありませんが、間接的に健康な髪の成長をサポートするでしょう。
ここでは、セルフケアのやり方と頭皮や髪への影響について解説します。
髪の健康には、栄養バランスの取れた食事が大切です。

髪の主成分はケラチンというタンパク質なので、肉類や魚類、卵や大豆製品などから十分なタンパク質を摂取する必要があります。また、ケラチンを生成するためには亜鉛が必要で、これは牡蠣や牛肉(赤身)、ナッツ類などに多く含まれているミネラルの一種です。また、ケラチンの合成を助ける働きを持つ栄養素にはビタミンBもあります。
さらに、正常なヘアサイクルを維持するビタミンDや、栄養素を毛根へ運ぶ鉄分も大切です。
1度の食事で必要な栄養素を満たすのは難しいため、1日あるいは数日単位でバランスを整える意識を持ち、無理なく習慣化していくことが大切です。
質の高い睡眠は成長ホルモンの分泌を促すため、健康な髪の成長に寄与します。成長ホルモンは入眠直後の数時間に分泌されるので、このタイミングで深い眠り(ノンレム睡眠)についていることが大切です。
成長ホルモンには細胞分裂を活性化させ、健康な髪を育む働きがあります。成長ホルモンが十分に分泌されないと、髪の生成に関わる細胞の活動が弱まり、ヘアサイクルの成長期が短縮されて薄毛を引き起こす要因となり得ます。
もし睡眠不足などで成長ホルモンが十分に分泌されないと、毛母細胞の活動が停滞し、ヘアサイクルの成長期が短縮されて脱毛の一因となる可能性があります。質の高い睡眠時間を確保するために、以下の習慣を意識してみましょう。

質の高い睡眠を取るためには、夕方以降のカフェイン摂取を避け、就寝前にはパソコンやスマートフォンの使用を控えましょう。また、規則正しい起床時間を守ることや、寝室をなるべく暗く適切な温度にすることも大切です。
間違ったシャンプーのやり方がかゆみ、炎症などの頭皮のトラブルを引き起こす要因となっている可能性もあるため、正しい方法を覚えましょう。頭皮や髪へのダメージを抑えるため、以下の手順を意識してみてください。

髪を濡らす前のブラッシングは、髪の絡まりを解き、洗髪時の摩擦ダメージを軽減するために有効です。ブラッシング後は、まず予洗いで頭皮全体を十分に濡らしましょう。この段階でホコリなどの汚れの大部分を落とすことができ、シャンプーの泡立ちが良くなります。ただし、40度以上の熱過ぎるお湯は必要な皮脂まで奪い、頭皮にダメージを与えるため、38度前後のぬるま湯がおすすめです。
シャンプーはいきなり頭皮につけるのではなく、まず手のひらで軽く泡立ててから髪にのせてください。洗う際は、爪を立てず指の腹を使い、頭皮を優しくマッサージするように動かしましょう。
加えて、大切なのがすすぎです。シャンプー成分が残ると、炎症や痒みを招く要因となります。襟足や耳の後ろなど、すすぎ残しやすい部分にも気を配り、時間をかけて丁寧に洗い流してください。
最後に、タオルで優しく水分を拭き取った後、ドライヤーで頭皮をしっかりと乾かします。濡れたままの状態は雑菌が繁殖しやすく、頭皮環境の悪化を招きかねません。ドライヤーを使う際は、熱が一箇所に集中しないよう、小刻みに動かしながら乾かすのがポイントです。
頭皮マッサージは血行を促進し、髪に酸素や栄養素を促すためのセルフケアです。頭皮マッサージで脱毛が治療できるわけではありませんが、頭皮の血流改善によって、健康な髪の成長をサポートします。また、リラックス効果もあるため、ストレス軽減にも役立つでしょう。
基本的な頭皮マッサージの手順は以下のとおりです。
マッサージのポイント
生え際に関する悩みは個人差が大きく、多くの方がさまざまな疑問を抱えています。
ここでは、特によく寄せられる質問とその回答をご紹介します。
生まれつき生え際がM字型なのは正常ですか?
生まれつき生え際がM字型であることは、異常ではありません。生え際の形状は、M字型のほかU字型や直線型など、人によってさまざまです。AGAによるM字型と区別するために大切なのは、過去の自分の生え際と比較することです。
以前より明らかに後退していたり、生え際の髪が細く弱くなっている場合はAGAの可能性があるでしょう。なお、生え際のチェックは、過去の写真や家族の意見などを参考にすると判断がしやすくなります。
生え際の後退は何歳から始まりますか?
生え際の後退が始まる年齢には個人差があり、一概に何歳とはいえません。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」によると、AGAの発症頻度は年齢とともに高くなる傾向がありますが、20代での発症もあると報告されています。
年齢に関係なく脱毛が起こる可能性はあるため、以前に比べて生え際が後退してきたと感じたら対策を検討しましょう。毛包へのダメージが進むほど回復に時間がかかるので、早めに皮膚科やAGAクリニックなどに相談するのがおすすめです。
生え際が正常かどうかは他人との比較ではなく、過去の自分と比較することが大切です。毛髪の太さや密度、生え際のラインの変化に注目し、細く短い髪の増加や頭皮に薄毛状態が見られる場合は後退のサインかもしれません。
生え際の後退の主な原因には、AGAや女性型脱毛症、牽引性脱毛症や休止期脱毛症があります。AGAの場合はM字型・U字型・O字型の進行パターンがあり、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどの治療薬が用いられます。FPHLには女性用ミノキシジル外用薬が使用され、牽引性脱毛症では髪への物理的負担を減らす対策が必要です。
生え際の後退がAGAによる場合は、治療しなければ症状が進行し、さらに後退する可能性があります。まずは原因を確認するためにも、皮膚科やAGAクリニックで相談するのがおすすめです。通院が難しい方には、オンライン診療という選択肢もあります。オンライン診療は希望の場所で医師に相談でき、処方薬を配送で受け取れるのが特徴です。
自分にとって相談しやすい方法を選び、原因に応じた治療を検討しましょう。
大正製薬「RiUP Regenne説明書」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のAGA治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
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牽引性脱毛症を引き起こしやすい行動の例は以下のとおりです。
髪を強く引っ張る習慣を続けると、毛根にダメージをおよぼし、生え際や分け目の抜け毛につながることがあります。この脱毛症は少しずつ進行するため、気づいたら生え際が後退していたというような場合もあります。
休止期脱毛症は、一時的に大量の髪が抜ける脱毛症です。通常、髪の毛には成長期、退行期、休止期というサイクルがありますが、何らかの原因で多くの毛髪が同時に休止期に入ってしまうことで起こります。
この脱毛症の特徴は、抜け毛が急激に増え、洗髪時や起床時に「明らかにいつもと違う」と感じるほど脱毛する点です。頭皮全体に脱毛が起こる場合もあるため、生え際だけでなく、全体的なボリュームダウンを感じる可能性があります。
休止期脱毛症の原因には、出産後のホルモンバランスの変化や睡眠不足、強いストレス、栄養不足、あるいは病気の治療のため服用している薬の影響など、さまざまな要因が考えられます。また、複数の要因が重なって脱毛を引き起こしている可能性もあります。
休止期脱毛症は一過性の場合もありますが、脱毛の要因をすぐに取り除けない場合は長期化する可能性も否定できません。たとえば、病気の治療を続ける必要がある場合は、脱毛症も続く可能性があります。
牽引性脱毛症は初期段階では気づきにくい場合がありますが、毛包へのダメージが進むと回復に時間がかかるため、なるべく早い段階で対処することが望ましいでしょう。
薄毛や脱毛が気にならない場合でも、予防のために頭皮への負担を減らす髪型を心がけてみてください。
休止期脱毛症の治療では、まず原因を特定し、それに応じた対策を取ることが大切です。
出産後のホルモンバランスの変化や病気の治療薬の影響など、原因が明確な場合は、その原因が解消すれば脱毛症も自然に改善する可能性があります。
しかし、抜け毛が長く続く場合や原因が不明確な場合は、鉄欠乏性貧血や甲状腺機能障害、自己免疫疾患(膠原病など)といった内科的疾患が隠れている可能性も否定できません。これらは髪の成長に必要な代謝や免疫に深く関わっているため、まずは医療機関で健康状態を確認しましょう。
また、休止期脱毛症の治療として、ミノキシジルが用いられるケースがあります。これはミノキシジルによって頭皮の血行を促進し、毛母細胞の細胞分裂を活性化させることで、休止期の髪を再び成長期へと移行させるための治療です。
疾患が原因の場合はその治療を優先すべきか、脱毛症の治療を同時進行できるかなど、医師と相談しながら検討する必要があるでしょう。
マッサージは皮膚をこするのではなく、頭皮を動かすイメージで行います。マッサージ後に増えた血流量は時間の経過とともに低下するため、1日2〜3回程度のマッサージを毎日続けるのが望ましいでしょう。

日々のセルフケアは、健康な頭皮を維持するための土壌作りです。セルフケアだけで脱毛を抑制したり、発毛を促進したりすることはできませんが、健康な髪が生えるためのサポートになります。治療が必要な脱毛症の場合は、治療と並行してセルフケアを行うのが良いでしょう。