更新日:2026年06月02日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)

「肩や襟元に白いフケが落ちて人前に出るのが恥ずかしい」「市販のフケ用シャンプーを使っても一向に改善しない」と悩んでいる方もいるかもしれません。フケが止まらない状態は単に頭皮が乾燥しているのではなく、皮膚疾患のサインの可能性があります。
フケには「脂性フケ」と「乾性フケ」があり、それぞれ原因や対処法が異なります。適切な対策を取るためには、自分のフケのタイプを正しく見極めることが重要です。見た目や質感によって、どちらのタイプか判断できます。
乾性フケは、頭皮の水分や皮脂が不足して乾燥状態に陥ることで発生します。見た目は白く細かな粉状で、衣服の肩にパラパラと落ちやすいのが特徴です。乾性フケの原因は、ターンオーバーの乱れにあります。頭皮が乾燥すると皮膚のターンオーバーが早まり、本来なら目に見えないサイズで剥がれ落ちるはずの角質が、未熟な状態のまま剥がれてしまうのが特徴です。
乾性フケの主な要因としては、空気の乾燥や過度な洗髪による皮脂の取り過ぎなどが挙げられます。冬場の湿度低下や洗浄力の強いシャンプーの使用は、頭皮の潤いを奪い、乾燥を加速させる要因となり得るでしょう。乾性フケは、頭皮が突っ張るような感覚や、乾燥に伴う痒みを引き起こしやすい性質を持っています。
脂性フケは、頭皮から分泌される皮脂が過剰になることで発生し、湿り気を帯びてベタついているのが特徴です。脂性フケは乾性フケとは異なり、皮脂によって角質同士が固まって塊となるため、黄色味を帯びた大きな破片として現れる傾向にあります。粘り気があるため髪の毛の根元や頭皮に付着しやすく、指で触れると脂っぽさを感じるのも特徴です。
脂性フケが起こる主な背景には、皮膚に常在するマラセチア菌という真菌の異常な増殖が挙げられるでしょう。マラセチア菌が過剰な皮脂を餌にして増殖し、皮脂を分解する過程で「遊離脂肪酸」という刺激物質を作り出します。遊離脂肪酸が頭皮に炎症を引き起こすと、皮膚のターンオーバーが早まり、未熟な角質がフケとなって剥がれ落ちます。

自分のフケが「乾いているか」「湿っているか」を正しく見極めることが、原因を見つける第一歩です。フケの状態によって対処法が異なるため、自分のフケの質感を冷静に観察してみましょう。
フケが止まらない状態が続く原因として、間違ったヘアケアや紫外線、皮膚疾患などが考えられます。ここでは、フケの発生が続く主な原因についてまとめました。
間違ったヘアケアは頭皮環境を悪化させ、フケを誘発する要因となります。
たとえば、下記のような習慣に注意しましょう。
健やかな頭皮を保つためには、日々の洗髪において地肌をいたわる正しい知識を持つことが大切です。
頭皮は外部環境の影響を受けやすい部位であり、季節ごとの湿度の変化やダメージの蓄積も無視できません。冬の低湿度による乾燥は地肌の水分を奪い乾性フケを誘発しますが、夏の高温多湿な環境も頭皮の蒸れによる菌の繁殖を招きます。
紫外線も頭皮の健康を損なう可能性がある要素です。頭皮が強い日光を浴びて日焼け状態になると、ターンオーバーが乱れ、未熟な角質が剥がれ落ちる可能性があります。
ヘアケア用品を新しく変えたタイミングでフケが増えた場合は、その製品が自分の体質に合っていない可能性があります。特定の製品を使い始めてから頭皮に違和感が生じたのであれば、一旦使用を中止し、様子を見ることが大切です。自分の状態を冷静に観察し、頭皮トラブルを最小限に抑えましょう。
フケや痒みが発生する背景には、シャンプーやトリートメントに含まれる特定の成分が肌に合わず、アレルギー反応や接触皮膚炎を引き起こしている場合があります。評判の良い製品であっても、人によって相性は異なるため、違和感があるまま使い続けるのは避けましょう。
フケが長期間改善しない場合、皮膚疾患が原因である可能性も考えられます。フケが止まらない場合は、背景に病気が隠れていることを疑い、早期に適切な対応を取ることが大切です。放置することで症状が悪化する恐れもあるため、自己判断で放置せず、医療機関の受診を検討しましょう。
可能性のある皮膚疾患としては、皮脂の過剰分泌が関わる脂漏性皮膚炎や皮膚のターンオーバーが極端に早まる乾癬、真菌による感染症である頭部白癬などが挙げられます。これらは原因がそれぞれ異なるため、セルフケアだけでは根本的な解決が難しいのが実情です。
フケが止まらない場合、皮膚疾患が隠れている可能性があります。ここでは、フケの症状を引き起こす皮膚疾患について見ていきましょう
脂漏性皮膚炎は、頭皮の強い赤みや脂っぽく黄色いフケを伴う炎症性の疾患です。発生機序は明らかにされていませんが、皮脂の過剰な分泌とそれを餌にするマラセチア菌という常在菌の活動が関わっていると考えられています。マラセチア菌が皮脂を分解する際に生成される遊離脂肪酸が地肌を刺激し、慢性的な炎症を引き起こすことが主な原因です。
強い痒みを伴うこともあり、日常生活のストレスや急激な気候の変化、あるいは睡眠不足やビタミンB群の不足といった内部環境の変化によって症状が悪化しやすい傾向にあります。
脂漏性皮膚炎の治療は、増殖したマラセチア菌を抑える抗真菌薬の外用が基本です。また、赤みや強い痒みといった炎症を速やかに鎮めるため、ステロイド外用薬が併用されます。
また、抗真菌成分を配合したシャンプーでの洗髪も有効です。
乾癬は、皮膚の代謝が健康な人よりも異常に早く進んでしまう皮膚疾患です。頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざといった、外部からの刺激を受けやすい部位に症状が出やすい傾向にあります。発症の明確な原因はまだ解明されていませんが、体内の免疫バランスの異常や遺伝的な要因などが複雑に関与していると考えられています。
乾癬は、鱗屑(銀白色の厚いかさぶたのようなもの)が付着し、それが剥がれると大きなフケのようにポロポロと落ちるのが特徴です。赤く盛り上がった部分と正常な肌との境界がはっきりします。付着している鱗屑を無理に剥がそうとすると、出血を伴う恐れがあるので、注意しましょう。
乾癬の治療には、炎症を抑えるステロイド外用薬や、皮膚の異常な増殖を抑えるビタミンD3外用薬などが一般的に用いられます。
乾癬の治療は、炎症を抑えるステロイド外用薬や、皮膚の異常な増殖を抑制するビタミンD3外用薬などの「外用療法」が一般的です。これらは症状や部位に合わせて単独、または組み合わせて使用されます。
頭部白癬は、カビの一種である白癬菌が頭皮の毛穴や髪の毛の内部に入り込むことで起こる感染症です。放置すると頭皮全体に広がるだけでなく、家族や周囲の人へ感染を広げる恐れがあるため、早期に適切な治療を開始しましょう。
白癬の主な症状としては、頭皮の一部に円形状の皮むけが発生し、その部分の髪が抜けやすくなることが挙げられます。患部が赤く腫れ上がり、化膿して膿が出たり、強い痛みを伴ったりすることもあるため早期発見・治療が重要です。
白癬に感染した場合は、皮膚科で処方される抗真菌薬を一定期間服用する内服治療が原則となります。感染拡大を防ぎ、確実に完治させるためにも、疑わしい症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
健康な頭皮環境を維持するためには、日常的なセルフケアが欠かせません。ここでは、頭皮の健康を守るための具体的なケア方法を紹介します。
正しい洗髪とドライヤーの習慣は、頭皮環境を整える土台となります。

シャンプーをする前に髪をブラシで梳かし、38度前後のぬるま湯で予洗いしましょう。シャンプーは十分に泡立て、爪を立てず指の腹で優しく洗うのがポイントです。すすぎは丁寧に時間をかけ、シャンプーが残留しないよう徹底的に流します。
タオルドライは擦らず、押し当てるように水分を吸い取りましょう。ドライヤーは地肌に近づけ過ぎないように小まめに動かし、熱ダメージを防ぎつつ根元から手早く乾かします。
バランスの良い食事は皮脂の質を整え、頭皮のバリア機能を内側から支えます。特に意識したいのは皮脂代謝を制御するビタミンB2やB6です。ビタミンB2やB6は皮脂の過剰な分泌を抑えます。また、炎症を引き起こす過酸化脂質の発生を防ぎ、健やかなターンオーバーを助けるのが特徴です。ただし、脂漏性皮膚炎におけるビタミンB群の補充療法は確立されておらず、あくまで一般的な健康習慣であることに注意しましょう。
糖質や脂質の過剰摂取は皮脂合成を促す要因となるため、代謝するために必要なビタミンB群を不足させないようにしましょう。加えて、皮膚の酸化を防ぐビタミンCやE、免疫力を支える腸内環境を整える食物繊維も、トラブルの起きにくい地肌作りに貢献します。特定の食品に頼るのではなく、栄養バランスを意識した食習慣を摂り入れれば、健やかな頭皮環境を育みやすくなるでしょう。
頭皮も顔や体の皮膚と同様に、紫外線からダメージを受けやすい部位です。紫外線対策の目的は、日焼けによる乾燥を未然に防ぎ、頭皮のターンオーバーが乱れる要因を増やさないことにあります。
具体的な紫外線対策として、帽子や日傘による物理的な遮断が有効です。帽子を被る場合は蒸れによってマラセチア菌が増殖しないよう、通気性の良い素材を選びましょう。また、低刺激な頭皮用UVスプレーの活用や、分け目をこまめに変えてダメージの集中を避ける工夫も効果的です。

:セルフケアの目的はフケを完治させることではなく、頭皮の回復を妨げる要因を取り除くことにあります。日々の正しい習慣でマイナス要因を取り除き、健康な頭皮を維持しましょう。
フケが止まらない状態が続くなら、原因を特定して治療することが大切です。受診を恥ずかしがる必要はないので、症状の慢性化を防ぐためにも医師に相談しましょう。
受診の目安は、1〜2週間経ってもフケが改善しない場合です。強い赤みや湿疹、激しい痒み、抜け毛の増加を感じる際はすぐに受診しましょう。
病院では、フケが脂漏性皮膚炎や乾癬といった特定の疾患によるものかを正確に判別します。原因に応じた適切な薬剤が処方されるため、自己判断のケアよりも確実な改善が期待できるでしょう。
ここでは、フケの悩みを持つ方からよく寄せられる質問に回答します。フケ対策の参考にしてみてください。
フケを一瞬でなくす方法はありますか?
フケを一瞬で完治させる方法はありません。フケを根本から解決するには継続的なケアや、場合によっては医療機関での治療が必要です。即効性を求めて無理な処置をすると、かえって頭皮を傷つけ症状を悪化させる恐れがあるため、焦らず着実に対処していく姿勢が求められます。
ただし、目に見えるフケを一時的に目立たなくさせる応急処置は存在します。たとえば、表面に浮いたフケを丁寧に洗い流したり、髪が乾いた状態で優しくブラッシングをして絡んだフケを落としたりする方法です。また、ドライヤーの風を軽く当てて表面の細かいフケを飛ばすことも、急場をしのぐ手段としては有効でしょう。
しかし、これらはあくまで表面上のフケを物理的に取り除いているだけであり、時間の経過とともに新しいフケが発生してしまいます。日々の正しいヘアケアや治療を行い、頭皮環境を健やかに整えていくことがフケの悩みから解放される方法です。
フケが止まらないときは湯シャンが効果的?
湯シャンは乾燥肌の人にメリットがある反面、脂性フケの人には皮脂汚れや酸化した脂が残り、原因菌であるマラセチア菌の繁殖を招いて症状を悪化させる恐れがあります。乾性フケの場合も、40度以上の熱過ぎるお湯はバリア機能を支える保湿成分まで流出させるため、38度前後のぬるま湯で洗うといった注意が必要です。
極端なケアへの切り替えは頭皮環境を不安定にするリスクを伴うので、自己判断で行わず医師の指導を仰ぐのがおすすめです。医師の診断に基づき、適切な洗髪方法のアドバイスを受けることが、健やかな地肌への確実な道となります。自身のタイプに合った正しいケアを選択し、トラブルの解決を目指しましょう。
フケには「乾性」と「脂性」の2種類があり、それぞれ異なる対処法が必要です。フケが止まらない原因としては、間違ったヘアケアや環境要因、アレルギー反応、皮膚疾患などが考えられます。
フケが止まらないときに考えられる皮膚疾患として、脂漏性皮膚炎や乾癬、白癬などが挙げられます。これらの皮膚疾患を治すには、医師の診断と治療が必要です。
頭皮環境を悪化させないための日常的なセルフケアとして、正しいシャンプー方法の実践やバランスの取れた食生活、紫外線対策などがあります。ただし、セルフケアを続けても改善しない場合や強いかゆみ・痛み、明らかな脱毛が見られる場合は、皮膚科を受診しましょう。
フケは一晩で解決するものではありませんが、正しい知識と適切なケア、必要に応じた医学的治療によって改善できる可能性があります。自分の頭皮の状態をよく観察し、タイプに合ったケアを続けることが、健康な頭皮を維持するポイントです。
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