更新日:2026年08月07日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「ヘアスプレーを使うとはげる原因になるの?」と心配する方もいるかもしれません。結論からいうと、ヘアスプレーが薄毛を直接引き起こすことは少ないでしょう。しかし、使い方によっては頭皮環境が悪化し、薄毛につながる場合があります。
本記事では、ヘアスプレーと薄毛の関係性や薄毛につながる仕組み、ヘアスプレーを使う際の注意点を解説します。薄毛が気になる方は、本記事を参考にしたうえで、医師への相談も検討してみてください。
ヘアスプレーが直接AGA(男性型脱毛症)などの脱毛症を引き起こす医学的根拠はなく、はげる直接的な原因になる可能性は低いと考えられています。
ただし、使い方や洗い流し方によっては頭皮環境を悪化させ、抜け毛や薄毛につながる可能性があるため、正しいケアが大切です。
ヘアスプレーの使用ではげる可能性は低いものの、薄毛につながることがある理由として以下の3点が挙げられます。
以下の項で、それぞれについて見ていきましょう。
ヘアスプレーに含まれる合成界面活性剤や皮膜形成剤、エタノール、香料、防腐剤などが頭皮に付着して肌荒れやかぶれを起こした場合、はげる要因につながることがあります。
たとえば、合成界面活性剤は水と油のように混ざらない物質を混ぜ合わせる働きがある成分です。ヘアスプレーに含まれている成分が分離しないように配合されています。しかし、合成界面活性剤の種類によっては皮膚や髪の毛の刺激となる場合があり、乾燥やバリア機能の低下につながることがあります。
また、香料にも注意が必要です。海外の論文によると、化粧品には約2,500種類の香料が使用されており、そのうちの約100種類以上がアレルギーを引き起こす原因物質として報告されています。アレルギー反応が起こると、頭皮がかぶれたり、荒れたりして頭皮環境が悪くなり、抜け毛につながる可能性もあるため注意しましょう。
参考:National Library of Medicine「Fragrance contact allergy: a clinical review」
ヘアスプレーやジェル、ワックスなどセット力の強い整髪料は、洗い流すのに時間がかかることがあります。しっかり落とすことは大切ですが、そのために過度に髪を洗い過ぎると、頭皮に必要な皮脂まで落としてしまいます。頭皮の皮脂が奪われると頭皮の乾燥を招くため、乾燥を防ごうと頭皮の皮脂分泌が過剰になりかねません。
その結果、毛穴が詰まりやすくなり、抜け毛や薄毛につながる可能性があります。
ヘアスプレーでセットした髪は、強く固められます。長時間引っ張られた状態になると頭皮にも長い時間圧力がかかるため、抜け毛につながることが考えられるでしょう。
髪が引っ張られ続けるなど、外部からの力がかかり続けることで起こる抜け毛を「牽引性(けんいんせい)脱毛症」と呼びます。特に、負荷のかかりやすい前髪の生え際で起こりやすいのが特徴です。
ヘアスプレーでのセット以外では、カチューシャで一部の髪を引っ張ったり、後ろできつく縛る「ひっつめ髪」にしたりすることも、牽引性脱毛症の原因となることがあります。
ヘアスプレーの使用中に気をつけたい脱毛症には、以下の3つが挙げられます。
ヘアスプレー使用中に大量のフケや強いかゆみ、赤み、抜け毛がみられる場合は、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎など別の頭皮疾患を考える必要があります。AGAはヘアスプレーが直接の原因となるわけではありませんが、頭皮環境が悪くなると症状が悪化する可能性があります。
AGAはヘアスプレーの直接的な原因で発症するわけではありませんが、頭皮環境の悪化を引き起こし、AGAによる薄毛に悪影響を及ぼす可能性があります。
AGAとは男性ホルモンや遺伝が関わる脱毛症で、主に頭頂部や前頭部の薄毛を引き起こします。
AGAは遺伝に加え、男性ホルモンが毛根に作用し、髪の生え変わるヘアサイクル(毛周期)を乱すことで発症します。その結果、本来なら数年かけて太く長く育つはずの髪が育ちきる前に抜けてしまうのが特徴です。
AGAは進行性のため、放置すると脱毛が広がるおそれがあります。治療には、DHTの生成を抑える内服薬(飲み薬)や外用薬(塗り薬)などが一般的に用いられます。
粃糠性脱毛症は、白く細かいフケが大量に発生し、髪のハリやコシが失われて抜け毛を招くのが特徴の脱毛症です。角質異常や脂漏、常在真菌(マラセチアなど)の関与により頭皮環境が悪化し、炎症を伴うことで抜け毛につながると考えられています。
ヘアスプレーを大量に使ったり洗い残しがあったりすると、汚れやフケなどが毛穴に付着しやすくなり、粃糠性脱毛症の発症のリスクが高まるおそれがあるため注意が必要です。また、フケが気になり頭をゴシゴシ洗うと、かえって症状が悪化するおそれがあるため指の腹で優しくもみ洗いするようにしましょう。
粃糠性脱毛症の治療には、炎症を抑えるステロイド剤や皮脂の分泌を抑える外用薬を使うのが一般的です。かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン剤を用いることもあります。
補足として、一般に粃糠性脱毛症と呼ばれることがありますが、これは国際的な医学文献等で広く認知された病名ではなく、実際には頭皮の慢性炎症に伴う休止期脱毛の一種と考えられています。
脂漏性皮膚炎から派生する脱毛症が、脂漏性脱毛症です。脂漏性皮膚炎は、皮脂が過剰に分泌されて頭皮のべたつきが生じ、皮脂が毛穴に詰まるなど、炎症や湿疹などを引き起こします。脂漏性皮膚炎は頭皮のほか、わきや顔など、皮脂の分泌がさかんな部位を対象に、紫外線が強く汗をかきやすい夏の時期に症状が悪化しやすいのが特徴です。
ヘアスプレーの汚れや洗い残しは脂漏性皮膚炎の原因につながります。しかし、ヘアスプレーをしっかり落とそうとするあまり、髪を洗い過ぎると皮脂の分泌が過剰になり、逆効果になる場合があるため注意してください。
治療には、原因に応じてステロイド剤や抗真菌薬を使うのが一般的です。マラセチアという皮膚に常在するカビの増殖が原因の場合には、抗真菌薬を使います。改善するために、頭皮の洗い過ぎに気をつけながら頭皮を清潔に保ちましょう。

ヘアスプレー自体はAGAを引き起こす原因ではありません。ただし、頭皮環境の悪化が間接的に抜け毛や薄毛につながる可能性があります。抜け毛が増えた、地肌が透けてきたと感じる場合は、整髪料の使い方を見直しながら、早めに医師に相談することをおすすめします。
ヘアスプレーやワックスなどの整髪料が、直接的にはげる原因になるわけではありません。しかし、使い方を間違えると薄毛や抜け毛を助長する可能性があります。この項では、ヘアスプレーやワックスなどの整髪料を使う際の注意点を紹介します。
ヘアスプレーの使い方として重要なのは、頭皮につかないようにすることです。これはワックスやジェルなど、他の整髪料でも同じです。
整髪料が頭皮につくと、毛穴が詰まる原因となります。それだけでなく、頭皮のべたつきやかゆみ、炎症などを引き起こしかねません。
ヘアスプレーをつける際には、地肌につかないよう、髪の根元には噴きかけないことが大切です。なるべく頭皮から1cm以内には整髪料をつけないよう心掛けましょう。
ヘアスプレーの場合、注意していても液剤が頭皮までかかることがあります。髪の根元を手で覆ってスプレーがかからないようにしたり、ティッシュに噴射してから髪につけたりするなどの対応策も一案です。
ヘアスプレーを使ったら、その日のうちに洗い流しましょう。ヘアスプレーに限らず、整髪料をつけたまま寝ると頭髪についた液剤が頭皮に付着しやすくなります。
1日洗わずにいると、皮脂や汚れで整髪料が毛穴に詰まり、頭皮環境が悪くなりやすいからです。固く整えた髪のまま寝ると、寝返りを打ったときに強く引っ張られ、抜け毛の原因となる可能性もあります。
整髪料をきれいに洗い落とすためには、ぬるま湯で予洗いするのがポイントです。ヘアスプレーなどの油分でシャンプーが泡立たない場合は、コンディショナーをつけてヘアスプレーとなじませたうえで、一回流します。それからシャンプーすると、泡立ちやすくなるでしょう。
ヘアスプレーの使い過ぎにも気をつけましょう。多く使うほど、頭皮につく可能性も高まります。
また、ヘアスプレーを長期的に使い続けていると、髪が常に引っ張られて頭皮に負担がかかります。頭皮を守るためにも、整髪料の使用量は必要最小限にし、使わない日を設けるなどの対策を取ることもおすすめです。
ここでは、ヘアスプレーを併用しながらできる日常のケアや頭皮環境の改善の対策、医療的な薄毛の対策について解説します。
ヘアスプレーを使用した際に「フケが出る」「しみる」などの違和感がある場合は、使用している整髪料が頭皮にあっていない可能性があります。頭皮の炎症などを放置すると頭皮環境が悪化しかねません。ヘアスプレーには、以下のような製品が販売されています。
これらは、肌への負担について考えられた製品です。ヘアスプレーが自分に合っていないと感じたら、これらの製品への切り替えを検討しましょう。
生活習慣の改善は直接的な薄毛の改善にはなりませんが、頭皮環境を整える手助けになります。特に、以下の2点を意識してみましょう。
成人に推奨されている睡眠時間は6〜8時間程度が目安とされています。就寝前のスマートフォン使用を控えるなど睡眠の質を高める工夫が大切です。
また、食生活では脂肪分の多い食事が皮脂の過剰分泌につながり、頭皮環境を悪化させるおそれがあります。栄養バランスの良い食事を心掛けつつ、髪の材料となるタンパク質や、タンパク質の代謝を促し髪の主成分「ケラチン」の合成を助けるビタミンB群を意識して摂取しましょう。また、ケラチンの合成に必要な亜鉛(カキ・豚レバーなど)も取り入れてみてください。
ただし、食事やサプリメントは頭皮環境を整えるのに役立ちますが、それだけでAGA(男性型脱毛症)などの薄毛を防ぐことはできません。薄毛が気になる場合は、専門の医師に相談して医学的なアプローチを検討してみてください。
参考:厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」
ヘアケアに頭皮マッサージを取り入れることで、一時的に見た目が変化(立ち上がり等)してボリュームが増えたように感じられます。
また、頭皮マッサージは頭皮の血流改善にもつながります。頭皮マッサージを行う際は、指の腹で優しく行うのがコツです。頭皮マッサージを行うことで、一時的な血流促進のほかストレス解消も期待できるでしょう。
AGAの根本的な原因であるDHTの生成を抑えるには、AGA治療薬による医療的なアプローチが一般的です。AGA治療薬は、薄毛の進行を抑えて抜け毛を予防するフィナステリド・デュタステリドと、頭皮の血行を促進して発毛促進が期待できるミノキシジルがあります。
代表的なAGA治療薬の詳細は、以下の図表のとおりです。

AGA治療は効果の実感に個人差がありますが、効果が確認できるまで6か月の継続が必要とされています。服用を完全に止めると再び薄毛が進行するため、継続的な治療が重要です。自分に合うAGA治療薬について確認したい場合は、AGA専門の医師に相談したうえで判断してもらいましょう。
参考:医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠 添付文書」
参考:医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル 添付文書」
参考:大正製薬「リアップX5チャージ説明書」
ここでは、ヘアスプレーと薄毛に関するよくある疑問について回答します。
ヘアスプレーを毎日使っても薄毛にはなりませんか?
ヘアスプレーを毎日使うことが薄毛を引き起こす直接的な原因になる可能性は低いですが、頭皮への付着や洗い残しが蓄積すると頭皮環境が悪化し、抜け毛につながる可能性があります。毎日使う場合はその日のうちにしっかり洗い流し、頭皮に残らないように注意することが大切です。
整髪料を使いながらAGA治療薬を服用できますか?
ヘアスプレーを使用しながらAGA治療薬を服用することは問題ないと考えられます。
ただし、ミノキシジル外用薬(塗り薬)を使用する場合は、ミノキシジルを塗布した後、乾いたことを確認したうえで整髪料を使いましょう。AGA治療薬と整髪料の併用が心配な方は、念のため専門医に相談してみてください。
参考:大正製薬「リアップX5チャージ説明書」
ヘアスプレーとワックスはどちらが頭皮への負担が少ないですか?
どちらも頭皮に直接つかなければ負担はほぼ変わりません。ワックスは油分が多く毛穴に詰まりやすい傾向があります。一方、ヘアスプレーはアルコールなどの成分が頭皮を乾燥させるなど刺激になる可能性があります。いずれも頭皮に直接つかないように気をつけて使用し、その日のうちにしっかり洗い流すことが重要です。
ヘアスプレーが直接的にはげる原因となることは低いとされています。しかし、使い方によっては頭皮環境を悪化させてしまい、薄毛・抜け毛を招く可能性があるため注意が必要です。
ヘアスプレーによる薄毛のリスクとして、成分による頭皮への刺激や髪の洗い過ぎ、髪を強く固めることで起こる牽引性(けんいんせい)脱毛症などが挙げられます。ヘアスプレーを使用する際は、頭皮につかないよう髪の根元から1cm以上離し、その日のうちに必ず洗い流すことが重要です。
頭皮環境を改善するためにも、整髪料の種類や生活習慣の見直しなどを行いましょう。
また、抜け毛の原因はさまざまあります。AGA(男性型脱毛症)などの薄毛が気になる方は、クリニックを受診すれば、医師に相談して原因に合わせた治療を受けられます。多忙な方や医療機関に行くのはハードルが高いと感じている方は、オンラインクリニックの利用が便利です。
レバクリを通じた診療では、AGA治療薬の処方を受けられます。
National Library of Medicine「Fragrance contact allergy: a clinical review」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬 プロペシア錠」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α還元酵素1型/2型阻害薬 ザガーロカプセル」
大正製薬「リアップX5チャージ説明書」
厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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