更新日:2024年01月11日
AGA治療薬の種類と効果、副作用とは?
- AGA治療薬には内服薬と外用薬の2種類がある
- 代表的な治療薬は、プロペシア(フィナステリド)や、ミノキシジルなど
- 外用薬よりも内服薬のほうが効果が出やすい反面、副作用のリスクが高い点がデメリット
- AGA治療薬は、個人輸入せず医師に処方してもらうのがおすすめ
AGAの治療薬にはさまざまな種類があり、さらに内服薬と外用薬(塗り薬など)に分かれているものもあります。それゆえ、どの薬が自分に合っているのかわからないという方も多いのではないでしょうか。 ここでは、AGA治療薬の種類とそれぞれの特徴や効果、選び方について説明します。
AGA治療に使用する薬とは
AGA治療に使用する薬には内服薬と外用薬の2種類があります。
AGA治療の内服薬
まずは、AGA治療の内服薬について紹介します。
プロペシア
プロペシアは5αリダクターゼを阻害するタイプのAGA治療薬で、有効成分はフィナステリドです。AGAによる抜け毛を防ぐことや、今生えている毛の維持を目的として使用されます。 プロペシアのジェネリック薬は「フィナステリド」という名称で販売されています。
そもそもAGAの原因であるジヒドロテストロンは、テストステロンと5αリダクターゼが結合することによって産生されます。5αリダクターゼはⅠ型とⅡ型に分かれており、それぞれ体内の分布場所が異なります。プロペシアはそのうち前頭部や頭頂部に多く存在するⅡ型の5αリダクターゼの働きを阻害する作用を持っています。
プロペシアの副作用には、性欲減退や勃起機能不全、射精障害、射精量減少などがあります。また、頻度不明な副作用として乳房肥大や抑うつ、男性不妊、精液の質低下、頻度不明な重大な副作用には肝機能障害があるとされています。
精液の質低下といった副作用は、服用を中止することによって正常化もしくは改善するケースが多いですが、ポストフィナステリドシンドロームといって、性機能の低下や抑うつの症状など一部の副作用は服用中止後も続く場合があります。
参考:KEGG MEDICUS「プロペシア添付文書」
ザガーロ
ザガーロは、プロペシアと同じく5αリダクターゼを阻害するAGA治療薬です。もともとは前立腺肥大症の治療薬として開発されました。 有効成分はデュタステリドであり、薄毛の進行を遅らせることを目的に使用されます。ザガーロのジェネリック薬は「デュタステリド」という名称で販売されています。
プロペシアは前頭部や頭頂部などに多いⅡ型5αリダクターゼを阻害するのに対し、ザガーロはⅡ型だけでなく、頭皮では側頭部や後頭部に多く存在するⅠ型も阻害します。 そのため、ザガーロはプロペシアよりも高い増毛効果があるといわれています。
ザガーロの副作用には、性機能不全(性欲減退、勃起不全、射精障害)や乳房障害、腹部不快感、抑うつ気分、頻度不明なものにめまい、脱毛症、多毛症、味覚異常などがあげられます。 また、頻度は不明ですが、重大な副作用として肝機能障害や黄疸が生じる可能性があります。
ザガーロについては、「デュタステリド(ザガーロ)が効かないと感じる原因は?対処法も解説」でも詳しく解説しています。
フィナステリド錠
フィナステリド錠は、プロペシアのジェネリック医薬品です。 フィナステリド錠にはプロペシアと同様の有効成分が含まれていますが、先発品であるプロペシアの特許期間終了を経て作られた薬のため、プロペシアよりも安価で販売されています。
フィナステリド錠の副作用には、プロペシアと同様に性欲減退や勃起機能不全、射精障害、射精量減少などがあるとされています。また、頻度不明な副作用として乳房肥大や抑うつ、男性不妊、精液の質低下などがあるほか、頻度不明の重大な副作用には肝機能障害があります。
参考:KEGG MEDICUS「フィナステリド添付文書」
ミノキシジルタブレット
ミノキシジルタブレットは、ミノキシジルの内服薬のことです。ミノキシジルタブレットには血管を広げる作用があることから、当初は高血圧治療の薬として開発されました。しかし、臨床実験中に患者に多毛症の副作用がみられたため、AGAの治療薬に転用されました。 血管を広げる作用によって、頭皮に栄養が届きやすくなり、育毛・発毛効果があるとされています。
ただし、日本皮膚科学会ガイドラインの「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」によると、ミノキシジルタブレットの有用性に関する臨床試験は実施されておらず、AGA治療薬として承認されている国はありません。
ミノキシジルタブレットの副作用には、胸痛や心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全などがあるとされています。そのため診察において一定のリスクがメリットを上回ると判断される場合には、処方をおすすめしない場合もあります。
参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
AGA治療の外用薬
AGA治療の外用薬として、ミノキシジルが挙げられます。 ミノキシジルを直接頭皮に塗ることにより、インスリン様成長因子1(IGF-1)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)といった髪の毛の成長因子の産生を促進し、これらの因子が毛母細胞を刺激することによって発毛効果が期待できます。
ミノキシジル外用薬の副作用には、かゆみ、赤み、かぶれ(接触性皮膚炎)、手足のむくみなどがあります。
内服薬とミノキシジルとの併用については、「フィナステリドとミノキシジル併用の効果や注意点を説明」を参照してください。
参考:KEGG MEDICUS「ミノキシジルローション5%「JG」添付文書」
AGA治療の内服薬と外用薬の違い
AGA治療の内服薬と外用薬の違いについて説明します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
内服薬 | ・ 外用薬よりも安価で取り扱われていることがある ・1日1回の内服でよいので手軽に続けやすい | ・外用薬よりも副作用が現れやすい ・多毛症やむくみなど、全身性の副作用が現れやすい |
外用薬 | ・塗布する範囲が限られているため副作用が内服薬よりも出にくい ・市販されているため内服薬よりも入手しやすい | ・効果が内服薬よりも出にくい ・かゆみや赤みなど塗布した部位に皮膚トラブルが現れる可能性がある |
内服薬は体内に取り入れるものなので、外用薬よりも効果が出やすい一方、全身に及ぶ副作用が起こる可能性があります。 また、AGA治療の内服薬は、肝臓で代謝されて肝臓に負担がかかるため、肝臓の持病がある方は使用できない場合があります。
一方で、外用薬は頭皮にのみ使用するものなので、内服薬よりも効果が出にくい反面、副作用が起こる心配は少なくて済むでしょう。ただし、皮膚トラブルが起こる可能性があるため、肌が弱い方は注意が必要です。
AGA治療薬で副作用が出た場合の対処法
AGA治療薬で副作用が起こった場合は、できるだけ早く医師に相談することが大切です。 副作用が軽いからといって自己判断で投薬を継続したり、反対に中止したりすると症状が悪化するなど思わぬ状況につながってしまう危険性があります。 医師に相談したうえで、服用する量を減らす、薬の種類を変更するなどの対応をとりましょう。
同じ効果をもつ薬でも作用機序や効果の程度が異なりますので、副作用が起こったときは自分に合うAGA治療薬の種類や服用量を医師と一緒に見直しましょう。
AGA治療薬の選び方
AGA治療を始める場合、薬はどのような選び方をするとよいのでしょうか。 ここでは、効果・体質・料金などの観点から説明します。
効果で選ぶ
AGA治療の選び方として、自身の治療のゴールや髪・頭皮の状態を考慮し、効能・効果を判断材料にする方法があります。
AGA治療薬には、フィナステリドやザガーロのように毛髪の維持や抜け毛予防の効果がある薬と、ミノキシジルのように発毛・育毛効果が期待できる薬があります。改善したい症状に合わせて治療薬を選ぶことで、効果を実感しやすくなるでしょう。
持病・体質をもとに選ぶ
AGA治療薬は肝臓で代謝されるため、肝臓に負担がかかって肝機能障害が起こる場合があります。肝炎や肝硬変などを患っている方は、治療を開始する前に医師に伝えましょう。また、AGA以外の病気の治療で薬を服用している方は、AGA治療薬と併用できない薬もあるため、服用中の薬を初診時に医師に伝えることが大切です。
そのほか、肌の弱い方は、ミノキシジルの外用薬を使用することでかゆみやかぶれといった副作用が生じる可能性があります。副作用に悩まされることがないよう、医師に事前に相談するようにしてください。
料金で選ぶ
AGAは進行性なので、効果が出てすぐに治療が終わるわけではありません。 AGAは完治しない病気とされており、発毛・育毛の効果が現れてからもその状態を維持するために治療を続けることになります。
基本的に長期にわたって治療を続ける必要があるため、1ヶ月単位の料金にとらわれず、年単位で費用を考えたり、将来的には他の治療法を選ぶことを想定しておいたり、必要な費用に関する情報をまとめておくことが大切です。
AGA治療の費用について詳しく知りたい方は、「AGA治療の費用相場はどれくらい?保険が適用されるかについても解説」も参考にしてみてください。
効果を実感したいなら薬は医師に処方してもらおう
AGAの治療薬は海外サイトの通販で販売されていることがありますが、医師ではない方が個人輸入をすることには多くの危険が潜んでいます。
偽薬であるリスクがあるほか、個人輸入の治療薬で健康被害が起こった場合は国の救済制度を利用できません。個人輸入で費用を抑えるつもりがかえって医療費がかさんでしまったり、思わぬ副作用に悩まされたりする可能性があります。 効果的に治療を進めるには、医師に処方された薬で治療を行うのが賢明です。
自分に合ったAGA治療薬を選ぼう
AGA治療薬の種類とそれぞれの特徴、選び方などについて説明しました。 AGA治療薬には内服薬と外用薬があり、具体的な薬名としてはプロペシアやザガーロ、ミノキシジルなどが挙げられます。治療薬の種類によって効果が異なるため、自分の体質や目指したいゴールに合わせて選ぶようにしましょう。
自分に合うAGA治療薬が分からないときや、使ってみたい治療薬がある場合は、オンライン診療で質問することが可能です。 オンライン診療であれば、待合室や通院の道のりで知人に出会うリスクがなく、基本的に待ち時間がないため仕事が忙しい方も負担を減らして診察を受けられます。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会