更新日:2026年07月29日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
頭皮や顔のフケ・赤み・かゆみが繰り返し起こり、「市販のシャンプーを試しても良くならない」と悩んでいる方もいるかもしれません。その原因は、皮脂の分泌が多い部位に発症する「脂漏性皮膚炎」の可能性があります。 思春期以降に発症した場合は慢性化しやすいため、セルフケアだけで済ませず、皮膚科を受診して適切な治療を受けることが大切です。
脂漏性皮膚炎は、頭皮や顔など皮脂の多い部位に赤みやフケが生じる疾患です。まずは症状や発症しやすい部位などを確認していきましょう。
脂漏性皮膚炎の主な症状は、患部の赤みやフケ、かゆみです。脂漏性皮膚炎によるフケは黄色や銀白色で脂っぽく、うろこ状に剥がれ落ちます。かゆみが少ないと見過ごされやすい疾患ですが、思春期以降に発症した場合は再発と軽快を繰り返しやすく、慢性的な経過をたどることがあります。そのため、赤みやフケが続く場合はセルフケアだけで済ませず、早めに皮膚科を受診して治療しましょう。
脂漏性皮膚炎は、頭皮・おでこ・生え際・鼻や耳まわり・胸・背中・わきなど、皮脂の多い部位に発症します
脂漏性皮膚炎による赤みやかゆみなどの症状は、同時に複数の部位に出ることもあります。
乳児型の脂漏性皮膚炎は適切なスキンケアによって改善する傾向があるのに対し、成人型は再発と軽快を繰り返し、慢性化しやすいことが特徴です。
| 乳児型 | 成人型 | |
|---|---|---|
| 発症時期 | 新生児・乳児期 | 思春期以降 |
| 主な症状 | 頭や顔面などに、黄色〜銀白色のフケや赤みが生じる | (乳児型と同様の症状がみられるが)一度発症すると再発と軽快を繰り返しやすい |
| 経過・特徴 | 一過性であることが多い | 慢性化しやすい |
| 主な対処法 | 適切な方法でスキンケアを行う | セルフケアだけで済ませず、皮膚科を受診して適切な治療を受ける |
乳児型の脂漏性皮膚炎は一過性であるとされていますが、症状が長引く場合や悪化している場合は、早めに小児科や皮膚科で医師に相談しましょう。
脂漏性皮膚炎はマラセチアの繁殖や皮脂分泌などが関与すると考えられていますが、発症の原因は解明されていません。ここでは、脂漏性皮膚炎の発症に関わるとされている主な要因について解説します。
脂漏性皮膚炎の原因として、誰の肌にも存在する「マラセチア」という真菌の増殖が関与していると考えられています。皮脂の多い頭皮や顔面などでマラセチアが過剰に増えると、炎症に関わる物質を出して赤みやフケを引き起こします。
脂漏性皮膚炎は、睡眠不足やストレス、偏った食生活なども悪化の要因になると考えられています。そのため、十分な睡眠やバランスの良い食事といった日々の生活習慣を整えることは、症状の回復をサポートするために大切です。
脂漏性皮膚炎は、もともと皮脂分泌が多い体質の場合や、産後・閉経期のホルモンバランスの変化が発症・悪化の引き金になることがあります。
脂漏性皮膚炎の症状が出た際、「体質だから」「一時的なホルモンバランスの乱れだから」と自己判断せず、症状が気になるときは早めに皮膚科で相談しましょう。
脂漏性皮膚炎は、クリニックで処方される抗真菌薬やステロイドなどによって治療を行います。適切な方法での洗髪・保湿といったセルフケアも並行することで、症状改善が期待できるでしょう。ここでは皮膚科での治療と薬用シャンプーの役割、治療期間の目安を紹介します。
脂漏性皮膚炎の治療は、抗真菌薬やステロイドといった塗り薬(外用薬)によるケアが中心です。症状の程度に応じてこれらの薬を組み合わせ、かゆみや赤みの症状が強い場合には飲み薬(内服薬)が処方されることもあります。
脂漏性皮膚炎によるフケやかゆみに対しては、ミコナゾール硝酸塩といった抗真菌成分を配合した市販の薬用シャンプーを用いるのも一つの方法です。また、市販のステロイド外用薬は一時的に炎症を抑える効果が期待できます。
ただし、症状の程度によっては効果が十分でないケースもあり、自己流のケアを長く続けることで頭皮環境の悪化を招く可能性があります。症状が強い場合や長引く場合、自己判断で長く使い続けず、医師に相談しましょう。

脂漏性皮膚炎の治療に用いられる抗真菌薬(ケトコナゾール)は医療用医薬品で、ドラッグストアでは購入できません。また、ステロイドの塗り薬は効き目の強さによって5段階に分類されており、市販薬として購入できるのは下から3段階目までである点に留意しましょう。
脂漏性皮膚炎は、治療を始めると数週間で赤みやかゆみが落ち着く場合があります。しかし、特に成人型の脂漏性皮膚炎は再発と軽快を繰り返しやすく、症状が落ち着いたからと塗り薬の使用をやめると、再び症状が現れることがあります。そのため、見た目が良くなった際も自己判断で中断せず、治療の終了や継続については必ず医師の指示を仰ぎましょう。シャンプーや洗顔などのセルフケアは症状を落ち着かせるためのサポートとなるため、治療と並行して習慣づけることが再発を防ぐポイントです。

頭皮の皮脂を気にして1日に何度も洗髪したり爪を立てて強くこすったりすると、症状の悪化を招くおそれがあります。洗髪の際は指の腹でやさしく洗い、十分にすすぎましょう。
脂漏性皮膚炎のセルフケアでは、刺激を避けることが大切です。ここでは頭皮と顔のケア方法を紹介するほか、新生児・乳児のケアのポイントについて解説します。
脂漏性皮膚炎の症状が頭皮に出ている場合、抗真菌成分を含む薬用シャンプーの活用や、指の腹でやさしく洗って十分にすすぐといった洗髪方法の見直しが有効であるとされています。

整髪料を使った日は当日中に洗い落とし、頭皮を清潔に保つことも大切です。こうした日々のケアは再発を防ぐための重要な土台づくりとなります。
脂漏性皮膚炎の症状が顔に出ている場合も、刺激を避けたやさしいケアが基本です。洗顔時は強い力でこすらず、泡で包むようにやさしく洗いましょう。洗顔後は、アルコールフリーの化粧水や乳液を用いて保湿することもポイントです。
新生児・乳児の脂漏性皮膚炎は、清潔と保湿を基本としたスキンケアが大切です。入浴時はベビー用の石けんをしっかり泡立ててやさしく洗い、すすぎ残しがないよう十分に流しましょう。頭に黄色や銀白色のフケのようなものがこびりついている場合、無理にはがさずやさしく洗い流すことが大切です。
脂漏性皮膚炎による頭皮の炎症が続くと、抜け毛が増えることがあります。脂漏性皮膚炎による抜け毛と男性に多いAGA(男性型脱毛症)は混同されやすいですが、原因が異なるため、違いを把握したうえで適切に対処することが大切です。ここでは脂漏性皮膚炎に伴う抜け毛の特徴と、AGAとの違いについて解説します。
脂漏性皮膚炎が悪化して頭皮の強い炎症やフケ、かゆみが続くと、掻き壊しなどによる頭皮環境の悪化によって一時的に抜け毛が増加することがあります。このようなフケや赤みを伴う抜け毛に対し、まずは原因となっている脂漏性皮膚炎を治療して頭皮環境を整えることが大切です。
脂漏性皮膚炎に伴う脱毛とAGA(男性型脱毛症)は、原因や症状が異なります。AGAの主な原因は、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)と遺伝です。

AGAを発症した場合、主に生え際や頭頂部から薄毛が進行するのが特徴です。

一方、脂漏性皮膚炎に伴う抜け毛は、炎症が悪化している部位に起こる傾向があります。
脂漏性皮膚炎とAGAは、併発するケースもあります。頭皮のフケやかゆみとともに薄毛が気になり始めた場合、抜け毛の原因が脂漏性皮膚炎とAGAのどちらであるか、あるいは併発しているのかを自身で見極めるのは難しいでしょう。自己判断せず、まずは皮膚科で診断を受けて自身の状態に合った対策をとりましょう。
※レバクリでは脂漏性皮膚炎の診療は行っておりません。
脂漏性皮膚炎の悪化や再発を防ぐには、食事や睡眠といった生活習慣の見直しも欠かせません。ここでは悪化・再発を防ぐために意識したいポイントを紹介するので、できることから始めていきましょう。
脂漏性皮膚炎は、秋から冬にかけての寒さや低湿度といった環境の変化が悪化の要因になることがあります。乾燥する時期には入浴後に保湿を行うとともに、季節を問わずこまめに汗をふき取ることや、洗顔後の保湿などを心がけましょう。
脂漏性皮膚炎と食事の関連については研究が進められていますが、2026年6月時点では特定の栄養素による明確な食事療法は確立されていません。ただし、一部の研究では果物の摂取が多いとリスクが低下する可能性や、アルコール・肉食に偏った食事がリスク因子となる可能性が示唆されています。
バランスの良い食事は全身の健康を保ち、症状を落ち着かせる土台となります。厚生労働省の「食事バランスガイド」を参考に、「主食」「主菜」「副菜」「牛乳・乳製品」「果物」を組み合わせた食生活を心がけましょう。
参考:National Library of Medicine「Association between Diet and Seborrheic Dermatitis: A Cross-Sectional Study」
National Library of Medicine「Nutrition, Obesity, and Seborrheic Dermatitis: Systematic Review」
厚生労働省「食事バランスガイド」
ストレスや慢性的な睡眠不足は、皮脂のバランスや肌の状態に影響を与え、脂漏性皮膚炎などの頭皮トラブルを悪化させる要因になると考えられています。
運動や音楽鑑賞など気分転換する時間をとり、ストレス解消を図りましょう。また、心身の健康を保つため、睡眠は1日6〜8時間程度とることが大切です。

就寝前のスマートフォンの使用を控える、体に合う寝具を使うなど、良質な睡眠のための工夫も取り入れましょう。
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
脂漏性皮膚炎に関するよくある質問に回答します。
脂漏性皮膚炎は何科を受診すればよいですか?
脂漏性皮膚炎の可能性がある場合は皮膚科を受診しましょう。原因となるマラセチアの繁殖や皮膚の炎症を抑えるためには、クリニックで処方される抗真菌薬やステロイド外用薬による治療が基本となります。市販薬で改善しない場合や症状を繰り返す場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
脂漏性皮膚炎は自然に治りますか?
乳児型の脂漏性皮膚炎は、適切なスキンケアによって自然に落ち着くことが多いとされています。一方で成人型は再発しやすく慢性化しやすいため、自然治癒を期待してそのままにすると悪化するおそれがあるでしょう。赤みやフケなどの症状が気になるときは、早めにクリニックを受診しましょう。
脂漏性皮膚炎で抜け毛が増えることはありますか?
脂漏性皮膚炎が悪化し、頭皮の強い炎症やかゆみによる掻き壊しなどが続くと、一時的に抜け毛が増加することがあります。炎症が治まれば抜け毛も落ち着くことが期待できるため、原因となっている脂漏性皮膚炎の治療を優先することが大切です。
脂漏性皮膚炎は、頭皮や顔など皮脂の多い部位に赤みやフケ、かゆみが生じる疾患です。マラセチアの増殖や生活習慣の乱れなどが関与しており、成人型は再発しやすい特徴があります。
脂漏性皮膚炎の治療では、症状の程度に応じて抗真菌薬やステロイド外用薬などが処方されます。悪化すると一時的な抜け毛につながることもあるため、自己判断でのケアにとどめず、早めに医師へ相談しましょう。
※レバクリでは脂漏性皮膚炎の診療は行っておりません。AGA(男性型脱毛症)が気になる場合は、オンライン診療をご利用いただけます。
National Library of Medicine「Association between Diet and Seborrheic Dermatitis: A Cross-Sectional Study」
National Library of Medicine「Nutrition, Obesity, and Seborrheic Dermatitis: Systematic Review」
厚生労働省「食事バランスガイド」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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