更新日:2026年08月06日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
側頭部の薄毛が気になり、原因を特定したいと考えている方もいるかもしれません。薄毛はAGAをイメージしがちですが、側頭部だけが薄くなる場合はびまん性脱毛症や甲状腺機能の異常などが原因の可能性もあります。この記事では、側頭部の薄毛を引き起こす主な原因と頭皮環境を整える方法を紹介します。原因によって対策が異なるため、セルフチェックの参考にしたうえで、気になる場合は医療機関への相談も検討してみてください。
側頭部の薄毛は、AGA(男性型脱毛症)が直接の原因とは限りません。 AGAは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合し、DHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることで起こる脱毛症です。DHTが毛乳頭細胞のアンドロゲンレセプターと結合すると脱毛因子が作られ、ヘアサイクルの成長期が短くなります。すると髪が十分に育つ前に抜け落ち、細く短い軟毛が増えていくのです。

AGAに関わる5αリダクターゼll型は、主に前頭部や頭頂部に多く分布しています。一方、側頭部や後頭部はDHTの影響を比較的受けにくいとされているため、耳の上など側頭部中央に限局して脱毛がみられる場合は、AGA以外の脱毛症も考える必要があります。ただし、側頭部だけでなく全体的に薄くなっている場合はAGAが隠れていることもあるため、医療機関での確認がおすすめです。
側頭部の薄毛には、AGA以外にもさまざまな原因が考えられます。側頭部の薄毛を引き起こす主な原因は、以下の6つです。
それぞれの原因を紹介します。
びまん性脱毛症は、頭皮全体の髪が薄くなる脱毛症で、側頭部の薄毛としても自覚されるケースがあります。特定の部位が局所的に薄くなる脱毛症とは異なり、髪の一本一本が細くなり、比較的広い範囲の地肌が透けて見えるようになるのが特徴です。特に分け目や頭頂部などは、地肌の露出が目立ちやすい傾向にあります。

更年期以降の女性に起きやすいとされていますが、ホルモンバランスの変化には個人差があるため、必ずしも中高年期に限ったものではありません。
甲状腺はのどぼとけのあたりにある臓器で、新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症では、毛周期が乱れ、頭部全体の抜け毛が増えることがあります。甲状腺機能による脱毛は側頭部に限らず、頭皮全体におよぶことが多いでしょう。
甲状腺機能低下症では、疲れやまぶたのむくみ、記憶力低下などの症状が現れることがあります。
牽引性脱毛症は、髪を強く引っ張る状態が続くことで起こる脱毛症です。ポニーテールやお団子ヘア、ヘアエクステなど、頭皮の特定部位に負担がかかる髪型を続けると、毛根に継続的な負荷がかかって脱毛が起こります。
髪を結ぶ際、側頭部に強い力がかかり続けると局所的に薄くなる可能性があるでしょう。 また、ヘッドバンドや作業用ヘルメット、帽子の長時間着用も原因になることがあります。初期段階であれば定期的に髪型や分け目を変えるなど、物理的な負担を減らすことで元に戻る可能性がありますが、毛包に影響がおよぶと髪が生えてこなくなるリスクがあるため注意が必要です。
皮脂の過剰分泌で起こる脂漏性皮膚炎が、頭皮環境の悪化を招き、抜け毛が増える一因となるケースがあります。脂漏性皮膚炎は、皮脂を栄養とする常在菌のマラセチアが増殖し、炎症が起こる疾患です。炎症によって頭皮のバリア機能が低下すると刺激を受けやすくなり、炎症が毛包にまでおよぶことがあります。
その結果、抜け毛が増えたり、頭皮環境の悪化により髪が育ちにくくなったりする可能性があるのです。脂漏性皮膚炎の主な初期症状は頭皮のベタつきや赤み、脂性フケの増加などで、抗真菌成分を含むシャンプーが症状のコントロールに役立つことがあります。ただし、症状が強い場合や長引く場合には、自己判断のみで対処を続けると悪化するリスクがあるため、医療機関での治療を優先しましょう。
円形脱毛症は、頭皮の一部が円形や楕円形に脱毛する自己免疫疾患で、側頭部にも発症することがあります。本来は体を守るはずの免疫細胞(Tリンパ球)が毛包を攻撃することで起こると考えられています。

遺伝的背景やアトピー体質の関与が指摘されており、過労やストレスが引き金になることもあるでしょう。境界がはっきりした脱毛斑が突然現れるのが特徴です。軽度なら自然に治ることもありますが、範囲が広い場合や複数できる場合は、皮膚科での専門的な治療が必要になります。
眼精疲労や肩こりが生じると、首から頭部にかけての筋肉が継続的に緊張し、頭皮の血行不良を招きます。特に側頭部は、目の周りや首筋の筋肉の緊張による影響を受けやすい部位です。血行不良によって毛母細胞への栄養が不足すると、ヘアサイクルが乱れ、髪の軟毛化や薄毛を招く要因になります。 パソコンやスマートフォンの長時間利用は血流悪化につながるため、側頭部をマッサージして筋肉をほぐすなども1つのケアになります。
側頭部の薄毛改善をサポートするため、セルフケアで頭皮環境を整えるのも一つの方法です。頭皮マッサージや栄養バランスの良い食事は、頭皮への血流を促し、健康な髪が育つ土台作りに役立ちます。ここでは、日常生活で実践できる6つの方法を紹介します。
側頭部の血行を促す頭皮マッサージは、間接的に薄毛改善をサポートする方法の一つです。特に眼精疲労が原因の場合、マッサージで側頭部にある側頭筋の緊張がほぐれ、血行の改善が期待できるでしょう。 頭皮マッサージは指の腹を使って、耳の上から頭頂部に向かって優しく円を描くように動かします。1回数分程度、1日1~2回程度が目安です。強く押し過ぎると頭皮を傷める可能性があるため、痛くない程度の力加減で続けましょう。
栄養バランスの整った食事は、健康な髪の成長をサポートする土台になります。髪の主成分であるタンパク質をはじめ、亜鉛や鉄分、ビタミンB群などをバランスよく摂りましょう。髪の成長に関わる主な栄養素は、以下のとおりです。
| 栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 | 頻度不明 |
|---|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分ケラチンの材料になる | 肉類、魚、大豆製品 | 睾丸痛、睾丸腫大 |
| 亜鉛 | ケラチンの合成を助ける | 牡蠣、牛赤身肉、ナッツ類 | 抑うつ症状、めまい |
| 鉄分 | 栄養を毛根へ運ぶ血液をつくる | レバー、赤身肉、ほうれん草 | AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇 |
| ビタミンB群 | 代謝を促し頭皮環境を整える | 豚肉、卵、納豆 | 発疹、そう痒症、じん麻疹、血管浮腫 |
ただし、特定の食品や栄養素だけでAGAなどの薄毛を直接改善できるわけではありません。食事はあくまで頭皮環境を整える土台と考え、間接的な対策として偏りのない食事を心掛けましょう。
正しいシャンプーで頭皮を清潔に保つことも、間接的な薄毛対策になります。

まず、シャンプー前にブラシで髪の絡まりをほぐし、洗髪時の摩擦を防ぎましょう。次に、ぬるま湯で予洗いして汚れを落とし、頭皮をしっかり濡らすと泡立ちが良くなります。 シャンプーは手のひらで泡立ててから髪につけ、指の腹で優しくマッサージするように洗います。爪を立てると頭皮を傷つける可能性があるため注意しましょう。すすぎは特に大切で、シャンプーが残らないようしっかり洗い流してください。
過度な洗髪は頭皮の乾燥や炎症を招く要因になるため、シャンプーは1日1回を基本にします。熱すぎるお湯は髪のダメージになるため、40℃未満のぬるま湯で洗う方法もあります。

洗浄力の強い合成界面活性剤を含むシャンプーは、汚れをしっかり落とす反面、必要な皮脂まで洗い流してしまうことがあります。一方、肌と同じ弱酸性のアミノ酸系シャンプーは刺激が少なく、頭皮の炎症を起こしにくいでしょう。
睡眠中に分泌される成長ホルモンには、働きがあります。成長ホルモンは入眠直後の数時間に多く分泌されるため、この時間帯に深い眠り(ノンレム睡眠)につけるよう生活習慣を整えましょう。質の良い睡眠のためにできることは、以下のとおりです。
側頭部の薄毛が気になる場合は、自己判断での対処よりも医師への相談がおすすめです。側頭部の薄毛は原因が多岐にわたるため、適切な診断なしに改善を図るのは難しいからです。皮膚科や薄毛専門のクリニックで、薄毛がAGAによるものか、ほかの疾患が関係しているのかを確認しましょう。原因が特定されれば、適切な治療法を検討できます。
たとえば、甲状腺機能の異常が原因なら内分泌科や耳鼻咽喉科、脂漏性皮膚炎が原因なら皮膚科での治療が必要になることが多いです。適切な対処をせずに進行すると、薄毛が広がったり治療が長期化したりすることもあるため、早めの相談を検討してみてください。
側頭部の薄毛はAGAのほか、眼精疲労や肩こりによる血行不良、びまん性脱毛症や甲状腺機能の異常など、考えられる原因が多岐にわたります。そのため、自己判断での対処は難しい場合が少なくありません。まずは皮膚科や薄毛専門のクリニックを受診し、原因を特定したうえで、自分に適した治療法を相談しましょう。
前頭部や頭頂部の薄毛も気になる場合は、AGAクリニックのオンライン診療も選択肢の一つです。オンライン診療なら、カメラ付きのビデオ通話で自宅など希望の場所から医師に相談できます。症状によっては対面診療を勧められることもありますが、まずは薄毛の原因を確認するために活用してみるのも良いでしょう。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」「アルコール」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のAGA治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
「レバクリ」は、AGA治療の「始めやすさ」と「続けやすさ」を重視し、オンライン診療のメリットを最大限に活かしたサービスを提供しています。
必要な睡眠時間には個人差があるものの、成人ではおおむね6~8時間が目安とされています。睡眠の質と量の両面を意識して、休む環境を整えましょう。
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
過度な飲酒や喫煙は、血行を悪化させ、髪の成長に必要な栄養供給を妨げる要因になります。アルコールの過剰摂取は肝臓に負担をかけ、髪の主成分であるタンパク質の合成を妨げることがあります。また、喫煙はニコチンの作用で血管を収縮させ、頭皮への血流を悪化させるため、毛根が栄養不足に陥りやすくなります。
節度ある適度な飲酒は純アルコールで約20g程度(1日平均)とされ、ビールなら500mL、ワインなら120mL相当です。女性や65歳以上の方は、これより少ない量が推奨されます。完全にやめる必要はありませんが、適量を心掛け、休肝日を設けるなどの工夫を行っても良いでしょう。喫煙は多くの疾患の危険因子となる恐れがあります。喫煙習慣については医師へご相談ください。
参考:厚生労働省「アルコール」
慢性的なストレスは自律神経のバランスを崩し、交感神経が優位な状態が続くことで血行不良を招きます。その結果、髪の成長に必要な栄養が届きにくくなり、頭皮環境や髪の健康を悪化させる可能性があるでしょう。
また、過度なストレスが続いて自律神経のバランスが乱れると、質の良い睡眠が確保しにくくなることもあります。適度な運動や音楽鑑賞、十分な休息など、自分に合った方法でこまめにストレスを解消しましょう。