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更新日:2024/04/19

ピルのデメリットとは?副作用の症状や対処法について解説

この記事のまとめ
  • 低用量ピルのデメリットは、副作用や血栓症のリスクがあること
  • 低用量ピルを服用すると太る、不妊になるという噂は誤解
  • 定期的な診察やがん検診で、デメリットは軽減できる
  • 低用量ピルは、PMSや生理痛の改善などのメリットもある

低用量ピルの服用を検討している方の中には、低用量ピルのデメリットについて知りたい方も多いでしょう。低用量ピルには、避妊効果や生理痛の軽減など多くのメリットがありますが、デメリットも確かに存在します。

本記事では、低用量ピルのデメリットとなる副作用やリスク、対処法などについて解説します。この記事を読むことで低用量ピルのデメリットを理解し、適切に服用しましょう。

低用量ピルのデメリットは?

低用量ピルは、女性ホルモンを経口摂取することで排卵を抑制し、避妊効果を発揮する薬です。生理痛やPMSの軽減といった効果もありますが、低用量ピルには以下のようなデメリットもあります。

副作用が出ることがある 血栓症のリスクがわずかに上がる 子宮頸がん・乳がんのリスクがやや高まる可能性がある 費用がかかる

ここでは、低用量ピルのデメリットについて詳しく解説します。

副作用が出ることがある

女性ホルモンの含有量が多い中用量ピルと比べて、低用量ピルは副作用が出にくいとされています。 しかし服用を始めたばかりの時期は、ホルモンバランスが変化することで、一過性に副作用が起こりやすくなる場合があります。以下より、副作用の症状や期間について解説します。

副作用の症状

低用量ピルを飲み始めると、マイナートラブルと呼ばれる、以下のような副作用が出る場合があります。

  • 不正出血
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 乳房の張り
  • めまい
  • 眠気

これらの副作用は、ホルモンバランスの変化が原因となって起こる、比較的軽度な症状です。また、マイナートラブルで最も多いのは、約20%の方に現れるとされる不正出血です。不正出血は、月経時以外に子宮内膜が剥がれ落ちることが原因で起こる、少量の茶褐色の出血です。

副作用は全員に起こるわけではありませんが、ピルの服用を開始する前に症状を理解しておくことが大切です。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤

副作用の期間

不正出血や吐き気、頭痛などの副作用は、服用開始直後に現れやすい傾向があります。副作用は1~2か月ほど続く場合がありますが、一般的には、服用開始から3か月ほど経過すると、マイナートラブルに分類される副作用はほとんど気にならなくなるとされています。

血栓症のリスクがわずかに上がる

マイナートラブルとは異なり、注意したいのが静脈血栓症のリスクです。低用量ピルを服用すると、静脈血栓症のリスクがわずかに高くなるとされています。血栓症とは、血液が固まり、血管を塞いでしまう病気です。血栓症が起こると、重症の場合心筋梗塞や脳卒中などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。

FDA(米国の食品医薬品局)によると、1万人あたりの、年間の血栓症を発症する人数は以下とされています。

  • 低用量ピルを服用していない女性:年間1万人に1~5人
  • 低用量ピルを服用している女性:年間1万人に3~9人

血栓症を発症しても適切な治療を行えば、ほとんどの血栓は消失するとされ、日本産科婦人科学会によると重症化するのは100人に1人としています。決して高い確率ではありませんが、低用量ピルの服用は血栓症リスクがわずかに上昇することは念頭においておきましょう。なお、妊娠中の血栓症リスクはピルの服用よりもだんぜん高く、その点も踏まえてもピルの服用について過度にご不安を感じられる必要はないともいえます。

参考: FDA「FDA Drug Safety Communication: Updated information about the risk of blood clots in women taking birth control pills containing drospirenone」 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン

子宮頸がん・乳がんのリスクがやや高まる可能性がある

低用量ピルのデメリットとして、長期間の服用による子宮頸がんや乳がんのリスクがわずかに上昇する可能性があることも挙げられます。

子宮頸がんは、女性の子宮頸部(子宮の入り口部分)に発生するがんです。主な原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染とされています。乳がんは乳腺にできるがんで、原因は解明されていませんが女性ホルモンや生活習慣と関連があると考えられています。

日本産科婦人科学会によると、低用量ピルにより子宮頸がんのリスクがやや高まる要因としては、新たなHPV感染のリスクの増加ではなく、既に感染したHPVの排除率が低下する可能性があるためとされています。また、低用量ピルの服用により、乳がんのリスクもわずかに増加する可能性があるとされています。 ただしそれぞれのがんについてはより重要なリスク因子があり、ピルの服用自体ががんを強く誘発するといった懸念はやや過度であるとも考えられます。

費用がかかる

低用量ピルは、毎日の服用により効果を持続できる薬です。そのため、継続して購入しなければならず、費用がかかる点もデメリットといえます。

また、ピルは服用目的により保険適用となる場合と、適用外になる場合があります。月経困難症やPMS、子宮内膜症との診断を受け治療目的で服用する場合は保険適用となり、費用の相場は1か月600円~2,500円ほどになります。避妊目的の場合は保険適用外のため、全額自己負担となり、1か月の薬代は2,500円~3,500円程度が目安のようです。

費用はクリニックにより異なり、薬代のほか、診察料や検査料がかかる場合もあります。

低用量ピルを服用できない人

低用量ピルの服用を希望しても、以下に該当する方は服用できません。

  • 重症の高血圧
  • 35歳以上で1日15本以上喫煙する
  • 前兆を伴う片頭痛を持つ
  • 血管病変を伴う糖尿病
  • 妊娠・授乳中
  • 手術前4週以内・手術後2週以内・長期間安静状態である
  • 重篤な肝障害
  • 乳がん患者である
  • 血栓症素因、深部静脈血栓症や血栓性静脈炎などの既往歴がある
  • 思春期前

また、服用に注意が必要なのは、主に以下の方とされています。

  • 40歳以上
  • BMI30以上
  • 喫煙者
  • 前兆を伴わない片頭痛を持つ
  • 軽症の高血圧症
  • 心臓弁膜症、心疾患
  • 乳がんの既往、乳がんの家族歴

いずれかに該当する場合は、必ず医師の診察を受け、服用が可能であるか相談しましょう。

低用量ピルのデメリットについての誤解

低用量ピルのデメリットといわれている情報の中には、誤った内容も含まれています。 ここからは、誤解されている低用量ピルのデメリットについて解説します。

低用量ピルを飲むと太る?

低用量ピルを飲むと太るというのは、誤った認識の1つです。低用量ピルと体重増加の因果関係は明らかになっていないとされています。

ただし、実際に低用量ピルを服用すると、体内の水分量が増え一時的に体重が増えたり、見た目の変化を感じたりするかもしれません。これは低用量ピルの副作用である、むくみによるものです。

また、低用量ピルに含まれるプロゲステロンは、食欲を増進させる作用があります。そのため、ピルの服用を開始する前に比べて食事量が多くなる方もいるかもしれません。

むくみや食欲増進は、副作用による一時的なものなので、体が低用量ピルに慣れることで解消していきます。

低用量ピルを飲むと不妊になる?

低用量ピルを飲むと不妊になるというのも、よく聞かれる誤解です。低用量ピルの服用により、妊娠しにくい体になることはありません。

服用中は高い避妊効果が得られますが、低用量ピルの服用をやめれば排卵が再開し、体が妊娠できる状態になります。一般的には、低用量ピルの服用を止めてから3か月ほどで排卵のサイクルが元通りになり、妊娠できる準備が整うとされています。

低用量ピルは高校生は購入できない?

低用量ピルの購入は高校生でも可能です。月経が始まっていれば、10代から服用できます。高校生も購入できますが、低用量ピルの処方を受けるには、年齢に関係なく医師の診察が必要となります。処方を受けるには、婦人科の病院に直接行く方法と、オンラインクリニックを利用する方法があります。

基本的に保護者の同意は不要ですが、クリニックによっては保護者の同意を必要とする場合もあります。診察を希望する際は、事前にクリニックのWebサイトを確認しましょう。

低用量ピルのデメリットを回避するための対策

低用量ピルの服用は副作用や血栓症などのリスクを伴います。しかし、これらのデメリットを理解し、軽減するための対策を講じることで、安全に服用できるでしょう。ここからは、低用量ピルのデメリットを軽減するための、具体的な対策を解説します。

副作用の対処法を理解しておく

事前に副作用の対処法を理解しておくことで、実際の症状にも安心して臨めるでしょう。前述したように軽度な副作用は服用を継続することで解消するため、3か月程度は様子を見ましょう。

3か月以上経過しても、症状が治まらない場合は医師に相談が必要です。また、副作用に不安を覚える場合は3ヶ月経過していなくても医師に相談することをおすすめします。

さらに、以下のような重い症状が現れた場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。

  • 突然の息切れ
  • 突然の激しい頭痛
  • 長期的な吐き気
  • 血圧の上昇
  • 急激な体重増加

服用している低用量ピルの種類が、自分の体質や健康状態に合わない場合もあります。医師に相談し、副作用の症状を伝えたうえで、適切なピルの種類に変更してもらいましょう。

医療機関で処方してもらう

ピルは医療機関で処方してもらう方法のほかに、個人輸入で手に入れることも可能です。しかし、医療機関で処方してもらう方が、副作用のリスクを軽減できます。医師の診察を受けると、自分の体質や目的に合った低用量ピルが処方され、服用方法や注意点についての説明を詳しく受けられます。正しい方法での低用量ピルの服用により、副作用を軽減したり、予防したりできるでしょう。

個人輸入で入手する低用量ピルは、偽薬であったり不純物が含まれていたりする場合があります。有効性や安全性に懸念があり、副作用のリスクを高める可能性があります。万が一、健康被害が起きても自己責任となります。安全で適切な服用のために、低用量ピルは必ず医療機関で処方してもらいましょう。

定期的に診察を受ける

服用後の副作用のリスクを回避するためには、定期的に診察を受けることも有効といえます。診察では、問診や血圧・体重測定を実施し、副作用や血栓症などのリスクがないかを確認します。血栓症のリスクが高い方は、基本的に半年に一度ほどの頻度で血液検査を受けることになります。

低用量ピルによる血栓症のリスクは低いとされていますが、完全にゼロではありません。そのため、低用量ピルを服用する際には定期的な診察が大切です。

また、服用中に血栓症を疑われる症状(激しい頭痛、胸痛、息切れ、ふくらはぎの痛みなど)が現れた場合は、すぐに医療機関で受診しましょう。

がん検診を受ける

低用量ピルは、子宮頸がんや乳がんの発症リスクをわずかに高める可能性があります。そのため、低用量ピルを服用している女性は、定期的にがん検診を受けるのも勧められます。

子宮頸がんは、20代後半から30代後半の若い世代も比較的かかりやすいとされています。また、乳がんの家族歴がある方は、特に注意が必要です。医師と相談し、年齢やリスク要因に応じた適切なスケジュールでがん検診を受けることで、がんのリスクを回避し、低用量ピルの服用を安心して続けられるでしょう。

低用量ピルのメリット

低用量ピルはデメリットを理解したうえで適切に服用すれば、下記のように多くのメリットを得られる薬です。

  • 避妊効果
  • 生理痛の軽減
  • 生理不順の改善
  • PMSの改善
  • ニキビや肌荒れの改善
  • 卵巣がんや子宮体がんのリスク低下

低用量ピルは、排卵の抑制により避妊効果を発揮するだけでなく、生理痛の軽減、PMSの改善などの効果があります。また、女性ホルモンのバランスを整えることで、ニキビや肌荒れを抑制し、月経周期を一定にすることで、生理不順を改善する効果も期待できます。

さらに、卵巣がんや子宮体がんなど一部のがんの罹患リスクを低下させるといわれています。さまざまなメリットが得られる低用量ピルは、うまく取り入れることで、自身のライフスタイルをコントロールできるようになるでしょう。

まとめ

本記事では、低用量ピルのデメリットや対処法について解説しました。低用量ピルは、デメリットを正しく理解し、医師の指導のもとリスク軽減の対策を行うことで、避妊効果や生理痛の軽減などの多くのメリットが受けられます。

ぜひ本記事で解説した対処法を参考にして、適切な低用量ピルの服用を始めてみてください。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会