更新日:2024年07月11日
生理前に眠くなるのはなぜ?ひどい眠気への対策と眠気を軽減する方法
- 生理前の眠気は、プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)の変動によるもの
- すぐにできる眠気対策には、カフェインを含む飲み物を飲むことや、ストレッチすること、仮眠をとることなどがある
- そもそも眠気を軽減するには、十分な睡眠時間をとることや適度な運動をすることなどがポイント
- PMS(月経前症候群)による眠気には、低用量ピルの服用が有効
「仕事中でもひどい眠気のせいで集中できない」「いつもと同じくらい寝たのに眠い…」と生理前の眠気に悩んでいる女性は多いでしょう。
女性が生理前に眠気を感じる要因にはさまざまなものがありますが、いずれも女性ホルモンの変動が関わっています。中でも、眠気の他に、頭痛やイライラなども感じる方は、PMS(月経前症候群)の可能性が高いです。
この記事では、生理前に眠気を感じる理由と、眠気への対策を詳しくご紹介します。後半には眠気を軽減する方法も紹介しているので、生理前の眠気に悩む方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
生理前に眠気を感じる理由
生理前の眠気には、プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)という2つの女性ホルモンの変動が関係しています。
月経のある女性の身体は、これらの女性ホルモンの影響を受け、28日前後の周期(月経周期)で変化します。
月経周期は、女性ホルモンの変動に応じて「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」の4つに分類されます。
このうち黄体期に起こる変動が、生理前の眠気に作用すると考えられています。
それぞれの作用を下記で詳しく解説します。
基礎体温の上昇
排卵後から月経前までの「黄体期」には、プロゲステロンという女性ホルモンが盛んに分泌されます。このプロゲステロンが分泌されると、基礎体温が低温期より0.3~0.5℃上昇します。
私たちの身体は、体温が下がることによって眠気を感じる仕組みになっています。たとえば、入浴後に眠くなるのは、入浴によって温められた身体の熱が入浴後に徐々に拡散され、体温が急激に下がることが要因です。
そのため、就寝前後での体温の下がり方が大きければ大きいほど寝付きがよくなり、よく眠れるようになります。
対して、基礎体温が通常より高いことで寝る前の体温が普段より下がらないと、寝付きが悪くなったり深い眠りにつけなくなったりします。これが日中の眠気の要因となるのです。
自律神経の乱れ
前述した2つのホルモンのうち、エストロゲンには副交感神経を優位にする作用があります。副交感神経は、臓器や器官などの働きを抑制する働きがあり、身体がリラックスしているときに優位になる神経です。
黄体期には、副交感神経を優位にするエストロゲンの分泌が減少するため、リラックスしにくい状態になり、寝付きが悪くなってしまいます。
これが、日中の眠気を引き起こす要因になります。
眠気を引き起こす物質の分泌
黄体期に増加したプロゲステロンが、体内で分解されると、「アロプレグナロン」が分泌されます。
この物質は、緊張やストレスを和らげる働きをもつ「GABA(ガンマアミノ酸)」の受容体に結合し、その神経伝達物質を活性化させるため、眠気を引き起こすことに繋がります。
女性ホルモンの急激な低下
黄体期には、エストロゲンとプロゲステロンが多く分泌されますが、黄体期の後半になるとその分泌量は大きく下がります。
このときに起こる眠気は、PMS(月経前症候群)の症状の1つです。
PMSは生理3~10日前に始まる精神的・身体的症状で、月経が始まると同時に消失したり、軽減したりすることがほとんどです。
PMSが起こる原因と症状については、次の見出しで詳しく解説します。
PMS(月経前症候群)とは
PMSが起こる原因ははっきりとわかっていませんが、女性ホルモンが急激に低下することで、脳内ホルモンや神経伝達物質になんらかの影響を与え、生理前の精神的・身体的症状を引き起こすと考えられています。
PMSによる症状には、眠気以外にも下記があります。
※症状には個人差があります。
精神的症状 | 身体的症状 |
---|---|
・精神不安定 ・不安感 ・集中力の低下 ・イライラ ・倦怠感 など | ・頭痛 ・下腹部痛 ・乳房の張り ・むくみ ・便秘・下痢 など |
2018年1月に経済産業省が実施した「働く女性の健康推進に関する実態調査」では、女性従業員の約5割が「女性特有の健康課題により職場で困った経験がある」と回答しています。さらに、そのうちの43%がPMSによるものであり、PMSに悩む女性は多くいることがわかります。
参照元:経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて(経済産業省)」
すぐにできる!生理前に眠気を感じたときの対策
生理前の日中にひどい眠気を感じたら、どうしたらよいのでしょうか。
ここでは、仕事中でもすぐにできる、眠気を感じたときの対策を3つご紹介します。
コーヒーや紅茶を飲む
眠気を覚ますために、カフェインが含まれているコーヒーや紅茶を飲むことは有効です。
東京福祉大学の「日常生活におけるカフェイン摂取」によると、成人の場合、カフェインの血中濃度は接種後30分~2時間で最大となり、2~8時間で効果は半減します。
カフェインには即効性がなく、接種してから30分~1時間後に効果を感じるようになるため、眠気を感じたらなるべく早く飲むことがおすすめです。
また、ハーブティーにはノンカフェインのものが多いですが、ミントや柑橘系のハーブティーにはリフレッシュ効果があり、頭をすっきりさせることができます。
参照元:東京福祉大学「日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-」
ストレッチをする
座っていて眠気を感じたときは、肩や背中、足首などを軽く伸ばしてみましょう。
デスクワークで一日中同じ姿勢を続けていると、身体の休息時に働く副交感神経が優位になり、眠気が生じやすくなります。身体を伸ばしたり動かしたりすることで、交感神経を優位にし、眠気を覚ますことができます。
少し余裕があるときは、思い切って席を立ってみたり、外を散歩してリフレッシュしたりすることもおすすめです。
仮眠をとる
眠気がどうしてもつらい場合は、15分ほどの仮眠をとりましょう。
さらに、仮眠する前に、カフェインを含む温かい飲み物を飲むと、体温の変化で寝付きがよくなるだけでなく、目覚めをスッキリさせることができます。
ただし、16時以降に仮眠をとると、夜の睡眠に影響してしまうため、正午~14時の時間帯にとるようにしましょう。
そもそも日中の眠気を起こりにくくするためには
眠気対策を知っていても「何日も眠気に悩まされるのはつらい...」と思われる方もいるでしょう。
ここでは、そもそも日中の眠気を起こりにくくするための方法をご紹介します。
睡眠時間をしっかりとる
日中の眠気を軽減するには、睡眠をしっかりとることが大切です。
よく耳にする理想の睡眠時間は「7~8時間」ですが、年齢や生活様式により自分に合った睡眠時間はさまざまです。
「前日によく眠れなかった...」と感じた日は、いつもより早くベッドに入ることを心がけましょう。
適度な運動をする
適度な運動は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。
身体が少し汗ばむくらいが目安で、散歩や軽いランニング、ストレッチを30分ほど行うのがよいでしょう。
健康・体力づくり事業財団の「運動のタイミングと睡眠との関係に関する研究結果」によると、遅い夕方(20時半~21時半)に行う運動が、最も睡眠の持続や睡眠の満足感が高くなると報告されています。
就寝直前の運動は、交感神経を優位にし、かえって睡眠の妨げになる恐れがあるので控えましょう。
参照元:健康・体力づくり事業財団「睡眠‐運動」
ぬるめのお湯に浸かる
就寝の2~3時間前に、38℃くらいのぬるめのお湯に25~30分ほど浸かるのがおすすめです。お湯に浸かることで体温を一時的に上げ、そこから体温が下がることで眠気を生じやすくさせ、寝付きを良くすることができます。
就寝直前の入浴は、かえって寝付きが悪くなる可能性があるので避けましょう。
低用量ピルを服用する
低用量ピルには、ホルモンバランスを整える作用があります。
PMSの症状の1つとして生じる眠気はホルモンバランスの乱れが原因なので、ピルの服用によってホルモンバランスが整えば改善されることがあります。
また、低用量ピルには、眠気以外にも、生理前の頭痛やイライラ、倦怠感などさまざまな症状を軽減する作用があります。
低用量ピルは、近くの産婦人科やオンライン診療で処方可能なため、PMSの症状に1つでもあてはまった方は一度医師に相談してみることをおすすめします。
まとめ
生理前の眠気は、女性ホルモンの変動が関係しています。眠気を感じた場合は、コーヒーや紅茶を飲んだり、ストレッチをしたりして対処しましょう。そもそも日中の眠気を起こりにくくするには、十分な睡眠や適度な運動などを心がけましょう。PMSによる眠気の場合は、低用量ピルを服用することで改善することがあります。つらい症状は我慢せずに、お近くの産婦人科またはオンライン診療で医師に相談してみましょう。
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