レバクリ

更新日:2024年07月11日

ピルは高校生だけでも買える?親にピルの内服を反対されたときの対応も解説

この記事のまとめ
  • ピルは高校生でも購入できるが、保護者の同意が必要なクリニックもある
  • ピルの内服により、生理痛や月経前症候群(PMS)の改善に期待できる
  • 旅行などイベントに合わせて中用量ピルを内服すると、生理を調整できる
  • ピルを内服すると、不正出血や吐き気などの副作用がある

高校生の方で、生理痛や月経前症候群(PMS)に悩んだり、イベントに生理が被ってしまい楽しめなかったりして、ピルを服用したいと考える方もいるのではないでしょうか。

本記事では、高校生がピルを買う方法や、親にピルの内服を反対されたときの対応を解説します。また、ピルを服用すると得られる効果や副作用のリスクについてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

高校生でもピルを服用できる?

高校生でもピルを服用できます。ピルの服用は、生理が始まった方であれば、誰でも飲むことができるとWHO(世界保健機関)は定めています。

しかし、ピルの内服は骨成長が完了していない方には禁忌とされています。骨成長が完了し、かつ生理の周期が確立されてから内服の対象となり、通常15歳前後で内服可能です。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

ピルは高校生だけで買える?

クリニックによっては、ピルは高校生だけで買うことができます。ピルを買える場所は、産婦人科などのクリニックやオンライン診療サービスなどです。ただし、一部のクリニックでは保護者の同意書を求められることもあるので、クリニックの案内をよく確認するようにしましょう。 (※レバクリでは、18歳未満の方が受診される場合、保護者の同意が必要です。)

ここでは、クリニックやオンライン診療でピルを購入する方法を解説します。

高校生がピルを購入する方法

クリニックで購入する場合の流れは以下のとおりです。

  1. 受診を考えているクリニックに行く(必要に応じて予約を取る)
  2. 受付で問診票を記入する
  3. 身長や体重、血圧を測定する
  4. 医師の診察を受けて処方箋をもらう
  5. 会計後、薬局に行き薬を購入する

また、オンライン診療で購入する場合の流れは下記のとおりです。

  1. 診療で受診を考えているオンラインクリニックを予約する
  2. 診療前に問診票(オンライン)を記入する
  3. 予約した日時でオンライン診療を受診する
  4. 自宅にピルが郵送される

ただし、オンライン診療では、月経困難症の治療目的であっても保険適用とならない場合がほとんどであることに注意してください。

医療機関による治療には、保険適用と自由診療の2種類があります。このうち保険適用とは、国民が納めている健康保険料から治療費の一部が給付されることで、安価に受けられる治療のことを指します。反対に、治療にかかる費用を全額を自分で負担しなくてはならない治療を、自由診療と呼びます。どの治療を保険適用とするかどうかは、一定の基準を設け、国が1つ1つ定めています。

保険診療でピルを服用したい場合は、基本的にクリニックを受診する必要があるでしょう。

高校生がピルを買うときには保護者の同意が必要なことも

高校生がピルを買うときに、クリニックによっては保護者の同意が必要です。ピルを買うときに保護者の同意が必要なのかは、クリニックのホームページに記載されていることが多いため、受診する前に確認しておきましょう。

ピルの購入にかかる費用

ピルの購入にかかる費用は、健康保険が適用されるかどうかによって異なります。 ピルの購入で保険適用となるのは、月経困難症やPMS、子宮内膜症の治療目的の場合です。肌荒れ改善や避妊目的でピルを購入すると自費診療になる点には注意してください。

保険が適用された場合のおおよその費用は、ピルの種類に応じて1シートあたり「600円~2,500円+診察料金」程度となります。自由診療の場合は、「2,000円~3,000円+診察料金」がかかります。クリニックによって料金が異なるため、クリニックのホームページや診察の際に料金を確認しておきましょう。

高校生が親にピルの内服を反対された場合はどうする?

高校生がピルの服用を親に反対された場合は、ピルを服用するメリットや安全性を説明して理解してもらうと良いでしょう。親が子どものピルの内服に反対する原因としては、日本でのピルの普及率の低さや、親のピルへの理解が少ないことが考えられます。

2019年に国連が発表した「避妊法2019」ではピルの普及率は2.9%と、海外諸国と比較して低い傾向です。一般的に生理痛や月経困難症に対する改善薬としてピルが選択されることが現状あまりないため、親に反対される可能性があるといえます。

また、青森中央学院大学看護学部「月経痛による婦人科受診に対する女子高校生と母親の意識」によると、ピルの内服に否定的な女子高校生の親は60.8%となっており、ピルの内服に反対する親が多いことが伺えます。

同資料によると、日常的に月経痛やピルに関する会話が少ないため、産婦人科の受診への抵抗を高めていると考えられると報告されています。しかし、女子高校生の親は、子どもと月経痛について話すのが恥ずかしいと感じる方は1%~2%と少ないため、月経についての相談をためらう必要はないといえるでしょう。

そのため、症状が重いことを相談し、服用するメリットや安全性について説明することで、ピルの内服を認めてもらえる可能性があります。

ただし、親の反対が強いからといって、個人で海外からピルを輸入して購入するのはやめておきましょう。自分に合わないピルを服用して副作用が出現したり、偽薬を内服してしまったりするリスクがあるからです。

もし個人輸入したピルを内服し副作用が出現した場合、診察が受けられない場合もあるため、必ず医師の診察を受けてピルを購入しましょう。

参考: United Nations「Contraceptive Use by Method 2019」 青森中央学院大学看護学部「月経痛による婦人科受診に対する女子高校生と母親の意識

高校生がピルを服用すると得られる効果

高校生がピルを服用すると得られる効果は下記の4つです。

  • 生理痛や月経前症候群(PMS)の軽減
  • 生理周期の調整
  • ニキビの改善
  • 避妊

1つずつ解説します。

関連記事:低用量ピルの効果とは?ピルの種類や服用する際のポイントも解説

生理痛や月経前症候群(PMS)の軽減

生理は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンが関係して起こります。月経時期が近づくにつれて、エストロゲンの分泌量が増え子宮内膜が厚くなり、妊娠への準備を進めます。子宮内膜が十分に育つと、プロゲステロンが分泌され子宮内膜を柔らかくし、妊娠しやすい状態を作り出します。着床が起こらなかった場合は子宮内膜がはがれ、生理となって体外に排出されます。

低用量ピルの内服により、エストロゲンやプロゲステロンの分泌量が変化しなくなるため、子宮内膜を薄く保つことが可能になります。子宮内膜が薄く保たれることで、生理痛の原因となるプロスタグランジンというホルモンの産生を抑制することができ、痛みを軽減できます。

また、ピルの作用によってホルモンバランスが一定に保たれることで、ホルモンバランスが変わることによって起こる月経前症候群(PMS)を和らげる効果も期待できます。

生理周期の調整

旅行などのイベントで生理が被ってしまうと、満足に楽しめなくなります。そこでピルを内服することにより、生理を調整して、旅行を満足に楽しむことができるようになります。

ピルは、エストロゲンの配合量によって、低用量ピル・中用量ピルなどと種類がわかれます。生理周期を調整する場合は、主に中用量ピルが処方されることが多いです。

生理を早める場合は、調整する前の生理が始まってから5日目までに中用量ピルを10日間内服すると、内服をやめた2~3日後に生理が始まります。

生理を遅らせたい場合は、調整したい生理予定日から5~7日前から中用量ピルの内服を始めます。内服を止めると2~3日後に生理が始まります。最大で7日間程度生理を遅らせることが可能とされていますが、個人差があるため注意しておきましょう。

生理を調整したい場合は、自分の生理周期を把握しておくことが重要です。また、生理周期を安定させるためにストレスを増やさない、睡眠をしっかり取るなどの基本的な生活習慣の改善も重要です。

ニキビの改善

生理が近づくに連れて分泌量が多くなるプロゲステロンには、皮脂分泌作用があります。分泌された皮脂は、毛穴に詰まることで炎症が起き、ニキビができてしまいます。

しかし、低用量ピルを内服し生理を止めることで、プロゲステロンの分泌を抑えることができます。そのため、ピルを服用することでニキビを改善することが期待できるのです。

ただし、ピルの内服によるニキビ改善効果は副効用であり、ニキビがあるからといってもピルの内服は推奨されないため、注意してください。

避妊

低用量ピルを内服することで排卵が抑制されるため、避妊効果が期待できます。避妊効果を確実に得たい場合は、ピルの内服と合わせてパートナーにコンドームを使用してもらうと、高い避妊効果に期待できます。

ただし、高い避妊効果を得るためには継続的な内服が必要な点には注意してください。また、超低用量ピルはエストロゲンの含有量が低く、避妊効果目的では使用されない点も覚えておくと良いでしょう。

高校生がピルを服用すると起こる可能性のある副作用

ピルを高校生が服用すると起こる主な副作用は下記の4つです。

  • 血栓症
  • 不正出血
  • 吐き気
  • 頭痛

それぞれ解説します。

血栓症

ピルを内服すると、エストロゲンの血液凝固作用により血栓症のリスクがわずかに高まります。高血圧や肥満、高齢になると、より血栓症のリスクが高くなります。

血栓症を発症すると、下記の症状が主に現れます。

  • 手や足の痺れ・麻痺
  • しゃべりにくさ
  • 胸や頭の痛み
  • 呼吸が苦しい

血栓症は、ピルの内服を始めて1ヶ月以内に発症するケースが多いです。これらの症状を感じた場合には血栓症の可能性があるため、早めに医師に相談しましょう。

関連記事:ピルで血栓症になる?血栓症になりやすい人の特徴と予防方法を解説

不正出血

不正出血は、ピルを内服することでこれまでのホルモンバランスが変化し起こる副作用で、5人に1人が経験しています。ほとんどの場合は内服を続けていくと、出血量が減少し、数ヶ月で不正出血はなくなることが多いです。そのため、不正出血があっても、ピルの内服を続ける場合が多いです。

ただし、出血の量が多かったり、ひどい腹痛があったりする場合は医師に相談しましょう。

関連記事:ピル服用中の不正出血が止まらない!原因と対処法を紹介

吐き気

低用量ピルを内服したことで生じるホルモンバランスの変化により、吐き気が生じることがあります。吐き気は、ピルの内服を始めたときに起こりやすい症状です。吐き気が強く、ピルの内服後2~3時間で嘔吐してしまった場合は、成分が体内に吸収されていない可能性があるため、再度ピルを内服する必要があります。

吐き気の副作用が不安な方は、事前に吐き気止めをもらっておくと安心です。吐き気は2~3週間で治まる事が多いですが、続く場合は医師に相談しましょう。

関連記事:低用量ピルを服用したら吐き気がひどい!対処法や注意点とは?

頭痛

頭痛は、ピルの内服を始めたときと休薬期間に起こりやすい副作用です。ピルの内服を始めると、ホルモンバランスの変化により、頭痛が起こります。また、休薬期間にはピルを内服しないため、エストロゲンが減少し頭痛の原因になる可能性があるのです。

頭痛は、3ヶ月程度で落ち着く副作用ですが、頭痛が強かったり、3ヶ月以降も症状が続く場合は医師に相談しましょう。

また、普段から頭痛を抱えている場合は、ピルを服用することによって脳梗塞のリスクが高まります。そのため、片頭痛のある方は慎重投与となり、定期的に診断してもらい注意しながらピルを服用する必要があります。また、片頭痛の中でも前兆のある片頭痛を抱える方は、脳梗塞を起こすリスクが特に増加するため、ピルの服用はできません。

まとめ

ピルは高校生1人で購入可能です。ただし、クリニックによっては保護者の同意が必要なため、購入前に同意が必要か確認しておきましょう。ピルを内服すると、生理痛や月経前症候群(PMS)の改善に期待できたり、生理を調整したりできるメリットがあります。生理痛がひどい場合には親に相談し、婦人科を受診すると良いでしょう。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました